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空気を読むな
宮台真司氏が、「KY」と日本の論壇の幼児性を結びつけて論じているが、私も同感だ。日本のメディアは空気によって党派がわかれ、慰安婦でも沖縄でも、初めに結論ありきで、歴史的事実におかまいなしに、朝日=岩波ムラと産経=文春ムラにわかれて罵倒の応酬が続き、論理的な論争が成立しない。たとえば『諸君!』に執筆すると、文春ムラに入ったとみなされ、そっち系の雑誌からばかり注文が来るようになる。
こういう無人称の空気こそがかつて日本を戦争に引きずり込んだのだ、と指摘したのは山本七平だが、その原因を彼は分析しなかった。私は、この謎を解く鍵は、山本が空気と関連して論じた水にあると思う。といっても彼は「場の空気に水を差す」というように空気=雰囲気と対立する通常性の原理として水をとらえたのだが、ここで私がいうのは文字どおりの水、すなわち農村の水利構造である。
われわれはつい忘れがちだが、日本では50年前まで人口の半分以上が農民だった。日本の高度成長を支えたのは、こうした農村から出てきた労働者(その最後が団塊の世代)だから、彼らの行動規範は基本的に農民のエートスだった。モンスーン地帯の農業の最大の問題は水の供給である。特に日本は国土の17%しか農地がなく、しかも傾斜が急で米作には適していない。そこで米作を行なうために共同で開墾と灌漑工事が行なわれ、放置すると海に流れてしまう水を貯水し、それを田に引く複雑な水路が作られた。そこを流れる水が途絶えると稲は枯れてしまうので、緊密な共同作業で水を管理しなければならない。
そもそも各戸ごとの田というのは、江戸時代後期までなかったといわれる。「池田」とか「村田」という姓が示すように、田は村全体のコモンズで、その収穫は各戸に平等に分配された。田が各戸ごとに分割されるようになってからも、村内で水の配分をめぐって争うことは固く禁じられ、そういう秩序を乱す者は文字どおり村八分によって排除された。このコモンズとしての水を守るのが、村民の共有する空気としての掟だった。自由になるには村を離れるしかなく、それは商人などとして成功する場合もあったが、ほとんどの場合は餓死を意味した。
こういう「農耕民族論」は、かつて日本的経営の後進性を説明する論理としてよく使われたが、経済学者はこういう「文化的決定論」をバカにし、ゲーム理論などで合理的に説明するのが80年代以降、流行した。しかし最近の行動経済学や進化心理学の実証研究が示すのは、遺伝的・文化的環境の影響のほうが「合理的決定」などという仮説よりはるかに人間の行動を説明する因子として有力だということである。
だから、KYといわないとわからない空気の希薄化の原因は、かつて農村から出てきた団塊の世代と、その子孫の団塊ジュニア世代のギャップにある。農村で育ち、会社を第二のムラとして、毎朝の朝礼などによって水を共有し、他の村との「水争い」では結束して闘う強い倫理を埋め込まれた世代が、まもなく引退する。この「水不足」は、単なる労働人口の不足よりも深刻な「2007年問題」を引き起こす可能性がある。それは労働者を内的に駆り立てる労働倫理の欠如だ。
しかし私は、これを解決するのが宮台氏のいうような「新しい知識人」だとは思わない。そんな知識人の特権性は、マスメディアの没落とともに失われたからだ。かといって「群衆の叡智」なるものも、今のウェブの混乱状態をみればわかるように、当てにならない。むしろ可能性は、空気の読めない若者が増え、会社にべったり埋め込まれた水利構造を脱却することにあると思う。今はフリーターとかニートとかネガティブなとらえ方しかされていないが、彼ら団塊ジュニアが本気で親の世代に「戦争」を仕掛けることが、私の希望だ。
こういう無人称の空気こそがかつて日本を戦争に引きずり込んだのだ、と指摘したのは山本七平だが、その原因を彼は分析しなかった。私は、この謎を解く鍵は、山本が空気と関連して論じた水にあると思う。といっても彼は「場の空気に水を差す」というように空気=雰囲気と対立する通常性の原理として水をとらえたのだが、ここで私がいうのは文字どおりの水、すなわち農村の水利構造である。
