BSE&食と感染症 つぶやきブログ

食品安全委員会などの傍聴&企業・学者・メディア他、の観察と危機管理を考えるブログ by Mariko

ヤギ&羊は肉や乳にも感染物質?・オランダで26歳vCJD・ピッシング・新検査

2005年04月23日 09時50分56秒 | 狂鹿病(CWD)が蔓延&ヤギ、羊は?
■感染ヤギと羊の場合、肉や乳を通して感染物質が人間の体内に入る可能性、という報道
仏、ヤギやヒツジのBSE検査を強化 (4/19)
http://health.nikkei.co.jp/bse/child.cfm?c=4&i=2005042008912p2
>「ヤギや羊では牛に比べ体内の多様な組織に感染物質が広がりやすく、肉や乳を通して人間の体内に入る可能性もあるとしている。」(抜粋)

ヨーロッパ:強化に向かう羊のBSEリスク予防措置
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/highlight/02030701.htm
フランス研究グループ、羊の筋肉に異常プリオン発見
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04052401.htm

牛が駄目だからということで、『パンが駄目ならお菓子を食べればいいのよ』というように、ダチョウや羊、鹿の販売に力を入れているというニュースを見たことがありますが、食品安全委員会が意見交換会に招致した英国の学者は「鳥や豚も感染する」と発言し、羊は筋肉からプリオンが検出、鹿は狂鹿病(CWD)という問題があるわけです。本当の問題は、その動物が飼料に何を食べているのか、産地や商社はどこか、飼料の責任者は誰か、その土地の肥料はどうなっているのか、どんな環境で育ち、どんな薬剤を使われてきたのか、etc...ということなのだと思います。今のトレーサビリティーも、意味がないとはいいませんが、そこまで詳細に公表してほしいと思うのですが。。

ついでですが、最近のミルクの安全性に関する研究はこちらを。
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2005/foodinfo-4_2005.pdf
ついでにトランス脂肪とミルクについて
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2005/foodinfo-8_2005.pdf
食品安全情報から
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html


■オランダで初めてvCJD患者発生 26歳女性 2005/04/22(Fri)
笹山登生さんの掲示板から抜粋(ご発言[1135]引用)
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi
>昨日、オランダ当局が発表したところによると、この患者は、26歳の女性とのことである。オランダでは、17頭のBSEが、発生している。また、オランダやデンマーク経由で、ドイツのNordmilch EGで製造されたSundkalvやRod KalvoやGron Kalvoという名の血漿蛋白が、1996年から1997年にかけて、日本を含める、全世界に出回ったとの疑いもある。とすれば、今回のvCJD発見は、当然ともいえるものなのか?
http://www.foodconsumer.org/777/8/mad_cow_disease_vCJD_Creutzfeldt_jakob_disease_Dutch_woman.shtml

■オランダで初の新型クロイツフェルト・ヤコブ病患者=日本の飼料問題再燃か?
http://www.jc-press.com/kaigai/200504/042201.htm


毎日新聞の小島正美さんの記事なのですが。。
■知らなかったBSE:/中 ピッシング 安全部位、汚染の可能性
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/news/20050422ddm013100026000c.html

上記には、ピッシングが中心に指摘されており、ピッシング、スタニングも当然対策を取る必要がありますが、食肉の汚染源はそれだけではなく、背割りほかの解体時の汚染も当然無視できないのだ、という指摘がOIEの専門家会議でなされていました。
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/908c7deb10e4ca1f6f086f7208273d2f
また、OIEの意見交換会では、複数牛の筋肉中の末梢神経から異常プリオン蛋白質が検出されたことを受けて「早急に世界中の科学者が連携して研究をしなければならない」という専門家の指摘がなされていました。

文中に、「米国などはピッシングを行わない」とありますが、これら問題もお忘れなく。。
■アメリカの食肉処理の現場で内部告発が続いている
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/89c21679c9a1a74908daa94270800649
■BSE最新と過去のニュース & アメリカ牛は本当に安全か?(EUによる米国評価)
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/18d64aa98bf84460a8424a70764212fb
■アメリカ牛は本当に安全か? その2 鶏糞に糖蜜をかけた飼料とは?
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/462f08e8cc6a6919618c3b8acbedde00

