「勘竹庵」evnc_chckの音楽やそれ以外

音楽の話題が中心になるかもしれませんが日々の雑感など書いていけたらと思っています。

モード・ジャズを意識した新曲の解説

2008-08-30 00:13:13 | 音楽(DTM)

このブログで少しモードについて書いていたら無性にモードを使ったジャズが創りたくなりました。
曲の方はいつものとおりE-Windさんで公開させていただいておりますが、自身の備忘録も含めて解説を書かせていただきます。

編成はシンプルなワン・ホーン編成
テナー・サックス
ピアノ
ベース
ドラムス
です。
冒頭テーマはDのドリアン・モードで組立てたメロディです。そこにビル・エヴァンスから現在のチック・コリアやハービー・ハンコックまで連綿と続く、いかにも新主流派風のハーモナイズがくっつけてあります。
複雑そうに聴こえますが基本はDを中心にしておりますので、アドリブも実はドリアンにところどころで経過音が入るだけなんですけどね。まぁ新主流派なんて大なり小なりそんなもんです
言葉ではわかりにくいので冒頭部分だけせっかくなんで楽譜を掲載します。私の愛用シーケンサ「SingerSongWriter」のスコア・モードの画面をキャプチャしました。シーケンサのインターフェイスなんできっちりとした楽譜ではありませんが、ご参考までに。

使用音源はSonicCellに拡張ボードの「SRX-03」「SRX-11」を追加しています。
以下に使用した音色です。オケ曲と違ってトラックは編成の数しかありません。
(ピアノは大譜表では無く右手、左手で2トラック使用しています。私はピアノはいつも2~4トラック使って創ります。)

テナー・サックス:SonicCellプリセット
ピアノ:SRX-11 Superb Grand
ベース:SRX-03 Upright Pizz
ドラムス:SRX-03 Studio1Kit

今回はドラムのソロを入れていますが音源をSC-88ProからSonicCellに変更して、こういった純粋にドラムスだけになるソロは初めてでしたので、ベロの加減が難しくて少し苦労しました。SRX-03にはドラム・セットが全部で9種類入っています。SonicCellのプリセットと合わせると20は超えると思うのですが、結局、midiで打ち込んだ結果が一番うまく反映されたセットを使うことになりました。もう少しセットごとのベロの具合が把握できないと思っていたようなサウンドにはなりません。精進あるのみです。

ベースはプリセットの音でもかなりらしくていいのですが、このSRX-03に収録されているUpright Pizzと言う音色は、単独で聴くとブツブツと途切れたような音で少ししょぼいイメージがあります。
ところがベロを高く設定してミックスで前に出してやると、弦を弾いたようなノイズが混じってなかなかごきげんな音です。これは気に入りました。

ピアノはSRX-11と言う拡張ボードを使っています。これは「COMPLETE PIANO」と言う商品名のとおりピアノだけという贅沢なサンプル音源です。合成したピアノの音は妙に煌びやかでアンサンブルにすると逆にチャラチャラしがちですが、このボードの音は単独だと少し落ち着きすぎに聴こえます。それがむしろ渋く響きリアルに感じるものです。42音色もあり迷いますが、今回は1960年代の録音のような音を意識してSuperb Grandという音を選びました。

4ビートの裏拍の調整は結構気を使った部分ですが、スィング・ジャズとか初期のバップのような「チータッタ、チータッタ」より、ハードバップ以降のイコールタイムに近いもの(と私は理解していますがリズムは全然ヘボなんで・・・)を意識しています。

タイトルの「No longer matters」は訳すと「もはや問題では無い」と言った意味ですが、くだけて言うと「もうどうでもいいよ」。「モードでもいいよ」です。
はいはい、そこ!寒がらない。

「No longer matters」by evnc_chck


夏の思い出(大昔のね)

