BSE&食と感染症 つぶやきブログ

食品安全委員会などの傍聴&企業・学者・メディア他、の観察と危機管理を考えるブログ by Mariko

狂鹿病問題:鹿ハンターからヤコブ病26名発生 そして鹿肉骨粉や油脂・エキスの行方は?

2005年10月29日 13時38分49秒 | アメリカ牛は安全か?
■狂鹿病問題:鹿ハンターからヤコブ病26名発生

狂鹿病に感染した鹿の写真
http://www.cwd-info.org/index.php/fuseaction/resources.photos

10月24日の食品安全委員会で、北本哲之委員がこう発言しました。
「北米ではCWD(狂鹿病)が大発生、大・大問題となっていて、
WHOが、鹿ハンターから20名のヤコブ病が出ていることを気にしている」


え?そんな話知らなかったよ?
私の聞いていたのは3人の若い鹿ハンターがヤコブ病になった話だけだよー
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/d9bc601c93d87c6fd55d014bd215be5d
とびっくりしていたら情報を頂戴しました。

2004年11月時点で、「鹿ハンター」から26人のヤコブ病患者が出ているという情報です。
http://www.cjdsurveillance.com/abouthpd-animal.html
・・・・米国の鹿ハンター人口は確認中ですが、ヤコブ病は100万人に一人の病気と
されているのに、変な感じですね。上記は結局「弧発性、家族性」と片付けられて
しまったようですが、そもそもCWDとBSEとは病状が異なりますし、

英国型の狂牛病(BSE)とは病状が違う、弧発性に似た症状の
BASE(Bovine Amyloidotic Spongiform Encephalopathy 牛アミロイド型海綿状脳症)も存在します。
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi

<BASE参考サイト>
イタリアで新型BSE二例、人間の孤発型CJDに似る―新研究
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04021701.htm

そのような中、鹿のCWDの霊長類への伝達に関する新論文が今月出ました。
the Journal of Virology 2005年11月号
http://jvi.asm.org/cgi/content/abstract/79/21/13794
http://www.vegsource.com/talk/madcow/messages/1000187.html
http://www.vegsource.com/talk/madcow/index.html
病状はどんなだったのでしょうか。

■参考:米国のヤコブ病発生件数表

The National Prion Disease Pathology Surveillance Centerの表ですが、
米国で2005年9月までに47名のプリオン病患者の診断がまだペンディング中
のようです。解剖件数と結果が気になります。
http://www.cjdsurveillance.com/resources-casereport.html
これは報告された分ですが、まだ州の半分に報告義務がないと聞いています。
BSEとは違う病状のBASEという感染型プリオン病が心配になってきましたが・・・・


■「鹿の肉骨粉」は今どうなってるの?レンダリングで牛にまわってない?肉エキスや油脂の行方は?

米国の州によっては2割が感染しているといわれる狂鹿病ですが、
鹿の肉骨粉や油脂(骨油)、肉エキスはどうなっているのでしょうか? 
一応、反芻動物には与えないように、とするFDAの指示は出ているようですが、現実は?
なにせ、牛に与えられる100万トン鶏糞の3割が肉骨粉、とFDA要人が見積り、
(当然鳥類に与えられたものですから反芻動物規制なしの肉骨粉でそ)、
SRM由来の32万トンの肉骨粉・牛脂、死亡動物から25万トンの肉骨粉・牛脂が
家畜飼料に回っている米国ですから、薄ら寒くなって参りました。
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/c35a71a82981c6c137518f281eb161c0

それらを指摘した国会のBSE質疑ビデオ。24日の審議会で食安委はこれら指摘を無視しました。
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/26465737f0866b47c55ab28b7c393d2c

鳥取大学籠田勝基教授の日本語解説によると(2001年11月更新)
http://www.yezodeer.com/cwd/cwdreport.html
http://www.yezodeer.com/cwd/cwd.html
鹿→牛は脳内接種で感染しています。
他の情報源(英文)
http://www.avma.org/communications/brochures/cwd/cwd_faq.asp
http://www.cdc.gov/ncidod/EID/vol10no6/03-1082.htm#21

※CWDの起源は不明、しかし、以前、ハンティング用に美しい骨格の鹿を作る
 ために、肉骨粉による餌付けをしていたという情報もあります。
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/d9bc601c93d87c6fd55d014bd215be5d

■鹿のレンダリング混入規制に関する動きと、飼料違反情報

★FDAの反芻動物に関する飼料違反企業への警告文書
”Animal Proteins Prohibited in Ruminant Feed”という言葉に注目
http://www.accessdata.fda.gov/scripts/wlcfm/subject.cfm?FL=A
http://www.accessdata.fda.gov/scripts/wlcfm/subject_archive.cfm?FL=A
http://www.accessdata.fda.gov/scripts/wlcfm/sindex.cfm

