教習指導員@いんすくんのつぶやき

教官業と温泉と独身とセンチメンタリズムを足して4コマ漫画で割ったようなブログです凸合宿免許制教習所=自動車学校で強制労…

おしらせ

何か、サヨナラしたのにまだそこにいたの?って感じで恥ずかしいけど…皆様、ただいま漂流から何とか生還いたしました。 (7/13更新)

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みちくさ

2014-12-25 | ボクの趣味(ほぼ温泉)
こいつ、しばらく更新してないけど、教習所クビになったんじゃね?ってくらいの御無沙汰です。生きてます。

一年ぶりの更新なので、この一年間を振り返り、きちんと皆様にご報告しようと思いましたけどそうですよね報告することといっても温泉しかないですよねふん!じゃあ行くよ!

カップルで泊まるべき温泉

ビニールハウスに温泉

白空と白雪と乳白色の温泉(2回目)

滝と残雪と温泉

クリームメロンソーダ(2回目)

まだまだいっぱいあるけど今日のところはこれくらいで勘弁しといてやるぜ!

今年の5月、東北のとある温泉地を目指していると、道すがらこんなのがあった。


トトロ、矢印。である。

うん。シンプルだ。
看板と合コンでの女子の服装はシンプルなほうが好感が持てる。
しかし、この看板は看板の役割としてあまりにも致命的な欠陥がある。

何が言いたい?

合コンでの服装がシンプルな女子が言いたい事ははっきりと分かる。「私は清楚です。」これに尽つきる。そのメッセージを受け取った男性陣は皆こぞって、うんうん、よしよし。とこうなる。
ただ、彼女たちの中には「私、清楚に見えてるやろ?」とか「どうせこうゆうの好きなんでっしゃろ?ほれほれ!」とか「私は素材で勝負出来るオンナなんやで!どや!」とかいう、清楚とは程遠いニセ清楚が存在しているからその見極めには注意が必要だ。このニセ清楚問題は芸能界のアイドルや女優たちの中にもはびこり…えっと、何が言いたいんだったっけ。

そうそう。この看板、何が言いたいんだ?

シンプル過ぎて明らかに情報量が不足している。全くもって意味が分からない。

これはアレなのか?トトロ、こっちへおいでよ的なアレなのか?それこそトトロ、指定方向外進行禁止的なアレなのか?


参考:指定方向外進行禁止

もう!なんなんだよ!おれすげぇ急いでんのにー!次の目的地の温泉までかなり距離あるのにー!こんな子供騙しに付き合ってられるかー!

って言いながらもしたね、左折。

そういえばいつからか、ボクはあまり寄り道をしなくなっていた。
熊野古道や日光東照宮、中尊寺金色堂。今まで名だたる世界遺産を素通りしてきた。
遊び心で始めた温泉趣味。目的は楽しむことであったはずなのに、いつの間にか温泉だけが目的となっていた。

そんなことを考えながらハンドルを握ってたら結構な距離走ってました。

まだかー!トトロー!
ていうか何なのよトトローッ!
ってトトロ連呼しながらワインディングロードをひたすら走りました。

やがて小高い丘の上の小さな駐車場にたどり着きまして、車を降りて丘の向こう側へ下っていくと、ただっぴろい草原の中に、ぽつりとそれはあったのです。

あなたには見えますか?



遊び心か…。
たまには寄り道も良いもんだ。

トトロもサンタも、随分前からボクらはいるわけないと思っていた訳だけど…
このへんないきものは、まだ日本にいるんです。たぶん。

メリークリスマス。
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続・凡人たちよ、筆をとれ。

2013-12-15 | 教習生色々

『凡人たちよ、筆を執れ。』に続きがありましたのでご報告しときます。
(まずは過去記事を見てから読んでください。)

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フェイスブックをやってると、思いもよらないひとから連絡が来る。

昔の女から「お願い!よりを戻して!」とか、熟女から「旦那と別れるから!」とか、金髪美女から「ユーアーナイスガイ!」とか、もうさーすげー大変でさー。困っちゃうよねー。ボクは一体この中から誰をチョイスすればいいの?って。これってチョイスブックの間違えなんじゃないの?って。チョイスブックでテイストグッドとか本当にあるの?って。まあ全部ウソなんですけど。フェイクブックなんですけど。

