因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

文学座12月アトリエの会『MEMORIES』

2011-12-09 | インポート

*テネシー・ウィリアムズ生誕100年記念 一幕劇一挙上演 公式サイトはこちら 信濃町・文学座アトリエ 17日まで
『財産没収』訳=倉橋健 下宿の看板娘だった姉のあとを継いだという少女と凧揚げにきた少年の会話。
『話してくれ、雨のように・・・』訳=鳴海四郎 行き場のない男女がアパートの一室で妄想を繰り返す。
『バーサよりよろしく』訳=鳴海四郎 心身を病む中年娼婦バーサが助けを求める相手とは?
『ロング・グッドバイ』訳=倉橋健 売れない小説家が長年暮らしたアパートを立ち退く日、去来する家族の思い出。
 演出はすべて靍田俊哉。

 テネシー・ウィリアムズの1幕劇をみるのはこれがはじめてだ。今回は必ずしも執筆順ではなく、作品を読み込み、惚れこんだ演出家が4つの短編がループするように舞台美術などにも趣向を凝らした舞台である。

 4つの作品を休憩なしの転換のみで一気にみせる2時間弱の上演だ。具体的にどの場面がどのように・・・ということがうまく書けないのだが、残念ながら集中できなかった。 

 テネシー・ウィリアムズは昨年秋新国立劇場公演『やけたトタン屋根の上の猫』において、舞台をみて疲労困憊したが、戯曲を読んで元気がでてくるという奇妙な体験をした。
 それほど極端ではないにしろ、今回もやはり戯曲にもどり、短い芝居の数々に劇作家が込めた思いを聴きとることからやり直したい。 

 本日は終演後にトークショーがあり、メインゲストの小田島恒志氏が、テネシー・ウィリアムズの作品に縁の深い俳優の江守徹、寺田路恵、今回の演出家の靍田俊哉各氏に話を聞く進行役を務めるという形式であった。お芝居のあとに話をするというのは、なかなかむずかしいものですね。メインゲストの方が司会役をすることがトークを活性化したり、わかりやすくまとめることに結びつけばいいのだが、今回は小田島さんの問いかけに対して登壇者(とくに江守さん・・・)のリアクションがいまひとつはっきりしない印象があった。また小田島さんが指摘されていた、「女性が男性に対して敬語を使う感覚」などについては、まだまだお話を聞きたかった。

 もっとテネシー・ウィリアムズの戯曲を読みたい!という意欲を掻き立てられるきっかけを与えられたことは確かである。やりきれないような寂寥感のなかに詩情あふれる美しい物語を書いた劇作家の心をもっと知りたいのである。

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