「会津ジャーナル」遠藤勝利取材メモ

遠藤勝利の取材内容を掲載していきます。

貧困老人、若松市相手に自力救済

2018-01-17 12:23:25 | 疑惑の真相

 [仙台高裁]プライバシー侵害で逆転勝訴

 自治体職員のプライバシー侵害問題が相次ぐなか、会津若松市の81歳の高齢者が同市(室井照平市長)を相手取った民事訴訟で、仙台高裁が市職員によるプライバシー侵害の不法行為を認定し、市に国家賠償法にもとづく慰謝料の支払いを命じていたことが、「会津ジャーナル」への投書で分かった。

 市職員の不法行為認定、慰謝料支払い命じる

 同市を訴えていたのは大塚在住のNさん。市福祉事務所職員がNさんの生活保護に関する文書を開封したままの封筒に入れて、居宅玄関上り口に置き去ったため、長男夫婦に文書の内容を知られ、プライバシーを侵害されたなどとして、仙台高裁に控訴していた。
 Nさんは市を相手取り慰謝料30万円の支払いを求めて地裁会津若松支部に訴訟をおこしたが、同支部は請求を棄却。この判決を不服としてNさんが控訴。平成29年1月27日に控訴審判決があった。
 争点となったのは、市福祉事務所職員の行為が①名誉棄損②プライバシー侵害―を構成するかどうか。
 仙台高裁(小川浩裁判長)は「名誉棄損の成立は認められない」とする一方、「市福祉事務所職員の過失によって(Nさんの)プライバシーを侵害した国賠法上違法な行為である」として原判決を取り消し、Nさんの精神的苦痛に対する慰謝料3万円の賠償を市に命じた。

 私的事柄を公表されない法的利益

 Nさんは長男夫婦宅に間借り生活をしていて、市福祉事務所職員が訪問したときはいずれも不在だった。長男夫婦が帰宅してから玄関上り口に置かれていた封をしていない文書を目にするところとなり、Nさんを一部扶養している長男が、父親が生活保護を不正受給したものと誤解し、親子関係が悪化する原因となった。
 控訴審では、「生活保護を受注しているという事実(他人に知られたくない私的事柄)を公表されない法的利益と、これを公表する理由とを比較衡量し、前者が後者に優越する場合に不法行為が成立すると解される」(最高裁平成6年2月8日判決)との判断基準を示した。
 文書の送達方法については、封筒に宛名書があったとしても、郵便ポストではなく、玄関上り口に封をしていない封筒が置かれているというのは、「通常あまり経験しない事態」であり、Nさん以外の第三者が文書の内容を容易に認識し得ない方法で本人に交付すべき注意義務がある。したがって、その注意義務に違反した過失がある、とした。
 仙台高裁ではプライバシー侵害の逆転判決。弁護士もたてず独力で法廷闘争を展開してきたNさん。物申す貧困老人として自力救済をしたかたちだ。

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公共の安全より業者利益を優先する消防本部

2018-01-14 10:57:54 | 疑惑の真相

 〔都市ガス漏れ引火の住宅火災〕 

        業務上失火の工事業者名は不開示

 老朽化した都市ガス管取り替え工事のガス漏れによる引火が原因で全焼した住宅火災―会津若松地方広域市町村圏整備組合消防本部(眞部文夫消防長)は火災の原因者(工事施工業者)について、「個人に関する情報」として公文書情報不開示の決定をした。
 業務上必要な注意を怠ったことによるガス漏れが原因で発生した住宅火災は刑法の業務上失火に相当する。住民の生命、健康、生活、財産を保護するという公共の安全にかかわる重大な問題が、はたして個人情報として保護の対象になるであろうか。

