JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「斬る」

2014-06-07 | 映画(DVD)
「岸田森特集」

「斬る」1968年 東宝 監督:岡本喜八

時は江戸時代、部隊は上州の小藩。侍を捨てた弥源太と侍になりたい半次郎は、家老の圧政に立ち向かう青年武士たちに出逢うが・・・

こりゃスゴイ。やはり岡本喜八は娯楽映画の神。だから沢山観とかなくちゃいけないんだ。
「独立愚連隊」は続編の「西へ」しか観てないけれど、学生時分、映画の講義で教授が「それまで敗戦国日本では戦争を題材にしたメッセージ性の強い良い映画が多く作られていたが、岡本喜八は戦争を単なる娯楽にしてしまった」と嘆いていたけど、私はその話を聞いただけでまだ見ぬ岡本喜八映画が好きになったのだから。

黒澤映画が鬼門で、観たいとは思っているのになかなか敵わない。理由は自分の中で明確なので仕方ない。だから黒澤映画と比較が出来ないのが残念。きっと岡本喜八の方が好きだと思う。(黒澤監督、見てないのにごめんなさい)

オープニングの上州空っ風の宿場町の情景だけでも参ってしまう。
主だった登場人物の現れ方、出合い方。マカロニウエスタンのよう。黒澤映画と比較される所以。比較対象は「椿三十郎」「用心棒」あたりのようです。見なきゃいかんな。
そして豪華なキャスト。それぞれのキャラが際立っていて、なんとも愛しい映画に仕上げてくれるのも岡本喜八映画の楽しみ。
今回も凄いぞー。武士をやめちまった仲大達矢の源太と、百姓から侍に成りあがりたい高橋悦史の半次のコンビ。
高橋悦史という役者がこれほどまでにキュートでチャーミングな男だとは気づきませんでした。主演級でもあり、本作の中でも抜群のキャラです。

豪華な出演者は、他に青年武士の中村敦夫、久保明、中丸忠雄、土屋嘉男。藩の乗っ取りを企む次席家老・鮎沢多宮に神山繁。すっとぼけた家老の東野栄治郎・・・・、黒部進や天本英世も出ています。

際立つキャラの中で、どうしても自分が好きになれないのが、青年武士、中村敦夫の哲太郎の許嫁・千乃(星由里子)・・・ウザイ女だ。
ひょっとして星由里子が嫌いなのか?オレ。と気付く。早いところ、まわしてやって。
ここまでウザくできるというのは女優として資質が高いのかもしれんね。

その分、ウルトラマン役者でもある田村奈巳が良かったので安堵する。

さて、特集の主役である岸田森は、青年武士討伐のために雇われた浪人の組長・十郎太。いつになくクールでいて正義感のあるカッコ良い役で、死にます。その女房が田村奈巳。

全編に渡る活劇としてのカッコ良さに何とも言えぬ可笑しみが加わり、岡本喜八ならではの傑作。

シネマヴェーラ渋谷

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