猫は、不思議な生き物だ。
亡くなる4日ほど前だったろうか。
にゃんたはもう立つことも食べることもなくなり、ただひたすら眠るだけになってしまった。
私の腕枕で寝るためベッドに入ってくることもなくなっていた。
もうほとんど時間が残されていないことは明らかだった。
その夜、私はベッドに来なくなったにゃんたのそばに寝転がり、朝4時頃まで、話しかけては、さめざめと泣いていた。
「にゃんた、にゃんた」と呼ぶと、必ず、しっぽの先を弱々しく一、二度ふる。
もうにゃんたには鳴く力もなくなっていたのだ。
それでも、私に応えようと、精一杯、しっぽをふってくれた。
「聞いてるよ、聞いてるよ、おかあさん」
そんなにゃんたにかけられる言葉は、もう1つしかなかった。
「ありがとう、にゃんた、ありがとうね、16年間も」
一緒に暮らした生後2ヶ月から満16歳まで。
人間の子供が高校生に育つまでの時間だ。
長い長い絆、振り返ると、「ありがとう!」
そして、「ごめんね、さびしい思いをさせたね」それ以外になかった。
そして、翌朝のこと! 私には奇跡に思えた。
瀕死のにゃんたが、よろよろと立ち上がり、自分で歩いたのだ!
おぼつかない足取りながらも、一歩一歩ゆっくりと廊下を歩いていく。
その後ろ姿が今も目に焼き付いている。
「歩けるよ、おかあさん」
そして、なんと、何日ぶりかで、ごはんを一口食べるということさえ、やってのけた。
毎日点滴に通っていたのだが、獣医さんにそれを言うと、ひどく驚きながら、
「ひょっとすると奇跡的に回復するかもしれませんね」
だが、しかし、命をつなぎとめることはできなかった。
あれは、一晩中泣いていた私の悲しみと愛を感じたにゃんたが、必死に私に応えようとしてくれたのに違いない。
最後の力をふりしぼって起きあがり、歩いて見せたのだ。
生きようとしてくれたのだ。
あるいは「泣かないで」と慰めてくれたのだ。
そんな動物のけなげさ、無垢な愛、絆というものの深さを、こんなに教えてくれたペットは他にない。
そして、同時に、猫ってなんと不思議な生き物なのだろう。
*写真は、亡くなる3か月くらい前。
ぐったりしているけれど、お気に入りのムートンでひなたぼっこ。
7.にゃんたの最後(猫の不思議2) へ
亡くなる4日ほど前だったろうか。
にゃんたはもう立つことも食べることもなくなり、ただひたすら眠るだけになってしまった。
私の腕枕で寝るためベッドに入ってくることもなくなっていた。
もうほとんど時間が残されていないことは明らかだった。
その夜、私はベッドに来なくなったにゃんたのそばに寝転がり、朝4時頃まで、話しかけては、さめざめと泣いていた。
「にゃんた、にゃんた」と呼ぶと、必ず、しっぽの先を弱々しく一、二度ふる。
もうにゃんたには鳴く力もなくなっていたのだ。
それでも、私に応えようと、精一杯、しっぽをふってくれた。
「聞いてるよ、聞いてるよ、おかあさん」
そんなにゃんたにかけられる言葉は、もう1つしかなかった。
「ありがとう、にゃんた、ありがとうね、16年間も」
一緒に暮らした生後2ヶ月から満16歳まで。
人間の子供が高校生に育つまでの時間だ。
長い長い絆、振り返ると、「ありがとう!」
そして、「ごめんね、さびしい思いをさせたね」それ以外になかった。
そして、翌朝のこと! 私には奇跡に思えた。
瀕死のにゃんたが、よろよろと立ち上がり、自分で歩いたのだ!
おぼつかない足取りながらも、一歩一歩ゆっくりと廊下を歩いていく。
その後ろ姿が今も目に焼き付いている。
「歩けるよ、おかあさん」
そして、なんと、何日ぶりかで、ごはんを一口食べるということさえ、やってのけた。
毎日点滴に通っていたのだが、獣医さんにそれを言うと、ひどく驚きながら、
「ひょっとすると奇跡的に回復するかもしれませんね」
だが、しかし、命をつなぎとめることはできなかった。
あれは、一晩中泣いていた私の悲しみと愛を感じたにゃんたが、必死に私に応えようとしてくれたのに違いない。
最後の力をふりしぼって起きあがり、歩いて見せたのだ。
生きようとしてくれたのだ。
あるいは「泣かないで」と慰めてくれたのだ。
そんな動物のけなげさ、無垢な愛、絆というものの深さを、こんなに教えてくれたペットは他にない。
そして、同時に、猫ってなんと不思議な生き物なのだろう。
*写真は、亡くなる3か月くらい前。
ぐったりしているけれど、お気に入りのムートンでひなたぼっこ。
7.にゃんたの最後(猫の不思議2) へ
シャム猫って特に何か不思議な能力があるような気がします。
可愛がってもらえたから、とっても愛されていたからきっとお礼をしたのでしょうね・・・・
私も愛していたのよって・・・・
本当に健気ですね。
昔飼ってた犬が私の帰ってくるのを待って、舌を出して喜んで逝ってくれたのを思い出すわぁ~
おか~さん、今までありがとうってね!
猫は犬以上に愛情があるように思います。良い話にTBありがとう
これってまだ始めて1月くらいで、クーピーさんと初めてやりとりしたころみたい。
クーピーさんのコメント↑がかしこまっていて、
だれかと思っちゃった。
そうなの。呼ぶと必ずシッポの、それも、先っちょ5,6cmだけを動かすのね。
体はもう投げ出すように横になっているだけ。
しっぽしか動かせなかった、それくらい、弱っていたのに、朝になったら、よろよろ歩いたんだもの。
きっと私に応えてくれたんだ。
ああ、けなげなにゃんた!
ほんとに、ほんとに、ほんとに、特別な子だったんだ、にゃんたは。
特に年とってからが、かわいかった。
猫はね、子猫もかわいいけど、1年1年絆を深めて、老猫こそ本当の猫のかわいさを持つもんじゃないかな、って思ってる。