先日、フェイスブックを開いたら高校時代の同級生Tから友達申請が来ていた。

Tとは一度もクラスが一緒になったことは無いけど、高2の頃から共通の友人を通して仲良くなった。体育祭、文化祭などの学校行事からプライベートまで、ボクの青春の思い出は、彼無しでは語れない。
彼はよく笑い、よく泣いた。大柄で豪快な男だったが、繊細でもあった。彼の恋愛を、一番近くで見ていてよく相談にのった。彼はモテたが、駄目な男だった。ボクはモテない、駄目な男だった。
Tは東京の大学に進学することになった。上京の日が近づいたある夜のことを、ボクは昨日のことのように憶えている。
灯りが消えた友達の部屋で雑魚寝をしながらいつものようにまったりと話をしていると、突然彼が「淋しくなるわー」とボソリとつぶやいた。それからみんなとの別れ、ボクとの別れを惜しみ言葉にした。月明かりに照らされた彼は、静かに泣いていた。
ボクは笑いながら「どうせすぐ東京に染まって地元に帰らなくならーね」と言った。彼は苦笑いしながら「そんなことないわーね。地元を愛しとるし方言も好きだけぇ。おれは変わらんよ」と言った。
その後も彼は明け方まで「淋しくなるわー」と何度も何度もつぶやいた。少しかすれた低いその声は、今でもボクの耳に残っている。
それからお互い地元に戻っては会って遊んでいたが、いつからだろうか、連絡を取ることもなくなっていった。現在Tはそのまま東京で都の教員採用試験に合格し、高校教師をやっている。
フェイスブックの思いがけない友達申請に、懐かしいな、何年振りだろう、アイツ元気にしてるのかな…そう思いながら彼のトップページに行ってみたら、出身地が「東京都新宿区」ってなってた。

おいおいおいおい!うそつけー!!!

お前は島根の中でも選りすぐりの島根、山奥の豪雪地帯、限界集落の出身じゃねぇかよ!
実家とかも結構本格的な藁葺きの屋根で、島根界のサラブレッドじゃねぇか!
郷土愛どこ行ったー!?

彼ね、東京に魂売ってた。多分割とサラッと、ブックオフに単行本売るくらいの感じで売ってた。あ、お金にならなくても引き取ってもらえばいいですみたいな感じで。
方言どころじゃない。足跡すら消してた。
それだけはね、一番やっちゃいけないと思う。一番やっちゃいけないフェイクブックだと思う。怒りと悲しみで心が震えました。シェイクブック!

で、プロフのアイコンよく見たらね、すげー幸せそうな結婚式の写真だった。
気付いたら申請拒否のボタンを押していました。無心で連打していました。

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そんな中、またフェイスブックで友達申請があった。

以前『凡人たちよ、筆を執れ。』で紹介した女子学生の元教習生Kさんだった。

彼女と言えば、徳川家康と上杉謙信と杉田玄白を病床の枕元に呼び、「一本の矢ならたやすく折れるが、三本の矢なら折れぬ。だからお前ら合体しろ」みたいなクレイジーなことを言ってのけたという逸話が有名ですよね。
その後、どうやってボクとブログの存在を知ったのか、彼女から友達申請が来たわけで。もちろんまた何かしらの奇跡を提供していただけるかもしれないので承認ボタンを連打しました。するとご丁寧にメッセージまでいただきまして。その内容は強くボクの心に響くものでした。
ブログに載せる承諾を得たので以下一部省略してご紹介したいと思います。快諾してくれたKさんには厚く御礼申し上げます。

〇〇さんにはすっごくお世話になりました!
ぐちでも何でもきいてくれるからなんでも言っちゃってストレス発散にもなってました(笑)
本当にいっぱい相談のってくれてありがとうございました!
私はもうそっちに行くことがないからめっちゃさみしいですが…ツイッターとBlogたのしみにしてまーす!
体に気を付けておしごとがんばって下さいね!
ありがとうございました!!

家杉源白より


え?ええ!?

家杉…源…白!?

玄じゃなくて?
源の方?

ひとり増えとる!!

でたらめだ。
世の中でたらめなヤツばっかりだ。

でも何でだろ。

マンデラ氏の追悼式典のあのでたらめな手話のひとを見ていると、ボクは同級生Tと元教習生Kさんの事を思い出す。がむしゃらででたらめなひとの事を、ボクは嫌いにはなれない。
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BAD COMMUNICATION

2013-10-05 | 教習生色々


ご出身はどちらですか?

初対面の人とコミュニケーションを図る時、定型文のように、掛ける言葉は大体決まってくる。

この定型文、ボクはあまり好きじゃ無い。不自然な、マニュアル通りな、事務的な感じがする。その人の出身に本当に興味があるわけでは無いのに、とりあえず聞いとけみたいな匂いがプンプンする。

そんなことを言ったら何の話も出来ないじゃないか?お前は頭がおかしいんじゃないか?と思われるだろう。そうだよ。ボクってコミュニケーション能力が極めて乏しいんだよ。えへへ。

お仕事は何されているんですか?

