専門学校の講義が昨日で終了しました。
知人から急な依頼があり、11日間の短期の講座でした。
久振りの朝早い出勤と、満員電車で少しハードでしたが、学生たちが熱心に授業に参加してくれ講義に熱が入りました。
今回の講義は「出前インターンシップ」と自分で名づけて11日間のカリキュラムを作りました。
日頃、殆ど机上の講義や実習が中心の学生に、学校では出来ない「繊維から糸テキスタイル、アパレルの実務」の現場を体験させました。
最初は少し戸惑っていた学生も、最後に課題として与えたセレクトショップのザ・ファーストへの新ブランド提案のイベントでは大いに盛り上がりました。
「セレクト&SPAで、今一番輝いているのは、ザ・ファースト」と私は常々思っています。
そのザ・ファーストを相手に学生たちが新ブランド提案をするイベント設定しました。
お忙しいところを無理をお願いをしましたが、趣旨に賛同いただき、快くお引き受けいただきました。
学生たちは、緊張気味でしたが、提案した3グループの新ブランドは、私の眼から見ても、それぞれ満足のいくものでした。
私の講義の趣旨を良く理解して、学生とは思えないほど実戦でも充分通用すると思える程の企画提案でした。
卓越したMD力をお持ちで、日頃は厳しい眼力をお持ちの鍛治社長と専務からも良い評価を受けました。
企画書作成は10時間程度の短い時間しか有りませんでしたが、なかなかの出来栄えでした。
あと少し手を加えれば、充分ビジネスモデルになりそうな内容でした。
11日間で「繊維から糸、テキスタイル、アパレル、小売」を駈足でマスターする、「出前インターンシップの雛形」が出来たと思います。
この専門学校でも、早くからインターンシップを取り入れています。
毎年各企業にインターンシップ(企業実戦)を教科の中に入れ実施しています。
実情は、そのインターンシップを受ける企業側に充分な対応が出来ておらず「雑用的な仕事」しか与えない企業が多いため、逆に彼らに失望感を与えてしまっているようです。
その意味で、今回の「出前インターンシップ」が、学校側と企業側にとって意味のある講座となるかもしれません。
講義終了時に学生たちと懇談しました。
今回の講座の感想を聞いたところ、似顔絵つきの色紙に、それぞれお礼の言葉を寄せ書きしてくれました。
彼らのサービス精神と割り引いた見方をしても、ハードだった講義の疲れも一気に消えました。
改めて「人つくり」の喜びを感じ、充実した11日間でした。
今回の講義の課程で多くの企業にお世話になりました。
卒業後にデザイナーとして企業で働こうとしている学生に、出来るだけ生産、販売の現場を学んでもらおうと、現場への視察研修を多く取り入れました。
今まで学校で学んできた「知識」を、実業の現場で「知恵」にしていくことの重要性を学んでもらおうとしています。
繊維から糸、織、染色整理、テキスタイル流通、縫製、アパレル、小売の生産と流通の現場の視察研修です。
短期間で、川上、川中、川下の流れを体験することが出来て、私の経験でも、これほど短期間で、全てを見る機会はなかったと思います。
学生にとって、初めての経験で、最後の体験になるかもしれません。
この講義のためには、多くの企業様の協力が必要となりました。
講義の時間や学生の交通費のことを考えると、出来るだけ近場での視察研修が前提となります。
また、学生の今後の仕事に活かせるような内容をお願いしなければなりません。
時間をかけて、それぞれ趣旨を説明し、協力をお願いしたところ、多くの企業様が快くお引き受けいただきました。
ご協力いただきました企業様には、大変後迷惑をおかけしたとは思いますが、学生にとって初めての経験で大変参考になり、たいへん喜んでおりました。
学生に代わって、お礼申し上げます。
ご協力いただきました企業様を下記ご紹介いたします。
*紡績、テキスタイル (川上) 深喜毛織株式会社様
(泉大津市)
*縫製工場 (川中) タムラ洋裁様
(岸和田市)
*OEM・CAD (川中) ㈱ファションスタジオ・ミキ様
(大阪市南船場)
*コンバーター (川中) サンメリー㈱
テキスタイル (大阪市本町)
〃 ㈱サンウェル
(大阪市本町)
*Web・デジタル (IT関連) デジタルファッション㈱
(大阪市本町)
*セレクトショップ (川下) ㈱フィット = ザ・ファースト
(大阪市心斎橋)
学生のために企画した視察研修ですが、同行している間だに講師の私が勉強していることに気づきました。
考えてみるとこのような現場の視察は、随分久しぶりの経験です。
私の現役時代に比べ、生産の工程や内容には大きな変化はありませんが全てに技術革新と環境問題、流通の変化などの変化を体験することが出来ました。
今現業の第一線でご活躍の方が、どの程度この現場の変化を知っておられるのかと複雑な思いに浸りました。
今後のインパナトーレの為にも、良い勉強をさせていただいたと感謝しています。
ありがとうございました。
講義の中で、学生が日本のアパレルの現状を理解するために、学生の着用している服の素材や生産国、価格、購入店舗等の聞き取り調査しました。
