秋田角館の武士たちが築き上げた、桜皮細工を味わう煙草盆
紳士の思索には、粋な煙草盆を傍らに。
『鬼平犯科帳』の長谷川平蔵が居間で煙管を取り出して一服、二服……すると、ハタッと手を打って、事件解決の糸口が見つかる。
また、庭師がチョッキン、チョッキンと植木の手入れをして、ひと通り終えた後は、縁側に腰掛けて、刈りあがった木を見ながら煙管で一服。……するとほんのわずかだが不具合が見えてくる。江戸っ子が、物思いにふけりながら煙管をくゆらせる時間。その傍らに控えているのが、小粋な煙草盆である。
今から200年前、天明の頃、秋田角館の武士たちの間で手内職として始まったのが、ヤマザクラを使った桜皮細工である。藩主佐竹北家義文公が奨励し、秋田の伝統工芸品として隠れた人気を見せた。桜皮は万葉歌人山部赤人に「…枕も巻かず桜皮(かば)巻き作れる舟に…」と詠まれたほど古くから使われ、正倉院御物にも見られる。そして民芸の父・柳宗悦は、飴色に透きとおった桜皮の光沢と深い渋みを、褒め称えた。
その伝統的な桜皮細工が施された煙草盆は、江戸時代の粋な暮らしを偲ばせる。現代でも煙草文化を愛する紳士にぴったりの一品だ。
天然素材だから通気性、通湿性もよく、使い込むほどに素朴な美しさがにじみ出てくる。(渡邊慶司)
桜皮手付煙草盆 南部鉄灰皿・助六煙管付き |
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16,800円(税込) |
南部鉄の灰皿と、柘製作所の「助六煙管」がセットに。
「助六煙管」とは、歌舞伎でおなじみの伊達男、花川戸の助六が愛用した長い煙管。
サイズ:高さ20×幅24×奥行き14cm 重さ1.25kg
煙草盆に施された桜皮細工。女性にも人気だ。
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