われわれはつい忘れがちだが、日本では50年前まで人口の半分以上が農民だった。日本の高度成長を支えたのは、こうした農村から出てきた労働者(その最後が団塊の世代)だから、彼らの行動規範は基本的に農民のエートスだった。モンスーン地帯の農業の最大の問題は水の供給である。特に日本は国土の17%しか農地がなく、しかも傾斜が急で米作には適していない。そこで米作を行なうために共同で開墾と灌漑工事が行なわれ、放置すると海に流れてしまう水を貯水し、それを田に引く複雑な水路が作られた。そこを流れる水が途絶えると稲は枯れてしまうので、緊密な共同作業で水を管理しなければならない。
そもそも各戸ごとの田というのは、江戸時代後期までなかったといわれる。「池田」とか「村田」という姓が示すように、田は村全体のコモンズで、その収穫は各戸に平等に分配された。田が各戸ごとに分割されるようになってからも、村内で水の配分をめぐって争うことは固く禁じられ、そういう秩序を乱す者は文字どおり村八分によって排除された。このコモンズとしての水を守るのが、村民の共有する空気としての掟だった。自由になるには村を離れるしかなく、それは商人などとして成功する場合もあったが、ほとんどの場合は餓死を意味した。
こういう「農耕民族論」は、かつて日本的経営の後進性を説明する論理としてよく使われたが、経済学者はこういう「文化的決定論」をバカにし、ゲーム理論などで合理的に説明するのが80年代以降、流行した。しかし最近の行動経済学や進化心理学の実証研究が示すのは、遺伝的・文化的環境の影響のほうが「合理的決定」などという仮説よりはるかに人間の行動を説明する因子として有力だということである。
だから、KYといわないとわからない空気の希薄化の原因は、かつて農村から出てきた団塊の世代と、その子孫の団塊ジュニア世代のギャップにある。農村で育ち、会社を第二のムラとして、毎朝の朝礼などによって水を共有し、他の村との「水争い」では結束して闘う強い倫理を埋め込まれた世代が、まもなく引退する。この「水不足」は、単なる労働人口の不足よりも深刻な「2007年問題」を引き起こす可能性がある。それは労働者を内的に駆り立てる労働倫理の欠如だ。
しかし私は、これを解決するのが宮台氏のいうような「新しい知識人」だとは思わない。そんな知識人の特権性は、マスメディアの没落とともに失われたからだ。かといって「群衆の叡智」なるものも、今のウェブの混乱状態をみればわかるように、当てにならない。むしろ可能性は、空気の読めない若者が増え、会社にべったり埋め込まれた水利構造を脱却することにあると思う。今はフリーターとかニートとかネガティブなとらえ方しかされていないが、彼ら団塊ジュニアが本気で親の世代に「戦争」を仕掛けることが、私の希望だ。
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日本人が農耕民族だとか、島国だというのはあまりにも一面的な神話だと思いますが。そういう神話を解体したのが網野善彦さんでした。
網野善彦氏が描かれたそういう方々もやはり池田信夫氏が仰られている所の共同作業や管理そして村八分のエートスは流れていると思われます。
海の民や鉄を扱う民達もそれぞれのルールに基づく共同体を場所や内容の差異はあれ形成されて来ましたから。
むしろ農耕民族信仰や島国信仰を良くも悪くも補填する役割を果たしておられると考えます。
・・網野善彦氏は日本近現代史に関する事やマルクス主義に言及しなければとても素晴らしい方でした。
著作に某大学の在日先生が含まれたりしているのだけが・・
顧客を騙し裏切り、ライバル会社をアンフェアな手段を持ってしてでも蹴落とそうとする団塊までの世代のほうが「労働倫理」が欠如しているように思えます。
旧世代が自らの所属するムラのために働くムラ社会的な労働観を持っているのに対して、
若い世代は社会全体の利益になる労働をし、
その見返りとして自身の利益を得る、という市場社会的な労働観を持っているように思えます。
団塊ジュニア世代は会社のためでなく、
社会のために働きたいのですよ。
それはムラ=カイシャに自らを庇護してもらうためにカイシャの走狗となり、顧客、社会を平気で裏切ってきた親世代を反面教師にしているためと、労働観の欧米化のためでしょうね。
この記事での「水のしがらみ」は、日本が瑞穂の国と呼ばれ、水田耕作から得られる米を時代を超えて価値基準にしてきた事こそ、単純にグローバリズムなどでは割り切れない文化や、有る意味空気だったんです。
いまだに、百姓は上流感覚(きれいな水を下流に流す)を持っております。これはけっして畑作には無い感覚でして、大陸の畑作民には育ちにくい感覚なんですね。