内容はある程度予想はしていましたが、予想以上の結果でした。
素材や生産国は一着を除き殆ど海外生産のものでした。
その殆どが中国生産でした。
価格は1万円以下が殆どなのは理解できますが、ヤフオクや古着などでの購入もあり、想像以上の内容でした。
気になることは、彼らの購入店舗に百貨店が入っていません。
突っ込んで百貨店のイメージを聞いてみると、我々が抱いている百貨店のイメージと異なっているようです。
専門学校の学生であり、デザイナー志望のため、クリエイト型の消費思考で、一般的な若者を代表しているとは思えませんが、気になる傾向と思います。
我々の世代は、「両親に連れられ、百貨店の屋上の遊園地で、メリーゴーランドに乗り、大食堂のお子様ランチをワクワクして食べ、不二家のクリームパフェを食べた思い出」がDNA化しています。
彼らのDNAは「友達とメガSCでナムコのゲームを楽しみ、MACやびっくりドンキーなどのジャンクフードを楽しんでいます」
百貨店に魅力を感じていない彼等が、何時の日か、「百貨店に魅力を感じるようになるのか?」という疑問を感じます。
百貨店のMDの重点が、消費の低迷化のMD策としては仕様のないこととは思いますが、平成大不況の10数年で、ミセス⇒新世代ミセス⇒ヤング⇒ラグジュアリーインポート・団塊世代(リタイア世代)など目まぐるしく変化して来ました。
先日、老舗百貨店同士の経営統合の話題が大きく報道されました。
規模の拡大による経営基盤の確立は重要とは思いますが、次の時代を支える若い世代のお客様の地盤確立も重要課題ではないかと、講義をしながら懸念しました。
専門学校の研修の講師で少し疲れ気味です。
反面、楽しいことも多くあります。
「最近の若い奴は・・・」と言いがちな歳となってしまいました。
学校の中と云う特殊な環境のせいかも知れませんが、講義を受けている学生たちは、思いのほか素直で、礼儀正しく好感が持てます。
校内では知らない学生が礼儀正しく挨拶をしてくれます。
アチラこちらから元気良い挨拶の声が聞こえてきます。
しばらくこのような環境から遠ざかっていた私は、緊張して、挨拶を彼らに返しています。
彼らから若さを貰っています。
若さを貰っているというより「礼儀を教えてもらっています」と云った方が良いかもしれません。
このように躾けられた学生を4月から企業が受け入れることになります。
私は仕事の関係で多くの企業に伺うことが多いのですが、残念ながら、この学校での様子と大きく異なる雰囲気の会社が多くあります。
この機会に、社内を点検されたら如何でしょうか!
前に依頼のあった、大阪の専修学校での臨時講師の授業が始まりました。
1日6時間の集中講義が10日間のハードなコースです。
次の世代の繊維、アパレル業界を支えてくれる貴重な人材になって貰うためにお役に立てると思い少し、ハードな内容でしたが引き受けました。
Blogへの投稿をしばらく遠ざかってしまいました。
先週は4日間の授業でした。
1日6時間で計算すると合計で24時間の講義を行ったことになります。
卒業前に希望と不安を持っている学生を前にすると微力ながら、それに応えた内容のコースにしたいと言う気持になります。
私が40年間で経験し学んだことを、これから社会人になる学生に教えたいと思っています。
経験といっても、今では陳腐化し、捨て去らなければならない内容もあり、
この点を充分留意して行かなければなりません。
学校の正規の授業が理論(知識)と技術の机上での修得が中心になるために、今回のコースは、その理論(知識)と技術を実業の現場でどのように生かしていくかを学ばせよる内容にしています。
先週は主に講義中心の内容にしましたが、今週は紡績から織り染めのテキスタイルからコンバーターや縫製工場やCADや企画会社等のアウトソーシングの現場の視察研修を行う予定です。
慣れない長時間の講義で咽を痛めたようです。
今日の繊研新聞の「め・て・みみ」に最近多発している商品欠陥や不正確な表示などに関する「おわび」についてのコラムが書かれていました。
一昨日の「ナノテク素材の物性」についての私のBlogも商品不良のクレームに関することでした。
私はアパレルの現場を知る人間として、製品不良に対しては、ある程度は理解しているつもりです。
重要なのは「おわび」と「再発防止の具体な対応」です。
私が問題と思っているのは、その通販会社の「再発防止の具体策」に対する姿勢です。
その会社は、「顧客満足」を全面に打ち出し、「返品自由」のプロモーションを行なっています。
アメリカで培った返品率のデータ―(返品発生に伴う損失と、それから得られる宣伝効果の比率)をもとにしたキャンペーンとしか思えないような気がしています。
私はクレームと言うより「再発の防止のための具体策」の為に、年末の忙しい時に、ワザワザ商品を送り、試験を依頼したのです。
その後、期待通りの対応がなされていません。
私はその通販会社の大ファンで、カジュアルの時だけでなく、ビジネスの時まで10年以上愛用しています。
