JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「処女ゲバゲバ」

2008-03-25 | 映画(DVD)
シネマヴェーラ 「若松孝ニ 大レトロスペクティブ」

「処女ゲバゲバ」1968年 若松プロダクション 企画制作:若松孝ニ

「ここは日も射さなきゃ人の声もきこえない、真っ暗闇の地下室だったんだ!」二人の男女(ホシとハナコ)が駆け落ちに失敗し、奇妙な処刑の儀式のために荒野へと連行されるが、それを彷徨いながらなんとか「生き延び」た男は、逆に儀式と称した内ゲバ的な殺人ゲームに興じるボス一味を皆殺しにしていく。

これは大和屋竺脚本の素晴らしい傑作でした。
風吹きすさぶ荒野に1本の磔十字架をおっ立てて、アングラ劇のような奇妙な科白からなる。目隠しされた男は「湖の近くでは」と、女は「地下室よ」屋外に放置されているのに地下室と感じるなんてと思っても、実際、御殿場の荒野が密室となる見事さ。
ボスたち一行は荒野の地下室をマジックミラー越しに覗いて射撃ごっこ。

裸に目隠しをされ拘束されたまま乳繰りあう2人は完璧な処女と童貞。
「駆け落ちは悪い事です」「駆け落ちは良い事です」「駆け落ちに良いもも悪いもあるか、バカヤロー」


ここでの儀式、ボスの命令でホシを一夜のみボスと呼ばなければならない。このキメが事をややこしくする効果も面白い。
テントの中で1人の女を絞め殺し、見事シッポの生えた野獣になったホシ。処刑に参加している肝の座っていない若者たちは恐怖し女は次々に犯され、男達は殺し合いまで始める。
「実録。連合赤軍 あさま山荘への道程」がついに公開された若松監督。ここでの狂乱ゲバゲバに辿る道筋は連合赤軍同様かもしれない。

ピンク映画としてのエロの方はパートカラー作品で、モノクロとカラーの境界、使い分けは不思議な微妙さを持つ。やや褪せたカラーで磔にされたハナコの肢体。スタイルがバツグンという事が無いだけに、また、当時の化粧と、荒野の風になびく腋毛とあいまって妙にエロい。しかも右胸の弾痕から下着を経て足指までしたたる血・・・

死んだと言う形のホシの影の声と磔のハナコとのやり取りが叙情的で好ましい。

夜の射撃ごっことかセルフタイマーの記念撮影の使い方も面白く、TOP画像のスチールにはネタばれが写り込んでいる。あちゃ!

脚本だけでなく音楽の良さも忘れてはならない。
音楽集団 迷宮世界。
調べてみたけど若松映画の音楽担当という事ぐらいしか解らず、素性不明。
ホシの事を歌ったヘンテコな歌も妙に哀しい。

大島渚が付けたというタイトルも当時の時代を反映して素晴らしいけど、大和屋の脚本「ガセネタの荒野」こっちのタイトルも捨てがたい。

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3 コメント

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こんばんは (とらねこ)
2008-03-27 21:18:40
>自分の好きなことばっかりやって、やらなければいけないことはほったらかし
ああ、耳が痛いです私もまさにその通りで・・・。

おお、imaponさんはヴェーラ通いなさっているのね。
若松特集・・やってるナー、ヴェーラ、なんて横目で見てはいたのですが、この作品はなかなか面白そうですね

>裸に目隠しをされ拘束されたまま乳繰りあう2人は完璧な処女と童貞
なるほど。。逆に、目隠しというのが、処女と童貞には良さそうですね。
目が開いたままだから、あんなに苦労したんだ・・(小声)
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YEAH!とらねこさん (imapon)
2008-03-30 00:06:31
コメントありがとうございます。

プロフィールは映画「パプリカ」からの引用です。
私もこの科白聞いた時、耳が痛い、自分もまさにその通りと、即採用しちゃいました。
若松特集は当初予定より通ってしまっています。前回の東宝アクションで狙い目をはずした反動?
返信する
とらねこさん、つづき (imapon)
2008-03-30 00:10:35
goo
コメントって投稿しちゃうと編集できない・・・

小声の体験談、ごちそうさまでした。


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