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農協の大罪
2009-01-12
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著者(山下一仁氏)は、私の元同僚である。農水省から経済産業研究所に派遣され、市場開放された場合の農業政策を考える役割だった。しかしWTOで農水省が粘り勝ちして米の関税引き下げを阻止したため、彼の研究は宙に浮いてしまい、彼は農水省をやめた。
本書の内容は、農協が農民をいかに食い物にしてきたかを歴史的にたどり、著者の農業改革案を説明するものだ。印象的なのは、農協が戦時統制団体である「農業会」を衣替えしたものだということだ。他の戦時統制団体は解体されたが、農業会は食糧難のなかで米の供出を確保するという緊急業務のため、看板をかけかえただけで生き残った。ここでも「戦時体制」はまだ生きているわけだ。
農水省の政策は「農業政策」ではなく「農協政策」だとよくいわれるが、戦前から受け継いだ政治的・経済的な権力を集中し、農業を独占的に支配する農協は、農家を搾取して日本の農業を壊滅させた元凶である。その最大の権力基盤は、農協を通じて配布される農業補助金だ。著者はこの構造を変えるため、補助金を廃止して市場を開放し、農産物価格を下げる代わりに、中核農家に所得補償する政策を提案する。
これは多くの経済学者の提案している政策だが、著者がその根拠として「食料安全保障」をあげるのはいただけない。彼は「国際経済学では生産要素は企業間・産業間を自由に移動できるという前提に立っている」というが、経済学にそんな前提はない。土地が固定されていても、それを使って生産した最終財の市場があれば、貿易を通して
要素価格が均等化
され、資源の効率的な配分が可能になるのだ。
食糧安保の根拠を、中国などの値上げに求めているのもおかしい。中国が値上げしたロシアから買えばいいし、米が値上がりしたら麦でカロリーは補給できる。全世界で数年にわたってすべての穀物の価格が数十倍になって、GDP世界2位の日本が食糧輸入でカロリーをまかなえなくなるような事態は、世界大戦が起こらない限りありえない。食糧安保が「保険」だというなら、そのリスクを定量的に評価すべきだ。農産物価格の上昇へのヘッジなら、
輸入元の多様化
のほうがはるかに効率的である。
所得補償は民主党も提案しているが、これは著者の提案とは似て非なるバラマキ政策だ。農協を解体して日本の農業を建てなおすことは、疲弊した地方を活性化する上で重要な政策だが、この点でも自民・民主のどちらにも期待はもてない。
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コメント
Unknown
(
暇な人
)
2009-01-12 11:07:32
1940年体制というか岸ら革新系官僚の功罪は、
いろんなところに残っているものですね。
私も食料自給よりは、外国からの輸入が大事だというスタンスです。正直自国民が餓死しようと、
高く買ってくれるところがあるなら、売ってしまうのが、
地主や国家というものです、それで安い穀物をかい、
食料を多く輸入できます。
(もっともその食料が上手く分配できなかったり、
購買力の低下で餓死が発生するんですが)
ただこの著者の主張のように、最低限の所得保障や、
アメリカでやっている赤字分の政府保証などをして、
国産の市場価格を下げて、農家の生活を保障すれば、
国の自給率はある程度あがると思います。
なかなか食料価格がもとの水準まで下がらないし、
また食料輸入のコストがこれからは、投機マネーなどにより上がる可能性もあるので、
ある程度建て直しの一考としては著者の政策もありなのではないでしょうか。
民主党の政策が駄目なのは同意します。
自民党が大規模化を狙い、支払いへの優遇措置をしたのを、批判している立場上、ああなってしまうのもわかりますけど、あれはやりすぎです。
あるいは
(
JIN
)
2009-01-12 11:28:40
>全世界で数年にわたってすべての穀物の価格が数十倍になって、GDP世界2位の日本が食糧輸入でカロリーをまかなえなくなるような事態は、世界大戦が起こらない限りありえない。
数十年に渡って日本の経済が衰退し、輸入依存で食糧がまかなえなくなるような事態は世界大戦が無くても有り得る。
その前に資源がコケてしまうでしょうが。
「食料安全保障」なんて言葉を聞くとむしろ、こっちの方を想起してしまいます。
いずれにしても経済力の維持はマストですね。
農水の政策について同感です。
(
サコツ
)
2009-01-12 11:31:31
はじめまして。
いつも楽しく読ませていただいております。
大学が農学部だったので、一般教養として農業史を学びました。
今の農業体制は「戦後の混乱期を乗り切るための緊急措置としての政策」のままで、現在もそのときとさほど変わらないという現状に非常に問題を感じています。
今も引き続き抱える問題として、
■生産しかできない組織が経済活動をできるはずがないこと(農協がそうした)
