心臓が弱いのは生まれつきのもので、スクールに入学する直前まで病院暮らしをしていた。度々発作を起こすので、常に誰かがそばにいる必要があったのだ。
風夏をよく看ていてくれる看護婦がいて、幼い風夏は、いつも優しい笑顔を向けてくれる彼女を母親だと思い込んでいた。週に数度見舞いに来る父親とも親しげに話ていたものだからよけいである。風夏はその看護婦を「お母さん」ではなく「看護婦さん」と呼ばなければならない事を心底不思議に思っていた。
風夏の本当の母親は風夏を生んですぐに死んでいた。元々からだが弱く、出産は無謀とも言われていたが、それでも彼女は産んだ。風夏の心臓は彼女譲りだったのだろうか。
成長するにつれ風夏の体は改善され、副作用のないレベルの薬で発作を抑えられるようになると、とうとう退院ということになった。
風夏が初めて『自分の家』に帰ると、父と、例の看護婦が一緒だった。
驚く事に、彼女は本当に風夏の『お母さん』になってしまっていた。
風夏はその事を純粋に喜んだ。
父は「体に障るから」と、とにかく安静にしてるようによく言ったが、母は風夏の病気をよく理解しており、差しさわりのない範囲で沢山遊ばせてくれた。
増えた家族は母だけではなかった。
兄が出来た。
エリニア魔法大学校を次席で卒業し、駆け出し冒険者として各地を渡り歩いていた、誠実で優しい兄。
それが良牙だった。
風夏は、良牙が自分の父に似ていると思った。真面目で、人の事をよく気遣うが、少々融通が利かないところなどそっくりだった。
良牙はたまに家に帰ってくると風夏に冒険の話を聞かせてくれた。どこどこでこういう人たちとグループを組んでとあるダンジョンに潜った、あそこの強いモンスターに突然襲われて死に掛けた、ある有名な冒険者と会って自分の魔法の腕を褒められた。
風夏は退院してもあまり外へ出ることは出来なかったから良牙の土産話は風夏にとって極上の娯楽であった。
そんな訳であるから、風夏がいつしか冒険者に憧れ、また自分もなりたいと思うようになったのは全く仕方のないことであった。
良牙は新大陸での冒険のため長く家に帰れないことになった。風夏は寂しがったが、良牙もその時にはチーム「裸」の副将としての責任があったから行かないわけにはいかなかった。もっとも、風夏もその頃には体がかなり丈夫になり、スクールでの友達も増えていたから、決して我慢出来ないほどではなかった。
支馬と知り合ったのもその頃だ。
彼は冒険者を目指していて、ギルドの開く日曜セミナーによく参加していた。日曜セミナーでは、冒険者としての心構えや技術を教えてくれるのだが、風夏は支馬から聞いて初めてその存在を知った。
風夏は決意した。兄ちゃんが帰ってくるまでの間に冒険者としての訓練を積み、一人前の力をつけて驚かせてやろう。
セミナーで自分が魔法使いとしての適正がある事を知ると、風夏は必死で訓練を積んだ。
訓練は楽しかった。マナを理解して力ある物理力に変換する作業は、体の力のない風夏にとって快感ですらあった。また、少しでも強い魔法を使えるようになることで、兄に、近づける気がした。
風夏は決して筋のいい方ではなかったが、それでも歳の割にはいい魔法使いになりつつあった。
風夏はよく頑張った。だが、それは冒険者になりたいが為というよりは義兄に認めてもらいたいと言う思いのほうが強かった。
兄は優しかったが、しかし決して風夏を当たり前の子供とは見なかったのだ。体の弱い、保護してやらなくてはどうにかなってしまう、力のない子供。そう見られていた。風夏は、それが悲しかったのだ。
だから、良牙になんと言われようと、その力を、今の自分がただの病弱な少年ではないと言う事を、認めてほしかったのだ。
(僕はもうひ弱なもやしっ子なんかじゃ無いんだ。兄ちゃん)
しかし、少年は幾本ものチューブに繋がれ、白い部屋の寝台に横たわる。
「山は越えました」
後数時間で夜明けを迎える頃。
モニターから顔を上げ、交代で現れた3人目の医者が良牙に告げた。
風夏がここに運びこまれてから良牙はずっと付きっ切りだった。度々危険な状態に陥る風夏の容態に緊張の連続だったがこれでやっと息がつける。良牙は深く息を吐いた。
「暫らくすれば目を覚ますでしょう。ただ・・・」
医者の言葉が一瞬低くなり途切れるのに良牙が身を硬くする。
「ただ、オルビスにいる限り、あの少年の心臓には負担がかかり続けます。弟さんにはなるべく早くエリニアに帰らせたほうがよろしいでしょう」
良牙は傍らに置いた一枚の羽を手に取る。
翼人のものだ。支馬が置いていった。
「そうですね…。明日…いや、もう今日か。船が出ますから、それに乗せるつもりです」
医者は頷いて、
「ええ、そうなさるのがよろしい」
良牙は思案気に羽を弄んでいる。
風夏をよく看ていてくれる看護婦がいて、幼い風夏は、いつも優しい笑顔を向けてくれる彼女を母親だと思い込んでいた。週に数度見舞いに来る父親とも親しげに話ていたものだからよけいである。風夏はその看護婦を「お母さん」ではなく「看護婦さん」と呼ばなければならない事を心底不思議に思っていた。