 報道されない加害者側

 平成28年8月31日午前10時10分ごろ、会津若松市日新町の会社員Aさん方から出火、木造2階建て1棟を全焼した。
  新聞報道によれば、建物内には住民3人が居たが、避難して無事だった。この火災の影響でJR只見線の西若松―七日町駅間の上り線で一時運転を見合わせた。
 火災現場一帯は住宅密集地。Aさん方の前の市道で都市ガス経年管の敷設替え工事が行われていた。
 会津若松消防署の火災調査書によると、電動ピックでコンクリートを掘削中、既設のガス管を損傷させた。その後、損傷個所の修復をするため周辺のコンクリ―トを破砕中、ガス管損傷個所から漏洩した都市ガスに火花が引火し、建物に延焼拡大した。掘削機とコンクリートの衝撃火花が漏れ出した都市ガスに引火し、Aさん方の住宅に燃え移って全焼した火災。Aさん側はまったくの被害者である。
 当時の新聞報道では、都市ガス管の取り替え工事を施工していた、いわば加害者側の業者名は記されていない。
 そこで火元となった工事施工業者名を明らかにするべく会津若松地方広域市町村圏整備組合(室井照平管理者)に、情報公開条例にもとづく公文書開示請求の手続きをとった。

 火災原因業者名は「個人情報」の怪

  情報開示請求の前段として、同消防本部に施工業者(法人)の照会を行ったが、「第三者情報」であるとして一蹴された。
 このため消防法にもとずく火災調査書の開示請求に及んだのだが、これまた「氏名等が個人情報であるため」という理由で、火災の原因者である施工業者名は不開示決定となった。
 火災調査書には、原因の概要は開示しているものの、焼損延べ面積や罹災人員、損害額、失火者詳細等々は黒ベタで塗り潰されていて、一部だけの情報開示である。
 火災発生の原因者(施工業者)の法人名を不開示とした消防本部は、情報公開条例第7条2の「個人に関する情報」をその根拠としている。
 しかし、「個人に関する情報」であっても、法人その他の団体に関する情報については、「人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報は除く」との除外規定がある。
 さらには人の生命、生活、財産の保護等、「公共の安全と維持に支障を及ぼすおそれがあると、実施機関(管理者、消防長等)が認める相当の理由がある情報」のほか、「公益上の理由による裁量的開示」(第9条)の条項もある。
 これらの条項の解釈からは火災原因者(法人)を「個人情報」として不開示にする理由は見当たらない。そもそも建設業許可業者の法人は個人ではない。
 公共工事というべき都市ガス管取り替え工事の過失によって発生した住宅火災の原因業者の法人名を公表できない理由と、その事実を公表することによる公益上の利益を秤にかけて、どちらが優越するかは明らかである。
 情報公開条例を杓子定規にしか解釈、運用できない行政。思考停止に陥っているとしか言いようがない。
 見方をかえると、行政側が業者をかばいだてて意図的に隠蔽している、つまり業者と癒着していることを示すものである。

 業務上失火の施工業者は「アクーズ会津」

 ところで、本件都市ガス管取り替え工事を施工していたのはアクーズ会津(熊田広美代表取締役)である。工事発注者は若松ガス(中川勝博代表取締役)。
 若松ガスは市から市道占用許可を受けてガス管取り替え工事を行い、ガス漏れ引火による住宅火災発生後、安全体制見直しのため工期変更を申請している。
 一方、アクーズ会津が建設業許可業者として県知事に提出した工事経歴書には、若松ガスが注文者(発注者)、アクーズ会津が元請けの「日新町・本町都市ガス経年管入替工事」が報告されており、主任技術者をはじめ工事請負い代金、工事期間が記載されている。

 

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公用車で芦名〔東山温泉〕に通い詰める室井市長

2017-12-18 09:54:57 | 疑惑の真相

公用車で芦名〔東山温泉〕に通い詰める室井市長

 

相手のコンサル業者は1億8,600万円受注

 

 会津若松市東山温泉の旅館「芦名」に何年も滞在していた業者のもとに、室井照平会津若松市長が公用車で頻繁に通い詰め、この業者が5年間に計1億8,600万ものコンサルタント業務を受注していた。こうした公共事業の発注者と受注業者の限りなく不透明な関係が、公文書開示請求と定例市議会一般質問で浮かび上がった。

 

 「芦名」詣で5年間になんと164回も

 

  市長公用車の運転日報(事業用車両運転日報)の公文書開示で、室井市長は平成24年4月から28年12月までの5年間に、計164回も「東山」に通い詰めていたことがわかった。

