一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

大内九段の竜王戦解説会(第2局)

2016-10-29 22:01:12 | 将棋イベント
昨日は東京・新橋で、大内延介九段による竜王戦解説会があった。当日は雨が降っていたが、無料で一流棋士の解説が聴けるのはありがたいこと。春の名人戦同様、今回もお邪魔させていただくことにした。
ただ、解説会場に屋根はなかったはず。この雨をどうしのぐのだろう。

解説会は午後6時から。名人戦解説は6時半からだった気がするが、竜王戦は持ち時間が8時間で名人戦より早く終局するため、開始も30分繰り上がったと思われる。
竜王戦は名人戦と違い無料中継があるので、局面は何となく頭に入っていた。早い時間に終局したら家で残業でもするつもりだった。将棋は幸いに、最終盤の激戦になっていた。
私は仕事を5時で終えたので間に合うはずだったが、耳鼻科に寄ったので時間を食ってしまった。その遅れを取り戻そうと山手線を回避し上野東京ラインに乗ったのだが、これが新橋通過。その手前の東京で東海道本線に乗り換えたが、却って遅くなってしまった。
新橋に着いてもSL広場口までが遠い。やっとの思いで改札を抜けると、意外な光景が待っていた。

何のイベントだろう、駅前にいろとりどりのブースが並び、サラリーマンらがラーメンなどをすすっていた。
こういう雰囲気は私も好きだが、今日の目的は将棋である。私は会場の周りを時計回りに歩くが、名人戦の解説場所だったSL前はそのスペースさえない。
これは…諸般の事情で、解説会は中止になったか?
そのまま歩くと、LA PiSTA新橋・会員制場外車券売場の玄関先で、ひっそりと解説が行われていた。なるほどここなら雨露はしのげる。
時刻は6時18分。名人戦の時よりはるかに観客が少ないが、この雨とあのイベントでは仕方あるまい。
傘の花が開いているので、大盤がすこぶる見づらい。大盤の左手に藤森奈津子女流四段、駒操作は梶浦宏孝四段が見えた。右手から声がして、覗くと、着座している大内九段の姿が見えた。
局面は第2図になっていた。

「詰まないねー。分かんないねー。6七へ寄って、寄らないんじゃないの?」
と大内九段の声。先手が何か指した時、先手玉が詰むかどうかをやっているらしい。
しかし、後手玉への迫り方が難しいようだ。本命は▲4四桂だが、△4一飛(と銀を入手する)が丸山忠久九段用意の切り札で、▲同とには△2二玉▲3二桂成△1三玉とスタコラ逃げて、金城湯池だ。ここに来て、△1五の位が輝いてきた。
▲4四桂に代え、大内九段が▲3五桂をひねり出す。△同馬は▲同歩、△同歩は▲2四飛だが、これもうまくいかないようだ。このあたり、先手に何か妙手がありそうなのだがうまくいかず、大内九段も消化不良のようだ。
ちなみに現地での解説は、大内九段の弟子の、鈴木大介八段がやっている。さらにネット解説だかの2日目は、木村一基八段がやっている。先日のJT杯日本シリーズの将棋に触れただろうか。
新橋は前の人の傘が邪魔だが、ひとりいなくなると、グッと視界が開ける。解説陣はすぐ近くにいて、藤森女流四段と目が合ってしまいそうだ。なぜか目を伏せる私。
渡辺明竜王▲4四桂。やはりこれしかなかったようだ。丸山九段△4一飛。やはりこの手が切り札だ。しかしこの手は詰めろなのか?
「詰みだな。△8八銀で。▲同銀△同歩成▲同玉△8七銀成▲7九玉△6七桂不成」
△6七桂不成は代表的な詰手筋だ。
本譜は▲同と△2二玉▲3二桂成△1三玉と進む。
「いやまだまだ、ここで▲7八金と入れると?」
しばし変化をやった後、「千日手コースになりますか」と今度は▲7九銀を提示した。
以下△8八銀▲同銀引△同歩成▲同銀。ここで△8七銀打なら▲7九銀打で千日手コースだが、△8七歩がある。
「1歩あんの? それじゃダメだね」
攻めもダメ、受けも利かないんじゃ、先手はやる手がないのではないか?
そこに▲2一飛、の指し手が伝えられた。
「▲2一飛? それじゃダメだよ」
大内九段がつぶやく。同時に△8八銀も伝えられた。これにて渡辺竜王投了である。
「何だい、つまらないね」
大内九段が吐き捨てた。「先手がダメだったということなんですね」

私が解説場に来て、20分余りで終わってしまった。
本局、封じ手の局面では先手がやれたと思う。少なくとも、アマ同士なら先手が勝つと思う。
しかし本局は丸山九段の受けが強く、寸隙を衝いて△8六歩~△8四桂の反撃が厳しかったようだ。
何より△1五歩の突き越し。この手がこんなに効いてくるとは思わなかった。1日目、この手を緩手と見たおのが浅薄を恥じるのみである。
とにかくこの形、まだ結論が出ていない。今シリーズでもう1回、同じ将棋が現れると思う。
1勝1敗で、第3局は11月7、8日。竜王戦の新橋解説会は名人戦同様、5局まで行われるそう。ただし場所もここLA PiSTA前で、窮屈さは否めない。それを忘れさせるほどの熱戦を期待したい。
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2 コメント

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これでタイ! (T)
2016-10-30 06:22:37
端歩が生きた後手が勝ちましたね。

△2四馬が実現した時点で
もう先手に勝ちは無かったのかもしれません。

薄々感じてはいましたが、
ハッチの閉じていない先手の穴熊は
やっぱり角の斜めラインが弱点でした。

結構、私の見立て通りの展開になり
個人的には嬉しかったですが、
特に△5五角が指されたときはヤッタ感がありました(笑)。

仰る通り、アマ同志の対戦なら8、9割先手が勝つ将棋でしょうね。
同感です。
プロの受けの強さを実感した将棋でした。
慧眼 (一公)
2016-10-30 22:26:32
>Tさん
Tさんのおっしゃった通りの展開になりましたね。△1五歩が活き、△5五角が決め手になるあたりは脱帽しました。恐れ入りました。
このシリーズでもう一局、この将棋が見たいです。

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