この水利の維持管理は現在でも受益者がかなりの部分を占めており、それは単純に賃金に換算できる労働とは呼べない性質のものです。
神代の昔からこれを続け、米食って来た訳ですから、DNAに刷り込まれているものと思います。
資本論的な見地から、農政が大きく替えられようとしていますが、官僚の机上論がまるで通用しない世界で、遅々として改悪?が進まない事実は、その辺が理解できていない事に起因するように見えてしょうがありません。
もっとも自由化による大波は、一気に崩壊へと向かい、いやおう無しに世界標準化されていくのでしょうが、そのときに最も必要の無いのが官僚達だと言う事も明らかです。
>>社会のために働きたいのですよ。
まさにおっしゃるとおりです。
他人や社会を偽ってまで高収入を得たいとは思いません。
笑われるのを承知で理想を言えば、
社会的に意味のある仕事をして、
個人として勉学や余暇等に当てられる時間と、
一人で生活するのに困らないだけの金銭があればいいのです。
日本では、機能集団(軍隊、会社、大学など)がいつのまにか、共同体になってしまうのが特徴のように見えます。
ただし、共同体が存続するには、構成員に餌をバラまかなければなりませんが、それが枯渇しているのが現状ではないでしょうか。エリート学生の官公庁離れも、この流れだと思います。
KYは共同体が壊れかけている今こそ、出てきた言葉かもです。
>社会のために働きたいのですよ。
何を甘っちょろいこと言っておるのか。
会社の利益の為に働かずして何か社会に貢献できると思ってるのか。
ライバル会社を出し抜き、顧客から最大限の利益を引き出し、収益を上げ税金を納める。最も社会のためになるのはそういう事だ。
>社会的に意味のある仕事をして、
>個人として勉学や余暇等に当てられる時間と、
>一人で生活するのに困らないだけの金銭があればいいのです。
で、蓄えもないまま年老い、少子化解消にも貢献せず老後は乏しい国家予算からお恵みをいただき食い尽くす。
社会はそんな若者求めておらん。このクサレ左翼め。
そういう意味で80年代はアメリカ帰りの「先生」が幅をきかせていたのではないでしょうか。舶来信仰は日本のDNAですから。特に知識人と言われる人に多く、素朴な愛国心はその下の層にいて知識人はこの人たちを嘲笑する。
行動経済とか心理学を応用したものがアメリカから出てきたのは面白いです。結局最大公約数的にみると文化的なものはありますからね。
世代間対立をおじさんたちがどう籠絡するのかが楽しみです。共生や愛国心を使うと思いますけど。年金より5年後の金ですね、若い世代は。それより年金の原資はいくらあるのか明らかにしていない。
ムラ化した組織はある一定のルールがあってそこから逸脱したものをKYとして村八分にしていたが、ルールが無効化するとバラバラになりますね。学級崩壊ってそういう現象のことです。言われ始めたその世代はもう社会人です。多分25歳前後です。
国民の大多数を占める農民を束縛する前近代的な規律は、空気や水で論ずることはできても、その規律が、農村において、自立的にのみ形成されていったとしたり、古来からの伝統文化のように原初的なものとするのは、醸成された偏見に基づく曲解である。明治期以降、戸籍法が制定され、それまで国防のために戦うという義務を負わなかった農民に、徴税と兵役の義務を課し、家族のモデルとして、家父長的な武家の家族モデルを採用して、訓育、馴致し、啓蒙の名の下に、農村にある固有の文化を変性させていった結果としての、作り上げられた”空気”をこそ論ずるべきである。
コジェーブの指摘する、日本の究極のスノビズムとは、おそらく武家の文化に根ざしたものであったであろうが、明治期以降の、政策により、結果として全国民に波及したとも、ひょっとしたら、言い得るのかもしれない。
笑っちゃうねえ。
産地や製造年月日を偽装して中国毒菜や腐敗食品、BSE肉重金属ウナギを売りつけ、
クソ金融商品やインチキリフォームを騙し売り、
優良ベンチャーの技術を特許無視で奪って潰すのが社会のためか。
株主や経営陣の不労所得のためにモラルハザードを起こすより、皆がルールの範囲で競争するほうが生産性が上がるんだけどね。
団塊世代が企業トップになった頃からモラルハザードがひどくなった。
>老後は乏しい国家予算からお恵みをいただき食い尽くす。
これはまさに団塊以上の世代のことなのだが。
孫の世代のクレジットカードで買い物して恥ずかしくないのだろうか。
ないのでしょうか?
