※以下の文章は一般の人向けに確信犯的にぶった切って書いているので、業界の人は訳知り顔で重箱の隅をつつかないでね。
産業が成り立つためには、経済的効率は避けてはならない命題である。
それはコンテンツ・ビジネスにおいても同じこと。
作品が売れるか、利益率が高いか、いずれにしても儲けを出さなければビジネスとしてやっていけない。
制作、製造、流通、小売、どの立場になっても変わらない絶対的な真実である。
もし、経済的効率を無視してでも作品を出し、流通させたいなら、それはそれなりのコストを覚悟をしなければならないという事だ。
このコストを前にして揺れに揺れているのが出版業界である。
出版業界は96〜97年にピークを迎えた。
その時の市場規模が2兆6千億円である。
しかし、その後売上は減少し、今では2兆円を下回ってしまった。
24〜5年前の規模まで縮小したことになる。
出版業界は一見、音楽業界や映像業界と近いように思われているが、根本的に構造が異なる。
こう書くと委託流通制度だろ?と一言で片付けてしまう事が多いが、もっとぶっちゃけて書いてしまおう。
出版業界とは『チラシを撒く』業界なのである。
(この点で新聞とテレビは同類だ)
つまり広告に裏打ちされた定期刊行物を大量にローコストで多数のチャネルにバラ撒く流通の仕組みなのだ。
この定期刊行物『雑誌』は撒く事が大事であって、さらに売れ残りを回収し、その分を差し引いて売上金を回収する事も仕組みの一部になる。
小説とかビジネス書といった広告の無い『書籍』は、利益の薄い商売。
作業工程こそ違うが『雑誌』と同じ流通に載せるから機能する。
そうでなければ10冊送って4冊返品なんて商売を続けられる訳がないのだ。
(ただし専門書はそれなりに高くて利益も取れるし、買切りだったりする)
作るのにも、運ぶのにも、返ってきたものを保管するにも、あるいは処分するにも全てコストがかかっているのだ。
ところがである。
出版物の売上が減っていった。
返品は増える。
利益は減り、損益分岐点が上がり、資金繰りは苦しくなる。
そこでキャッシュ・フローを生み出すために出版社は本を出しまくった。
書籍の刊行点数は20年前の倍になった。
ただでさえ売れないのに拍車をかけるように『無駄な』本が出版された。
これに出版業界の広告収入の減少が追い打ちをかけた。
雑誌の休刊(実質の廃刊)が相次いだ。
これこそがパラダイムの転換点である。
一部の出版社と出版取次(卸会社)が事態打開のため、徹底的な効率化を進め始めたのが数年前である。
それは以下のような形で現れた。
・POSデータを駆使して売れるモノを適切に仕入れる仕組みの提供。
・一定の販売条件をクリアした書店をグループ化し、今後の優越的な商品供給を保証する(ラノベやコミックの強い出版社に多い)。
・ある特定のタイトルを買切り条件にする代わりに卸値を安くする。
・返品業務を行う会社を共同で作り、アウトソーシングする。
・実売率を上げ返品を減らしたら、浮いたコストをシェアする。
ざっと挙げるとこのようなところだろうか。
それでも善良なる読書好きたる業界人は怨嗟の声を上げる。
大抵の場合、多様で奥深いコンテンツの取扱いを縛り、業界を潰す行為だと。
だが、ここで忘れてはいけない事がある。
自分たちの好きなように作り、好きなように仕入れ、好きなように売ることを誰も禁止している訳ではないのだ。
ただ、そのためには今まで必要とされなかったコストを払わなければならない、という話なのである。
自分がどんなにその作品を愛していようが、経済的合理性に見合わないものは淘汰される。
もし、どうしてもそういう作品を作り、販売したければ、そのものの値段を上げるか。そこで発生するコストを吸収できるだけの大きな利益を別に稼ぐか、ニッチなマーケットに徹底して確固たる地盤を築き独立採算できるようにするしかないのだ。
もしそれが出来ないのであれば、利益度外視の趣味でやるしかないだろう。
広告料と大量生産、ローコスト流通とキャッシュフローでどうにかなっていた出版業界。
実態として『バラ撒き』と『棚貸し』で生きてきたこの業界が、本気で『多様で奥深いコンテンツ』を扱いたいならコストを覚悟する。
読者がそのコストを甘んじて受けた時、初めて良質のコンテンツと言えはしないか。
