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戸別所得補償の性格は明らか 朝日9月5日 日経9月7日

2010年09月08日 | 農政 農業問題
戸別所得補償の性格はもう既にいろいろと語り尽くされている。
朝日新聞が東北大と組んで、農家アンケートをした(9月5日)。
農家は「財政的に行き詰まり、持続性があるとは思っていない」が、「制度には期待」し、もらえるものはもらっておくと言った姿勢。バラマキとわかっており、「制度の改革が必要と」、東北大の河村和憲さんは語る。

この記事、また大規模農家は投資に、小規模農家は生活費に、といった比較もおもしろい。
この制度、確かに大規模農家の投資意欲を高めているのは事実だが、、規模には中立な政策なだけに、さらなる効率的な農業構造の構築にむけたアクセルは踏まれていない。
アクセルを踏むには、成長政策とのリンケージが重要だろう。

本間正義さんも、日経新聞「経済教室」に「農家の所得補償の見直しを」(10年9月7日)提言している。
財政以外にも民主党の戸別所得補償の制度的欠陥について農家は敏感に察知し、今後の農政の行方に不安を感じている、としている。

制度的欠陥とは、
①所得補償に加盟し、生産調整をしても米価は下がり続けること、
②「たとえ関税を撤廃しても戸別所得補償で農家を守る」と民主党は約束してるが、それが空手形かもしれないこと、
③制度は価格政策でWTO削減対象で、食管と同様の制度、、従って食管と同じ運命をたどるのでは、、といった点。

そこで、本間さん、重要なのは、「意欲ある農業者が自由に経営を展開できる環境を作ること」とし、今の制度は、全国一律なので、効率化への誘因を欠いている。そこで、品質向上や規模拡大加算を提案している。
民主党の他の施策同様、将来ビジョンの欠如がここでもみられる。

以下、戸別所得補償、9月5日の朝日新聞を掲載しておこう。
私のコメントは、本間さんの主張の裏表になる、農村対策としての中山間地や環境保全直接支払いについて触れている。

戸別補償、恩恵に差 大規模農家、投資に活用 小規模農家、生活費に
2010/09/05 朝日新聞 朝刊 3ページ 3272文字
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 コメ農家への戸別所得補償制度による直接支払いが、今年から始まる。大規模農家は制度を活用して多角経営に乗り出すが、小規模・兼業農家への効果はいまひとつ見えない。民主党代表選で、この制度を盛り込んだマニフェストの完全実施の是非が議論される中、米どころの東北地方と新潟の農家からは「財源不足で制度は長続きしない」との声も広がっている。(斉藤寛子、小山田研慈、吉村治彦)
 ●大規模農家、多角化へ投資に活用
 秋田県大潟村。
 黄金色に色づいた稲の波が、刈り取りを待っている。小林肇さん(43)の田んぼは17・2ヘクタール。入植した父親の代から40余年、反減反を貫いたが、戸別所得補償制度を機に転換した。米価が下がり続けるなか、「生き残るため」に制度への参加を申請した。
 小林さんの計算はこうだ。
 すべて主食用米を植えた一昨年は1600俵余りの収穫があった。1俵(60キロ)1万4千円で2290万円余りの売り上げ。だが、仮に今秋1万2500円まで下がれば、245万円の減収となる。
 減反に応じれば、6割(10・9ヘクタール)しか主食用米を作れなくなるが、そこに1ヘクタールあたり15万円、計163・5万円が補償される。残り6・3ヘクタールの転作部分では加工用米をつくる。ここには1ヘクタールあたり20万円の転作補助金が出る。合計で一昨年よりも50万円余りの増収になる。村の半数を占めていた反減反派の7割にあたる約180人が同じ理由で、減反参加に切り替えた。
 コメ離れが進むなか、農家も生き方を変えざるをえない。大潟村も、せんべいやめん、パスタに加工する多種のコメを組み合わせた耕作にシフトしたわけだ。小林さんは「今年は1俵2千円程度下がるかも。みんなで所得補償に入っていなかったらと思うとゾッとする」と話す。
 大規模農家では補償額は数百万円単位になる。余裕が出れば経営体質を強化するための投資に使える。
 モチ米はせんべい業者の組合と10万俵分を契約。めんなどに加工する米粉用のコメも生産を増やす。販売ルートを拡大し、村内で製品化するための工場を増設中だ。
 制度は小沢一郎氏の肝いりだけに、民主党代表選の行方は気になる。「小沢さんの方が何かやってくれそうだが、菅さんもしっかりしている。とにかく制度を安定したものにしてほしい」
 ●小規模農家、借金返済や生活費に
 補償額が十数万円程度の小規模農家では、生活費の一部や借金返済に充てられ、新たな農業育成のために活用するのは難しいようだ。
 新潟市の南西にある西蒲区は93%が兼業農家だ。金物や食器の工場が集まる三条、燕両市に隣接。「新潟コシヒカリ」のブランドで売る。
 元サラリーマンの兼業農家の男性(75)は、所得補償と転作補助金で合わせて約50万円になると見込む。2ヘクタール強の水田で昨年の農業収支は40万円の赤字。約400万円の農機を買ったことなどで出費がかさんだ。所得補償が赤字の穴埋めに回り、嘱託勤務の賃金と年金を合わせた月約20万円が生活費になる。
 所得補償はバラマキ――。そんな批判に、「ずっと減反に従ってきたのに納得できない」。息子はサラリーマン。「体が動かなくなったら、農地は他人に頼んで作ってもらう」
 有明海沿岸に広がる佐賀平野。佐賀市の田中坦元さん(69)は1・6ヘクタールでコメを、0・3ヘクタールで大豆を作る。冬は二毛作で麦も作るが、肥料代や農協への手数料などを差し引くと赤字になる年が多い。所得補償は24万円になる計算だ。「ありがたいが、焼け石に水」。今年のコメの売り上げは約140万円になる見込みだが、年金がなければ農業は続けられない状態だ。

 <宮城大の大泉一貫副学長(農業経済学)の話> 民主党は小規模農家も一律に補償すると強調してきたが、制度は大規模農家に有効に作用している。小規模農家も補償対象にしたのは選挙向けの対策だ。少額の補償があっても、米価の下落が今後も進めば小規模農家は救済できない。制度を修正するとすれば、補償の対象を大規模農家に限ったり、これまでもあった中山間地の直接支払制度を環境や集落維持を目的に手厚くしたりする方法がある。

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