私がNETショッピングをこの年齢で気軽に行なっているのも、この通販会社の影響が強かったと思います。
ところが最近では会社も大きくなって来た為か昔のような対応がなくなっているように感じます。
コンプライアンスを「企業の法令遵守」と捉えるか、「企業倫理・経営倫理」に重きをおくか、はたまた「リスク管理」の一環とするかにより異なると思います。
その点、今日の繊研のコラムに書かれている、SPAの若い社長の取組みに敬意と賛同を贈りたいと思います。
そのSPA企業は、まだ新しく、企業規模も小さいと想像でします。
単なるリスク管理の一つとして取り組むのではなく、企業が大きくなっても、企業文化・企業風土として定着するような内容を期待します。
追:
破損した商品を試験のために、返してくれる事を前提に送ったのですが、時間がたっても返却が無いので、返却を催促したところ、直ぐに返送されて来ました。
その後、先月末のカード会社の請求明細を見ると、その貸出し商品の代金が値引きされていました。
親切心でしたことが、お金で解決され、何か言いがかりをつけたようで、逆に気まずく感じました。
ただ、そのまま返金せずに、頂いたまま(預ったまま?)になっていますが・・・・。
今日のBlog投稿の内容はインパナトーレとしてではなく、
一人の消費者の投稿としてお読みください。
ナノテクノロジーについてお尋ねします。
最近の素材は、先端技術のナノテクノロジーの素材が多く
人気のようです。
天然の素材を、先端技術を使い、原糸、分子の配列を
ナノスケールで自在に制御することに、私は違和感を感じ、
あまり好きではありませんが、機能性の面から見れば
良いのかもしれません。
私が愛用している通販の綿スラックスが、数年前から、
「撥水性や皺になりにくい」などのキャッチフレーズで
綿スラックスの殆んどがナノテク素材になってしまいました。
前にも書いたように、私のジャケット下のスラックスは、
昔から、その通販の商品を愛用しています。
仕方なく購入しましたが、キャッチフレーズほどの
効果もありませんでした。
しばらくすると裾が破れてきました。
5、6本の綿スラックスを交互に穿いていますが、
その中で、ナノテクの濃色スラックスだけが、
裾が擦り切れた状態で破れてきました。
技術的なことは素人同然な私ですが、
その状態からしてあくまで素人考えですが、
「ナノテク処理した関係で、洗剤か、アイロンの温度、
其の他の条件に反応したのではないかと考えられます。
いわゆる「ワルサ」をしたのではないかと考えられます。
3本のナノテクの商品が次々と磨耗(破れ)してきたことに、
少し異常では無いかと考え、原因調査の参考にしてもらうために、
その会社に資料を送りました。
その後、担当者からは、調査中との連絡はありましたが、
外部の検査機関で試験する程度では無いかと思います。
私の仮説(懸念)は、あくまで素人的な考え方です。
このブログをお読みの方やお知り合いの方で、
*このような事例が他に無いか?
*科学的に、このような仮説が考えられるか?
*物性的に避けられない事か?
*単なる偶然の事故なのか?
など、ナノテクに関して、詳しい情報をお持ちの方ご連絡や
ご紹介をいただければ幸いです。
ナノテクブームのなかで、小さな事かもしれませんが、少し気になり、
Blogに投稿しました。
繊維ビジョンがSCM化を提言したのは1993年の白書の時だと記憶しています。
アメリカのアパレル小売産業がクイックレスポンスにより、80年代の低迷から脱しようとした時期です。
80年代後半にアメリカの仕事に関係していた事もあり、鮮明に記憶しています。
その後95年に当時の旭化成FIT主宰のセミナーが開催されました。
「戦略的クイックレスポンスの実践」と題し、サックスフィフスアベニューとラルフローレンから講師を迎え、アメリカの事例紹介のセミナーでした。
当時旭化成FITの主宰をされていた現IFI学長の尾原蓉子氏の基調講演でも、QRの重要性を厳しい口調で強調されていた記憶があります。
受講者は通産省の役人、業界団体、百貨店、アパレル等の実務担当者が多かったと記憶しています。
事例紹介ではQRに重要なのはUPC(バーコード)のインフラ整備が重要と指摘していました。
当時スーパーはアメリカのシステム導入が中心でJANコード体系が整備されていましたが、百貨店、専門店のアパレル関係は整備が遅れていました。
講義の時に伊勢丹始め大手の百貨店のシステム担当社が熱心に聞いておられるのが少し気になっていました。
その後、各百貨店からバーコード体系についての調査や指示、依頼が頻繁にくるようになりました。
私が懸念したように、過剰反応とミスリードが始まりました。
各百貨店が、まちまちのバーコード体系を導入しし出しました。
極端な例をあげますと、同じ百貨店でも店が違うと異なる体系を指示してきました。
例えば、大阪店と横浜店のジャケットのコードが異なるのです。
アパレル側もSKUの概念すら持ちあわせていない時代で、その指示に忠実?に従っていました。
当時の百貨店はVANが中心で、インターネットの概念は無かったのではないでしょうか?
