ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2016.8.10 採血・レントゲン後診察、ランマーク19回目、カドサイラ(T-DM1) 25回目(減量15回目)、帰路は散々

2016-08-10 22:45:28 | 治療日記
 今月初めての通院日である。
 昨夜、息子の帰宅が午前様となり、その後夕食の支度をして入浴して・・・とんでもなく遅い就寝になる。無理せず今日ゆっくり帰ってきてくれればよかったのに、と思うが致し方ない。
 そんなわけで、このところずっと軟弱な(一度その味を覚えたら忘れられない、とでも言おうか)前泊が続いていたが、久しぶりに自宅から1時間半をかけて病院まで向かった。昨日の38度という酷暑の名残か、今日も朝からゲンナリするほどの暑さだ。

 最寄り駅でも乗換駅でも電車はスムーズ。乗換駅では始発電車に余裕をもって座り、本を開く。こうして読書するのも久しぶりの感じがする。
 今日のお伴は柚木麻子さんの「本屋さんのダイアナ」(新潮文庫)。7月の新刊で買い求めた1冊だが、7月は殆ど全く読書が出来なかったので、8月の新刊が購入出来ずにいる。
 帯には「本だけが友達だった。あの子に出会うまでは。最強のガール・ミーツ・ガール小説!全国の書店大絶賛のベストセラー!」とある。

 柚木さんのお話は面白いし、モチーフが本好きの少女ということで迷わず手に取った。パサパサの金髪、キャバ嬢の母を持つ大穴(ダイアナ)と、ツヤツヤの黒髪、料理教室を開く母を持つ彩子。正反対の2人の共通点は本が大好きなこと。その2人が少女から大人に変わる十余年を描いている。もう面白くて車内で没頭。あっという間に病院最寄り駅に到着した。

 自動再来受付機をすんなり通り、掲示板には7分待ちと出ていたが、採血受付でも殆ど待つことなくスムーズに「中にお入りください」となり、そのまま部屋に入るとすぐに番号を呼ばれた。
 今日はマーカー測定がなく、2本の採取。採血して頂いたのは初めての女性で、刺針も抜針もちょっと痛む程度。腕が汗ばんでいて止血の紙テープがすぐに剥がれそうになり、必死で押さえる。
 止血しながら2階のレントゲン受付へ移動。こちらはやけに混んでいる。なかなか呼ばれない。15分ほど待ってようやく名前を呼ばれる。それから後はスムーズに撮影が終了した。

 再び1階に降りて腫瘍内科受付へ移動。月初めなので保険証も確認して頂く。ここまでで病院到着から僅か30分ほどだから順調だが、そもそも病院到着時間が前泊の時に比べて1時間近く遅れているから、待合椅子は既に相当混んでいる。いつもの読書専用の端の席は確保出来ず。体勢を整えて読書を再開。

 翻訳家の鴻巣友季子さんが解説を書いておられる。“柚木さんの小説はグイグイ読ませるけれど、後からいかに精緻な凝った作りになっているか気づく。名作へのオマージュや引用がさりげなく鏤められていたりする。”とあるが、同感だ。子どもの頃の図書館での読書の思い出などを懐かしく思い出しながら、とても幸せな気分で読了。

 切りの良いところで血圧測定。100-60、脈拍は78。1時間半ほど待ってもなかなか“中待合へどうぞ”の番号が電子掲示板に出ない。30分遅れとある。今日は長期戦を覚悟する。 
 ようやく中待合に入ってから30分ほどすると、この病院に転院して数年間お世話になった化学療法認定看護師のKさんから「お久しぶりです。次の次(が順番)ですが、ちょっとお話し伺ってもいいですか」と声をかけて頂く。

 本も1冊読み終えてしまったので「もちろんです。」と診察室の隣の部屋へ。「カルテを見せて頂いたのですが、色々あったようですね。いかがですか。」と言われ、今の状況やこれからの治療について考えていること、迷っていること、その他ヒーリングやヨガの勉強を始めたことなどの近況をご報告。「痛みが気になったのですが、ロキソニンで大丈夫ですか。」と訊かれ「先月、実家のことでちょっと多忙で胸痛が続いた折には、朝昼晩とお世話になりましたが、ここのところ朝+αがあるかないかでなんとか凌げています。」とお答えする。20分ほどお相手をして頂いて、「(今後の治療の)考え方の方向性はいいと思います。常に前に進んでおられて凄いですね。」とのこと。先生にお目にかかる前に言いたいことを言い終えてしまい、なんだかスッキリ。

