東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

型抜きと型起し

2016-07-27 03:31:16 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 既に今年も折り返し点を過ぎたとかラジオやテレビで聞きますが、7月も終盤。ちょっと焦ります。というのも今年に入ってからレギュラーの仕事に明け暮れていたので、日頃からレパートリーを増やしたいという思いがあまり達成できていないのです。昨年でいうと7月に作品展をさせてもらえる機会があったので、それなら新しいレパートリーも、、と思ってその時点で3種類の人形を起こしました。

 先日まで型抜きして素焼きまで運んだ鉄砲狐に着色して早くお納めにあがりたい、という思いもあるものの、その次の動きを考えると色を使う前に既成の型の人形もある程度型抜きして貯めておいて早く乾燥させ、色塗りの裏で素焼きを済ませておこう、できればせっかく粘土いじりをするのだから、ひとつでも新しい型を起こして、それも型抜きして素焼きを目指したい、と思いました。

 常日頃から仕事場のスペースのことでぼやいていますが、実働する手は2本。できることに限りがあるのは当然ながら、ふたつ以上の作業を同時進行できるならば、気持ちを急くこともないんですが、、。

 今回起こしたのは福助とお福の夫婦。今戸の福助といえば、東京の古典落語の演目のひとつ「今戸焼」の最後のオチに出てくることでも有名です。落語の演目でもうひとつ有名なのは「今戸の狐」に出てくる鉄砲狐ですね。落語に出てくるくらいなので今戸焼の福助もどこにでもあったのでしょう。しかし思い出すのは昭和を代表する郷土玩具の愛好家であり研究家でもあった故・牧野玩太郎さんの文章の中に「未だ見たことないもののひとつ」として「今戸焼の福助」が記されていたことです。昭和40年代に芳賀書店から発行された「東京の郷土玩具」という写真集の巻末の文章だったと思います。

 ただ最後の生粋の今戸人形師であった尾張屋・金沢春吉翁(明治元年~昭和19年)のお作りになった人形を昭和40年代に所蔵している人々を訪ねてカラー写真撮って、愛好家の間で頒布されたという今戸人形の生写真の中にはふたとおりの「福助とお福」があったように思います。後にある愛好家の方がその写真セットを貸してくださって、まとめてカラーコピーさせてもらったことがありました。

 その後紆余曲折あって、実際には結構今戸の福助やお福は明治までたくさん作られていたという実感を持つくらいに結構伝世品や近世遺跡からの出土が多いことがわかりました。

 昨日型起こしした福助とお福。実際に手がけはじめたのはもう何年も前のことだったのですが、100パーセント納得したという感じでもないのですが、とりあえず割り型を作ろうと決心しました。「組み物」というのはモデリングには厄介だと思います。先にできていたのはお福で、相手の福助ができあがらないとひとりだけ作っても、、、と思いずっとそのままでした。先の丑年に作った「お福牛」はこのお福を直して作ったものです。

 抜き出した状態での福助とお福。福助のほうが一日早く抜き出したので遅れて抜き出したお福とならべてみるとサイズが揃っていないようにも見えるのですが、福助のほうが乾燥が進んで収縮しているので、先年素焼きまでしておいたお福と並べてみました。

 福助が完全に乾燥しないとどうなるかまだわかりませんが、揃ってほしいです。今戸の福助には伏見人形由来の「叶福助」もあり、何年か前に作ったことがありました。今回の福助とお福のペアにもたくさんの型変わりやサイズの異なるものがたくさんあるので、今後今回のものをもとに変化させてみたいと思います。はやく素焼きして色塗りするのが楽しみです。(色を塗ってはじめてがっかりというケースもあるんですが、、。)

 

 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
福助 (こりん)
2016-07-29 21:10:55
こんにちわ、
お福と福助を型起こしされ、もうすぐ色塗りに入られるのですね、すごくいまどきさんの福助楽しみです。
福助人形 (ウリ坊)
2016-07-31 11:54:23
子供の頃、同級生のお宅が小さな洋品店を営んでいて、レジ付近に福助人形が鎮座していました。
最近は、あまり福助人形自体、見かけなくなりましたので、なんだか懐かしいです~いまどきさんの作品の完成がとても楽しみです。

ぽってりしていて、本当に福を招いてくれそうですね!
福助 (いまどき)
2016-07-31 23:05:28
こりんさま
ありがとうございます。はじめて型抜きしたものに彩色するのは当然のことながらわくわくどきどきします。あとになってがっかり、ということも当然ありえます。「今戸の福助とお福」といえば、天保年間以来の彩色のパターンといものが決まっているのでどこに何色というのはだいたいわかっているんですが実際塗ったらどうなるか、、。
福助人形 (いまどき)
2016-07-31 23:16:13
ウリ坊さま
ありがとうございます。
「福助足袋」ですね。確か会社は大阪の堺市の辺りでしたか。老舗の有名な商標ですが、昔読んだ本では商標の福助さんのプロポーションだとか細部が年代で微妙に変化しているんですね。基本的にはお辞儀姿なんですが、決定版的な姿のは両手が膝の上ではなくて膝の手前についているのではなかったかと思います。福助さんも招き猫同様根強い人気がありますね。これも読んだ本からの請け売りですが、キューピーさんが日本人に受け入れられ愛された土壌にはかつて福助さんが愛されて、その後ビリケンが来てという系譜があったからだとか、、。ベティーさんもその系譜上にあるとか、、。福助さんは福禄寿の血筋であるとかお福さんとおかめさんとの関係など「磯野家の謎」的な相関関係があるとかいいますね。

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