★交通事故で死んだ鹿からCWDが結構でたという論文
RELATIVE VULNERABILITY OF CHRONIC WASTING DISEASE INFECTED MULE DEER TO VEHICLE COLLISIONS
Caroline E. Krumm1,2, Mary M. Conner3 and Michael W. Miller1,4
http://www.jwildlifedis.org/cgi/content/abstract/41/3/503?maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=prion&searchid=1129911605108_210&stored_search=&FIRSTINDEX=0&volume=41&issue=3&journalcode=wildlifedis
Journal of Wildlife Diseases, 41(3), 2005, pp. 503-511
© Wildlife Disease Association 2005

★交通事故で死んだ鹿がレンダリングに入ってるという情報
http://www.nidsci.org/pdf/cattledeaths_tse_epidemic.pdf
(20ページあたり参照)

2003年5月にFDAが出した鹿レンダリング規制案に対するパブコメ
FDAに対しレンダリング業界「The National Renderers Association」が出したパブコメ
http://www.fda.gov/ohrms/dockets/dailys/03/jul03/071703/03d-0186-c000005-01-vol1.pdf
FDAが出した草案 2003年5月15日
FDA Issues Draft Guidance on Use of Material From Deer and Elk in Animal Feed
http://www.fda.gov/bbs/topics/ANSWERS/2003/ANS01220.html

★FDAが2003年9月15日に出したガイダンス
Guidance for Industry Use of Material from Deer and Elk in Animal Feed
http://www.fda.gov/cvm/Documents/guide158.pdf

★2002年12月時点の情報
http://www.rendermagazine.com/December2002/CWDPostiveAnimals.html
The Food and Drug Administration issued an order this week telling rendering
companies to avoid deer and elk carcasses from endemic areas.
FDAはレンダリングの会社にCWD発生地域からの鹿とエルク死体を避けるように今週命令を発令した。
The rendering companies that pick up carcasses from local meat lockers say
they won't sort the deer, so they won't pick up any.
「レンダリングの会社は鹿を分類しないであろう、だからピックアップしないだろう、と言う」
http://news.minnesota.publicradio.org/features/200211/19_hetlandc_sodakcwd/
他にもたくさん情報があるので、順次追加していく予定です。

レンダリングの問題についてわかりやすい記事 
Seattle's Only News Section • Aug 21 - Aug 27, 2003
Cannibal Cows and Dying Deer
http://www.thestranger.com/seattle/Content?oid=15329

関連
我々と米国の牛は、まさか「シカ」等を知らぬ間に食べている?!
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/709389673cd6aa716ef2016ddafc9227
狂鹿病(CWD)とBSE評価について食安委に質問してみた
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/ef1a5352ddaf5677d9dee3a1259db737
最新のCWDニュース
http://www.altavista.com/news/results?q=CWD&nc=0&nr=0&nd=2&sort=date
野生のヘラジカに初めてCWDが発見されたというニュース
Chronic wasting disease found in moose
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/other/bse/news/oct2605cwd.html
イタリアで新型BSE二例、人間の孤発型CJDに似る―新研究
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04021701.htm
狂牛病関連病はvCJDだけではない、孤発型CJDにも関連の可能性
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/highlight/02112901.htm
BSEの人間版はvCJDに限られない 遺伝子型で異なる型
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04111201.htm
英国:BSE(狂牛病)被害者は本当に150人だけ?
盲腸推計3800人と、二次感染防止通知6000人
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/a0209d89782edb34131184136abc37e0


16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2006-02-18 08:24:53
 慢性消耗病のシカの筋肉に異常プリオン蛋白質が存在する恐れー米国の新研究

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06012701.htm
慢性消耗病プリオン(狂鹿病)の鹿からリスザルへの種間感染を初めて確認 (Unknown)
2005-12-24 03:19:09
【狂牛病】米国産牛肉、やっぱり危ない?=ディアハンターも真っ青「鹿プリオン病」、霊長類に感染

http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1130773854/



米中西部ネブラスカ州クレイトン大学の研究者らはこのほど、BSE(牛海綿状脳症)

や人のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に類似した鹿やヘラジカのプリオン病の一種、

慢性消耗病(CWD)が霊長類に感染するとの論文をまとめた。ウイルス学の代表的な

学術雑誌、米国微生物学会誌(Journal of Virology)11月号に掲載された。CWDが

霊長類に感染するのを報告した研究は初めて。



 鹿やヘラジカがレンダリング工程を経て牛の飼料に混入している疑いが出ており、

輸入再開に向け議論の進む米国産牛肉の安全性に改めて疑問符がつきそうだ。



ニッポン消費者新聞

http://www.jc-press.com/kaigai/200510/103101.htm

関連スレ(科学ニュース+)

【狂鹿病】慢性消耗病プリオン(狂鹿病)の鹿からリスザルへの種間感染を初めて確認

http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1130497968/



リンクさせていただきました (べと)
2005-12-03 22:57:18
興味深い話題と、緻密な取材力にびっくりです!

