「女囚701号 さそり」

「劇画≒映画（げきがニアイコールえいが）」

「女囚701号 さそり」1972年　東映　監督：伊藤俊也

恋人だと思っていた刑事に裏切られたあげく投獄された松島ナミは、男への怨念をはらすため刑務所を脱走する。当時の劇画界に旋風を巻き起こした篠原とおるの原作を映画化。女子刑務所を舞台に、刑務官の暴行、女囚同士の対立、リンチ、暴動など、女囚たちのショッキングな生態が生々しく描かれる。黒いロングコートに黒い帽子という例のさそりスタイルで復讐に向かう梶芽衣子の眼力(めぢから)に魅せられよ！

今年初めて「女囚さそり けもの部屋」を見て、シリーズ第1作のこちらはすぐにでもDVD借りたかったんだけど、劇場でかかるのを待ってました。
長く待たずに実現は嬉しい。

あのさそりのキャラクターがどのように生まれたのか興味津々の第1作。
なるほど、麻薬操作刑事、夏八木勲に騙されて復讐の鬼と化したんですね。
それは解った。しかし、平凡に幸せを求める処女だった松島ナミが何故あんなにもクールでワイルドで強靭なさそりのキャラクターを身に付けたのか？
そんなことはどでも良い類の映画なんだけど、あまりにカッコ良すぎるさそりの謎にどうしても触れたくなる。
半裸でもって警視庁前で刃物振り回すところから、もって生まれたキャラなのか？考えにくいぞ。

とにかく梶芽衣子の映画。
クール＆ワイルドの極めつけシーンは、女看守（片山由美子）が囚人を装い特別牢に侵入した際・・・
「おしゃべりがすぎるよ」とピシャリ！
何なんでしょうこの風格。

片山由美子が金髪看守コスプレで、梶芽衣子にレズの味を教えられ虜になってしまい渡辺文雄に「もう一度、私を特別牢に！」と半狂乱状態で訴える。訝しがった渡辺文雄が征服をひん剥かせると胸にキスマーク！
「ふしだらな女め！」と折檻。
ここが一番の笑いどころでしたね。

さそりは囚人の間でも孤立していて佇まいがめちゃカッコ良い。
いびりに来た女囚を手足を拘束されたままスープで大やけどを負わせるシーンも痛快。

そんなさそりに援助の手を伸ばすのが、これまたクールなお姉さん扇ひろ子。
まったく美人じゃないのに侠気があってカッコ良い。

さそりを姉のように慕うのが「けもの部屋」でも再登場していた渡辺やよい。
さそりが一人で穴を掘らされていて、他の囚人が逆にスコップで穴を埋めるシーン（閻魔落とし・・・とか言ってましたか）渡辺やよいの視線に見せる梶芽衣子の一瞬の笑顔。
クールなキャラだけにこのスマイルが鮮明で美しい。

劇画の原作らしい演出は、三原葉子の裸隈取りのシーン。あまり笑えないシーンだけど三原葉子のちぢれ毛振りみだしの熟女ヌードが凄まじい。
渡辺文雄をメッカチにするも絞殺されちゃう。

他にも薄眉エクボの横山リエがさそりの好敵手役。
どさくさにまぎれて囚人篭城のリーダーとなる根岸明美など・・・

女刑務所ならではの描写もあるにはあるが、これはやっぱり梶芽衣子さそりのための映画であって単なる女囚映画とは言えまい。
カッコ良さと美しさにただただ見惚れていれば良い。

他の2作品もシネパトスでの上映が近い。行きたいですね。

シネマヴェーラ渋谷