2008-08-28 00:12:16 | 音楽(ジャズ)
このところ涼しい夜も見られ夏の終わりを告げる「つくつくほうし」の鳴き声も聞かれます。

夏と言えばもう何年も前の話ですが現在はすでに閉園してしまった「宝塚ファミリーランド」で夏に「ジャズフェスティバル」が開催されていました。

1980年代にアコースティック・ジャズのブームがあったのですが、ジャズ、フュージョン系のバンドもプロ・アマ両方で活発な活動をしていました。オーディオ関係を始めとした多くの企業のCMでも「ナベサダ」さんを筆頭に「渡辺香津美」さんや「日野皓正」さんなどが役者やモデルのような雰囲気で出演され、「東京ユニオン」などのビッグ・バンドのコンサートはTVでオンエアされ会場も満員で、高校生が普通にフュージョンを口ずさんでいる。など現在(2008年)から見ると日本の音楽シーンの構成がかなり今とは違っていたと思います。

そんな中で関東を拠点に事業をされている「山野楽器」が今も続く歴史のある「山野ビッグバンドコンテスト」を開催され、毎年、全国の学生ビッグバンドが集合して覇を競っていたのでした。でそれに対抗しようとしたわけでも無いのでしょうが先に述べたとおり「宝塚ファミリーランド」で、その名も「宝塚ジャズフェスティバル 学生ビッグバンドコンテスト」が開催されたのです。
私はとある事情で第四回と第五回のフェスティバルを聴く機会がありました。因みに第六回は資金難だかで無かったために開催されなかったような記憶が・・・このあたり曖昧ですがどなたかご存知でしたら教えていただきたいです。

で個人的には第五回が非常に印象が強いのですがその理由はこの回の優勝バンドの賞品として、当時、人気のあったトランペッター(実際はコルネット吹きですが)の「日野皓正」さんとの共演が用意されてたんです。でしかも上位3位の演奏はFMラジオでオンエアもされるという特典もありました。

優勝は同志社大学の「ザ・サード・ハード・オーケストラ」でした。ついでにベスト・ドラマーとベスト・ピアニストとベスト・ギタリストも同志社の方だったように記憶しています。正直「他にいねぇんだよな」と言った雰囲気はありましたけど。
ちなみに京都産業大学はどこから連れて来たのかヴァイブを弾くお姉さんが参加されていて、確かベイシーの「リル・ダーリン」で何か涼しくなるオブリを弾きまくり「審査員特別賞」だかをもらっていたような。「あ!ずるい」と思ったけど・・・。
あと関西大学が演奏した「夜は千の目を持つ」はサンバ・アレンジでかっこよかったです。テナーのソロを吹きまくっていた方は賞を取られ、その後も時々ライブハウスのセッションなどに参加されておられ「あの人、ヨルセンのソロやった人だよ・・・。」と学生たちの間でささやき声がしていました。
確かプロになられたはずです(ネットで調べると恐らくわかると思います)。
関西大学のピアニストはバッキングがかっこよかったので「おお」と思って聴いていましたが、ソロになったら正直リズムが弱くて・・・。審査員の評価でもそんなことを言われていたように記憶してます。多分、バックをきちっとキメることに重点を置いた方だったんでしょうね。

優勝した同志社大学は今はどうか存じませんが例によってフュージョンを演奏しました。ウェザー・リポートの「サイト・シーイング」をOBの方がビッグバンド・アレンジしたもので、前面にドラム・ソロを打ち出したアレンジでした。他にジェフ・ベックの「ワイアード」に収録されていた「レッド・ブーツ」のアレンジ版も演奏(されたと思いますがひょっとしたら別のステージでだったかも・・・)されました。これもドラムスが叩きまくる曲(元曲もナラダ・マイケル・ウォルデンが叩きまくるので)でした。担当されたドラマさんは左利きでしたので同志社の番がくるとドラム・セットの配置替えで20分くらい間が空くという少し迷惑なことになっていました(笑。
前述のとおり優勝した同志社大学と「日野皓正」さんとの共演は、早い話が「サイト・シーイング」の途中のピアノ・ソロの部分を「日野皓正」さんのソロにしただけなんですが、もし本格的なベイシーとかの古いスィングだったら「日野皓正」さんはどうしてたんだろう?やっぱりあのモード・バリバリと言うかハイノートでトリル鳴らすのしか印象の無いソロでもってったんだろうか?考えると笑ったものです。

