その後はちょっとだけ逢う機会があったが、相変わらず言葉を交わすことは少なかった。
春、夏、秋、冬。
逢える機会は季節によって変わる。
冬の長いここでは、雪が降るとなかなか逢いに行くことなんて少なくなる。
まだ、雪が少ない年だとしても、道路なんかは凍ってしまいよく事故が起きる。
ありがたいことに、私は1度だけ市内で事故を起こしてから、冬の間はとにかく安全運転しかしない。
田舎町には移動の手立てはほとんど車である。
それでも会いに行くのに自由の利く車が一番いい。
車を走らせて、好きな音楽を聴き、逢えることの嬉しさを聴こえる音楽に乗せて走るのが楽しい。
そんな事が毎日の中に''彩り''をつけている。
大人しくなるこの時期に逢えることになった。
めずらしく雪は少なかった。
アイスバーンの道もお昼すぎには全然溶けていて運転するのは怖くはなかった。
隣町まで道程。
三時間。
いつもはわりとくすんで見えていた。
代わり映えのない景色に嫌気すら起きるほど。
その日はすごく綺麗に見えた。
雪は路肩に積もっているだけ。
それ以外は何も変わらない、いつもと同じなだけで、違うと言えばAさんに逢えることと季節が冬ということだけ。
路肩の雪が住む街より多くて、びっくりする。
これだけは違う地域だけど、毎年見ていても慣れることがない風景だった。
窓ガラスを開けると入ってくる冷たい空気が澄んでいた。
冷たい風は、逢えることの喜びと得体が知れない不安を呼んでいた。
ほんの少しの''希望''という不思議な感覚と共にふと思った。
''また出逢った頃と同じ季節なんだ''
繰り返す季節のどこかにAさんの姿を置くとしたら必然的に''冬''なのかもしれない。
出逢った頃と季節だからかもしれないが、なんとなく冬のイメージがある。
雪が降ると寒くなるのではなく、結構暖かいものである。
むしろ、雨の日が寒い。
凍えるくらい寒いが、雪が降るときは寒さの中にどこかふわっとした暖かさを感じる。
Aさんのイメージもおもしろいくらいに似てる。
一見、冷たい人?と思わせるほどの雰囲気は持っている。
笑ったときの笑顔は格別に柔らかく、ふわっとした暖かさを見せてくれる。
不器用な優しさを見せてくれることもある。
所謂、人見知りというのだろうか。
あまり人を信頼するようには見えない。
信頼したあとにはしっかり付き合いをする。
そんな感じがした。
ようやく逢えたその日。
たまたま入った友人と入ったお店にAさんとAさんの友人が来た。
一緒にお酒を飲むことになり、飲んでいたが味は覚えていない。
いつも飲んでいるものが多かったが、美味しかったというよりも味を覚えていないと言った方が正しい。
楽しく談笑していたが、私は早く帰りたかった。
居心地は悪かった。
好きな人と飲めるなんて、そんな日が来ると思っていなかった。
予想はしていなかった。
泥酔出来ていれば。
記憶が無くなるほど酔えたらどんなによかったか。
そう思っていた。
しかし、あまり酔わない私は損である。
昔付き合っていた人に言われたことがある。
『酔わない女は可愛くない。』
少なからず、付き合っている人に言われるとショックを受ける。
私だって、昔は酔って楽しくなってって事は沢山あった。
それで失敗もした。
経験が物を言わせる事だってある。
しかし、最近そこまで酔わないのは経験があるからである。
その失敗もしたくないから酔えないのであって、むしろ、大切な人と飲めるなんてなると気が張ってしまい、余計に酔わない。
むろん、どれだけ酔っても記憶なんて無くならない。
もう特技でしかない。
帰り道、少しだけ一緒に歩いた。
その時に沢山話せた。
私には''幸せ''な時間だった。
自分をかわいく見せてみたい。
そう思っていてもこの性格だと難しかった。
所々、道は凍っていて危ない道だった。
夜中の風は頬を刺すように冷たかった。
確かに寒い。
しかし、不思議なことに寒さを感じなかった。
氷に足を取られたとき、ふいに腕を掴んでしまった。
Aさんはびっくりしたと思う。