風夏の本当の母親は風夏を生んですぐに死んでいた。元々からだが弱く、出産は無謀とも言われていたが、それでも彼女は産んだ。風夏の心臓は彼女譲りだったのだろうか。
成長するにつれ風夏の体は改善され、副作用のないレベルの薬で発作を抑えられるようになると、とうとう退院ということになった。
風夏が初めて『自分の家』に帰ると、父と、例の看護婦が一緒だった。
驚く事に、彼女は本当に風夏の『お母さん』になってしまっていた。
風夏はその事を純粋に喜んだ。
父は「体に障るから」と、とにかく安静にしてるようによく言ったが、母は風夏の病気をよく理解しており、差しさわりのない範囲で沢山遊ばせてくれた。
増えた家族は母だけではなかった。
兄が出来た。
エリニア魔法大学校を次席で卒業し、駆け出し冒険者として各地を渡り歩いていた、誠実で優しい兄。
それが良牙だった。
風夏は、良牙が自分の父に似ていると思った。真面目で、人の事をよく気遣うが、少々融通が利かないところなどそっくりだった。
良牙はたまに家に帰ってくると風夏に冒険の話を聞かせてくれた。どこどこでこういう人たちとグループを組んでとあるダンジョンに潜った、あそこの強いモンスターに突然襲われて死に掛けた、ある有名な冒険者と会って自分の魔法の腕を褒められた。
風夏は退院してもあまり外へ出ることは出来なかったから良牙の土産話は風夏にとって極上の娯楽であった。
そんな訳であるから、風夏がいつしか冒険者に憧れ、また自分もなりたいと思うようになったのは全く仕方のないことであった。
良牙は新大陸での冒険のため長く家に帰れないことになった。風夏は寂しがったが、良牙もその時にはチーム「裸」の副将としての責任があったから行かないわけにはいかなかった。もっとも、風夏もその頃には体がかなり丈夫になり、スクールでの友達も増えていたから、決して我慢出来ないほどではなかった。
支馬と知り合ったのもその頃だ。
彼は冒険者を目指していて、ギルドの開く日曜セミナーによく参加していた。日曜セミナーでは、冒険者としての心構えや技術を教えてくれるのだが、風夏は支馬から聞いて初めてその存在を知った。
風夏は決意した。兄ちゃんが帰ってくるまでの間に冒険者としての訓練を積み、一人前の力をつけて驚かせてやろう。
セミナーで自分が魔法使いとしての適正がある事を知ると、風夏は必死で訓練を積んだ。
訓練は楽しかった。マナを理解して力ある物理力に変換する作業は、体の力のない風夏にとって快感ですらあった。また、少しでも強い魔法を使えるようになることで、兄に、近づける気がした。
風夏は決して筋のいい方ではなかったが、それでも歳の割にはいい魔法使いになりつつあった。
風夏はよく頑張った。だが、それは冒険者になりたいが為というよりは義兄に認めてもらいたいと言う思いのほうが強かった。
兄は優しかったが、しかし決して風夏を当たり前の子供とは見なかったのだ。体の弱い、保護してやらなくてはどうにかなってしまう、力のない子供。そう見られていた。風夏は、それが悲しかったのだ。
だから、良牙になんと言われようと、その力を、今の自分がただの病弱な少年ではないと言う事を、認めてほしかったのだ。
(僕はもうひ弱なもやしっ子なんかじゃ無いんだ。兄ちゃん)
しかし、少年は幾本ものチューブに繋がれ、白い部屋の寝台に横たわる。
「山は越えました」
後数時間で夜明けを迎える頃。
モニターから顔を上げ、交代で現れた3人目の医者が良牙に告げた。
風夏がここに運びこまれてから良牙はずっと付きっ切りだった。度々危険な状態に陥る風夏の容態に緊張の連続だったがこれでやっと息がつける。良牙は深く息を吐いた。
「暫らくすれば目を覚ますでしょう。ただ・・・」
医者の言葉が一瞬低くなり途切れるのに良牙が身を硬くする。
「ただ、オルビスにいる限り、あの少年の心臓には負担がかかり続けます。弟さんにはなるべく早くエリニアに帰らせたほうがよろしいでしょう」
良牙は傍らに置いた一枚の羽を手に取る。
翼人のものだ。支馬が置いていった。
「そうですね…。明日…いや、もう今日か。船が出ますから、それに乗せるつもりです」
医者は頷いて、
「ええ、そうなさるのがよろしい」
良牙は思案気に羽を弄んでいる。











【Q1】次のメニューにかける調味料(薬味は含みません)
・目玉焼き
・納豆
・冷奴
・餃子
・カレーライス
・ナポリタン
・ピザ
・生キャベツ
・トマト
・サラダ
・カキフライ
・メンチカツ
・コロッケ
・天ぷら
・とんかつ
・ご飯(おかずの無い時)
【Q2】周囲に意外だと驚かれる、好きな組み合わせ
【Q3】それが一般的だとは知っているが、苦手な組み合わせ
【Q4】バトンをまわしたい5名
ここは見事にスルーさせてもらうぜー。
フォーーーーーーー!!