ゆびおり短歌

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短歌人2017.7より同人の歌

2017-08-10 | 短歌人誌より
同人2より。

ブラインドおろす加減を決めかねて畳に千千(ちぢ)のさざ波を呼ぶ/三島麻亜子

木のおもちゃ床に散らばり暗闇の中にも息の響くがごとし/中井守恵

もの言はずひたすら歩く夫の後草ふみてゆく山辺の道/高﨑愼佐子

曇天の膨らめる海にたれも無口こゑ放つともこゑは吸はれて/川井怜子

果てしなく遠い時間と思いしが終わるもかなし住宅ローン/松村威

わが吹かす煙草の煙は天井に届かずに消ゆ 年金暮らし/野村裕心


同人1より。

水面に連なり流れていった花きれいなものは早く行きなよ/猪幸絵

冬タイヤ穿いたから本栖湖へ行かう もう一度さう言つて誘つて/酒井佑子

なだり濃き夕闇降ればふうはりと灯るごとくにひとつ傘ゆく/大谷雅彦

真夜覚めて部屋の隅なにか言いたげなる者の気配はまさに春なり/西川才象

桐の花うすむらさきに咲きそめてゆふべの闇にしばし間がある/小池光

さくら、さくらと騒(ぞめ)きしことも風と過ぎ想ふのみにて観ずをはりけり/蒔田さくら子

額(ぬか)あかるむとさくら仰ぎてよき春のくるとおもひき若かりしかば/蒔田さくら子

少し前に言ひ得し草の名が消えて名を追ひてをりその草の辺に/古川アヤ子

遠ざかるひとがほがらにふりむけり遠ざかるのはわれかもしれぬ/柘植周子

左官の手に塗らるるごとき曇天の白のなめらかなるをあじわう/内山晶太

「おう」ときみがくれたみたいな海苔の缶あの日通夜から提げて帰った/谷村はるか



7月の扉より。

出てゆくことも落ちてゆくこともゆるされずラムネの壜のくびれにとどまる/魚住めぐむ「ラムネの壜の」

枝の伸びる影が地を這ふ私とし歩み孤を描くカラスたちよ/泉慶章
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