 25、26年にはそれぞれ43回、年平均32・8回という頻度である。市長選が行われた27年でも30回。29年は3月までで3回と極端に少なくなっている。

 市長が公用車で立ち回った東山の温泉旅館をはじめ市内のホテル、料亭、観光施設等々はすべて実名で記されているが、「東山」とは一体どこなのか、そして誰と会っていたのか。

 その筋では、旅館「芦名」に数年前から滞在していたコンサルタント業者のところに、室井市長がしょっちゅう通っていた、といううわさが流れていた。

 市長公用車運転日報の「東山」はこのうわさを裏付けるものだが、日報に「芦名」と具体的に書いたのではまずいので、市長の指示で「東山」としたのであろう。

 

 阿部光正議員が追及、「公用車で芦名通い」認める

 

 この事実関係について、開会中の定例市議会一般質問で阿部光正議員が具体的な場所と、会っていた業者を名指ししながら追及。室井市長は「東山」が「芦名」であること、そして公用車で通い詰めていた事実関係を認めた。

 だが、「芦名」で誰と会っていたかについては、「企業、業者、国県の役人と会うときもある。すべて公務だ」などと言い訳に終始。どのような用件で、誰と会っていたかについては明らかにしなかった。

 しかし、語るに落ちるとは市長の答弁内容で、「芦名」で業者や国県の役人と会っていたことを認めているのである。

 室井市長が「芦名」に通い詰めていたのは平日だけでなく、土、日曜日もかなりある。時間帯も夕方から夜8、9時過ぎにかけてが目立つ。

 したがって、この時間帯に公務で業者や国県の役人に会っていれば、飲食を供にするのが自然の成り行きなのだが、平成24年度から28年度まで5年間の市長交際費執行記録にそれらしき記載はまったくない。

 仮に「官官接待」であれば、その是非はともかく経費は市長交際費から支出してもいいわけだが、その記載もない。

 一方、特定の温泉旅館に公用車で通い詰め、これまた特定の業者と公務上の話をしていた、などという強弁を、一般的には「談合」と言うのである。室井市長は酒好きで知られており、その業者から酒や食事などの供応を受けていたとしても不思議ではない。そんなことは通り相場なのである。

 

 室井市長「芦名に送ったと言わないで」住民証言

 

  ところで、会津若松市はアクセンチュア(株)イノベーションセンター(中村彰二朗センター長)に対し、平成25年度からコンサルタント業務を発注している。

 スマートシティ推進アドバイザー、ICTオフィス環境整備基本計画策定など3年間に計10件、総額1億8637万円の業務委託を発注。いずれも随意契約である(うち2件は公募型プロポーザル方式をとったうえでの随契)。

 なお、アクセンチュアは国際的なコンサル会社とされ、ICT事業は室井市政の目玉政策である。

 東山温泉街では「室井市長は毎日のように芦名にいる中村のところに通っていた。地元では誰でも知っていることだ」という。

 さらに、「町のなかを歩いていた市長を車に乗せて芦名まで連れて行ったら、市長が『芦名に来たことは黙っていてほしい』と言われたことを、今でも鮮明に覚えている」と証言する住民もいる。

 いずれにしても、室井市長は公用車で頻繁に「芦名」に出入りし、家族同然で滞在していたアクセンチュアの中村氏と会っていたのは、疑いの余地がない。

 アクセンチュアは業務委託の受注業者、市長はその発注者である。公務での打ち合せならば市役所の会議室でやればいいわけだが、市長公用車の運転日報には、企画政策部の職員が日曜日の夕方(平成26年8月)、わざわざ「東山=芦名」に出掛けて行ったことも記録されている。

 

  以上の点から、コンサル業務発注をめぐる室井市長と特定業者とのただならぬ関係、疑惑の構図が次第にはっきりしてきた。(別表参照)

 

「事業用車両運転日報」からみた東山、アクセンチュア 訪問回数

 

 

 アクセンチュアの随意契約

 

H25年度ー4件  計1億1106万0182円

 

H26年度ー3件  計  2671万9200円

 

H27年度ー3件  計  4359万3120円

 

        合計1億8637万2502円

 

