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戸別所得補償と水田構造改革の行方予想

2010年04月25日 | 農業参入・法人化
戸別所得補償モデル事業の受付が4月から始まり、6月まで続く。
参加農家がどの程度になるか、農家の自主性によるだけに興味あるところ。

ところで戸別所得補償は構造改革にどのように影響するのか?
いろいろ説がある。
山下・浅川両氏は小規模農家へのバラマキからブレーキがかかると予測。
たしかに小規模農家の委託スピードは停滞する方向に作用するのだろう。

ただ、私はかつて戸別所得補償モデル事業は、構造改革には中立的と書いた。
小規模農家への構造改革逆行的な性格と、大規模農家にとっての構造改革促進的な要因のどちらがより強く機能するかわからなかったからだ。

だが、この政策、やっても構造改革は現状程度には進んでいくのではないかと予測している。
現状は、これまでになく大規模化が進んでいる。戸別所得保障下でもやはりそれなりに進むのではないかと考えている。

現状で規模拡大が進んでる背景には1ha未満の農家の状況があるからだ。
これらの農家は稲作付けをしても多くは赤字。
統計上では、およそ6万円の赤字を抱えることになる。
0.5ha未満だと10万円以上の赤字になる。
ところが、1ha未満の農家が水田耕作をやめて地代収入に頼ると6万円の所得になる。

その差12万円。

だったら農地を貸した方がが得、となって、委託が増加し、規模拡大がこの間進んでいる。

そこに降ってわいた、戸別所得補償モデル事業。
稲を作ると、10アール1.5万円の補助金が配られる。
これに惑わされ、委託をやめる農家がきっと出るだろうと考えられている。

貸しはがしと言われる現象だ。
農地を貸していた農家が、現金をもらえるというので、自分で耕作するから返してくれとなる現象。
もちろん、構造改革にはブレーキとなる。

ただ、上にも示したように、自分で作った方が得になると思うのは、錯覚でしかない。
現に、富山や石川での貸しはがし聞いてはいたが、あまり全国的な話題にはなっていない。
考えてみれば、自分で耕作すると、6万円の赤字になるのだから、
補助金による補填はとなれば、、統計上は、1ha未満と言っても平均規模45アール程度。
そこから10アール引かれて35アールに5.25万円の補助金がもらえるにすぎず、
結局補助金をもらっても7千5百円の赤字になる。
貸し出せば、6万円の黒字だから、どう考えても補助金をもらうため耕作するのは不利。
計算上は、常に地代収入の方が得になる計算なのだ。

貸しはがしてでも、補助金をもらいたいと考える農家もなくはないだろうが、やがては錯覚だとわかるはずなので、1-2年で元に戻るのではないか?

それでも、貸しはがした方が良いと考える農家がいるとすれば、限りなく1ha規模に近い農家に限られよう。
ちなみに1ha未満農家の場合以下の数式が当てはまる。
全部地代収入とした場合  y地代=15x    
全部生産した場合の所得  y生産=3.81xー238
直接所得補償収入     y補助=15(x-10)
y:千円
x:a

自分で作った方が有利になる規模は、
y地代<y生産+y補助
で求めると、1ha以上層になるはず、、、

これをもっと一般化して言えば、1ha未満層の委託農家には戸別所得補償に参加するメリットはないということ。自作してる農家でも直接支払いに参加するより、大規模農家に委託した方が有利と言うこと。

この政策、民主党は小規模農家対策と言ってる。
だが、実態はそうはなっていないと言うことだ。
選挙対策と称して農家の8割を占める1ha未満層の票を狙ってるのだろう
小規模層はそれがそうではないことに早く気づくべきだろう。

私は、この政策、むしろ大規模農家に有利に働くとみてるのだが、
大規模農家、この金に酔って経営感覚を失ってしまわないようにことが肝要。

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