スナックに行くと、決まってこう聞かれる。別にボクのことに興味を持ってくれているわけではない。何となしに聞いているのだ。
多分彼女たちは用意している返事も決まっていて、例えば「医者です」と言えば「えー!すごーい!」となって、それ以外の職業を言えば「大変そうですね…」みたいな適当な返事をするのだろう。

そんな取り止めもない会話の連鎖を断ち切る為に、いつだったかボクはスナックで横についたお姉さんに「陶芸家です」と嘘を付いてみた。
そしたらお姉さん「へー」って。水割りをつくる手を止めることも無く。
どうやら職業とか関係無く、彼女、ボクに全く興味が無かったみたいで。その後は勿論、店を出るまで全然会話が弾まなかった。本当、無言でろくろに向き合う陶芸家みたいになってた。

コミュニケーション能力ってのは何の取り止めも無い話をいかに自然に切り出し、穏やかに、笑顔で、誰とでも、そこに人肌の温もりを持たすことが出来るか、そんな能力のことを指すのだと思う。
ボクが全く持ち合わせていない能力だ。

しかし、こんな無愛想なボクだけど、教習という接客業をしていればそこは避けては通れない道である。

複数教習。MT車。男子学生3人を乗せ路上に出た。

山手の教習所から下っていき、道幅の広い国道に出ると、それから目的地の市街地まではしばらく道なりとなる。
走行に余裕が出来る頃、
みなさん、ご出身は?
と、一応ね。切り出してみた。

本当はこんな定型文なんかよりも、
みなさん、好きなアイドルは?
と切り出したかった。
そして、「AKBの板野友美です」とか言うやつがいたら、何言ってんだ!あんないつも同じ表情しか出来ないアイドルのグラビアが週刊誌の表紙を飾るなんて、おれは認め無いんだよ!大体な、AKBのせいで他のアイドルたちが日の目を見ることが出来なくなって、これは秋元康の大罪であり…(中略)…でも篠田麻里子はポージングも表情もかなり良いものを持っててグラビア向きですごく良く映えるよね!大好き!
って熱いディスカッションを繰り広げたかったんだけど…。

みなさん、ご出身は?

すると厄介なことに運転席の男子学生がかなりのオシャベリだったみたいで、
「良くぞ聞いてくれました!僕の出身の○○県の××町てとこは日本一のイチョウの本数と言われてて、至る所にあって、これからの季節は紅葉がもの凄く綺麗なんですよー!」

とドヤ顔で自慢して来た。
横顔でも分かるほどのドヤ顔。

まあ、ボクはね、大人ですからね。
ドヤ顔の煩わしさを差し引いてもその情景には興味があったし、
ほおーそれは素敵だね!
みたいな対応をした。

だけど、後部座席にいる他の2人の男子教習生が
「でもイチョウって…臭くね?」
「うん、銀杏臭くね?」
「鼻ひん曲がるくね?」
「街全体が銀杏臭ぇって事じゃね?」
「ただの銀杏臭ぇ街じゃね?」

みたいになって、その後運転席の彼、すごく静かになった。

休憩に入るとすぐに彼はボクに言った。
「あなたが出身地なんか聞くからですよ!」

…おれ悪く無くね?

定型文でも波乱を生むくらいなら、好きなアイドル聞いときゃ良かった。

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おれ、カラコン買いに行くよ…。

2013-09-22 | 教習生色々

目力はある方だと思ってた。
いや、あり過ぎる方かなと思ってた。

赤ちゃんと目が合うと、必ず泣かれる。
別に睨んでいる訳じゃないのに。
優しくほほ笑みかけているというのに。

これはきっと目力のせいだな。
この目力、成熟した大人の女性などには丁度いいが、赤子にはちと刺激が強すぎるのだろう。そう思ってた。

教習中、人相学に造詣が深いっていう女子大生がサラリとボクにこう言った。

「その目って…凶悪犯罪者によくある特徴の目をしてますね。」

気を付けます。って消え入りそうな声で返事しといた。
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あるんだよ。

2013-09-17 | 教官も色々

えっと、前回の記事を見た上で読んでくださいな。

11:05 学科教室

ボクはこの日、第2段階の学科、項目6『人間の能力と運転』を担当した。
学科教習の冒頭部分“導入”は教習指導員の裁量に任されている。
導入とはスポーツで言うところの準備体操であり、教習生の興味、学習意欲を引き出す為の大事な部分である。教習指導員の教科書『講習ハンドブック』によると、導入は次のような方法で行う。
・軽い話題を笑顔で披露する。(必ずしも教習項目との関連は必要ではない。)
・教習内容の重点を簡潔に説明する。
・新鮮で身近な交通のニュースや事例を話す。
つまりは何でも良いから楽しい話をしたり、これから学ぶことをザックリと説明したり、リアルな出来事で気を引いたりしなさいってことだ。