このころから老舗のキャバレーがつぶれたりして、活動の場が減ったプロのビッグ・バンドは今はあまり元気がありませんが、学生や社会人の趣味としてのビッグ・バンドは今やクラシックのオケに肩を並べるぐらいの音楽的地位にあると思います。

モード・ジャズと一口に言っても・・・(1)

2008-08-25 23:11:16 | 音楽(ジャズ)

社会人になり相当の年月が経ちました。学生時代はジャズを中心に当時は全盛であったフュージョンやファンク(と言いますか当時はブラコンと呼んでいました)をバンドで演奏していましたが、社会人になってからはすっかり離れてしまいもっぱらCDで名盤と言われるジャズの、それもバップ期の演奏やクラシックを鑑賞する程度の生活でした。
久々にコンテンポラリーなジャズがどうなっているのかいろいろ調べると、1980年代から90年代にかけて復古的にアコースティック・ジャズがブームとなり、マルサリス兄弟などが「新伝承派」として活躍していたのも今は昔。ジャズはHipHopの一要素としてよくはわかりませんがAcidJazzとかRareGrooveと言われる音楽になっているようです。
そして所謂正統的なジャズの愛好家は「ジャズの歴史は終わった」と語っているのでした。
ジャズの歴史が終焉しているのか現在進行形なのかは、感覚的な部分や単に好き嫌いの問題もあるので今回の本旨とはいたしませんが、バップ期に明確にその存在感を示し一時代を築いたジャズは、1960年はじめから多様化し複雑化したように感じます。
なにがあったのでしょう?

最近、知り合いから「毎回の文章が長くて読む気力が出ない」と言われてしまいました。できるだけ読みやすくするため続きは次回とさせてください。

今回の文章のためにモード・ジャズについて考える機会があり、いろんなCDを聴いたりしているうちに自分でもジャズのコンボが創りたくなってしまいました。
よろしければ聴いていただけるとうれしいです。

「No longer matters」 by evnc_chck


恐竜コミックの傑作「臥竜 化石の記憶」

2008-08-24 00:31:31 | 古生物
「岸大武朗」の「恐竜大紀行」は恐竜をテーマにした早すぎた名作と言われていますが、私がもう一つ傑作と思う作品が「森秀樹」の「臥竜 化石の記憶」です。

森秀樹さんを私は良くは存じ上げないのですが「子連れ狼」などを描かれている、所謂「劇画」の世界の方らしく、なるほど確かに「臥竜 化石の記憶」は素人目にもきちっとした筆致でいてどことなく日本的な情念と柔らかさが感じられる絵です。
内容は「化石の記憶」の副題のとおり恐竜の化石の産状をモティーフに、そこに至ったかもしれないエピソードを作者の想像から描いたもので、有名な産状の化石がいくつか出てくるので知ってる人間には堪らないおもしろさです。
例えば

・ステゴサウルスの背中の板がバラバラで発掘されるのは何故か?
(そのせいでこの背中の板の復元は諸説があるんですが)
・モンゴルで発見されたオビラプトルが卵泥棒と呼ばれるのは?
(最近では自分の卵を守っていたというのが主流ですが・・・でもやはりオビラプトルは卵泥棒であって欲しいですね)
・モンゴルで発見されたプロトケラトプスとヴェロキラプトルの格闘化石(通称モンゴリアン・ファイトですね)の背景
(これは泣けます!化石のレプリカは福井県立恐竜博物館のHPでご確認を)

