JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「サンティアゴの光」

2009-09-27 | 映画(DVD)
「第6回ラテンビート映画祭」

「サンティアゴの光」2008年 チリ・アルゼンチン・スペイン・フランス 監督:アンドレス・ウッド
LA BUENA VIDA / THE GOOD LIFE

チリの首都サンティアゴ。亡き父の墓を確保するため奔走するエドムンド、離婚した夫への複雑な想いを引きずるテレサ、望む仕事が得られないクラリネット奏者のマリオ、女手一つで幼い子を育てる病身のパトリシア。幸せを求めて懸命に生きる4人の人生が都会の喧騒の中、街角で、路上で、バスで気付かぬうちに交差する。誰もがどうしようもなく不器用で、足りない物が沢山ある上、毎日何かを失っていく。それでも淡々とした日常の中で大事なことに気づく瞬間があるから、きっと生きている。チリ傑作映画『マチュカ』の監督が現代を鋭く切り取った群像劇。

未知の都市サンティアゴを舞台にした映画という事で街の風景に期待をして見に来たんだけど、上映後のQ&Aで監督が「役者とともに人物をいかに描き出すかに力点を置いて作った作品」と言っていた通り、それぞれの人物像が鮮明に浮かび上がる群像劇のお手本のような作品。
勿論サンティアゴの街やバスの情景、トップレスバーのような風俗店も出ては来るけど、いつの間にか人物の物語に見入って街の様子を堪能する迄には至らなかった。

関係性のない人物がすれ違い、ある点で微妙に結びつくという展開で、さほど新しい物でもないのだろうけど。
パトリシアの娘の悲劇という実話を元に作られている。

チリの墓地事情。一般的に火葬ではなく埋葬だが敷地にも限度があるので古い死体は火葬して立体墓地に移り、新しい死体に場所を提供する事を勧められる。それにしても何かに付け高い金額を吹っかけられる。
逆にクラリネット奏者のマリオは望む楽団に超ベテランのクラリネット奏者が居るため補欠となってしまう。老奏者の家まで押しかけ引退してくれるよう懇願する。
この2人が登場人物の中で最も関わりを持つ。母親や恋人との関係など何かと胡散臭いエドムンドの粋な計らいと喜ぶマリオ青年の顔が印象的。

エドムンドの粋な計らい、マリオのクラリネットケースに貼ってある恋人の写真に書かれた「Huevon!」
監督のアンサーを通訳してくれた人は「がんばれ」と言うような意味ですと言っていました。でも本当は「マヌケ」「アホ」「お人よし」・・・「お前アホちゃうか」といったような間投詞的ツッコミの意味があるんですと。

気が強くしっかり物の母親テレサと上昇志向のまるでない別れた夫の関係なんてのも面白い。
豊かな表情とややヒステリックな仕草が可愛いテレサ役のアリネ・クッペンヘイム。しっかりはしているけど何も解っちゃいない女心の赤坂ぶりがGOOD!
2人の間の高校生の娘が密かに書いているのが小説「サンティアゴの光」だ。

数多くのシーンが珠玉のような輝きを持っている。



LA BUENA VIDA

新宿 バルト9

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