 そして話がちょうど途切れたタイミングで先生からお呼びがかかった。診察室にはKさんも同席された。
 ご挨拶して席に着くと、既にPCに2枚のレントゲン画像が並んでいる。前回6月末に撮影したものと比べると、やはりCTで見たのと同様、じんわりと大きくなっている。右上の丸いものは一番小さく1.6cm、左中間部の細長い茎状のものはその倍ほどであまり変化が見られないようだが、右下部の丸い腫瘍が一回り大きくなっている。3.8cmが4.1cmとのこと。それでも前回確認したとおり、今月一杯は治療を変えなくてもよい、急ぐ必要はなし、と言って頂く。

 不変な部分もあるので、現在使っているカドサイラ(T-DM1) はHER強陽性の腫瘍には効果があると考えてよい。けれど、そうでないもの、すなわち右下の腫瘍には効いていないということだ。これでカドサイラを止めてしまうのはもったいない気もすると仰る。私も待ちに待った強力な助っ人であるこの薬をなるべく長持ちさせて使いたい気持ちだ。とはいえ、いつまで引きずっていて良いかも正直なところ分からない。タイミングを逸して後で痛い目に遭うかもしれない。

 採血の結果は特に問題なし、とのこと。診察室での検温は36.7度。「今日はランマーク注射もありますね、薬はどうしますか」と訊かれ、「前回ヒルドイドローションが出ていなかったので、今回はお願いします。」、と3週間分の2種類の漢方、デノタスチュアブル、ヒルドイドローション、ロキソニン、パタノール点眼薬を処方して頂き、3週間後の次回診察時に治療を変える(ハーセプチンに加えゼローダを1段階減量からスタートする程度であれば問題ないのではないか、とのこと)ことについて、その時点で再度相談することとして診察室を後にした。

 化学療法室へ移動し、いつものように待ち時間に夫やお友達に報告LINEやメール。
 3人ほど先に待っており、リクライニング椅子は結構埋まっている様子だ。珍しく30分ほど待ってからSさんから久しぶりに窓側の席に案内される。

 ポートの針刺しはKbさん。彼女は、ご縁あって家族揃って3年前に訪れた花火大会の開催地・長岡のご出身で、「今年も花火、行ってきました」と仰る。「私はBSでライブで見ましたよ」とお答えしているうちに、殆ど痛まず終了。

 その後30分程待って薬が届き、点滴開始。Sさんがランマーク注射もしてくださる。いつものようにお喋りしながら、出来るだけゆっくり打って頂くようお願いする。「息子さんは夏休み帰ってこられたのですか」と訊かれ、昨夜の午前様のご帰還の報告をしたりとあれこれ気を散らしたけれど、この注射はそれでも痛む。

 2冊目は畠中恵さんの「さくら聖・咲く-佐倉聖の事件簿」(新潮文庫)。
以前読んだ「アコギなのかリッパなのか-佐倉聖の事件簿」の第二弾。帯には「スーパー大学生の未来やいかに。佐倉聖、シューカツ始めました!痛快度満点の大人気青春ミステリ」とある。これも前作が面白かったので迷わず手に取った。
 読書に没頭しているうちにちょっと鼻血が滲んだが、順調に終了した。さすがに昨夜の夜更かしが祟って最後はウトウト。終了時の血圧測定と抜針もSさん。103-57、脈拍は61と問題なし。

 ご挨拶して化学療法室を後にする。会計を待っている人で待合椅子は溢れている。20分ほど会計を待ってから自動支払機へ移動する。採血、レントゲン、注射、点滴の3割負担、13万円強をカードで支払う。

 外に出ると少し雲が厚くなっているが、どよ~んと蒸し暑い。薬局では2,3人しか待っておらず、今日は早いかも、と期待したが後から来た方たちにどんどん抜かされてやはり40分ほど待った。今日も2,500円弱のお支払いは現金で。顔なじみの薬剤師さんに「ご実家で大変だったようで、暑いですしご無理なさいませんように」とお言葉をかけて頂く。

 病院と薬局の滞在時間は合わせて6時間弱。駅ビルのランチタイムは既に終了。駅に到着すると、お揃いのバッグやTシャツに身を包んだ若い女性から私世代の女性までで溢れている。アリーナで某人気グループのコンサートがある模様。大きなキャリーケースを引く旅行客もあいまって、この時間にこんなに人、人、人だったのは初めて。まっすぐ歩けない。ランチタイムは終わっているのにどこの飲食店も満席どころか長蛇の列。結局、ベーカリーで簡単に食事が摂れたのは夕方4時だった。

