JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「ミツバチのささやき」

2009-02-04 | 映画(DVD)
「ミツバチのささやき」1973年 スペイン 監督:ビクトル・エリセ
El Espiritu De La Colmena

一人の少女を主人公に、彼女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのとある小さな村に「フランケンシュタイン」の巡回映画がやってくる。6歳の少女アナは姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞き、それを信じ込む。そんなある日、彼女がその家を訪れた時、そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出合い……。

説明的なことは省き、ただ映像のみで理解させるというより感じさせる手法。この映像による圧倒的な説得力は何でしょう。
絶妙な光と闇の使い方。絶妙な時間経過の表現。絶妙な音楽のタイミング。絶妙なロケーション、そしてアナ・トレントの黒い円らな瞳、視線。

かなり深いものがあり、少女の成長、死の認識、イメージ、内戦の悲しみ・・・いろいろなものが隠されていそう。

村に映画を運んできた車に群がる子供たち。
公民館での映画上映を告知するおばさん。
「フランケンシュタイン」1931年(ジェイムス・ホエール監督)ボリス・カーロフ
「なぜ殺したの」と疑問を持つアナの問い。上映中の囁き、ベッドでの囁きあい。
父親の足音・・・
ミツバチの飼育。
自転車で駅に向う母と蒸気機関車のシンクロ。蒸気に消える母。
小さな学校に登校してくる子たち。
人体人形の授業。ドン・ホセに足りないもの、姉に教わり目を付けるアナ。
線路に耳を当て蒸気機関車の音を聞く姉妹。
通過する蒸気機関車、佇む姉妹。蒸気の流れ。
丘から見える井戸のある家。
丘を駆け下りる姉妹。陽光の変化。
ベッドではしゃぐ姉妹。
イザベルの死んだふり。
イザベルの血のルージュ。
焚き火を飛び越える遊び。参加しないアナ。炎のゆらぎ。
イザベルの「何処に行っていた」に答えないアナ。
怪物との出会い。現実と幻想。覚醒。

・・・・・名シーンを挙げるときりが無い。

とても一度きりの鑑賞では満足できない魅力。
今回上映期間のリピートは無理なので年月を置いての再鑑賞を是非。DVD高いし・・・
やはりアナ・トレントです。子役(特に女の子)に滅多に関心を示さない私も完全にイカレました。




渋谷 ユーロスペース レイトショー

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5 コメント

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TBありがとうございます (ちゃとと)
2009-02-04 23:20:08
ユーロ・スペースへ観に行かれたんですね!いいなー♪
私も行こうと思ってたんですが、モタモタしてる間にレイトショーのみになってしまい、行けなくなりました
ホント、名シーンばかりですよね。
実は『ミツバチ~』昨秋捜し求めていた挙句待ちきれず、ネットオークションで、レンタル落ちVHS買ってしまいました。
そしたらその後、DVDボックス発売の知らせが…。
「あれま…」でも即予約しましたよ。年末に届きました。
久々のリマスターDVD発売なので、エリセ監督のオールドファンの再熱、初めて知った新しいファン(私も含めて)も増えるでしょう。
今後も再上映やBOXじゃない単独発売もありそうですね!

そうそう、近々下高井戸シネマでも上映予定ありそうですよ。
3月以降だと思いますが、私も足を運びたいと思っています。
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おや? (imapon)
2009-02-06 21:44:46
ちゃととさんはまだ劇場では観ていないんですね。
下高井戸では万難を排して行ってくださいね。
下高井戸はちょっと間隔的に近すぎるのでパスする予定ですが数年後再見したいと思っております。
DVD単独発売なら価格によっては購入も考えていいかも。(あまり買わない人なんですけど)

返信する
 (とらねこ)
2009-02-20 00:43:21
夢中になって見ていたはずなのに、最後まで見て、もう一度最初から見たくなってしまうんですよね。
本当、これって何なんでしょうね!
もう理屈抜きに、素晴らしい映像で、ウットリして、呆然としてしまいました。

アナ・トレント、誘拐したくなりますね(笑
返信する
 (とらねこ)
2009-02-21 14:37:51
あれれ?私の書いたコメントが反映されてない・・
ちゃんと送れなかったのでしょうか?
すいません。届いてませんか?
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とらねこさま (imapon1960)
2009-02-21 16:47:01
コメントありがとうございます。
すみません。コメントは承認方式にしていて
20日はチェックできませんでした。公開が遅れてしまってごめんなさい。

いろいろ研究されている人による解釈なども興味深いですが、兎に角、心を曳きつける映像の魔力に魅了されたい。
アナ・トレント誘拐ですか・・・(笑)そういう危険性をはらんだ魅力、確かですね。手許に置いておきたい?

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