などなど。それが迫力と柔らかさを兼ね備えた画力で表現されて飽きさせません。もっと評価されてもいいと思うのですがネットで検索してもヒットすらなかなかしないという扱いです。

ただし江戸時代だかに日本人の坊やが中国に恐竜(物語の中では龍と呼ばれてますが)の骨を探しに行くエピソードは、ラストシーンで「だから何?」と思ってしまう少し評価に困る作品です。ほぼ完璧に関節したタルボサウルスの化石がむき出しになっている産状も、映画「ジュラシック・パーク」の冒頭の化石発掘現場を思わせる大笑いぶりです。余談ですが「マイアサウラ」の子育て説で有名なジャック・ホーナーがアドバイザーを努めた映画「ジュラシック・パーク」は、古生物学者を集めてプレミア試写会をしたそうですが、その冒頭でサム・ニール扮する古生物学者が作業中の発掘現場の場面で、レリーフのような化石の産状が画面に現れたとたんに会場から爆笑が起こったそうです(笑。

恐竜が好き!と言う方は是非、一度お読みいただくといいかも。古本でなら入手は比較的楽では無いかと思います。多分・・・。

たまには日常の雑感を

2008-08-21 22:17:52 | Weblog
知り合いにブログを見てもらったら「小難しいことがだらだらと書いてあるだけで、普通のブログは日常のことを自分の言葉で書くもの。日記みたいなもんだ」と言われてしまいました。
別にことさら小難しくしているわけでは無いのですが、確かに街中でみかけたこと、とか自分の身の回りでのちょっとしたトピックスに対する自己の主張が少ないかな?(そんなの読みたいですか?と逆に問いたい・・・。)

次男が鶏肉にあたって下痢、嘔吐、発熱がひどいのであわてて病院に連れて行きました。もう夜間だったので救急情報センターからの紹介で行った病院で、他にも小さなお子さんを連れた親が心配そうに診察を待っていました。

で自分の子供が診察を受けている隣の診察室の声が聞こえてきます。

医者「・・・で焼肉を食べている間はお子さんは寝ておられたんですね?」
(どうやらはいはいができるようになった乳飲み子を連れて、夫婦とその友人たちで焼肉を食いに行ったようです)
母「はい・・・。最初は座布団で寝てたんですが・・・そのうち起きたみたいで・・・」
(かなり若そうな消え入りそうな声。しかしもう夜中の10時ですがそんな時間に「乳飲み子連れて焼肉」に問題がありそうな・・・)
医者「起きてどれぐらい経ってたんですか?」
母「わかりません・・・。」
医者「で気が付いたらタバコの吸殻で遊んでいた?」
母「はい・・・。」
父「火はついてなかったんですが捨てたはずの吸殻が何か足りない気がするんで・・・口の中に入れちゃったんじゃないかと・・」

ドッピョー!えらいこってすがね。
どうやら乳飲み子が寝ているのをいいことにみなでワイワイ談笑しているうちに、目覚めた赤ちゃんが灰皿の吸殻を食べちゃったようなのです。こう言う類の親を時々耳にはしますが実物を目前にするのは初めてです。

タバコを食べてしまってニコチン中毒を起こす赤ちゃんは多いそうです。ただ胃の中に吸殻の状態で入ると胃酸によってニコチンが溶け出しにくくなり、その分で吸収も遅くなるそうですが、赤ちゃんの場合はタバコ1本程度で死亡に到る場合もあるそうです。
ニコチンの中毒症状として嘔吐を起こすためそれ自体でタバコとニコチンを自然に吐き出してしまうことも多く、特に重い症状が無ければ治療そのものが必要無いこともあるそうです。
その目安は飲み込んでから1時間程度で痙攣、意識障害、呼吸麻痺など重い症状が出れば胃洗浄や下剤の投与。
4時間経過しても特に症状が無ければ治療は不要。
と言うことで医者としても判断がつきかねるようで「症状が重ければ胃洗浄も・・・」とか話す声が聞こえました。