単純な質問ですみません。
タカトシの「欧米か!」ってコントも空気読め の裏みたいですし。
逆に韓国日本は 読め って感じがします。とわいえ、
TVとかから得る情報なので信頼性に欠けます。。
しまいました。空気が読めないと大変です。
講義中の教室にいきなり入ってきて、教員に自分の用件を伝えようとする大学院生や、スチューピッドクエスチョンを平気でやっている学生など、日本では考えられない光景が続出する。
日本でも行儀の悪い学生はいくらでもいますが、周りを見て行動します。学級崩壊というのはまさに日本的現象で、欧州では行儀の悪い人はどこでも行儀が悪い(笑)
大学の授業でもやっぱり後ろの方の席に座るし、場違いな行動には突っ込むし。ただ、空気があるとしても「薄い」ですね。基本的に出る杭は打たれないが、公然と打たれることもあって、空気が少ない分ひどいときはひどい。
これってまさに、デヴィッド・リースマンが『孤独な群集』ではるか昔に指摘した、レーダーを持って生き続ける「他者指向型」の現代人の特徴です。と、ここまでは従来通りですが。
ニートやフリーター問題は、「プライド」の問題だと思っています。所詮、人間が他者に差異を付けたいがために無職の人物をレイベリングしているにすぎません。問題はこうしたレイベリングされた人物が、自ら社会的劣等の象徴だったこれらスティグマ(聖痕)を声高に主張し始めたら、おそらく日本社会はあっという間に崩壊するでしょうね(既にしてるかも)。
1960年、今から47年前の統計では、農業就業者数は1,196千人、就業人口の26.8%と農林水産省のHPに出ています。
池田氏の提起する議論とは本質的に関係ありませんが念のため。
池田殿の問題定義とは無関係ですが、とりあえず議論に水を差してみる。
あと、ニート(非労働者)とフリーター(労働者)は全く別物です。同列に語る意味がわかりません。
今時のにーちゃんねーちゃんって、1960年ぐらいに生まれた世代よりものすごく保守的で体制に迎合的だと思う。
>今時のにーちゃんねーちゃんって、1960年ぐらいに生まれた世代よりものすごく保守的で体制に迎合的だと思う。
若者こそが保守ですね。宮台氏が書かれていましたが、私と公の区別がない日本で技術がより促進してしまったと。だからだれも本当のことを友達に言えない。ヘッジするためには言わない話さないという選択をしなければならない。空気を読まないと過剰に叩かれる。ポジティブフィードバックがかかりすぎている。報道を見ても何でも過剰です。
そうした同調行動は「農耕民族」としてのDNAと言うよりは、幼少期の体験が強く影響してると思います。つまり、学校や友人関係の中でちょっとでも他人と違う言動をとると浮く⇒イジメにあいますから、否応なしに空気読み能力を獲得するのだと思います。
これは若い世代だけではなく、それ以前の世代も本質的には同じでしょう。我々バブル世代は挙ってブランドものを身に付け、団塊世代は挙って学生運動に参加した。これは一見親の世代と対立しているように見えるけど、それは同世代だけで固まっている学生時代だけで、就職して組織の一員となると、やはり空気を読んで周りと同調するだけです。
最後の文章。これって、具体的にどういうことでしょうか?まったく具体例が思い浮かびません。
それはマスコミの捏造なんですけどね。
例のサンゴ事件を風化させ、検索エンジン上で下位に押しやるために若者発ということにして
マスコミがでっち上げた言葉です。
>例えば、あらゆる大学の学生が、リクルートスーツと呼ばれる制服のごとき均質な服装で就職活動を行ってますよね。
それは世界中どこでもそうなんじゃ・・・
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