で、ボクが担当したこの時間の学科は「人間という生き物は万能では無いんだよー」って内容。「錯覚もするし疲労もするよねー」みたいな。だからそれに結び付けて先般の『ハンコ事件』の話をした。すごく身近で新鮮な事故の話を。笑顔で披露した。

そしたらその後、学科を聞いてた教習生から「本当にそんなことってあるんですか?」と作り話の疑いを掛けられた。

「…あるんだよ!」って目を見開いて力でねじ伏せておいた。

15:40 路上教習の休憩場所

ボクが椅子に腰掛けてぐったりしていたら、対面に座ったひとりの同僚が話しかけてきた。後輩指導員のN岡さんだった。彼はボクより年上だけど、入社は何年か後なので年上の後輩なのだ。まぁそんなややこしい話はどうでもいいのだけど。

「あの…教習印、きれいになりましたか?」

彼はいつも爽やかに笑いながら話しかけてくる。
爽やか過ぎて一瞬、何のことか分からなかったけど、あ、ボクの全然爽やかじゃないブログを見てくれたのだなとすぐに理解した。
N岡さんはたまにブログを見てくれていて、こんな風に話しかけてくれる。その度に、社員で見ているのはボクのブログが行き過ぎないように検閲してる偉いひとだけじゃないのだな、と思ってホッとする。

「あんなことってあるんですねー!ははは…」
そうなんですよー!最悪でしたよー!ははは…とボクも一緒に笑った。

20:30 指導員室

一日の仕事が全て終わり「今日は何だか凄く疲れたな」と頭の中でつぶやきながらボクは帰路につくため指導員室を出ようとした。
その時、「あーっ!」と大きな声が背中に突き刺さった。
何事だ?と振り返ると、そこには苦笑いしたN岡さんが突っ立ってた。

彼ね、右手に平たくて茶色い物体を持って立ちすくんでいた。

え?…何すかそれ??

「まあ、その…黒糖饅頭です…」

え?え?N…岡…さん??

「やってしまいました…」

いやいやいや!
アナタ、ボクのブログ見たって今日言ってたばかりじゃないの!

「いやー、昼休憩の時に饅頭をもらってそのまま…うしろポケットに…」

え?昼休憩??
てことは…時系列を考えたら…
「あんなことってあるんですねー!ははは…」とか言って、人の豆大福のことを笑っていたまさにあの時、彼のおしりの下にはペチャンコの黒糖饅頭が!?

怖い怖い怖い!このひと怖いよ!!

その後、N岡さんは何事も無かったように透明の包装紙を取り外し、ペチャンコの黒糖饅頭を頬張った。タイヤに轢かれた馬糞みたいになったペースト状の黒糖饅頭を。爽やかに。

彼に掛ける言葉が見つからないボクは「本当にそんなことってあるんですか?」と言うしかなかった。

みんな、疲れてる。
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ふたりの余裕

2013-09-11 | 教習生色々

最終時限。20:45。

路上から場内に到着し、一日の役目を終えた一台の教習車は車庫に入った。
エンジン音が止まって初めて安堵の表情を浮かべ、「ふーっ」と深く長い息を吐いたのは運転席の教習生Hくん。第一段階からずっと一緒に乗っているボクの第一担当だ。
彼は今日、無事に最短教習時限で修了検定、仮免学科試験に一発合格した。
ボクは運転席の彼に向かって喋り出した。

「Hくん、初路上お疲れ様。無事に生きて帰りついたな!」

それは、ボクが彼に言った初めての冗談だったのかもしれない。
ボクたちの関係は決して生ぬるいものでは無かった。
彼は第一段階は最初から最後まで苦労した。
彼は少しばかし不器用な所があったが、とても真面目なタイプだった。
だからボクも彼の頑張りに応えようといつも必死だった。
そして今回の夜間の初路上も勿論、気を抜くことは許されなかった。
今までお互いに冗談を言う余裕など無かったのだ。

「正直、キミは第一段階は延びてしまうかもしれないと思っていたよ。でも後半の巻き返しはすごかった。本当に良く頑張ったな。今日の初路上も最初はアクセルやブレーキの使い方が悪かったけど、帰る頃にはなかなかスマートに踏めていたよ。余裕のある、他者を意識した速度調節が出来ていた。細かい話と思うかもしれないけど、これはすごく大切なことなんだ。路上で大切なのは、車間距離や加減速を工夫していかに焦りを無くし、余裕をつくり、周りの車とうまく付き合うかだ。第二段階も細かいことを少しずつ良くしていって、ストレートで卒業まで行こうな。まぁとにかく今日は早く寝て、明日からもまた一緒に頑張ろう。」

