このカテゴリーでは、馬の引き取り・繋養に関して知っておいていただきたい情報を掲載していきます。
思いつくままに書いて行きますので、ある程度記事が増えたら引退馬ネットのHPにも整理して転記したいと思っております。
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引退馬ネットでは、サポートホース(=引退馬ネットで継続的なサポートをしている馬)である、なしに関わらず、預託先のお世話をした場合には、先方の牧場さんの決まったフォーマットがなければ、もれなく契約書の作成と引退馬ネットの契約書の立ち会いがセットでついてます。
今日のテーマは「預託契約書」です。
日本人は契約書を交わすことが苦手だと、よく言われています。なんとなく口約束でついつい済ませてしまうのです。
引退馬ネットや、運営母体のイグレット軽種馬フォスターペアレントの会(FPの会)には、預託に関するさまざまなトラブルの相談が寄せられます。また、相談とまで行かないまでも、こんな大変なことがあった…などという情報も入ってきます。そういうときに、
「預託契約書は交わしていますか?」
というと、返ってくるお返事は95%くらいの割合で…
「いえ、交わしてないんです。」
というものです。
引退馬ネットを始めるきっかけのひとつは、こうした預託をする側、される側との間のトラブルを防ぎ、結果として不幸な馬を生み出したくないという思いがありました。
いざ、馬を預ける、預かるというときに、最初から両者の関係が悪いということはありません。だいたいがお互いに「いい人」だと信じている場合がほとんどです。どちらかが、
「契約書を交わしましょう…」
と言い出さない(=言い出せない?)のが、馬の世界での多くの現状です。もっとも、最近では改まりつつありますが…
で、一昔前なら、どちらかが言い出そうものなら、
「私のことが信用できないのか?」
という反応が返ってきても驚きではない時代でした。いや、今もそうかも?
契約書というだけでたじろぐ牧場さん、馬主さんがいたら、このように返しましょう。
「契約書はお互いの利益を守るためですから」
と(キッパリ)。
だって、そうなんです。
考えてみて下さい。
預託料を踏み倒す馬主がいたとして、そのまま馬を居座らせ(馬に罪はないんだけど)たらどうなりますか?
困るのは牧場さん。なぜなら、馬を勝手に処分することはできないんですから。目の前で生きている馬がいたら、エサを与え、馬房を掃除し…ということになるのです。泣き寝入りになりかねません。
逆の例。
もし自分の馬が、将来有望視されていた牧場の良血馬に大怪我をさせたとして莫大な損害賠償を請求されたら馬主は困るしょう。
こうした大きなトラブルが起こる確率は少ないとしても、現実にいろいろなトラブルは起こっているわけです。
引退馬ネットで契約書を作成する場合は、双方の立場を考え、希望を取り入れて作成していますが、最初の預託の希望をお伝えするとき、馬主さんの代理でお願いすることが多いです。
その場合、やはり緊張する瞬間は預託契約書のことを言い出すときです。
「引退馬ネットが仲介する場合、必ず契約書を交わさせていただきます」
そして、間髪入れず
「ご迷惑をおかけすることがあってはいけないですから」
と言い添えます。今、契約書を作成している相手先の牧場さんは
「それはお互いにね」
と言って下さったので、普段から契約書を交わしていることが伺われます。
そうなんです。契約書というのはどちらか一方の利益を守るためではなく、双方の利益を守るためのものなのです。
このようなお返事をいただけると、本当に気持ちがいいです。
たとえ牧場側で用意した契約書があっても、きちんと内容を確認して理解してから署名捺印しましょう。既に用意された契約書は、馬主側の利益にまで配慮していないこともありますから。特別なこだわりやこうしてほしい、という要望は率直に伝え、お互い納得のできる内容の契約書を作成しましょう。
たとえば、重賞勝ち馬に対して支給される助成金は、一般に馬を公開することが必須条件です。牧場側の協力と理解なしではできないことなので、契約の中に入れることをおすすめします。
牧場側で一番心配なのは預託料を支払ってもらえなくなったときです。事前に契約書の条項の中に、「馬主の預託料が○ヶ月滞ったら馬主は所有権を放棄する」等、具体的に明記するといいでしょう。
所有権を移転できさえすれば、馬を移動させることも可能となります。もっとも、これが意味することのほとんどは、「処分」ということいなりますから、こういうことはあってほしくないのは言うまでもありません。
FPの会のフォスターホースや、引退馬ネットでお世話にした馬の契約書に必ず記載している「こだわり」は、「馬の福祉の観点から安楽死が必要と判断されたときは、事前に十分な麻酔剤を投与して恐怖や苦痛を与えないための細心の注意を払って行う」ことを、契約書に記載しております。
引退馬ネットで作成している預託契約書は概ね引退競走馬のみですが、預託契約書は、現役競走馬だろうと、乗馬であろうと、預託の際には必ず交わすべきものです。
<文責:引退馬ネット事務局・加藤>