ちょくちょくうかがわせていただきます

お時間があるときには、私のブログにも是非お立ち寄りください。
Unknown (にこぽん)
2005-11-11 00:30:47
TBありがとうございました。

案外知られていない狂鹿病。

BSEはあんなに関心の的になってるのに・・・。

非常に矛盾を感じる今日このごろです。
TBありがとうございます (grecoron)
2005-11-10 01:37:11
勉強させて頂いてます。感謝です。
Unknown (ken)
2005-11-09 13:00:43
こんにちわ。

コメントありがとうございます。おかげでまた、いろいろ調べる気になりました。勉強させて下さい!
Unknown (ロン)
2005-11-08 20:48:44
狂鹿病、知らなかったです。

TBありがとうございます。

食品安全委員会のCWD記載 (Mariko)
2005-11-07 21:37:28
シカの慢性消耗病(CWD;Chronic Wasting Disease)

1967年、米国コロラド州フォートコリンズでミュールジカ(mule)に海綿状脳症が発生した。この地域はミュールジカ、証かを放牧あるいは捕獲飼育している。この他にアカシカ、オオジカ、ロッキー山脈ヘラジカも感染する。現在までコロラド、カンザス、ミネソタ、モンタナ、ネブラスカ、オクラホマ、サウスダコタ、ワイオミング、ニューメキシコ、ウイスコンシン、イリノイ州とカナダのサスカチュワン州(1996年)、アルバータ州でも発生が報告されている。CWDは捕獲されたヘラジカでは1%未満から71%までの罹患率が報告されている。(ミュールジカとオジロジカで1%未満から約17%、ヘラジカで1%未満という報告もある) 以下略

http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/p-dai34/prion34-siryou1_1.pdf

なんでテキスト形式でUPしてくれないんだろ。コピーできないんですが。。しかし捕獲して71%が感染ってすごくありません?
Unknown (じゃかりご)
2005-11-05 00:00:48
TBどうもです。

鹿にもあったんですね。知らなかったです。

外食業界からの圧力云々ではなく、真に食の安全を考えた外交・選択をしてもらいたいですね。
鹿も危険ですか (星の王子様)
2005-11-04 20:15:02
TBありがとうございます 鹿肉はうまいですし最近日本で鹿が増えすぎてどんどん食用にしようというのにこのような問題があるとは フランスやイタリアの料理でもよく使われる食材なので、鳥牛に加えて欧州の人にとっては痛いニュースですね。
失礼しました (complex_cat)
2005-11-02 08:34:59
↑「狂牛病」ってちゃんと変換できるのに,字を間違えました。実際,「恐牛病」でもあるのですが。

 何故,この問題,偏向報道になるのか,その辺りも興味があります。
TB有り難うございました (complex_cat)
2005-11-02 06:24:15
別のアーティクルでシカ問題を取り上げておりましたが,恐鹿病の話は,全く知りませんでした。

 情報満載で深いですね。TB有り難うございました。

勉強になります。
「ブログフリーク」からのお知らせ (ブログフリーク)
2005-10-31 15:34:55
ブログランキングサイト「ブログフリーク」がオープン!!

只今【 iPod nano 】が当たるキャンペーンを実施中です。

皆様のご登録・ご参加をお待ち申し上げております。

目指せ、アクセスアップ!



ブログフリーク

http://blogfreak.jp/



お問い合わせはコチラから

http://blogfreak.jp/ask/





※記事の内容とは関係のないプロモートで失礼致しました。

お手数をおかけ致しますが、ご不要でしたら削除下さいませ。
Unknown (おたこはn)
2005-10-31 03:18:06
コメントありがとうございました。畜産王国鹿児島の人間としては、まず近所の畜産農家とお知り合いになって、家族分だけでも供給ルートを確保しようかな、と。なんて考えたりしちゃいそうです。

だってマジ恐いんだもん。
トラックバックありがとうございます (ムック)
2005-10-30 21:07:27
狂鹿病の話、初めて知りました。

こちらのサイトで、色々と情報収集させてもらおうと思います。
Unknown (Keymama)
2005-10-30 12:54:02
TBありがとうございました。



そうか、鹿という動物が野生にいたんだと気付きました。日本の場合も注意が必要なようですね。



私もTBします。