ボクはいつものシリアスな表情に戻ってクールな口調でそう言った。

教習生が運転に余裕が無いのは当たり前のことだ。
しかし指導に余裕が無ければ、教習指導員失格だろう。
彼ばかりに余裕を求めるのはおかしな話だ。
明日からは焦らずに余裕のある教習をしよう。
そう自分に言い聞かせるように、ボクはクールな口調でそう言った。

そして教習原簿にハンコを押そうと、うしろポケットから教習印を取り出したその時だった。
「え!?…うわぁぁぁ!なんじゃこりゃあぁぁぁぁ~ッ!!」
薄暗い車庫内に大きな叫び声が響いた。
その声の主はボクだった。

取り出した教習印の先っぽに、マッタリとした茶色い物体がベットリと付着していたのだ。

もうどっからどう見てもウンコ。
色、艶、形、感触に至るまで、4拍子そろったウンコ。
お食事中の方には大変申し訳無いけどさーだって他に表現のしようが無いもん!
って逆ギレするくらいの絶対的なウンコ。絶望的なウンコ。

ハンコにウンコ付いてた。

え?え?
漏れたのか?
いつの間にか漏れていたというのか?
過労により体がおかしくなって、ウンコ漏らした事にさえ気付かなかったのか俺は!?

青ざめた。
今まで生きてきて、「俺は漏らしたことなど一度たりとも無い」と言ったら嘘になる。
イケメン俳優だって清純派アイドルだって、必ず漏らしてきてる。逆に言えば、漏らしたからこそ今がある。お漏らしは誰もが通る道であり、そして誰もが戻る道である。
確かにね、年を追う毎に、なんか緩くなってるな、というのは強く自覚していたし。
でもね、さすがにね、漏れた事に気付かないってのはまずい。昆虫とか魚類とかと同じ生態レベル。
ボクはこのまま死ぬんじゃないかと一瞬目の前が真っ暗になった。

さっきの余裕の話はどこ行った?ってくらい、ボクはパニックに陥っていた。

まずい!これはまずいぞ!
教習中にウンコを漏らす。それこそ教習指導員失格じゃないか。
とにかくHくんに気付かれないうちに、こっそり何かで拭い取ろうと思ってチラリと彼のほうを見たらね、Hくん、がっつり見てた。ボクの持つ教習印の先っぽをこれでもかってくらい凝視してらした。
で、その後は、名刺と間違えてロト7を差し出した柳葉を見る妻夫木くんみたいに「部長…」みたいな顔で、ボクの顔を恐る恐る見て来て目が合った。彼ね、脅えてた。何かが、音を立てて崩れていくのが聞こえた。

「いや、違うんだよ!」

多分、ボクはこの時、もの凄い怖い顔をして彼に言ったのだと思う。
浮気でも何でも、疑惑の目を向けられた男は取り合えずこう言う。こう言いながら必死で言い訳を考える。全然違わないのに。全然浮気してんのに。全然ウンコなのに。

で、どうしよどうしよどうしよって疲れた頭をフル回転させてたら、ある映像が浮かんできた。

さかのぼる事6時間前、ボクは教習所の売店にいた。
ペットボトルのジャスミン茶が空になったので、休憩時間の僅かな間にまた新しいジャスミン茶を買いに来ていた。これを切らすと禁断症状が出るかもしれないんでね。
で、小腹が空いてたんでついでにその時お菓子をひとつ購入した。
急いでフタを開け、冷えたジャスミン茶を口に流し込み、さてお菓子を食べようかと外装を少し剥がした所で、教習開始の音楽が鳴り始めた。
うん、確かに、あの時咄嗟にうしろポケットに入れたね。

豆大福を。

うん、忙しくてうしろポッケに入れたまますっかり食べ忘れてました。豆大福。

うわー。やっちゃったなー。あれから6時間も教習車の助手席に座って揺られていたわけだから、もはや豆の部分もこしあんみてぇになってるかしら。と思って意を決してそろりとポッケに手を入れて確認してみたら、ボクの想像を遥かに超えた世界観がそこにはあった。グチャグチャヌチャリ!って。ホラー映画かエイリアン映画みてぇな、それはそれはおぞましい世界がすごいスケールで広がっていた。ボクのうしろポッケに。

それでもボクは平静を装って、先ずは動揺しているHくんを安心させなきゃだなと思い、すぐに事情を説明して誤解を解いた。
ほぉーら、もう大丈夫だよーって。
怖がらなくてもいいよー。って
ハンコのウンコはアンコだったよーって。

