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博多駅前陥没事故から3ヵ月

2017-02-11 11:28:00 | 博多陥没

博多駅前陥没事故から3ヵ月。今年に入って、ようやく福岡市が事故の発生状況や施工経緯などの資料をホームページに公開した。それにあわせるかのように、新たな事実が報道されはじめた。以下に主な内容をまとめてみた。

まずは、トンネルを支える鋼材にかかる圧力が基準値を超えていたにもかかわらず、大成JVが市に報告していなかったというもの。事故前日の7日午後から圧力の異常な上昇が始まり、同午後6時頃、市への報告が義務付けられたレベル1を記録。8日午前1時頃、軽度の対策工事を要するレベル2、同1時半頃、工事停止が必要なレベル3に達していたが、市には報告せず工事は続けられ、陥没事故に至った。これは事故後、市がJVに要求した資料から判明したという。高島市長は先月24日の定例記者会見で、JVへのヒヤリングを行う考えを示していたが、先月末に実施されたようで、今月9日、ヒヤリング結果が公表された。それによると、現場員は7日午後7時半頃、定時観測で注意喚起が必要なレベル1に達したことを把握していたが、予測範囲内と考え、市には連絡しなかった。その後、計測値を確認しないまま9時間作業を続け、事故が発生した。超過の事実を知ったのは事故後だったという。これについて、交通局は「事故を未然に防ぐ機会を逸した可能性がある」と述べている。また、掘削後にトンネルに吹き付けるコンクリートにかかる圧力も、8日午前1時ごろに基準値を超過していたが、市への報告は事故後だった。(下図参照)

次に、トンネル天井部の岩盤を補強する鋼管(先受け鋼管)の一部を、事故前に切断していたというもの。昨年8月、市とJVは事故現場付近の岩盤の厚さ(岩かぶり)を2メートル程度確保するため、トンネル天井部の位置を1メートル下げるように設計変更。これに伴い、鋼管が重なる長さを伸ばし、薬液の密度を高めて岩盤を強化するように見直していた。ところが、陥没直前にJVが撮影した写真に、数本が切断され重なっていない状態の鋼管が写っていた。市が写真を調査してわかったという。(下写真参照)JV側は第三者委員会に「トンネル施工の支障になったため切断した」と説明している。さらに、岩かぶりが2メートルに達していない部分があったという報道もある。

 

事故から3ヵ月が過ぎ、当時の状況が明らかになってきたが、そもそもどうしてこれほど時間がかかるのか。事故直後、福岡市は情報公開を頑なに拒んでいた。公開できない理由を、第三者委員会で審議中だからと委員会を盾にして逃げていたが、市民や議会から批判を受け、態度を変えざるを得なくなった。事故から1ヶ月半のことだった。ヒヤリングの結果、大成JVに重大な過失があったことはよくわかったが、それでは市に問題はなかったのか。コスト削減のため、岩盤が脆いことを知りながらNATM工法を押し進めたのは市ではなかったのか。そのため現場は過酷な状況を強いられていたのでないのか。これらを封印し、大成JVを批判して終わらせることは許されないだろう。

ところで、第三者委員会はJVから聞き取りをしていながら、公開中の資料にはこれらに関することは一切掲載されていない。高島市長は事故直後、原因究明には客観性が必要だといい、第三者委員会に事故検証を丸投げした。これは工事を早期に再開させるための手段ではないか。平成32年度の開業は難しいといわれはじめているが、東京オリンピックには間に合わせたいとの思いがあるに違いない。

 

《追記 2017.2.13》

先程のNHK福岡ニュース。福岡市がボーリング調査など行って地質を詳しく調べたところ、より深い地層の土砂も流出していて、陥没で落下した土砂の規模が当初の想定より大きいことがわかった。このため福岡市は陥没のイメージ図を修正したと。確かに1月16日に公開された資料(P10)を見ると、いつの間にか新しい横断図が描かれている。(下図右)しかし、具体的な説明はない。相変わらず。

画像は陥没の規模 当初の想定より大  NHK福岡ニュースより

 


 

切断された先受け鋼管(1月16日公開:交通局資料より)

 

 

 

 トンネル施工時の計測データ(2月9日公開:交通局資料より)

 

 

  

  

 

《関連記事》

博多陥没兆候2回計測 JV、市に伝えず工事(西日本新聞 2017.1.25)

博多陥没:前日兆候 数値異常、施工業者報告せず(毎日新聞 2017.1.24)

トンネル補強の鋼管切断 JVが事故直前に 博多道路陥没一因の可能性も(西日本新聞 2017.2.9)

博多陥没 岩盤厚さ想定未満(読売新聞 2017.2.8)

コンクリ異常値も報告怠る、福岡 陥没直前、強度測定でJV(西日本新聞 2017.2.10)

異常値、推移確認せず JV工事中、停止レベルに 博多道路陥没(西日本新聞 2017.2.10)

博多陥没:防止機会、逸した恐れ JV聴取結果公表 (毎日新聞 2017.2.10)

 

《関連資料》

福岡市交通局。道路陥没事故前の計測データに関する施工業者へのヒアリング結果及びナトム大断面トンネルの施工における計測管理について

国立研究開発法人 土木研究所HP。福岡市地下鉄七隈線延伸工事現場における道路陥没に関する検討委員会


《参考》

荒木市議ブログ。地下鉄工事陥没事故から見える福岡市政の課題  

 

 

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