しかし赤ちゃんを症状が出るまで観察してもし症状が出始めたら大変です。痙攣したり呼吸麻痺を起こしている赤ちゃんを目にして冷静でいられますか?
かと言ってどの程度タバコを食べたのかもわからない時点で胃洗浄や下剤の投与もできません。胃洗浄ってめちゃくちゃ苦しいらしいですしね。下剤は猛烈な腹痛が伴いますし。

待合に出ると何も知らず手足をばたつかせてじゃれる赤ちゃんを抱きしめ、
「ごめんね。ごめんね」
と泣き崩れる茶色の髪もあざやかな色黒で何かで描いたように大きな目の母親と、はだけたアロハに首にかけた金の鎖が目にまぶしいカチューシャをした長髪で色黒の父親の姿が目に入りました。
(いや、ホントそういう親だったんだってば。作ってません。)

赤ちゃんの無事と育児に伴う親の責任を再認識してくれることを祈念した私でした。

ジャズの和声と旋法(6)

2008-08-18 00:03:04 | 音楽(ジャズ)
Jazzのスタイルの変遷を特に和声、旋法の面から説明させていただきました。このシリーズも今回で最終回にさせていただきたいと思います。

最後に今、多くの方々が例えばJ-Popなんかを聴いて、そこにJazzっぽいアレンジがされていたとします。Jazzっぽいと感じるイメージの殆どが先に述べたハード・バップの手法です。「新ルパンⅢ世」のJazzっぽい挿入曲を聴いて、Jazzが好きになった人もおられるんじゃないかと思いますが、音楽を担当した大野雄二もバップの手法が多いですね。

また今のJazzの理論は「リディアン・クロマティック・コンセプト」というのが主流らしいです。あまり勉強していないので詳しくは説明 できないのですが、いろいろ調べる範囲ではバップもモードも対位法も、このセオリーで説明ができてしまいそうな考えです。最も親和性の高いリディアン・モードを選択して、旋律を含めた音列を検証するんですから、反則っぽい気もしますがとにかく勉強していないので、あまりえらそうなことは言えません。すいません。

こうして順を追ってまとめるとアメリカのバークレーが、高い授業料を取って教えている理論は(プッ)、戦後からたかだか30年くらいで一気に生み出されたものを、奇特な人が後から理論付けたものだなぁ。と思います。逆にたった30年くらいの間にバロックから近代までを包含する形で、独自のセオリーを構築していった多くのジャズ・マンと、それを受け入れた時代に目がくらむような驚きを感じます。

長々と失礼しました。
このレポートは私見によるものも多いので、頭から納得してはいただけない部分もあるかと思いますが、何かの参考になるとうれしいです 。

恐竜コミックの傑作「恐竜大紀行」

2008-08-16 00:12:28 | 古生物

1990年代は恐竜ブームだったそうです。
実際は1964年にジョン・オストロムが自身が発見した「ディノニクス」を分析し、「恐竜温血動物説」を提唱したあたりから所謂「恐竜ルネサンス」が起こり、それ以前から恐竜好きであった人間の間では賛否両論、活発に行動することを前提にやじろべえのような姿に復元されたティラノや、羽毛のはえた姿で復元されたディノニクスは違和感がありながらもインパクトがあり、とにもかくにも恐竜が面白い時代は1990年代ブーム以前から沸き起こってはいました。1980年代には模型の世界で「ガレージ・キット」がブームとなり、今も第一人者である「荒木一成」氏によるリアルな恐竜のモデルが、模型専門誌などに掲載されたことも恐竜ブームへの布石になったと思います。