追加:
農業情報研究所さんが、毎日新聞の記事のミスリードを心配されてます。
★「BSE:全頭検査の神話・・・」(毎日)が作る特定危険部位除去の若い牛は安全の「神話」
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05042201.htm

ちなみに、小島正美さんの(上)の記事全文
知らなかったBSE:/上 全頭検査の神話 異常プリオン、高齢牛ほど蓄積
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/news/20050421ddm013100132000c.html
私が以前中間とりまとめ案を見て思ったのは、数頭だかの、牛の検査で、ある時期から扁桃にプリオンが溜まり、それが突然消えてしまい、また突然出現する、という表が添付されているんですが、「プリオンはいったい、どこにいってしまったのかしら?」ということです。分解されるわけでなし。小島さんに伺ってみたいですね。

>ここに、BSEの検査をしていない18カ月の牛の肉と、検査済みの36カ月の牛の肉がある。脳や脊髄(せきずい)など危険部位は除去してあるが、両方ともBSEに感染している可能性がある。あなたはどちらを食べますか--。

↑しかしなんでこんな最悪の選択肢が出てくるもんですかね?飼料管理を徹底すれば感染牛を食べないで済む率がぐっと下がるわけです。1mgでも牛を感染させ、環境汚染物質としても扱いが非常に難しい異常プリオン蛋白質も、効果的に増やさないようにすることができます。末梢神経やら炎症部位からプリオンが検出、牛は1mgで感染、サルは50mgの脳で感染、などと、次々と新しい知見が出て、WHOも感染牛のすべてを食物連鎖から排除せよ、と勧告を出している現在、「感染しないように厳格に育てられた牛を作るべき」というのが普通の考え方ではないでしょうか。飼料管理に目をつぶって、「感染牛 ”病気の牛”を食べる機会を増加させる」というリスクを消費者が負わなくてはならない理由がさっぱりわかりません。。。まして、感染牛が増えた場合、扱う現場の人たち皆が危険に晒され、そのSRMがもし肥料なんかに混入した日には、今度は土を扱う農家さんに危険がでてくるわけです。(英国ではSRMは毒ガスマスクをつけて密閉倉庫で厳密管理をしている) そこらは、三部作の(下)で語られるのでしょうか。


■感度100倍の検査装置実用化まであと一歩 より高感度な生前診断装置も開発中
http://www.tokachi.co.jp/kachi/0504/04_22.htm
BSE自動検査装置を試作 感度はエライザの100倍 田村教授:「超高感度検査装置を開発中で、生前診断を試みたい」
> 【札幌】北大、帯広畜産大、富士レビオ帯広事業所などの共同研究チームが、BSE(牛海綿状脳症)の全自動検査装置の試作機を開発した。BSEスクリーニング検査のエライザ法(酵素免疫検査法)に比べ、感度が良く、短時間で大量の検査ができる。酪農畜産地帯の本道には、道産牛肉の安全性を迅速にチェックする画期的な開発となる。BSE問題で日本への牛肉輸出が絶たれた米国政府関係者が早くから装置に注目、秋には、米国で装置を使ったフィールドテストが予定されている。(平野明)以下略「蛍光相関分光法(FCS)」とのこと。道内の関心が薄いそうで、10月に米国でテストだそうです。

ほかにも、血液を用いた、生体牛検査に関するニュースがありました。
Chronix Biomedical Awarded Grant for Mad Cow Disease Living Test
http://biz.yahoo.com/bw/050418/186005.html?.v=1
試験の結果は、2004年9月15日の国際動物遺伝学会 at 東京(日本)という学会で発表があったとか書いてあります。
http://www2.kobe-u.ac.jp/~isag2004/

※OIEのBSE検査に関するガイドラインの見直しは、なんと、4年に1回なんだそうで。。OIEの診断マニュアルを元に語るのは、情報が古く判断を誤る可能性がありそうですね。常に最新情報をWatchする必要があります。