H28、29年度ーなし  

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〔取材メモ1、2、3〕

2017-11-30 11:27:48 | 疑惑の真相

 〔取材メモ1〕

 地域に根ざした言論誌「会津ジャーナル」の発刊と衆議院選挙等が重なったため、「取材メモ」の書き込みを中断していたが、区切りがついたので再開します。

 今回は、これまで5回にわたる「取材メモ」の内容を整理し、問題点を明確にしていきたい。

 アクーズ会津[管工事業者]所有の旧半沢ビル

 県知事、国会議員、市長が選挙事務所に使用

 なぜか収支報告書には不記載

 平成26年10月から翌27年7月末にかけて福島県知事選、衆議院選、そして会津若松市長選(市議選と同日選)がたて続けに行われた。

 この一連の選挙でそれぞれ内堀雅雄、小熊慎司、室井照平の各候補は選挙事務所を会津若松市白虎町の旧半沢ビル(現白虎ビル)に設置した。内堀氏の場合は会津方部の選挙事務所ということである。

 当時の半沢ビルの土地・建物所有者は同市千石町の管・設備工事業者、(株)アクーズ会津(熊田広美代表取締役)である。

 小熊、室井両候補が県、市の選挙管理委員会に届け出た選挙事務所の所在地は「白虎町116—29」の半沢ビル。

 ところが小熊候補(小選挙区第4区)の選挙運動費用収支報告書には半沢ビルを選挙事務所に借上げたという記載はなく、「選挙事務所費」の項目に「立候補準備 事務所借上料」として、磐梯町源橋、人材派遣業の(株)ソルカ(鈴木政英代表取締役)に37万4,000円余の支払いを記載しているだけである。

 室井候補(無投票で再選)は、選挙事務所の所在地「白虎町116―29」(半沢ビルである)の「事務所借上料5万円」と記載。「むろい照平連合後援会」が身内の「むろい照平選挙事務所」宛に借上料5万円の領収書を発行しているのである。連合後援会の代表者は室井氏本人。

 つまり室井氏(連合後援会代表)は、自分が使う選挙事務所を自分で貸し、その借上げ料の領収書をこれまた自分で発行するという、なんともおかしな形になっている。

 では室井氏および連合後援会はどこの誰から実際に選挙事務所を借上げていたのか。ビル所有者はアクーズ会津である。しかし、何故か不記載なのである。こうした実態と違う記載は、公選法にもとづく選挙運動費用収支報告書の虚偽記載にあたる可能性が高い。

 ちなみに「イス・テーブル借上料」や「事務所看板」「事務用品」等々、選挙運動および立候補準備のために支出した金額、相手方の個人名、会社・団体名などは、収支報告書にそれぞれ明記されている。

 内堀候補も半沢ビルを会津方部の選挙事務所に使った事実の記載はなく、選挙事務所費の項目に「立候補準備」の「事務所賃料」として、会津若松市内の吉原産業(センチュリーホテル内)に32万円余の支払いを記載、同社が領収書を発行している。

 県知事、国会議員、市長(いずれも現職)の3人の選挙運動費用収支報告書が、何故このような不透明な記載になるのか。ビル所有者であるアクーズ会津の名前を表に出さないために作為的に行ったのか、それとも半沢ビルの実質的な所有者が実はソルカ社だった、ということなのかもしれない。

 この点については、アクーズ会津とソルカ社、半沢ビルとの関係のなかで明らかにしていきたい。

 それにしても裏金ではなく表帳簿の収支報告書なのだから、さまざまな疑惑をもたれることがないよう適正に記載すべきである。

 取材メモ〈2〉

〔選挙運動費用収支報告書〕市選管委はノーチェック

 これまで重箱の隅をつつくような報告をしてきたが、ついでに室井照平氏の前回市長選(平成27年7月26日投票)の選挙運動費用収支報告書と、県選管委に提出した政治資金収支報告書(同27年分)を突き合わせてみる。

 政治資金収支報告書には、前述のソルカ社に対して①コピー機リース料6万4,800円②事務所賃料(5、6、7月分)162万円③駐車場賃料21万6,000円④駐車場整備料7万200円―の計197万1,000円の支払いを記載している。