掴んだ腕に力が入っていた。
春、夏、秋、冬。
逢える機会は季節によって変わる。
冬の長いここでは、雪が降るとなかなか逢いに行くことなんて少なくなる。
まだ、雪が少ない年だとしても、道路なんかは凍ってしまいよく事故が起きる。
ありがたいことに、私は1度だけ市内で事故を起こしてから、冬の間はとにかく安全運転しかしない。
田舎町には移動の手立てはほとんど車である。
それでも会いに行くのに自由の利く車が一番いい。
車を走らせて、好きな音楽を聴き、逢えることの嬉しさを聴こえる音楽に乗せて走るのが楽しい。
そんな事が毎日の中に''彩り''をつけている。
大人しくなるこの時期に逢えることになった。
めずらしく雪は少なかった。
アイスバーンの道もお昼すぎには全然溶けていて運転するのは怖くはなかった。
隣町まで道程。
三時間。
いつもはわりとくすんで見えていた。
代わり映えのない景色に嫌気すら起きるほど。
その日はすごく綺麗に見えた。
雪は路肩に積もっているだけ。
それ以外は何も変わらない、いつもと同じなだけで、違うと言えばAさんに逢えることと季節が冬ということだけ。
路肩の雪が住む街より多くて、びっくりする。
これだけは違う地域だけど、毎年見ていても慣れることがない風景だった。
窓ガラスを開けると入ってくる冷たい空気が澄んでいた。
冷たい風は、逢えることの喜びと得体が知れない不安を呼んでいた。
ほんの少しの''希望''という不思議な感覚と共にふと思った。
''また出逢った頃と同じ季節なんだ''
繰り返す季節のどこかにAさんの姿を置くとしたら必然的に''冬''なのかもしれない。
出逢った頃と季節だからかもしれないが、なんとなく冬のイメージがある。
雪が降ると寒くなるのではなく、結構暖かいものである。
むしろ、雨の日が寒い。
凍えるくらい寒いが、雪が降るときは寒さの中にどこかふわっとした暖かさを感じる。
Aさんのイメージもおもしろいくらいに似てる。
一見、冷たい人?と思わせるほどの雰囲気は持っている。
笑ったときの笑顔は格別に柔らかく、ふわっとした暖かさを見せてくれる。
不器用な優しさを見せてくれることもある。
所謂、人見知りというのだろうか。
あまり人を信頼するようには見えない。
信頼したあとにはしっかり付き合いをする。
そんな感じがした。
ようやく逢えたその日。
たまたま入った友人と入ったお店にAさんとAさんの友人が来た。
一緒にお酒を飲むことになり、飲んでいたが味は覚えていない。
いつも飲んでいるものが多かったが、美味しかったというよりも味を覚えていないと言った方が正しい。
楽しく談笑していたが、私は早く帰りたかった。
居心地は悪かった。
好きな人と飲めるなんて、そんな日が来ると思っていなかった。
予想はしていなかった。
泥酔出来ていれば。
記憶が無くなるほど酔えたらどんなによかったか。
そう思っていた。
しかし、あまり酔わない私は損である。
昔付き合っていた人に言われたことがある。
『酔わない女は可愛くない。』
少なからず、付き合っている人に言われるとショックを受ける。
私だって、昔は酔って楽しくなってって事は沢山あった。
それで失敗もした。
経験が物を言わせる事だってある。
しかし、最近そこまで酔わないのは経験があるからである。
その失敗もしたくないから酔えないのであって、むしろ、大切な人と飲めるなんてなると気が張ってしまい、余計に酔わない。
むろん、どれだけ酔っても記憶なんて無くならない。
もう特技でしかない。
帰り道、少しだけ一緒に歩いた。
その時に沢山話せた。
私には''幸せ''な時間だった。
自分をかわいく見せてみたい。
そう思っていてもこの性格だと難しかった。
所々、道は凍っていて危ない道だった。
夜中の風は頬を刺すように冷たかった。
確かに寒い。
しかし、不思議なことに寒さを感じなかった。
氷に足を取られたとき、ふいに腕を掴んでしまった。
Aさんはびっくりしたと思う。
掴んだ腕に力が入っていた。