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産業が成り立つためには、経済的効率は避けてはならない命題である。
それはコンテンツ・ビジネスにおいても同じこと。
作品が売れるか、利益率が高いか、いずれにしても儲けを出さなければビジネスとしてやっていけない。
制作、製造、流通、小売、どの立場になっても変わらない絶対的な真実である。
もし、経済的効率を無視してでも作品を出し、流通させたいなら、それはそれなりのコストを覚悟をしなければならないという事だ。
このコストを前にして揺れに揺れているのが出版業界である。
出版業界は96〜97年にピークを迎えた。
その時の市場規模が2兆6千億円である。
しかし、その後売上は減少し、今では2兆円を下回ってしまった。
24〜5年前の規模まで縮小したことになる。
出版業界は一見、音楽業界や映像業界と近いように思われているが、根本的に構造が異なる。
こう書くと委託流通制度だろ?と一言で片付けてしまう事が多いが、もっとぶっちゃけて書いてしまおう。
出版業界とは『チラシを撒く』業界なのである。
(この点で新聞とテレビは同類だ)
つまり広告に裏打ちされた定期刊行物を大量にローコストで多数のチャネルにバラ撒く流通の仕組みなのだ。
この定期刊行物『雑誌』は撒く事が大事であって、さらに売れ残りを回収し、その分を差し引いて売上金を回収する事も仕組みの一部になる。
小説とかビジネス書といった広告の無い『書籍』は、利益の薄い商売。
作業工程こそ違うが『雑誌』と同じ流通に載せるから機能する。
そうでなければ10冊送って4冊返品なんて商売を続けられる訳がないのだ。
(ただし専門書はそれなりに高くて利益も取れるし、買切りだったりする)
作るのにも、運ぶのにも、返ってきたものを保管するにも、あるいは処分するにも全てコストがかかっているのだ。
ところがである。
出版物の売上が減っていった。
返品は増える。
利益は減り、損益分岐点が上がり、資金繰りは苦しくなる。
そこでキャッシュ・フローを生み出すために出版社は本を出しまくった。
書籍の刊行点数は20年前の倍になった。
ただでさえ売れないのに拍車をかけるように『無駄な』本が出版された。
これに出版業界の広告収入の減少が追い打ちをかけた。
雑誌の休刊(実質の廃刊)が相次いだ。
これこそがパラダイムの転換点である。
一部の出版社と出版取次(卸会社)が事態打開のため、徹底的な効率化を進め始めたのが数年前である。
それは以下のような形で現れた。
・POSデータを駆使して売れるモノを適切に仕入れる仕組みの提供。
・一定の販売条件をクリアした書店をグループ化し、今後の優越的な商品供給を保証する(ラノベやコミックの強い出版社に多い)。
・ある特定のタイトルを買切り条件にする代わりに卸値を安くする。
・返品業務を行う会社を共同で作り、アウトソーシングする。
・実売率を上げ返品を減らしたら、浮いたコストをシェアする。
ざっと挙げるとこのようなところだろうか。
それでも善良なる読書好きたる業界人は怨嗟の声を上げる。
大抵の場合、多様で奥深いコンテンツの取扱いを縛り、業界を潰す行為だと。
だが、ここで忘れてはいけない事がある。
自分たちの好きなように作り、好きなように仕入れ、好きなように売ることを誰も禁止している訳ではないのだ。
ただ、そのためには今まで必要とされなかったコストを払わなければならない、という話なのである。
自分がどんなにその作品を愛していようが、経済的合理性に見合わないものは淘汰される。
もし、どうしてもそういう作品を作り、販売したければ、そのものの値段を上げるか。そこで発生するコストを吸収できるだけの大きな利益を別に稼ぐか、ニッチなマーケットに徹底して確固たる地盤を築き独立採算できるようにするしかないのだ。
もしそれが出来ないのであれば、利益度外視の趣味でやるしかないだろう。
広告料と大量生産、ローコスト流通とキャッシュフローでどうにかなっていた出版業界。
実態として『バラ撒き』と『棚貸し』で生きてきたこの業界が、本気で『多様で奥深いコンテンツ』を扱いたいならコストを覚悟する。
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