 繰り返し述べてきたように、室井候補は選挙事務所を旧半沢ビルに設置していた。しかし、選挙運動費用収支報告書にはそのように記載されていない。

 駐車場というのは半沢ビル東隣り、当時、会津若松ワシントンホテルの第3駐車場である。舗装をかけて整備し、選挙事務所の駐車場に使ったということであろう。
 半沢ビルの土地・建物、第3駐車場の土地は平成25年12月3日付で(株)半沢商事社長の半沢重男氏からアクーズ会津に所有権が移転(売買)。第3駐車場の土地(650㎡)は1年半後の27年5月18日付でアクーズ会津から福島県に売却されている。震災復興公営住宅整備事業のために県会津若松建設事務所が取得した。
 一方、半沢ビルの土地(733㎡)、1部4階建ての建物(延べ1,377㎡)は丸2年後の平成27年12月3日付でアクーズ会津からソルカ社に売却されている。会津若松市長選の約4ヶ月後である。
 したがって、半沢ビルの所有者がアクーズ会津であったなかで市長選が行われ、室井候補は半沢ビルの何室かを選挙事務所に借上げ、駐車場も使っていた。この事実関係ははっきりしている。
 しかし、選挙運動費用収支報告書にはそのことが記載されていない。それは何故か。そして、これまで指摘してきた室井氏の連合後援会が自身の選挙事務所に支払ったという「事務所借上料5万円」との整合性はどうなるのか。
 さらに、政治資金収支報告書に記載された①コピー機リース料②事務所賃料(5、6、7月分)③駐車場賃料④駐車場整備料-のソルカ社に対する支払いは、明らかに市長選の選挙運動に関するものだが、それが選挙運動費用収支報告書には記載されていない。

 ところで公選法に定められた前回市長選の選挙運動に関する支払いの制限額は1,121万7,400円。室井候補の収支報告書では、平成27年7月10日から30日まで21日間の収支が次のようになっている。
 収入が室井氏の自己資金として120万円。寄付は記載されていない。

 支出は、①立候補準備のための支出が60万2,816円②選挙運動のための支出58万2,152円の合計118万4,968円。

 無投票当選だったとはいえ、収入の範囲内で支出をおさめる収支報告書になっていて、カネをかけない選挙の典型のような、もっともらしい記載になっている。
 この収支報告書を、公選法第189条の規定にしたがい、「真実の記載がなされていることを誓って」市選管委に提出したのが、出納責任者の庄條徳一氏(元県農協五連会長)である。

 公職選挙法、政治資金規正法と法律が別で、それぞれ書面の様式通りに、収支の金額に誤りがなく、領収書等がそろっていれば、収支報告書は受理されるようである。したがって、2つの収支報告書をうまく使い分けて記載することが肝要ということになる。

 公選法第193条は「報告書の調査に関し、必要があると認めたときは、候補者その他の関係人に対し、報告または資料の提出を求めることができる」と定めている。
 この条項に照らした室井氏の「事務所借上料5万円」の領収書等の疑問点について、市選管委事務局を再度取材した。だが、「(調査の)必要性はないと判断した」「報告または資料の提出を求めることができる、ということで、しなければならない、ということではない」と木で鼻を括るような回答であった。
 つまり、記載内容や領収書の裏付けに関してはノーチェックということであり、実態とは違う収支報告書になっていても罷り通るのである。

 この間、室井氏の選挙運動収支報告書について出納責任者だった庄條氏を取材したが、「度忘れしていた」などとふざけた応対に終始。室井市長にも秘書課長を通じて取材を申し入れたが、梨の礫である。またアクーズ会津の熊田社長にも取材を申し入れているが、返事がないままである。

 以上のように、会津若松市においては「説明責任を果たす」などという言葉は、「死に語」になっているようである。

 〈取材メモ3〉      

[若松市役所汚職事件の背景―その1]

 室井市長、逮捕業者と親密関係

 後援会がデスクトップパソコン購入

 昨年2月、福島県警捜査2課と会津若松署は会津若松市商工課主査(当時42)を収賄容疑で、同市内の情報サービス会社「C.S.D」の取締役(当時46)を贈賄容疑で逮捕した。

