ゆびおり短歌

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短歌人2017.3より同人の歌

2017-05-03 | 短歌人誌より
同人2より。

水湛ふる器となりて高層のビルはときをりゆらぐとおもふ/田中愛

一輪の薔薇がつくりし翳は濃く何も置かない朝のテーブル/三島麻亜子

どこへでも行けるのに行かぬ子のために天球儀型の林檎を焼きぬ/春野りりん

松の葉の落ちたるものは地にありてまたひとつ落つ 終りはしづか/田上起一郎

ロッカーの狭さに合わせ横向きにかばんをしまう派遣のわれら/有朋さやか

をさなごを亡くしし人の訴ふるビデオみてのち免許をもらふ/長谷川知哲

願ふことなきままに打つ柏手の音は凍ゆる杜へ消えゆく/松野欣幸

冬陽差す動物園の片隅に誰も乗せない回転木馬/吉川真実


同人1より。

湯がさめて捨てられてうづをなすさまをみおくる熱のうしなはれたうづ/花笠海月

野地菊が茶室に楚楚と活けられてけふは誰にも嘘をつけない/山下冨士穂

空き缶が転がる車内こころでは蹴とばすわれへ転がつてくる/髙澤志帆

きりぎしの果てにしばらくただよへるわれよりも濃き影ひとつあり/大谷雅彦

夕闇は馬のごとくに濃くなりぬ冬の京都をたちてたちまち/小池光

空き家かと思いし家は灯りいて歳晩の夜を木々は鳴りおり/関谷啓子

ゆつくりと母の持つ箸おちやわんの呉須の模様をつままむとする/大越泉

冬枯れの雑木林の向こうにはけもののように海が横たわる/守谷茂泰

坂が坂を呼びこんでいるようなみち長き下りも本町二丁目/小野澤繁雄

門灯の代わりに老婆すわりいる夕暮れ早き町内の家/水谷澄子

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