さてそんな頃に「週間少年ジャンプ」に連載されたコミック「岸大武朗」の「恐竜大紀行」というのがありました。1988年に連載されたのですがそんな最近だったっけ?という気がします。少しでも「ダメ」とされると有無を言わせず打ち切り、後から後から新連載が始まる「ジャンプ」の中で12回しか連載されなかったために何か随分昔の作品と思ってしまいます。
いずれにしてもそれぐらい伝説のコミックというイメージがです。
3年くらい前にも復刊されしかも新エピソード追加でしたのでファンは多いと思うのですが、なにしろもう2、3年後に連載されてりゃなぁ・・・。とよく言われる「早過ぎた名作」ですね。
ちなみにこの復刊に際しかの鳥山明が推薦文と言うか序文と言うかなんか書いておられるんですが、誉めてんのかどうなのかよくわからない文章です。ちゃんと読んでんのか?

この後にスピルバーグが「ジュラシック・パーク」を公開し恐竜ブームが確実に起こったわけですが、この「恐竜大紀行」はあくまで恐竜の視点で描かれた作品ですから、人間から見て「でかくて、凶暴で現代に生きていなくて良かったぁ」的生物として恐竜を描いている「ジュラシック・パーク」とは全然違います。むしろ「恐竜大紀行」はBBSが制作した「Walking with Dinosaurs」のコンセプトの元ネタでは無いかと想像しています。
恐竜が会話したりそもそも妙に理知的な思考をするなど、爬虫類の仲間にどこまでそんなことができたかと考えると少々笑えますが、「生きることの厳しさ」を恐竜視点で描くアイディアと、当時は最新の古生物の学説をうまく取り入れている技術などやはり個性的で良質な作品だと思います。

恐竜大紀行 完全版 (コミック)

実はもう一つ私が恐竜コミックの傑作と考える作品がありますが、長くなるのでまた次回にさせてください。


観終わると陰鬱な気分になる映画第一弾「死霊の罠」

2008-08-14 00:06:47 | 映画

と言う事でほぼ100%みなさんが目をそむけるくだらなくて陰鬱な映画を時々思いついたらご紹介します。

「死霊の罠」

得体の知れない連続殺人鬼に理不尽に殺される恐怖を描いたよくあるシテュエーションなんですが、邦画ということで選択しました。ちなみに「佐野史郎」が怪演する続編もありますが全然続編じゃないです(笑。

ある放送局のキャスターの元に送りつけられてきたビデオ。内容は縛りつけた女性の眼球に刃物を突き立て殺す。所謂スナッフビデオです。
撮影された場所をつきとめ(「やめときゃいいのに」感をただよわせながら)取材に行くキャスター一行。そこは使われなくなった軍施設。(「やめときゃいいのに」感をただよわせながら)少人数に分かれて探索を始め、あとはだいたいこちらの予想したとおりの順番で殺されていくご一行様方です。

「罠」と言うタイトルだけあって主人公は結局おびきよせられただけというプロットは結構楽しい。キャスターご一行様の殺され方も「そんなに時間かけちゃ見つかるよ・・・」というこちらの老婆心など何のその。じっくりギミックたっぷりにいたぶり殺します。首にワイヤをからませ引っ張り上げ自動車の屋根を一回通り過ぎて後頭部から地面にドスッ。とか柱に縛っておき誰かがドアをあけるとトラップが起動して刀が側頭部にグサッ。とか。当時、全盛であった特殊メイクもこれでもかと導入しており「13金」や「エルム街」に負けない映画を!と言う気概は十分感じられます。
ただ正直それだけなんっすよね。淡々として盛り上がりにかけおきまりのヒロイン一人が殺人鬼に追われるシーンもハラハラドキドキが無いです。

