ゆびおり短歌

「短歌人」に所属しています

短歌人2017.6より同人の歌

2017-07-06 | 短歌人誌より
同人2より。

もう何も言ひたいことは何もないやうな気がしてけふの春暁/大室ゆらぎ

耳を摑みウサギを下げし感覚が春の夕べの手によみがへる/時本和子

橋梁にうつる水紋ゆらゆらとたれに待たるることもなし春/川井怜子

わが内に無口な子供が住みをりて春のかもめをしばらく見あぐ/田上起一郎

おかへりと言ふとき未だはなやぎは吾にきざして君をむかへる/勺禰子

バツイチの四十前のおっさんに恋した女と親戚になる/桑原憂太郎

うつむきてペンのインクを入れ替える敵も味方もおらぬ職場で/有朋さやか

見送られ夜の駅舎にひとりなり花びらこぼれ零るるを抱く/三島麻亜子


同人1より。

白鳥の野太き声を跳ね返す空の硬さを冬と呼びたり/森澤真理

春宵のうすくれなゐの花びらにこの世に光る雨つぶの見ゆ/青輝翼

身の裡にかへるおもひの木下闇ものの芽立ちのにほひたつとき/柘植周子

駅名は車窓に流れ思い出もまた雑念のひとつのかたち/谷村はるか

影のなきけものとなりて横切れり信号のみが目覚めいる街/守谷茂泰

墓のなだりを背に負ふ家に住みつきて老いたりことしの野水仙をはる/山下冨士穂

セーターが顔の上を通り過ぎるとき遠き羊の香は及ぶわれに/酒井佑子

なかなかに咲かぬ桜を責めるやう三月なかばの風のつめたさ/高田流子

春の陽に影は色濃くなりにけり手の届かざる場所に昨日は/宇田川寛之
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 短歌人2017.6より会員の歌 | トップ | 短歌人2017.7より会員の歌 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌人誌より」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL