ゆびおり短歌

「短歌人」に所属しています

いただいた歌集から

2009-08-10 | 日々のこと
今日は、これまでにいただいた歌集から、私の好きなうたを紹介していきます。

ではいただいた順に。


『柚子色短歌ーサクラサクー』 ゆずちゃん
私も編集委員として名前を載せてもらったこの文庫本サイズの歌集。
ゆずちゃんの大学合格サプライズとして伊藤夏人さんがまとめてくれた、私にとっても大切な一冊です。

○食べたい食べる食べにいこうきみとべたべたしたがる予測変換「タ」
好きな人と一緒にご飯やお菓子を食べるのは、大切なこと。
べたべたが二人の仲と食べることにかかっていることと、予測変換という言葉をもってきたのがスゴイ。

○蝉が死んでもあなたを待ってますバニラアイスの木べらを噛んで
「木べらを噛んで」というのが生々しい。
読むたびに口のなかにバニラアイスの味が滲みた木べらの甘さが広がります。


『やわらかいと納豆』 伊藤夏人さん
「柚子色短歌ーサクラサクー」と同時にご自身の歌集も作成していたなつとさん。
ゆずちゃんのピンクの表紙に対し、こちらはブルー。
イマイのも同じように作ってほしいーとちょっと嫉妬(?)しました。

○何もない12月なんてイヤだから前髪だけを少し揃える
ケータイ短歌にてなつとさんのお名前をチェックするきっかけとなった一首。
このうたを覆う薄暗さに惹かれます。

○弾かれた玉です僕は弾かれた玉です君に弾かれた玉
飄々としていてでも爽やかで、だからプレイボーイ短歌でも嫌味がないのだろうと、勝手に思っております。
「僕は」「君に」が玉に見えてきます。


『たぶん、忘れない』 木下一(元くまさん)さん
これを持っているのは貴重なんではないかと思っているのですが、どうなんだろう。
「短歌サミット」のとき赤髪のウィッグをつけたくまさんよりいただきました。

○父さんのアドレス聞いて父さんが桜が好きって初めて知った
自分の親の好きなものって、知っているようで結構知らないものだなと気づかされた一首。
好きなものだけじゃなく、悩みとか不安な夜とか、実は何も知らないのだなと。

○ノーベルでくの坊賞をもらえるほど強く誰かを思っていたい
好きな人を思い続けて何もできなくなるその最上級にまでいきたい、という強い思いが圧倒的に迫ってきます。
ゆずちゃんの「予測変換」もスゴイと書いたけど、くまさんの「ノーベルでくの坊賞」もスゴイ。


『辻井竜一』 辻井竜一さん
ご自身の歌集が発売される前に、ご自身で海賊版をつくってしまった辻井さん。
「総務課の田中」シリーズも収められていました。

○二万円ポケットにあるあと全部ロッカーにあるそんな日もある
ラジオからこのうたを聞いたとき、うわー・・・と声が出てしまったことを今でも覚えています。
テーマは<秘密>でした。人とは異なる視点。

○申し訳ございませんが総務課の田中は海を見に行きました
なんだかとても背景を思い描いてしまう一首。
総務課の田中さんはもちろん、この語り手の人の声とか、田中さんとの会社での関係とか。


『Schoolgirl Trips』 岡本雅哉さん
単語帳っぽいつくりの短歌集、とてもすてきです。
「短歌サミット」のあとの「ぱふゅみ」のあとに、慌てていただきました。

○ブルマーをはみだす白が走り去る存在証明なんていらない
なんでこのうたが好きなんだろう・・・と考えたとき、「存在証明なんていらない」と言える潔さ(しかもブルマーから白いのが見えているのに)が羨ましいのだと気づきました。

○みんなみんな何かを忘れたがっていて深く深く地下の駅へと潜る
東京って、確かに深いところまで潜っていって改札を抜けたりしますね。
それと忘れたがっていることとは関係はないのに、共鳴していて、うつむいている人々の群れが浮かんできます。


『ポイすて短歌』 とらをさん
ある日届いたとらをさんからの手作り歌集。写真と短歌の組み合わせがいい味を醸し出しています。
もちろんポイすてなんてできません。

○なんでまた俺がやるんだふざけんなぶつぶつ替えるトイレペーパー
この歌集の一首目がこのうた。たくさんいいうたがあるのにこれを持ってくるとらをさんのユーモアさがいいですよね。
私はトイレものの短歌が結構好きみたいです

○今日も咲くコップのなかの水中花ハローワークの踊り場の窓
こういう淡々と情景を述べた短歌が好きです。
「今日も」ということはしばらくハローワークに通っているということで、やるせない気持ちが伝わってきます。


『ポケ短。-チューニングー』 ウクレレさん
手先の器用なウクレレさんによる、とてもかわいい装丁の手作り歌集。栞はうれしいサプライズでした。
文庫本サイズで、正にポケットにいれて一緒に出かけられる一冊です。

○シーソーに僕といっしょに乗っていた62.5キロの空気
ケータイ短歌にてウクレレさんのファンになったきっかけのうた。
夜、仕事帰りにひとりでシーソーにまたがる男の背中が見えました。せつない。

○地球儀をくるり半回転させてどうでもいいと子は部屋を出る
思春期を迎えた子と見守る父親、これも淡々としているからこそ気持ちがぐっと読む側に伝わってくるのだと思います。


どれも大切な宝物です。ありがとう





 
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10 コメント

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Unknown (くまさん)
2009-08-10 17:45:16
感想ありがとうございます!
「多分、忘れない」は世界に二冊しかないですよ!笑

でくの坊~の歌は実は短歌くださいでボツになったやつなんです笑
でも気に入ってくれる人多くて嬉しいです
くまさんへ (イマイ)
2009-08-10 19:27:48
コメントありがとうございます^^
一個にしておきました(笑)

世界に二冊!!そこまでレアだとは思いませんでした。
逆にそのうちの一冊を私が持っていていいのでせうか・・・?
でもありがとう。でくの坊、大好きです。

Unknown (ウクレレ)
2009-08-10 21:56:38
こんばんは。

拙歌集をご紹介いただきありがとうございます。

なんとなく歌集にまとめたくなって、作ってみただけなのに何か区切りみたいなものができるものですね。

これからはもう少し淡々とした歌が詠めたらなと、最近感じています。短歌をやりだした頃は短歌人の近藤かすみさんの影響を受けていました。
ウクレレさんへ (イマイ)
2009-08-11 18:08:48
コメントありがとうございます^^

『ポケ短。』は見た目かわいく中身せつなくで、良いですね。
まとめているときはその事に夢中になりますが、できあがると確かに区切りになるようです。
近藤かすみさん、ミニエッセイが掲載されていました。
すてきなお人柄なんだろうなと思います。
Unknown (杉本とらを)
2009-08-11 21:24:03
ありがとうございます。嬉しいなどうも!

ハローワークの歌は、もう14年前になりますが、バブルが弾けて、ガタガタと落ちていく売り上げに、社長は次々と不当な理由で社員を解雇していきました。
それに腹を立てて、社長と喧嘩をして会社を辞めてしまいました。
そのあと暫く、ハローワークへ通っていたことを思い出して出来た歌でした。

しかし、皆さんの名前の中に俺なんかが出て来ちゃちゃ申し訳ないです。

Unknown (伊藤夏人)
2009-08-11 22:39:51
歌集の紹介ありがとうございます。
照れますね^^

前髪を揃えるの歌は
初めてケータイ短歌の放送内で紹介された歌で
自分にとっても思い出深い歌です。
「短歌始めました」な感じでやってましたが
前の前の12月の事ですからもう随分経つんですね。
知り合う前のイマイさんに覚えていただだてたなんて
恐縮です。
これからもこんな感じで詠んでいきたいです。

ありがとうございます。 (岡本雅哉)
2009-08-12 18:28:30
イマイさん、とりあげてくださってありがとうございます。

“ブルマー~”の歌は自分にはめずらしく“飛躍”を使った歌なので、それを選んでもらえたのはうれしいです!なんていうか、若い頃ってごちゃごちゃ考えたりするじゃないですか、答えもないのに(笑)それを軽々と超えてっちゃう魅力的な女子を描きたかったんですよ……。

“みんなみんな~”の歌は、くりかえしを使うのって抵抗あったんですが、なんか“催眠効果”っぽくなるかなって思って使ってみました……。

って、イマイさんが選ばれたのって、僕の中でも実験っぽい歌なので、すごい励みになりました!
これは恩返しに“ゆび短”のレビューもしないとな(笑)
杉本とらをさんへ (イマイ)
2009-08-12 21:44:52
コメントありがとうございます^^

『ポイすて短歌』が届いてとても嬉しかったです!
しっとりしすぎない写真が好きな雰囲気でした。

ハローワークのうたは「NHK短歌」で初めて読んだときからずっと、いいなと思っています。
「婚礼の~」も好きなうたです。
伊藤夏人さんへ (イマイ)
2009-08-12 21:56:23
コメントありがとうございます^^

前髪のうたは確か朗読でしたよね?
(間違ってたらゴメンなさい^^;)
私もこうなふうに読んでいきたいです。

・・・そうか、もう前の前の12月なんですね。
まだそれだけしかとも思うし、もうそんなに経つのかとも思います。
岡本雅哉さんへ (イマイ)
2009-08-12 22:21:45
コメントありがとうございます^^

二首とも実験的なうただったんですねー!
ブルマーの女の子は魅力的です。
高校生のイマイが読んだら、ちょっと泣いてしまうかもしれません(泣笑)

みんなみんな~のうたは繰り返しが自然と入ってきて、どんどん地下へと潜る感覚がしましたよ。

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