■法律が複雑で、新規参入できないこと
■土地絡みの利権があるため、農地が錬金術の手段となっていること
があると思います。
農業は世界でも補助金だらけで、そもそも現在の資本主義で農業が成り立つのかという疑問さえあると思うのですが、池田先生はどうすれば農業が資本主義の中で独り立ちできると思われますか。
6月に農業分野で起業を考えており、ヒントをいただけますと幸いです。
企業農家
(
bobby
)
2009-01-12 12:32:35
食料の安定供給と雇用創出のために、兼業農家を廃止して、安定経営されていない農地を集約し、株式会社へ全面的に開放するという手段もあると思います。負の所得税を導入して、工場ワーカーだけでなく企業農家の農業ワーカーの賃金も低く抑えるようにすれば、特別な補助金が無くても中国に対抗できる価格で販売できる可能性があります。
戦時体制と所得保障
(
くず
)
2009-01-12 13:08:09
安倍元首相が「戦後レジームの脱却」を内閣の看板として掲げましたが、当時、有権者ではないこともりまして、意味がわかりませんでした。
いま顧みれば、教育法改正や社保庁解体といった内容であり、言ってみれば戦後レジームというよりは戦時体制だったのではないかと思います。健保は戦前の軍部の要請、日教組はGHQ支配下で組織されたはずです。色々と諸悪の元凶ですよ。官僚が現状維持、現状維持を繰り返した結果、破綻が目に見えてきたんですからね。
「戦後レジーム」を壊すんじゃなくて「戦時体制」を壊すと言っておけば、左巻きのマスコミも歓迎したんじゃないかなあと思いますね。なんとなくですか。
所得保障については、池田先生はフリードマン流の所得税に賛成だと思いますが、農家のみを対象とする点に歪みが生じるということですよね?農家を含めた個人企業の所得をどう把握するのかが、フリードマン流の所得税の制度化の鍵ではないかと思います。
というわけで、このブログを見ている法学部卒の優秀な官僚の方々は、ごくごくあたりまえの制度を制度化すべく、高橋洋一氏のように裏でしこしこと制度化の準備をしていただきたいと思います。法学部は制度を厳密に作ることはできるけれども、望ましい制度を論じることはできない。経済学者は望ましい制度を論じることはできるが、厳密な制度を作ることはできない。法学部の官僚は制度化を遂行することです。現状維持が仕事なんではない。
山下さん
(
ken
)
2009-01-12 14:27:15
私もこの著者をよく存じています。
非常に熱い人です。こういう人が農水省の幹部になってほしかったですが、中からより外でしっかりとした啓蒙活動をされた方が世の中のためになるでしょう。
食料安保は今まで明らかに農業保護を維持するための理由として過度に使われてきた気がしますが、池田先生のおっしゃる「中国が値上げしたロシアから買えばいいし、米が値上がりしたら麦でカロリーは補給できる」ってのは、さすがに短期的には無理だし、日本人のコメへの拘りは相当なもので、まったく現実的議論ではないと思います。
資源をほぼ輸入に頼っているし、輸出先がないと日本の経済は無理、食料安保だけ主張しても、まったく無理なのですが、日本の食料市場は中途半端に大きく、やはり天候や国際情勢に左右される食料の調達をできるだけ安定的にするよう、国も考えるべきではあると思います。しかし、それは、以前コメ不作があったことを想起すれば分かるように、自給率を上げることでは必ずしもなくて、内外問わずヘッジをかけていくことなのだと思います。もちろん、商社等は自社の経済利益のため常に考えていると思いますが、原油と同様に国もある程度あらゆるオプションを考えておくべきでしょう。
この本、読んでみます。
Unknown
(
finotonic
)
2009-01-12 18:06:45
コメント欄には農業をよく知っている方が書いたコメントが多いので、あまり書けませんが。
素人の私の発想からすると、農業生産物は、水と同じように生命維持に不可欠で今風に言うとエコとも深く関わるので、補助金や所得補償が必要となってくると思います。
「彼(著者の山下さん)は『国際経済学では生産要素は企業間・産業間を自由に移動できるという前提に立っている』と」して所得補償を是認する根拠としているらしいですが(機会があったら読みたい)、石油・車両・家電と異なって、上記の自分が書いたようなことを根拠にするのはおかしいのでしょうか?
RE:企業農家
(
iseeker
)
2009-01-12 18:16:02
bobbyさんが既におっしゃってますが、農家の企業化を進めることはできないのでしょうか?株式会社化して土地は会社の持ち物とし、土地の所有者は株式を通して利益を得られるようにする。
会社組織になれば既存企業も参入しやすくなって競争も促進されますし、大規模化によって生産性も向上すると思います。それだけでなく不況で職を失った人の職場としても魅力がアップすると思います。
このままほおっておくと、日本の農業は年老いた農家とともに消えてしまいそうです。今のうちに若い労働力が農業に参加できる仕組みを作れないのでしょうか?