いやーしかし焦った焦った。ついに体がバカになったのかと本気で己の身を案じたよ。
まあ一番焦ったのはボクの横で固まっていたHくんの方だったと思うけど…。

「ほんと、ビックリさせてごめんねー!あははー!」

苦笑いしながらボクたちは教習車から降りた。
途端に爽やかな秋の夜風が車庫内を通り抜けていった。
この時初めてボクは背中に大量の汗をかいていたことに気付いた。
楽しみにしていた豆大福は台無しになっちゃうわポッケの中は餅とアンコでグチャグチャになっちゃうわで最悪な一日の終わりとなったけど、今日は彼の笑顔が沢山見れたんでまあ良しとするか。

背中の汗が次第に引いて行くのが分かった。
自然とボクも爽やかな気分になっていた。

ウチの教習所は教習の最初と最後に“アームハグ”といって握手をする決まりになってる。お互いの事を信頼し合い、讃え合うためだ。今日は彼といつもより力強く手を握ろう。そう思って「仮免合格本当におめでとう!お疲れ様でした!」とボクはぐっと手を差し伸べた。そしたら彼、

「あの…あれって本当にアンコだったんですよね…?」
って思いっきりアームハグをためらってらした。

Hくん、こんな余裕の無いボクだけど、明日からもどうかよろしくお願いします。
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究極の親心

2013-09-04 | 教習生色々

担当の教習生の関西女子が堺雅人の大ファンだという。

まあボクも好きなんですけどね堺雅人。こちとら繁忙期で忙しく、ドラマ『半沢直樹』とか見てる余裕とか全然無い。

それでもおかまいなしに「堺雅人のあのシーンが…」とか「堺雅人の演技力が…」とか、半沢さんの魅力を熱く語り出してきて止まりそうにないんで、こうなったら「倍返しだ!」と思って

いや、でも『リーガル・ハイ』の時の新垣結衣は主役の堺を引き立てて慎ましやかで実に可愛らしかったし、かつて世の男性に衝撃を与えた初写真集『ちゅら☆ちゅら』は新垣結衣の透明感と健康美が余すことなく…

ってガッキーの魅力を聞かせてやったんだけど、彼女、全然聞く耳持たない。それどころか『篤姫』とか『武士の家計簿』とかにまで堺雅人の話を「10倍返しだ!」みたいに広げようとしてきたので

そんなに好きならさ、息子が生まれたら“雅人”にすれば?
と適当に言って会話を終わらそうとした。

そしたら彼女は断固とした口調で
「いいえ!子供産んだら絶対、男ならタケゾウ、女ならトヨコにします!」
と言ってきた。

え?タケゾウ?トヨコ??

「はい!どっちに転んでも良いように!」

え?え?何それ?どゆこと??

「もしブサイクに生まれてもですね、タケゾウとかトヨコならまあ許せる名前じゃないですか?」

全国のタケゾウトヨコに土下座して詫びてもらいます!
って鬼気迫る顔で言っておきました。
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凡人たちよ、筆を執れ。

2013-07-20 | 教習生色々

「私って友達からアホアホ言われるんですよー」
関西の学生さんが辟易した顔で嘆いてきた。

そんなことないだろ。
ボクは今まで数え切れないほどアホな人々と出会ってきた。

アホを超越して恐怖すら感じるアホ。
アホをこじらせて生死に関わるほどのアホ。
アホが平和をもたらし村の英雄となったアホ。

そういったアホこそ真のアホであり「アホ」と呼ぶに値する、愛すべきアホ達である。

キミはそのアホとされる言動が原因で、誰かを怖がらせたり、死を招いたり、ヒーローと称された事はあるか?そうだろ。無いだろう。つまりキミはアホなんかじゃない。
逆に、アホという誉れ高き称号を軽々しく使わないでいただきたい。
だからキミは今日から「ただのアホっぽい子」として前向きに生きて行きなさい。

ってボクなりにフォローしてみたんですけど、全然納得していない様子の彼女。むしろちょっぴり怒ってらした。

しょうがないな。
じゃあ今からボクが問題を出す。
そしてキミに答えてもらう。
その答えをもってキミがアホじゃないことを証明しようじゃないか。

ボクの提案に、彼女がうんうんと頷いた。

よし、じゃあね、関ヶ原の戦いで勝ったのは?とボクは彼女に尋ねた。
別に、間違えればアホという訳じゃない。ボクも歴史なんて全く詳しくないし。例えば彼女が「豊臣秀吉」と答えたとしても、それは普通の間違えの範囲であって、アホな間違えとはならない。ボクからしたら、そんな普通の間違いに「アホ」と言うのはただのつまらない悪口でしかないと思うのだ。アホという言葉は学力という物差しで計って使うべきでは無い。物差しで計れない力を持ったひとに対して使うべきなのだ。

関ヶ原の戦いで勝ったのは?
ボクの問いかけに、彼女は「えー!私歴史弱いからな…」と困惑しながらも必死に考えだした。

「えっとね、確か…イエ、イエ…」
なんだ、普通に答えれるじゃねぇか。
「イエ…イエ、スギ…」
え?い、いえすぎ!?
「う~ん、イエスギ………ゲンパク!」
え?え?えええーーー!!


