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多極型世界の始まり   田中宇記事 ①

2017-07-11 16:58:02 | 地球の変化 秘密 ミーム


★多極型世界の始まり
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7月7−8日にドイツで行われた世界最高位の定例サミットであるG20は、地球温暖化対策や、自由貿易体制の強化といった、世界の多くの国々が推進したい政策に関して(従来の)覇権国である米国のトランプ大統領が賛成せず、強い決定を出せずに終わった。


温暖化対策のパリ協定の推進に関して、G20の中で反対は6月に協定を離脱した米国だけで、あとの19カ国は賛成だ。


トランプ政権の「悪い」政策や姿勢のせいで世界が諸問題を解決できない、といったトランプ批判をマスコミが流している。




米国が世界の主導役(覇権)を放棄している現状が、一時的なものであり、いずれトランプが軌道修正するか、弾劾され辞任するか、落選することによって、いずれ米国がまた主導役・単独覇権国に戻るという楽観論が、いまだに世界的に強い。


米国は本質的に変わっておらず、トランプ政権が短期的な異常さをもたらしているだけだという見方が、多くのマスコミ報道の根底にある。





私が見るところ、こうした見方は間違いだ。トランプは軌道修正しない。


トランプの覇権放棄・軍産複合体潰しの世界戦略を立てたのは選挙戦時代からの側近のスティーブ・バノンらで、バノンはトランプ就任2ヶ月後の4月初めに、政権内の軍産系の側近群との権力闘争に破れ、閑職に追いやられて無力化されたことになっている。


だが実のところ、バノンは軍産からの攻撃をかわすため、権限を保持したまま「お隠れ」しただけだ。


トランプは今回G20サミット参加のための欧州訪問で立ち寄ったポーランドで、ポーランド現政権が強行する反リベラル・反移民的・反ドイツ的な政策を鼓舞する演説を放ったが、この演説を書いたのはバノンの一派だと報じられている。





トランプは最近、政権内の金融界出身の側近たちをはねのけて、中国やドイツからの鉄鋼輸入に報復関税をかける方針を強行決定したが、これも黒幕はバノンだ。



トランプの世界戦略は今もバノンらが練っている。

トランプは、選挙戦時代からあまり軌道修正していない。軍産エスタブとの権力闘争の激化や政府財政難のあおりで、方針のいくつかを先延ばししているが、それは根本的な軌道修正でない(米墨国境の壁の建設など、最初から有言不実行のつもりだった疑いがある政策もあるが)。


加えて、トランプが弾劾されて辞める見通しもない。ロシア介入スキャンダルは、軍産が仕掛けた濡れ衣であり、弾劾に不可欠な「大統領の犯罪」につながらない。





選挙でトランプが負けるには、米民主党にカリスマ的な指導者が出てくる必要がある。だが、今の民主党で有力な指導者は、軍産エスタブが敵視する左翼のバーニー・サンダースだけだ。


民主党の従来の主流派である、クリントン家に代表される軍産エスタブ系は、サンダースを毛嫌いしている。


次回2020年の米大統領選挙が、トランプとサンダースの戦いになったら、どちらが勝っても軍産エスタブが排除され続ける政権にしかならない。





民主党がエスタブ主流派と、反エスタブで草の根なサンダースの反主流派に分裂しているため、最近の米連邦議会の補選では、共和党が連勝している。

これらの補選は、トランプの人気を占うものとされていた。


共和党の連勝は、トランプの優勢を意味している。


このままだと、民主党は政権に返り咲けず、トランプ政権が2期8年続く。


軍産は、政権に戻れる見通しがないため、無力化されていく。軍産の機関であるマスコミやCIA(諜報界)も、影響力がさらに低下する。





今の覇権放棄なトランプ現象があと7年半も続くことを、世界は覚悟する必要がある。


その間に、中国やロシアやイランなどがここぞとばかりに覇権を拡大しEUも対米自立した状態に慣れてしまう。


7年半後に米国で覇権再拡大の野望を持つ次期政権が誕生したとしても、もう世界は単独覇権体制に戻れない。


米国は、多極型になった世界の中で、中南米と太平洋地域の地域的な覇権を再拡大するのが精一杯になる。しかも、覇権の再拡大を希求する政権が、今後の米国で生まれる可能性自体が低下している。


覇権の再拡大を希求する勢力は軍産だけだが、米国の2大政党の両方で、軍産のエリート政治の体制が排除され、左右両翼の草の根のポピュリズムに取って代わられる傾向だ。




最近のピューの世論調査によると、トランプは世界各国で嫌われているが、米国では依然としてトランプ支持者が国民の半分ぐらいいる。


トランプ支持者の数は、昨秋の大統領選挙当時から減っていない。


日本など大多数の諸国の人々と異なり、米国の人々は、覇権国の国民だけあって、世界における自国の評価をあまり気にしない。


世界が米国を評価しないのは米国でなく世界の方に問題がある、米国が嫌いなら米国の安保体制にぶら下がるな、と考える傾向だ。世界から嫌われることは、トランプの再選を阻害しない。





軍産が米国の権力中枢に返り咲く方法として、911テロ事件(=軍産の自作自演)的な大規模テロ事件を米国内で起こすか、米国がロシアもしくは中国と世界大戦を起こすことが考えられる。


軍産、たとえばヒラリー・クリントンが、中国よりロシアを敵視していたことから考えて、大戦になるなら中国でなくロシアとだ。


政権を握るトランプは、軍産がこれらのクーデター的な返り咲き作戦をやらぬよう、やっても失敗するよう、監視しているはずだ。


米露大戦勃発の可能性は、トランプ就任直前に強かったが、その後はほとんど感じられない。




米国の諜報界やマスコミには以前から、軍産の一部のふりをしつつ、軍産の策略を過激にやってわざと失敗させる隠れ反軍産・隠れ多極主義的な勢力がいる(ネオコンなど)。


彼らは今、反トランプのふりをした親トランプな、隠れ親トランプ派になっている。


軍産が、自作自演の大規模テロ事件や、世界大戦を起こそうとすると、軍産内部の彼らが動き出し、ばれるようなひどい自作自演をやったり、国際社会が米国に味方したくなくなる稚拙な濡れ衣策をやり、大テロや大戦による軍産の再台頭を阻止しようとするだろう。



トランプ政権が続くほど、軍産は力が落ちて返り咲きが難しくなる。以前は軍産の覇権主義を応援していた英国も、EU離脱にともなう混乱で自滅しており、軍産の助けにならない。





トランプの覇権放棄は、短期的な現象でない。


国際社会は、米国が単独覇権を立て直すことより、米覇権が崩れた結果としての多極型の世界をうまく運営していくことを重視するようになる。


トランプの覇権放棄策が人類の世界運営に直接的な影響を与え始めた5月末のイタリアでのG7サミット以降、国際社会は米国
に頼らずに世界運営をせざるを得なくなった。


メルケルのEUや習近平の中国、プーチンのロシアなどが、トランプの米国に代わって主導役を担うようになり、多極型の世界運営が始まっている。




(to be continued ②)



http://tanakanews.com/170710multipol.htm











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