一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第29期竜王戦第6局(2日目)

2016-12-13 21:05:26 | 男性棋戦
ここ何年かの当ブログの平均訪問者数(/1日)は、400人を越える程度。ところが昨日の訪問者数は770人もいてビックリした。その前の日は566人。
以前桐谷広人七段がテレビに出た時、たまたま七段の記事を書いていた当ブログに1,390人もの訪問者が来た時があったが、あれ以来の驚きだ。
「叡王戦」「電王戦」のキーワードで当ブログに流れ着いたのかもしれないが、それにしてもこの数字は理解不能だ。

   ◇

竜王戦第6局2日目は新橋解説会に行かなかったが、指し手の感想を書いておこう。
渡辺明竜王の封じ手は▲5五角(第2図)。第2局ではここに丸山忠久九段が△5五角と打って快勝した。本局の▲5五角はどのくらい効いているのか。

丸山九段△3九角。角や銀を持っての△3九角はこの手の将棋での狙い筋だが、本当に実現するのは珍しいのではないか。
▲5八飛に△6七銀が厳しい。私が先手だったらここで投げている。渡辺竜王は▲6八歩と受けて頑張った。
ここで私なら△5八銀成▲同金△5六飛としてよろこぶところ。たぶんFuj氏もそう指す。
しかし丸山九段は敵玉を見ていた。△7八銀成▲同玉とし、歩頭に△6七金!!(第3図)

一気に寄せてしまおうというハラだ。以下▲同歩△同歩成▲同金に△6九銀が痛打。
これを▲同玉は△6七飛成で寄りなので▲8八玉だが、やはり△6七飛成で後手勝勢だ。
まったく、渡辺竜王がここまで攻め込まれたのは珍しく、かなりの拙局である。2人の戦いでは陽の高いうちに優劣がついたケースが多いが、読売新聞主催棋戦の同様のケースとしては、第26期十段戦・福崎文吾十段VS高橋道雄九段の第4局、第1期竜王戦・米長邦雄九段VS島朗六段の第4局が想起された。
△6七飛成以下は▲2二金△4一玉▲3八飛△5七角成▲7七金△7八金▲9八玉△7七金▲同桂(第4図)と進んだ。
渡辺竜王は手順を尽くすが、いかんせん差は縮まらない。ところが…。

ここで丸山九段が△7九馬と入ったのが疑問とされた。正着は△7八銀成だったらしいのだが、この時点ではまだ昼前。丸山九段には時間が売るほどあったのだから、ここで腰を落として考え、昼休にしたほうがよかったのではないか。少なくとも大山康晴十五世名人や中原誠十六世名人ならそうしたはずだ。それで相手にも考えさせ、諦めさせる。勝負に辛い丸山九段ならできたはずだが、丸山九段にして、勝負に急いでしまったということだろうか。これがタイトル戦の重さといえる。
本譜△7九馬以下は▲8八銀△同馬▲同玉△7八金▲9八玉△7七金▲3二角△5一玉▲7三角成△6二竜(第5図)と進む。
▲7三角成に△6二竜が唯一の受けとされたが、あの楽勝の局面からこんな手を捻りださなければならないようでは、明らかに流れがおかしい。
しかしこれでも後手が残していたというから、どれだけ形勢が離れていたのか、ということになる。

△6二竜以下は▲同馬△同玉▲6四銀△8九銀で投了図。

私はこの後の詰め手順が分からず、混乱した。▲8九同玉は△7八角だから▲9七玉。△8五桂▲8六玉もこう指すところだがその後が分からない。
だいぶ経って△8七金!? を発見した。以下▲同玉△7八銀左不成で詰み!? 以下▲同飛△同銀不成▲同玉で詰む??
皆目分からず記譜コメントをカンニングすると、その局面から先手玉が詰んでいた。
グハァーーー…。これじゃダメだ。私が後手なら、▲7三角成とされて負けている。これだからアマの将棋はゲタをはくまで分からないのだ。
それにしても、△8九銀で双方納得の投了とは、プロの読みはすごい。私はこういうところで、プロとアマの実力の差を痛感するのである。

第4局でも感じたが、△6二飛からの速攻は、思いのほか威力がありそう。私は先手番で▲2六角と打ってから攻めるのが好きなのだが、本局はその手さえ省いている。これは新たな定跡が誕生するかもしれない。
第1局で渡辺竜王が快勝したところでは、今期も渡辺竜王の楽勝防衛か、というムードだったが、第2局以降は丸山九段が力を発揮し、最高の盛り上がりとなった。最終局は21、22日。2016年の掉尾を飾る大一番である。
ジャンル:
ウェブログ
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 佐藤天彦九段、叡王戦を制す | トップ | 12月9日の大野金曜教室(1) »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
レベルの違い (T)
2016-12-14 10:09:33
確かに同じ5五角ですが・・

第2局は終盤の寄せに役立つ攻防の5五角。

第6局は香車を取る余裕があれば厳しい5五角という感じ。
しかし、局面は封じ手にも関わらず既に終盤戦・・・

△7九馬はやはり疑問でしたか。
指し手を見た瞬間から違和感がありました。
△7八銀成で午前中に終わりそうな気もしていたので、少しスッキリしました。

投了図の△8九銀以下、難解な20手近い詰みを
実戦で読めるアマは果たして何人いるのでしょうか。

プロにとってはさほど難しくもないのでしょうが、
プロの凄さというかレベルの違いを私も感じます。

最終局の総力戦を期待します。
同感です (一公)
2016-12-16 00:21:32
>Tさん
▲5五角は輝きがなかったですね。
△7九馬は解説がなかったら好手に見えます。もうどう指されてもダメという感じで、私が先手なら投げています。
△8九銀で投了というのもすごいですよねぇ…。
恐れ入りました、と言うしかありません。

コメントを投稿

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。