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生命とは何か
2008-05-24
/
Books
科学を学ぶ学生が必ず読むべき本を1冊だけあげるとすれば、私なら本書を選ぶ。私が学生時代に読んだのは岩波新書の青版だったが、久しく絶版になっていた。本書が文庫に入ったことは朗報だ。
『生物と無生物のあいだ』
に感動した読者が本書を読むと、そのアイディアが基本的にシュレーディンガーのものだということがわかるだろう。福岡氏もそれを認めていて、「原子はなぜそんなに小さいのか?」という問いを本書から引用している。そして生物が「負のエントロピーを食べて生きている」複雑系だという洞察も、本書のもっとも重要な結論である。
本書の初版は1944年で、DNAの構造はまだ発見されていなかったが、染色体を「暗号」と考えて生命の謎を物理学をもとにして解き明かす記述は、ほとんどワトソン=クリックの発見を予言しているかのようだ。今では
ゴミのような本
ばかり出している岩波書店も、半世紀前には本書のような名著を出していたわけだ。岩波はもう新刊を出すのはやめて、古典と復刊専門の出版社になってはどうか。
コメント (
16
)
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コメント
生命の秩序
(
元大学教員
)
2008-05-24 22:10:54
秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。
人間の抱える全ての問題の答えが、そこにはありそうですね。
こんな研究だったら、一生捧げても良かったなぁ。
生物の本
(
popo
)
2008-05-24 22:17:55
岩波の生物の本なら「卵はどのようにして親になるか」がいいですね。
高校の時の課題図書だったのです。(1969)
Unknown
(
Unknown
)
2008-05-24 22:28:17
丁度何か面白い本は無いかと思っていたところなので池田先生のアフィリエイトから買わせて頂きます。
うーん
(
saury
)
2008-05-24 23:19:52
あの時代にこれを書いたシュレディンガーはさすがだとおもいますが、今となっては、『科学を学ぶ学生が必読』ともいえないんじゃないでしょうか?? 遺伝情報がタンパクだと思われてた時代の代物ですし、物理学者の空想・妄想みたいなもんですから。まあ、アフィリエイト狙いもあるとはおもいますが(イヤミではないですよ)
価値ある本なのは認めますが、タイトルの過激さと相俟って、少々過大評価されている本だと感じます。
近い本なら、モノー「偶然と必然」、ベルタランフィ「一般システム理論」等のほうが「必読」だと思います。
それ読んでみます
(
わど
)
2008-05-24 23:45:02
あーくそ。読みたい本ばっかりです。無駄な体力以外、時間もお金もないってのに(笑)。
螺旋構造
(
佐藤秀
)
2008-05-25 00:21:25
>染色体を「暗号」と考えて生命の謎を物理学をもとにして解き明かす記述は、ほとんどワトソン=クリックの発見を予言しているかのようだ。
もうその当時からDNAは暗号だという説が有力だったようです。ワトソン=クリックは先達の積み重ねをベースに構造を発見したみたいですね。
良書ではあるけど
(
なんとも
)
2008-05-25 04:58:32
私も、「科学を学ぶ学生が必ず読むべき本」の代表とまでは言えないとは思います。が、おもしろい本であるのは間違いないので、池田先生のように影響力のある方がこうして取り上げてくれることに意義があるのだと思います。
Unknown
(
Unknown
)
2008-05-25 08:03:51
この本ようやく復刊されましたか。
前から一度読みたかったのだけど、amazonマーケットプレイスで1万円もの値段がついていて手が出ませんでした。
補足
(
池田信夫
)
2008-05-25 08:58:00
誤解のないように付け加えておくと、私が「科学を学ぶ学生の読むべき本」だと書いたのは、これが生物学の教科書としてふさわしいという意味ではありません。遺伝子の本体を蛋白質としている点では間違っています。絶版になっていたのは、そういう理由だと思われます。
しかし科学を学ぶ上で大事なのは、自分の学んだ中からどう仮説を立て、事実によって検証するかというheuristicsです。これには「帰納→演繹」といった機械的な方法論はなく、自分の直観を論理化して実験するしかありません。この点で、専門外の生命という現象を自分の専門分野の物理学の知識で解釈しなおし、ほとんど分子生物学や「複雑系」の理論に近い結論を出している本書は、すぐれた科学者がいかに仮説を立て、検証するかのお手本だと思います。
ちなみにシュレーディンガーが有名な波動方程式を着想したのは、1925年にダボスの保養地で愛人と暮らしていたときだったそうです。彼は自由恋愛主義者で、妻以外に3人の愛人をもち、3人の子供をつくりました。これは学生諸君がまねする必要はありません(できないだろうけど)。
波動方程式
(
神永正博
)
2008-05-25 13:02:29
分かっている人には不要なコメントですが、
ここで池田先生が言っている
「シュレーディンガーが有名な波動方程式...」
というのは、正確には、量子力学の基礎方程式
「シュレーディンガー方程式」
のことです。「波動方程式」というのは、時間に関して二階の偏微分方程式で、「シュレーディンガー方程式」は時間に関して一階の方程式です。