 市発注の「商店街コミュニティ構築促進事業」の委託者選定をめぐり、平成26年7月、商工課主査が受注に便宜を図った謝礼として、会社役員からノートパソコン1台とソフトウェア1点(計12万430円相当)を受け取った汚職事件。

 商工課主査は懲戒免職、加重収賄罪で有罪判決を受け、会社役員も贈賄罪で有罪判決となった。C.S.D(株)(白井武男代表取締役)は本社所在地が同じ(株)白井設計(同代表取締役)の子会社。

 平成27年7月には同市長選挙が行われ、室井照平氏が無投票で再選されているが、政治団体「むろい照平連合後援会」(室井照平代表)が同年3月、問題のC.S.D社からデスクトップパソコンを11万4,912円で購入していたことが分かった。平成27年分の政治資金収支報告書に記載されていた。

 市長選はデスクトップパソコン購入の4ヶ月後である。

 市発注業務をめぐる汚職事件を受け、市はC.S.D社を今年3月16日から12月15日まで、9ヶ月間の入札参加停止処分とした。親会社の白井設計は別法人であるため処分の対象外。

 問われる室井市長の政治姿勢

 この汚職事件と室井市長の政治資金収支報告書の記載から浮かび上がってくるのは、C.S.D社および白井設計と室井市長との親密な関係である。

 新聞報道などから事件に至るまでを整理すると以下のようになる。

  ①平成26年5月、市商工課主査がC.S.D社の役員に委託業者選定審査の便宜を図る。

 ②その見返りに同年7月、ノートパソコン1台とソフトウェアを受け取る。裁判で主査は「カメラやレンズなども受け取った」と供述。

 ③平成27年3月20日、室井市長の連合後援会がC.S.D社からデスクトップパソコンを購入。

 ④市民からの情報にもとづき市当局が同年7、8月の2回、この主査から聞き取り調査を行う。

 ⑤同年7月26日、市長選。室井氏が無投票で再選される。

 ⑥平成28年2月11日、市商工課主査とC.S.D社役員が贈収賄の疑いで逮捕される。

 逮捕された2人は平成26年5月以前からの親しい付き合いということであろう。室井市長も後援会事務所で使うデスクトップパソコンをわざわざC.S.D社から購入しているわけで、親会社の白井設計を含めた親密な関係がうかがわれる。室井市長の目玉政策であるICTオフィス環境整備事業をめぐっても白井設計などとの不透明な関係が取沙汰されており、今後、室井市長の政治姿勢が問われることになりそうだ。

 

 

 

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前回市長選、一転「出納責任者だった」

2017-10-06 14:58:24 | 疑惑の真相

「度忘れしていた」と庄條徳一氏

 9月20日付「取材メモ」で、平成27年7月26日投票の会津若松市長選における室井照平候補(無投票で再選)の選挙運動費用収支報告書に記載されていた内容に不自然な点がいくつかあることを指摘した。そのなかで元福島県農協五連会長の庄條徳一氏が、室井候補の出納責任者であったことを全面的に否定している、と報じた。
 今回の「取材メモ」では、その事実関係を再確認したいきさつをまず報告する。

 9月19日夜の電話取材(昼間、北会津町の自宅を訪問したが留守で会えなかったため)で、庄條氏は「私は(室井陣営の)」外部のような者で、出納責任者を依頼されたこともないし、引き受けたこともない。なにかの間違いではないか」「(収支報告書の)内容についても知らない。(あなたの)問い合わせで初めて知った」などと話し、自身が出納責任者だったことを全面的に、かつ明確に否定した。
 そこで再度、事実確認をするため10月1日夕方、庄條氏の自宅を訪れ、帰宅するのを待った。稲刈り作業から帰って来た庄條氏が玄関先で話したのは次のような内容である。
「(室井候補の)出納責任者になったことを度忘れしていた。大変、申し訳ない」。最初の取材で話したことを一転して否定し、出納責任者だったことを認めたのである。
「それでは」と収支報告書のコピーを示し、出納責任者として押印した「庄條」の印影を確かめてもらうと、「このハンコは私のものだ」と言うのである。
 次に室井候補の選挙事務所の借り上げ料5万円の領収書が、当該建物の所有者でもない「むろい照平連合後援会」から同じ身内の「むろい照平選挙事務所」宛に発行されている点を尋ねると、「市選管に確認してみたが、それでもかまわないと言っている。連合後援会が建物の所有者から借りていたからではないか」と、市選管事務局の見解とまったく同じ内容の説明である。
 むろい照平連合後援会がどこのどういう所有者から建物を借りていたのか。この点について庄條氏は「私は知らない。選挙の収支報告書と連合後援会の政治資金報告書は別のもののはずだ」と言っただけであった。