こんなうさんくさい取材を計画して他人を巻き込んでおきながらイケイケ感ゼロで、終始悲壮な表情のキャスター役の「小野みゆき」の演技が正直暑苦しいのと、AVを堂々と観る機会が皆無な年頃だった私には少しうれしかった「小林ひとみ」の絡み(今思えば短いし必然性にかけるし大したことも無いしよく見ると結構ブ○イクだけど)が印象に残るぐらいかな。
途中、いかにも怪しげに出てくる「本間優二」扮する謎の男が最後まで怪しいのは捻りが無いです。
しかし本間優二って「狂った果実」や「とりたての輝き」での、醒めてふてくされてような演技のまんまですけどあの演技以外は基本的に無い人なのかしら?嫌いな役者じゃ無いんだけど最近あんまし見ないですね・・・。

ZABADAKの音楽がもろゴブリンなのは大きくつっこみたい気持ちをおさえてスルーしないと大人気ないのですね。

あ、少しは誉めないとね(笑。

全体に極彩色の映像は「ダリオ・アルジェント」か「ミケーレ・ソアビ」のようで美しいです。そっち方面的にはですが。殺人鬼の居住区と言うかラスト近くに出てくる医務室のような部屋で、海底のプランクトンのようにキラキラした塵状のものが降るシーンなど「アクエリアス」の一場面を思い出します。映像美をうたっておきながらヒッキーがうたうだけのクソ映画「キャシャーン」に爪の垢でも煎じて呑ませたいです。なんだあの映画・・・ホントに。カネ返せよ!衛星で観たんだけど・・・。

死霊の罠(1988) - goo 映画


ジャズの和声と旋法(5)

2008-08-11 00:04:05 | 音楽(ジャズ)

・そしてJazzは幕を閉じる・・・

モードまで行き着いたマイルスが、より自由に自己のフレーズを表現したい(結構、ぼっちゃん育ちだったらしいですし、ステージでも自分が終わりたいときがエンディングだ!といった態度ですし、一歩間違えればジャイアンのリサイタルですよね)、と考えたものの、コールマンのフリー・ジャズを批判してしまった手前、そこには踏み込めない。で、マイルスの選択はジャズ・ファンの心胆寒からしめるもの でした。トーナリティーを明確にするものは取っちゃえ!リズムもトニー・ウィリアムス以外が叩く4beatではノロくさい!もっとスピード感が必要だ!で結論がロックのミュージシャンを連れてくる。というものでした。(かなりは私の想像であることを了解ください。)
「bitches brew」というアルバムは私ですらどう評価していいのか?ジョン・マクラフリンのロックのようなリフに、マイルスのペットがかぶさり、ピアノはオルガンとエレピに変わり、ドラムスはレニー・ホワイトやジャック・ディジョネットといった、その後はFusionで活躍する人間が、8beatやまだ確立途中の16beatのようなパターンを叩く。もうJazzなのかロックなのか・・・あぁそうか、Fusionか・・・ (いや、それはダメだろ、それは 笑)。

マイルス・デイビス ビッチェズ・ブリュー+1 - goo 音楽

1980年に入って一時、アコースティック・ジャズのブームがありました。このころは毎年、チック・コリアやハービー・ハンコックが若いジャズ・マンを引き連れて、日本に出稼ぎに来てました。ハービーがサンタナと競演したり、フラメンコのパコ・デ・ルシアがJazzのフェスティバルに出演したり、これはこれで何がしたいのかわからないこともありましたが、夏になるとFMラジオのエアチェックに余念が無かった時代でした。
演奏された曲や雰囲気はハードハード・バップからモードまでのスタイルで、このまま更にJazzは進化していくのか?という期待も私にはありました。しかし再起したマイルスが自身の70年代のスタイルを踏襲し、宝焼酎のCMでなんか吹いてるのを見た段階で、「やっぱり幕引きだな 。今までありがとうございました。」としみじみ思いました。

長々と素人考えを綴ってきましたがこの話題も次回で最終回とさせてください。
「ジャズは歴史を終えた」と言う人がおられます。確かに現在進行形のジャズはHipHopとの融合をし一つのジャンルを成し遂げつつあるように感じます。そのあたりも含めて感じる私見を述べさせていただきます。