Unknown
(
)
2008-05-25 18:06:47
なんか池田先生かわいそうですね。せっかく面白い本を紹介しても色々言われて。まあ有名人だから発言の一つ一つに責任が生じるのでしょうけど。
人間 この未知なるもの
(
ジロー
)
2008-05-25 18:46:44
古い本ではアレキシス カレルの「人間 この未知なるもの」も面白いですね。
岩波古書店(再販)
(
環境研
)
2008-05-26 15:54:56
先日のこのブログで、岩波はいい本の再販に特化したらと古書店化を薦めたが、池田氏の同意を得て意を強くした。「生命とは何か」のような名著の再販は歓迎だが、新書を文庫化するのにはちょっと違和感がある(古い感覚かもしれないが)。最近は岩波だけでなく中公も新書の文庫化を進めているようだが、新書は新書で再販して欲しい気もする。まあ、もとのシュレディンガーの本そのものが、新書という形式をを超えているから、文庫でもいいのだろうが。
最後に一言言わせてもらうと、自然科学のこの種の本は、専門知識を得るためには書かれていないと思う。専門性はその領域の特殊言語(数式や記号)で理解すべきだろう。自然科学のすぐれた啓蒙書の意義は、別のところにあり、この本がそのいい例だと思う。
Unknown
(
Unknown
)
2008-06-02 18:59:22
池田先生、この記事のようにもっと古典をレビューして欲しいです。
「資本論」「道徳の系譜」などをお願いします。
生命とは何か
(
地下水
)
2008-09-06 21:17:28
生命とは、過去に役立った酵素の記憶の集積から、場合に応じて、酵素を再発現することで、活性化されている。美味しいものを食べたら、再び食べたがる。前より食べるのが上手になる。病気になったら、その時に対処した酵素が、たくさん発現され、跡になって遺伝情報に残る。そして以前より発現しやすくなる。
生物物理学がその機構ができて行く様子を定量的に示しているようだ。
シュレディンガーの「生命とは何か」には、ヒステリシスやエントロピーとの対比がある。生物の物理定量の始まりの様だ。しかし、酵素の記憶の集積を明示しているだろうか?初めて明示したのは誰だろうか?
>地下水さん
(
shousiminjp
)
2008-09-07 02:44:16
CELLの二版に細胞内の代謝経路をニューラルネットワークとみなす記述がありまする。(1版にもあるのかもだけど確認してない)
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人間の抱える全ての問題の答えが、そこにはありそうですね。
こんな研究だったら、一生捧げても良かったなぁ。
高校の時の課題図書だったのです。(1969)
あの時代にこれを書いたシュレディンガーはさすがだとおもいますが、今となっては、『科学を学ぶ学生が必読』ともいえないんじゃないでしょうか?? 遺伝情報がタンパクだと思われてた時代の代物ですし、物理学者の空想・妄想みたいなもんですから。まあ、アフィリエイト狙いもあるとはおもいますが(イヤミではないですよ)
価値ある本なのは認めますが、タイトルの過激さと相俟って、少々過大評価されている本だと感じます。
近い本なら、モノー「偶然と必然」、ベルタランフィ「一般システム理論」等のほうが「必読」だと思います。
もうその当時からDNAは暗号だという説が有力だったようです。ワトソン=クリックは先達の積み重ねをベースに構造を発見したみたいですね。
前から一度読みたかったのだけど、amazonマーケットプレイスで1万円もの値段がついていて手が出ませんでした。
しかし科学を学ぶ上で大事なのは、自分の学んだ中からどう仮説を立て、事実によって検証するかというheuristicsです。これには「帰納→演繹」といった機械的な方法論はなく、自分の直観を論理化して実験するしかありません。この点で、専門外の生命という現象を自分の専門分野の物理学の知識で解釈しなおし、ほとんど分子生物学や「複雑系」の理論に近い結論を出している本書は、すぐれた科学者がいかに仮説を立て、検証するかのお手本だと思います。
ちなみにシュレーディンガーが有名な波動方程式を着想したのは、1925年にダボスの保養地で愛人と暮らしていたときだったそうです。彼は自由恋愛主義者で、妻以外に3人の愛人をもち、3人の子供をつくりました。これは学生諸君がまねする必要はありません(できないだろうけど)。
ここで池田先生が言っている
「シュレーディンガーが有名な波動方程式...」
というのは、正確には、量子力学の基礎方程式
「シュレーディンガー方程式」
のことです。「波動方程式」というのは、時間に関して二階の偏微分方程式で、「シュレーディンガー方程式」は時間に関して一階の方程式です。
最後に一言言わせてもらうと、自然科学のこの種の本は、専門知識を得るためには書かれていないと思う。専門性はその領域の特殊言語(数式や記号)で理解すべきだろう。自然科学のすぐれた啓蒙書の意義は、別のところにあり、この本がそのいい例だと思う。
「資本論」「道徳の系譜」などをお願いします。
生物物理学がその機構ができて行く様子を定量的に示しているようだ。
シュレディンガーの「生命とは何か」には、ヒステリシスやエントロピーとの対比がある。生物の物理定量の始まりの様だ。しかし、酵素の記憶の集積を明示しているだろうか?初めて明示したのは誰だろうか?
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