イエスギゲンパク!?


家杉玄白!?


もうね、驚愕のあまり久々の太字にしたし色も付けた。
誰だよそいつ!
明らかに混ざってるじゃない!
百歩譲って混ざるとしても2つまでだよね。3つて。欲張り過ぎ。
関ヶ原の戦いってそんな三つ巴の戦いだったっけ?
それに、ひとつだけ何か混ぜちゃいけないものが入ってるし。
玄白だけはね、混ぜるな危険。
最初の弓矢で死んじゃう。

家杉玄白

すごい。すご過ぎる。一体どうやったらこんなショッキングな答えが思い浮かぶのだろう。ボクは恐怖すら感じた。笑い過ぎて死ぬかと思ったし…。この瞬間、彼女はボクの中でヒーローとなったんだ。前述したアホの条件を3つ全て兼ね揃えてるひとに、初めて出会った。

なぜ「知らない」と言わない?

次に浮かんだのは素朴な疑問だった。ボクなら、知らなかったら「知らない」と言う。普通のひとはそうするはずだ。そうすればアホと言われずに済むだろうに。なのになぜだ!なぜなのだ!?なぜキミは「知らない」と言わない?そしてなぜ言ったのだ?誰も知らない家杉玄白を!

いやしかし「知らない」と言ってしまえばそれまでだ。そこには何も生まれない。彼女は凡人がつくり得ない奇跡を生んだのだ。そしてきっとこれからも生むだろう。数々の作品を。第二の家杉玄白を。感動と、幸福を。

ボクは呼吸を整えた後、彼女に静かにこう伝えた。
キミはアホなんかじゃない。天才だ。ジミー大西的な意味合いで。
あと、いつかキミの頭ん中を解体新書してみたいもんだ、と。
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漂流者に告ぐ~gooIDアカウントロックの解除方法~

2013-07-13 | 教習とは全くもって無関係な日記

ボクはこのgooで7年間ブログをやってきた。

思えばこの7年、色々あった。出会い、恋愛、別れ、妊娠、出産、未婚、会見。もしかしたら安藤美姫の本当のお相手はボクだったのじゃないかと錯覚するほど諸々な出来事が色々あった。諸々あったでモロゾフ。

というのはただの妄想で色恋沙汰は相変わらず全く何も無い訳ですけど、とにかく数少ない読者の皆様に時に励まされ、時に疎まれ、支えられて過ごして来た7年間でした。

そこへ突然のgooIDのアカウントロック。編集画面へログイン出来なくなり、当ブログは更新も閉鎖も出来ず、ウェブ上をただただ漂流するだけとなったわけです。これぞまさにボクに相応しい終焉でありビバ漂流人生!これからはブログで僻みと妄想の日々を綴るのでは無く、現実から目を背けずに充実した人生を歩んでいこう。そうだ恋をしよう。とろけるような恋をしよう。

そんな矢先、一年振りの合コンがありまして。「実はボク最近、石窯をつくったんだよ。遠赤外線を放つ耐火レンガを使用して…」って言ってみたら「キャー素敵、今度ピザパーティしましょ!」って意外なリアクションが返って来た。

しめしめ、まんまと喰いついたな!
これでまたパーティを開く口実が出来たぞ!

そうなったらこっちのものだ。キャッキャ言いながら女子たちと生地をコネコネして、熱々のピッツァをフーフーした上であ~んとかしてもらって、あとは口の周りにこぼれたチーズをどうやって取ってもらおうか!ぐふふ!とろける!とか妄想してニヤついてたんですけど。

ただね、肝心の石窯なんだけど、下から薪をくべて火を轟々と焚いてもね、窯が全然熱くならない。外側のレンガ、素手で触れるし。それこそ頬を摺り寄せれるほど。いや、むしろレンガの感触が逆に冷たい印象を与える。避暑地みたいな涼しさ。ミキがいないアイススケートのリンクの様に暗く、硬く、冷たく切ないでモロゾフ。