零細なアパレルの専務に過ぎなかった当時の私は、赤提灯でその矛盾を叫ぶしか無かった思い出があります。
講師が大前提と指摘したJANコードの体系のインフラが整備されずに着手した結果、その後のSCM化の遅れにつながってしまいました。
その後、多大設備投資の必要なVANは、投資の出来る大手アパレルに比べ、中小のアパレルの弱体化と成長の障害になりました。
中小にとっての参入障壁になったと言っても過言ではありません。
当時のアメリカは既にインターネットの時代に入っておりました。
その後、インターネットの普及により、「VAN」も死後になってしまいました。同時に「QR」も死後同然です。
アメリカの講師は「QR」システムの導入による在庫ロスの削減効果を強調していましたが、「日本のQR」は納入業者の犠牲により実現したと言えましょう。
「VAN]をGoogleで検索検索すると「VANジャケット」が出てきます。
「QR」は「QRコード」が出てきます。
殆んど死語の状態です。
あのFITの研修会がIT化の起爆剤になったことは評価できますが、
反面、その起爆剤が大きな後遺症を生んだのかも知れません。
その研修会に参加した一人として、今更ながら残念で自責の念すら感じます。(そんな立場ではありませんが・・)
講師の言葉が印象に残っています。
「QRは商売の相手と敵対の関係では成功しない。
共同(協働)の関係にならなければならない。」
この重要な提言を多くの方が聞き漏らしたのかも知れません。
時期の繊維ビジョンの「チーム・繊維」が、この提言を生かせる内容となる事を期待します。
追
平成12年に同じような懸念を持っていた方のBlogを発見しましたので紹介しておきます。
多田茂樹氏(有フラクタルポイント) QRコードセンターの憂鬱
繊維ビジョン(白書)にSCM化とIT化について指針を出しています。
日本の繊維・アパレル業界のIT化は、他産業に比して遅れているだけでなく、海外の企業からも大きく遅れていると実感してます。
香港や中国、韓国のメーカーが出展している展示会の時など、その差は歴然です。
SCM化やIT化で気になることがあります。
私は、SOHOで仕事を行っている関係で、インターネット、メール、携帯電話(Mobile)が情報手段として欠かせません。(このBLOGも同じく重要です)
メール(Mobile)が非常に便利です。
相手が商談時に手間を取らせずに情報を伝えることが出来るからです。
又、料添付など多くの情報が送れるからです。
又、私にとって、インターネットやBlogからの情報は、大変便利です。
辞書、参考書、行政官庁の公報や研究発表などの各種資料など情報の宝庫です。
海外にいる昔の仕事仲間との交流なども楽しいものです。
大学時代の友人グループ8名と昨年の夏からYahooのグループメールを始めました。
メンバー8名だけが利用できるBlogのようなものです。
ブックマークや写真添付、スケジュール表なども簡単に出来て便利です。
Blogのように公開でなく限定なので仲間同士の交流には便利なものです。
私にとって公私共に重要なツールです。
そこで困るのは、名詞にメールアドレスが入っていて、それを使っておられない方が案外多いということです。
名詞にアドレスが入っているからと思ってメールを送っても返信が無い場合が時々あります。
電話で確認すると、「あまり使っていない」という素っ気ない返事です。
多分、社内でアドレスが各自に配分されており、総務が事務的に名刺を作っているのではないかと思います。
幹部の方が多いようですが、入力は億劫かもしれませんが、メールやインターネットを開くだけでもマスターされるべきではないかと思います。
この事はイントラネットが構築されていないということを意味し、WEBで企業間、産業間をつなぐSCM化は時間がかかりそうです。
繊維ビジョン(白書)は、業界のSCM化、IT化の促進を提言していますが、案外こんなところが進まない要因かもしれません。
このBlogをお読みいただいている方には関係のないことですが、念のために!