 グッタリして帰りの電車に乗り込むと、途中から急に空が真っ暗になる。せっかく息子が家にいるので、朝干して出た洗濯物を取り込むようにLINEで連絡。みるみるうちに土砂降りの雨が降り出す。私鉄に乗り換える時も凄い降りだ。雨とともに走っている感じで、どこまで行っても雨降りだ。最寄り駅に到着するともうバケツをひっくり返したような降りで、持っている日傘ではとても外に出られない。駅で30分近く雨宿りをしたが一向に止む気配がない。立ちん坊で雨宿りをしながら段々顎が出てくる。

 結局、しばらくして夫が駅に到着し、小やみになるまでカフェで2人で時間潰し。1時間半近く帰宅が遅れてしまった。
 帰宅後、食事を作るだけでグッタリ。家を出てから帰宅するまで結局11時間以上も。のぼせたのか先ほどまで鼻血。これも血小板が低くなっているせいか。
 明日は実家で法事である。早く休まなくては。
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2 コメント

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Unknown (向日葵)
2016-08-11 09:36:58
おはようございます。
最後のTDM1の治療を受け、さぞかし複雑な気持ちである事と思います。私もできれば、TDM1を続けたいのですが、血小板の減少があまりにも酷く、内出血とか、その他もろもろの副作用もひどい。イギリスに戻ってから、コンソルタントと相談します。帰国して以来、ここの暑さにもめげず、幸せな日々を送っている。このまま何にも治療せずに私は大丈夫じゃないかと思うくらい元気です。
自分の最期を大好きな北海道で迎えたいと本気で思ってる今日この頃です。何にを決断するにも勇気が必要です。すべての治療を拒否する勇気がまだありませんが、一つだけ言えることは抗がん剤で最期の最後まで苦しみたくありません。
ロッキングチェアさんのブログと出会い、貴方から勇気を貰い、今日、日本を悔いのないよう満喫している。本当に心から深く感謝しています。今の私に日本という素晴らしい国で休養が必要だったと思います。残り3日位となりましたが、好きな食べ物を食べ、会いたい友達に会い、日本を存分にエンジョイします。
ロッキングチェアさんも暑い中、大変かと思いますが、無理をなさらずに、お互いに長く細くしぶとく生きていきましょう。
ゼロータを始める時は、くれぐれも手足に気をつけてください。いつも貴方のことを祈っています。
本当に・・・ (ロッキングチェア)
2016-08-11 22:35:06
向日葵さん、こんばんは。

おっしゃるとおりです。最初は効いてくれていた薬にだんだん耐性が出てきて、次の薬にチェンジしなければならない時にはいつも複雑な気持ちになります。薬をチェンジするとどんな副作用がどのタイミングで出るにしても慣れるまで色々負荷がかかりますし間違いなくQOLが下がります。自分なりにうまく不調をやり過ごす術を掴むのにも時間がかかります。

ですから、出来る限り慣れた薬で長く粘りたいと思います。とはいえ、あまり粘りすぎてチェンジのタイミングを逸すのも自分の首を絞めることになりますし、・・・複雑ですね。けれど、まだ試す薬があることは幸せだと思わないといけないのでしょうね。

私も今はまだ全ての治療を拒否する段階ではないと思っていますが、自分の身体の声に耳を傾けながら、抗がん剤治療がその効果を発揮するよりも自分の身体を痛めつける度合いが大きくなったら、積極的治療から緩和治療にうまく重心を移していければと思っています。
そのタイミングは自分が一番分かるような気がしていますが、どうでしょうね。

向日葵さんもT-DM1の副作用が色々出ておられるのですね。やはり作用があれば副作用はありますから、そうそう作用だけという夢の薬などないのですよね。
何より今回のご帰国で体調がよく元気に過ごせているとのこと、本当に良かったです。好きなものを召し上がり、会いたいご友人に面会し、厳しい日本の暑さにめげずに精力的に旅を満喫されているご様子を伺い、こちらも勇気を頂きました。

あと3日とのこと、どうぞこのままお元気で旅を楽しまれますように。お互い目指すは細く長くしぶとく、ですね。

ゼローダといえば、手足症候群が難関ですね。今も保湿ローションは欠かせませんが、うまく乗り切っていきたいと思います。お気遣いありがとうございます。

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