 以上が再取材に対する庄條氏の回答である。出納責任者は、公職の候補者の選挙運動に関する収入及び支出について、会計帳簿を備え付け、記載するなど全責任を負う立場にある。
 室井候補の選挙運動費用収支報告書(平成27年8月10日付)には、出納責任者の氏名が庄條氏の自筆の署名ではなく、パソコンかなにかで印刷した氏名に「庄條」の印を押しただけである。しかも再取材の受け答えを聞いていると、どうも収支報告書の記載内容については、よくわかっていないらしい。つまり頼まれてメクラ判を押した、ということではないのか。
 最初の取材で出納責任者になったことを全面否定していながら、12日後に一転、出納責任者だったことを認めるというあやふやな態度。この間、取材記者に対して「いゃー、間違っていた」とか、「思い違いだった」といった訂正の連絡は一度もなかった。
 ポスター作成など一定の選挙費用が公費で負担される市長選の収支報告書が、以上のようなわけのわからない不透明な状態で罷り通っているのである。

 公選法違反では「大変な事態に」

庄條氏が出納責任者を引き受けていないとすれば、公選法違反(虚偽記載)であるのは明らかであるため、この間、水面下で何らかの工作が行われたのかどうか。
 そして、むろい照平連合後援会の政治資金報告書(平成27年分)に、選挙事務所に借りた建物(旧半沢ビル)の所有者である(株)アクーズ会津(熊田広美代表取締役)の記載はまったくない。選挙事務所借り上げ料の領収書との整合性を含めてどう説明するのか。
 庄條氏は旧北会津村議、同村長、そして県農協五連会長を4年間つとめ、現在は菅家一郎連合後援会会長の74歳。分別ある人物のはずだが、もうろくしてしまったのだろうか。

 室井照平市長への取材申し入れ
 秘書課長「失念していた」

 前記の室井市長の選挙運動費用収支報告書問題について、同市長に直接説明をしてもらうべく9月25日、橋本博光秘書広聴課長を通して取材を申し入れた。
 しかし、一向に返事がないので10月2日、同課長に「その後、どうなりましたか」と電話を入れたところ、「失念していました。どちらでお会いしたでしょうか」と言うのである。
「市役所庁舎正面玄関で名刺交換をしている遠藤です。市長にお聞きしたい点があるので取材を申し入れ、この間のブログの紙も渡しているでしょう。当方はきちんとした手続きで取材を申し入れ、必要なら書面で取材を申し入れしてもよいですよ、と言ってあるでしょう」
「あぁ、遠藤さんですね。失礼いたしました。市長の政務のことなので連合後援会に伝えておきました」
「連合後援会ではないでしょう。市長に取材を申し入れているんですよ。あなたはまったく不誠実な方だ」「秘書課長にこれ以上、文句を言ってもしょうがないので、市長に必ず伝えてほしい。後日、公開質問状を差し出すので、誠意をもって回答していただきたいと」
「わかりました」

 橋本課長とのやりとりである。まったく当方を小馬鹿にしているのか、混乱しているのか、それともとぼけているのか。いずれにしても会津若松市長というのは、その程度に成り下がってしまったのだろうか。
 庄條氏のみならず秘書課長にも「度忘れ(失念)していた」というのだから、笑い話にもならない。当方は新聞社や雑誌社の看板や組織があるわけでもなく、一介のフリーライター(一応「会津ジャーナル」と名乗っている)のような者であるから、馬鹿にされたり、無視されるのは現役時代から慣れているが、そんなことにめげていたんでは取材記者はつとまらない。いずれにしても人を見下し、適当にあしらわれては困るのである。

 

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