ブログがストップしてる半年間に起こったことは、とろけるような恋どころかチーズすらとろけさすことが出来ないでいるというこの一件くらいで、以上で近況報告を終わらせていただきます。皆様お久しぶりです。

アカウントロックが掛かっていたgooになんとかログイン出来ました。

でもこれだけ間が空いてしまうと今更感がさ、ホラ、メールの返信とかもそうじゃない?しばらく放置しちゃうともう返事するタイミングが分からなくなるみたいなさ。やっぱ時間と距離は比例してて、時が経てば距離=関係性というのがどうしても離れていくんだなぁと。そこへ急に距離を縮めて来られると距離感が無茶苦茶になって今更感が出てくる。この距離を自然に縮めるタイミングなんて無いに等しい。

「あ、あの、お父さん…私ね、帰ってきちゃった…」

離婚後の出戻りなんてその極みみたいなもんだよね。出戻るタイミングってのは皆さんどうやって計ってらっしゃるんだろう。まぁとにかく、お父さんには理由を聞かずに娘を強く抱きしめてあげて欲しいよね。

「恥ずかしながら帰って参りました」

かの有名な横井庄一氏の言葉である。「生きて日本に戻ることは恥」とされていた戦時中。彼は戦争終結後28年もの間、グァム島のジャングルにひとりで潜伏していた。そして帰国の際、この名言が生まれた。でもボクはこの言葉の裏にはもうひとつの隠された意味があると思う。

「え?マジで?マジで戦争終わってたの?しかも28年前?嘘だろー、俺だけ知らなかったのかよー。チョー恥ずいんですけどー。しかも28年だぜ?これってギネスもんじゃね?おれの名前ギネスブック載んじゃね?チョー恥ずいんですけどー。全国放送されんじゃね?TVドラマ化とかされんじゃね?つーか今更帰国ってマジ気まじぃんですけどー。『ただいまー』とか軽く言っちゃっていいもんなんすかねー?あー、もう何か帰るのだりぃわー。恥ず過ぎて帰るのだりぃわー。まぁ恥ずかしながらもぶっちゃけ帰っちゃうんですけどー。」

だからボクもこうして記事を更新するのはすごく照れくさいんですけど、当ブログの漂着を待ちわびてくれた一部のマニアックな熟女読者の為に、恥ずかしながら帰って参りました。

で、久々の記事なんですけど、前述した通り近況など書くことが何も無いんでね。本日はボクと同じようにアカウントロックで困っているgooブログユーザーの方へ、解除方法をお伝えしようと思います。

概要

1.gooIDは何者かのサイバー攻撃により不正ログインがあったことを発表。
2.ユーザー情報の漏洩防止の為に、一部ユーザーのアカウントをロックした。
3.このロックを解くには、本人性確認(ID、新規登録時に入力したメールアドレス、生年月日の入力)が必要となった。
4.本人性確認が出来ないとログインは出来なくなった。

ボクが7年前、でたらめに入力した情報なんて覚えてるはずもなく、これにより当ブログは漂流することとなったわけです。つまりは自業自得というやつです。ネットで解決方法を検索したんですが、どこにもページがありませんでした凹

さて、アカウントロックの解除方法です。

1.↓このページで必須項目を入力
goo事務局へのお問い合わせ

2.『質問内容』の欄には「登録時の情報を忘れてしまい本人性確認が出来ずアカウントロックが解除出来ない」旨を正直に、そして「このブログは生き甲斐でした。ブログが書けなくなってボクはもう生きる意味を失って石窯づくりも失敗して合コンでせっかく良い流れだったのにチーズすら…」みたいな涙を誘う語り口で、かつ「お世話になります(中略)貴社の益々のご発展を心より祈念して…」くらいの丁寧な結びの言葉でアカウントロック解除の要請をしてみてください。

3.指定したメールアドレスにgoo事務局からメールが届きました。
「お客様のIDは一時的にロックを解除しました。ログイン後すぐに新しいパスワードに変更して下さい。」

※尚、この方法でアカウントロックが解除出来たのはあくまでもgooさんの配慮によるもので一般的な方法では無いと思われます。全ての方がうまくいくとは限りませんのであしからず。
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おじょうひん

2013-02-20 | 教習生色々

場内教習。

派手目なギャルに慌ただしい運転を注意したら
「私って“おせっかち”なんですよー!」
って言って来たんで、思わずこっちもね、「おっ!?」ってなった。

うん。普通、せっかちになかなか「お」は付けないと思うし、ついでに言うとキミみたいなガサツな子は蕎麦にも大根にも伊勢参りにも「お」は付けないでいいと思うよ。
ってアドバイスしといたんですけど、これって余計なおせっかいですかね?

でも“おせっかち”って…なんか可愛い。
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