因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

『ナイン THE MUSICAL』

2005-06-14 | 舞台
*tpt他制作 
 脚本:アーサー・コビット 作詞作曲:モーリー・イェンストン演出:デヴィッド・ルヴォー
 5月27~6月12日 アートスフィア
 昨年の初演を見逃したので、再演の今回は早々とチケットを予約した。正直なところどんなものを見せられるのか期待半分、不安半分であったが、二時間半の上演中一度も眠らず、終演後は予想もしなかった幸福感に包まれている自分に驚く。劇場を出て「ああ潮風の匂いがするのね」とぼんやり思ううち、反対方向のモノレールに乗ってしまった。おいおい羽田行ってどうする気だ。そして何と、もう一度見たいという気持ちが沸き起こり、大枚をはたいて一週間後のチケットを予約してしまったのである。
 二度目の観劇で、終盤からカーテンコールまで涙がとまらない自分がいるのだった。いまだに劇中のいろいろな場面や歌やメロディが心を離れず、もしかすると今年上半期No.1かもしれない。
 ここまで予想をはるかに裏切られる(いい意味で)体験も珍しい。
 だが正直に言うと、最初の観劇は物語にどっぷりはまったわけではなかったのである。内容を理解したのでもなく登場人物の誰かに感情移入してもいない。なのにとても不思議ないい気分になった。
 さらに正直に言うと、わたしは観劇中いろいろな「よそごと」が絶えず頭に入り込んでくることに戸惑っていた。
 舞台がつまらないからではない。なのにどうしてもいろいろなことを考えてしまうのだ。
 その内容については極めて個人的なことなのでここには書かないが、おそらくこの物語が愛について描かれたものだからであろう。舞台をみながら、自らの愛について考えざるを得ないのであるl。
  だから二度めは少しわたしも学習して、よそごとが頭に入り込むことをしないように集中力を高めてみるようにした。その結果、滂沱の涙。どうしてだ、これは『レ・ミゼラブル』ではないのに。
 また 『佐倉義民伝』や『伽羅先代萩』ならともかく、子役(主役グイードの子ども時代)に泣かされたわけでもない、と思う。どうした、わたし。なぜここで泣く?
 今は自分の心の動きを思い起こし、書き留めることでせいいっぱいで、肝心の舞台がどうであったかが書けないでいる。
 是非書きたい、書いておきたい。
 いつの日か、いや近いうちにきっと。(6月4日、11日観劇)

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