カーテンは織物で縫い上げます。
無地のカーテンは、染色していない生成り(きなり)の生地を大きな釜に入れ、高圧で染めます。
これを「後染め」と言い、糸を先に染めて織るのを「先染」めと言います。
(50年前頃は繊維卸をしていたので、よく染工場へ行きましたが
繊維不況で染工場も殆ど姿を消しました)
先染め糸を使っての織物は手間が掛かるので高級品になります。
それに糸ですが、綿、麻、毛、絹などの天然ものとポリエステルなどの石油合成線維とのコストの差は、
エステル糸で、ノズルから引き出すテグスのような「フィラメント糸」は大量生産で一番安い糸です。
天然物は糸にするには、紡がねばなりません。ナイロンやエステルが無かった時代は
紡績して糸を作っていました。日紡、鐘紡、敷紡などの大量紡績の工場から家内工場まで、
人件費の安い頃は、糸偏ブームでした。万博の頃まででしょうか。
エステルの強さをベースに綿を混ぜて紡績したり、フィラメントのような単調な糸でなく
合成繊維を紡いで変化を求めた「スパン糸」は色の反射ノ具合や味わい、機能を求めて
織物の特長作りに、この道の方々は大変と思います。
カーテンも窓一つで数千円から十何万円もの差があるのは、
中国の安いフィラメント糸の織物と、味わい・機能・デザイン等とのこだわって作った作品との違い。
安いのはよいが、ものが悪くなるのは良くない。
たかが毎日関わる住まいの中のカーテンですが、
えらそうな言い方だが、文化が壊れる気がします。