■最近のBSE情報について、邦版と海外版で報道内容の詳細度が異なるのでUP

4月8日のOIEコード改正専門家会合のニュース
Japan experts concerned about mad cow rule change
http://www.krvn.com/news/agricultural/index.cfm?ID=9187
BSE国際基準で専門会合 OIE総会へ日本案検討(共同)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050408-00000099-kyodo-bus_all

4月18日の意見交換会のニュース(両方とも共同)
Consumers oppose proposed int'l standard on beef safety
http://asia.news.yahoo.com/050418/kyodo/d89hru9g0.html
BSE対策緩和に批判続出 消費者らが意見交換会
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050418-00000159-kyodo-bus_all

「Consumer group representatives point out that a causative agent of the disease, formally known as bovine spongiform encephalopathy, was detected even in peripheral nerves and that it is impossible to remove specified risk materials completely. 」
「消費者団体の代表は、BSEの原因として名高い物質は末梢神経にさえ検知されるし、”完全に”危険部位を除去することなど不可能だということを指摘した」云々、と英語版では伝えておりますね。日本のニュースは端折り過ぎでは?

23 コメント

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Unknown (kouhei)
2005-04-23 13:59:45
<鹿は狂鹿病(CWD)という問題があるわけです。



そうなんですか、知りませんでした。

BSE問題はこちらを参考にさせていただきます。

TBありがとうございます



読売新聞の社説はどうなの 2

http://love.ap.teacup.com/kouhei2/

TBありがとうございます (ko-bar-ber)
2005-04-23 18:46:22
定期的にTBいただきありがとうございます。

最近の反日報道などで、社会から忘れ去られがちですが、とても重要な問題です。

食の安全については、いつも心しておかねばなりませんね
Unknown (ちょも)
2005-04-23 20:49:19
TB有難う御座います

「お菓子を」ってマリーアントワネットじゃないッツーノ

もう、食の安全については自己管理に依るしかないのでしょうか。

政治とは、それを司る者達とは、業者とは、

マーケットとは?
Unknown (maida01)
2005-04-23 20:55:43
TBをありがとうございます。



最近は何でもかんでもおかしくなっていきますね。
TBありがとうございます。 (iso-certification)
2005-04-23 22:57:12
参考にさせて頂きたい内容がたくさんあります。

これから、拝見させて頂きます。

虎場ありがとう (i☆Letterの主人)
2005-04-23 23:57:46
色々と参考になりました。

これからもよろしくお願いします。
トラックバックありがとうございます (ふとっちょパパ)
2005-04-24 02:22:06
事実を重んじる「環境リスク学 不安の海の羅針盤」は一読すべき本ですね。
Unknown (Mariko)
2005-04-24 08:24:15
「環境リスク学 不安の海の羅針盤」(中西準子さん)の話が出ていますが、あれには、たとえば、公衆衛生に与えるリスクが計算に全然入っていないと思いました。BSEのリスクは食の安全だけではなく、人のvCJD、そして人から人への伝播リスクが出てきています。



検証:普通の生活で、vCJD=人型BSE(狂牛病)が感染しないとは本当か?その1 歯科編

http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/57316d5ea76dd6092e7c843c2e7d6403



こういうのを入れないでえらい学者さんがリスクを些少に語られるのは、現場の対策が遅れるなどの影響があるため、困ったことだと私は思いました。現に、ヒトのプラセンタ(胎盤)の美容目的の乱用、その使用者に対する献血規制がないことなども、甘い抜け穴だらけの計算が原因の一つでしょう。



プラセンタは牛の場合、「硬膜」と同じランクの感染性に位置づけられています。

Unknown (kazuhaya)
2005-04-24 10:44:26
T/Bありがとうございました。

いろいろ拝見させて頂き勉強になります。

輸入が解禁されてしまえばファミレスやファーストフード(吉野家含む)から口に入ってくるのは必至ですので、なんとか米国牛の月齢判断くらいは科学的に根拠があるものに改めさせてほしいと思っています。(それでも100%安全ではないですが・・・)
Unknown (Unknown)
2005-04-24 19:51:24
TBありがとうございました。

牛肉に限らず、どの食べ物ももう絶対安全なものはありませんね。今の時代は、世界中で食物の交易を行っている時代ですから、各国の生産者や業者の利害から独立した食の安全性を検査する国際機関が必要だと思います。