ジャズの和声と旋法(4)

2008-08-09 02:00:43 | 音楽(ジャズ)

前回はハードバップ時代の和声の特徴を述べました。
今回はジャズのある意味で最終形とも言えるモードについて説明いたします。

・モード・ジャズ時代(だいたい1950年代後半から現代(も多分、現役の理論・・・?))
時代を代表するピアニスト
チック・コリア、ハービー・ハンコック、マッコイ・タイナー、ビル・エヴァンス


ハード・バップの特徴は「ラフマニノフかい!」と突っ込みたくなるほどに、経過音やらテンションを混ぜた複雑なコード・アレンジの上に、コンディミ、オルタネ総動員の一大インプロ合戦にありました。
そうなるとクラシックもはだしで逃げ出す、徹底したスケール、フレーズの練習が威力を発揮するのですが、逆に誰がやっても同じじゃないか?という考えを、一部の先進的なジャズ・マンは(マイルス・デイヴィスとギル・エヴァンス、あとエリック・ドルフィーなんかも)は考えました。
そこでエリック・ドルフィーやオーネット・コールマンのような、現代音楽を研究したジャズ・マンは所謂「フリー・ジャズ」の世界を提示して見せたわけです。しかし私はこちらの世界には入れません。そもそも「アヴァンギャルドな現代音楽」が嫌いです。ハッキリ。1970年代から80年代始めころの山下洋輔や坂田明も、友人達は面白がっていましたが、それはパフォーマンスとしての楽しみ方だったように思います。
すいません。長いですね。
対してマイルス・デイヴィスが「コードの上に最適なスケールをいくつか選択し、その組み合わせでアドリブをする」、というバップの図式に限界を感じ(たんだと思いますが。正直、コルトレーンみたいなテクニシャンでは無いですしね。)、「じゃあそもそも曲の全体、あるいは一部(テーマだけ、とかサビだけとか)を支配するモードを把握して、その範囲でアドリブすればスケールを意識しなくてもいいし 、なんかメロディアスで、バップのハノンみたいなソロよりかっこいいじゃん」と、そこまで考えたかはわかりませんが、とにかくコード&スケール、からトーナリティー&モードに考え方を切り替えました。
彼の「Milestone」という曲はモード・ジャズの先駆的作品という位置付けですが、実験色が強くモードもミクソリディアンだけっぽい、 少なくともバックのメンバーはまだわかってないなぁ・・・。という印象です。キャノンボール・アダレイなんかは完全にバップノリですし。モードの究極はハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスがバックに在籍していた時代の、「マイルス・バンド」にとどめをさすと思います。コルトレーン?え?フリーじゃないの?(って、ヲイ)。
モードになるとピアノのバッキングは定義しようがありません。マイルスと組んでいたハービー・ハンコックやチック・コリアは、所謂「 フローティング・コード」と言われる4度や5度を強調した音使い。対してコルトレーンと組んでいたマッコイ・タイナーは、普通に3度で積み上げた7thコードを、クラシック・ファンが青ざめるような平行移動でバキバキと弾いています。

モードのピアノを聴くならお薦めは、チック・コリアの1stリーダー・アルバムにして最高傑作の「Now He Sings,Now He Sobs」です。
中学生のときにこのアルバムを聴いた衝撃は忘れません。ヨレヨレのジャンパーを着て、げっそり痩せた(涙)若きチック・コリアのポートレイトには、「モーツァルトやベートーヴェン(のクラヴィア曲や室内楽曲)より、すごいものを聴かせちゃる!」という気概が感じ取れます。

チック・コリア ナウ・ヒー・シングス、ナウ・ヒー・ソブス+8 - goo 音楽

モードに行き着いたジャズが次に進化したものは?和声的なある種の解放を成し遂げたジャズの理論は?そのあたりを次の回でお話したいと思います。