地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

夕方になりかけた、遅い午後の光

2017年06月09日 | たまに詩人になります
夕方になりかけた、遅い午後の光が好きだ。

朝の光は人を前へ、とかきたてる。
その混じり気のなさは、どこか空虚だ。

正午に向かう午前中、空気はふくらんでいく。
世の人のやる気だとか、はたらく人がたてる音だとか、
そういった活動的なものを吸い込んで、ぱんぱんになる。
ぱんぱんの空気が、光を跳ね返す。

午後になりたての時間、
おなかがいっぱいの空気は眠い。
光を跳ね返す元気もなく、余計にすいこんで、
気だるい。

そうして、時は満ち、夕方になりかけた、遅い午後がやってくる。
空気は肩の力を抜いて、今日という日の終わりに向かい始める。
今日1日何があろうと、なかろうと、今日は終わる。

しっとりとしぼみはじめ、光を柔らかく受け止める。
桜の薄い花びらのようになった空気は、
でも、まだ、生気を十分にたたえている。

ほっとしていて、落ち着いていて、
でもどてっとしてもいなくて、
夜のように余計な由無しごとが充満してもいなくて、
なんとなくどうでもいいような、
でもだからこそ、実は一番意味があるような、
そういう時間。

そういう時間を、気負わずに照らす、
夕方になりかけた、遅い午後の光が好きだ。

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