工場を国内に残していくことは困難極まりなくなってきましたが、農業なら消費地に近いということが製造業よりは有利に働くと思うのですが・・・。
食糧の確保
(
ABC
)
2009-01-12 19:00:20
>著者はこの構造を変えるため、補助金を廃止して市場を開放し、農産物価格を下げる代わりに、中核農家に所得補償する政策を提案する。
これは正しい方向なのではないでしょうか。以前海外のドキュメンタリーで取り上げられていましたが、ヨーロッパでは農業補助金が余剰作物を生みだし、それらを発展途上国に輸出してしまうため、輸入国である発展途上国の経済的自立が阻害されてしまっていることが問題となっているようです。フェアトレードの隆盛なども、同じ文脈で考えることができますね。したがって上記の指摘は、当面の措置として非常に当を得たものだと思われます。
そして根本的には池田先生がおっしゃるように、輸入作物を確実に確保する方策を考えたほうが賢明ではないかと考えます。昨年NHKでも特集が組まれていましたが、ウクライナなどの肥沃な土地を商社などが借り受け、そこで作った作物を輸入するビジネスを後押しする施策も必要なのかもしれませんね。
山下さんによる最新記事が
(
文京区在住
)
2009-01-12 22:21:14
ダイヤモンド・オンラインに載っていました。
http://diamond.jp/series/agric/10011/
農林中金と新○銀行という“ゾンビ銀行”が金融危機再燃の引き金を引くかもしれません。
Unknown
(
かも
)
2009-01-12 22:22:55
農協は、もっと悪辣です。
農協がターゲットにしているのは、兼業農家と、営農力のない高齢農家です。
専業農家で、企画力も、営農力も、開発力もある農家は、農協を相手にしません。
農協に頼っても、何の益もないことを知っているからです。その上で、例えば減反政策で、意欲有る専業農家、つまり、農協の敵を排除しようとします。
農協は、作付け計画、作物の生育管理、品質管理、出荷販売管理の全てを、産地形成とか、集団出荷とか、共選とかの名目を付けて、管理し、必要な資材、肥料、農薬を売りつけて、差益をかすめ、出荷に際して、市場を支配し、マージンを独占しています。
更に、高額の農機具を売りつけ、営農資金と称して、貸し付け、貸しはがし、ハゲタカのように農家を食い物にしています。その結果、全農という巨大組織が生まれ、農協の営利のための農政を加圧する巨大圧力集団ができあがりました。
更に輪を掛けて、農機具メーカー、肥料メーカー、農薬メーカーが、寄って集って利益をむさぼります。農薬にしても、農機具にしても、巨大カルテルが構築されています。その製品は、コストを積み上げて頒価が決定されるのではなくて、要するに、農家が買える値段によって決定されています。
農協をなくせば、此の国の食糧問題は解決します。
Unknown
(
TGB
)
2009-01-13 02:26:29
こういう状態のまま、失業した派遣社員を農漁林業で雇ってもいいんだろうか…
さらに状況が悪化しそう
ムラ社会の不幸
(
Piichan
)
2009-01-13 02:58:16
農協は一農家では重荷な農業施設の共有、流通の確保といった点で存在意義はあったと思います。
日本の農協の不幸は、日本の農村がムラ社会だったために、組合員によるガバナンスが上手く働かなかったことではないでしょうか。
功と罪
(
ひろりん
)
2009-01-13 07:52:06
農協には功もありました。
兼業農家の勤め先としての農協、農家の次男、三男の勤務先としての役割です。
このことを知らないと、現在まで農協が存続したことが理解できないと思います。
罪の部分は、ビジネスモデルがたくさんの小規模農家の存在を前提としていること、全国単位、県単位、市町村単位の農協が存在し、農政の別働隊だったことですね。
Unknown
(
mif
)
2009-01-13 16:57:12
わが家も実家が農家なので
参考にさせていただきました。
ありがとうございます。
Unknown
(
meepo
)
2009-01-14 00:31:16
このようにネットの一般個人が当たり前のように認識している危機に対して
何故その道の専門家である官僚や政治家が動かないのかが不思議でなりません。
あの人たちはいったい何を仕事としているのでしょうか
農地は?
(
高橋勉
)
2009-01-22 15:15:35
著者(山下氏)の重要な問題提起が数点あると思うが、私は「農地保全」に対する著者の主張に強く賛同する。
農地は、単なる生産財ではない。私たちの生活の中にちゃんと位置づける必要がある。
また、食糧安保とはカロリーを確保しさえすればいいんだ、という議論は国民を愚弄していると思う。
本著は、農協の大罪というタイトルになっているが、それだけがテーマではなく、実に読み応えがあった。
Unknown
(
ありがとうございます
)
2009-02-17 08:40:48
池田先生いつも読ませて頂いております。
私もこの本を拝読しました。
著者が自由化を進めたい熱意のあまりか、兼業農家への思い込みが強いです。兼業はもと小作と何度も書かれていますが、私の実家は元地主で兼業です。珍しくありません。農協から農薬をかっている百姓は今ほとんどいません。機械を買う時補助金など頂いた事ありません。兼業が農薬を多用するというのも少なくとも私の田舎ではないです(意識の低いど田舎です)。農業をやっている方は異常に高い機械で悩まれる様です(専業なら機械を貸し借りできるというのは天気との戦いの稲刈りを知らなすぎると存じます)。
著者の引用している文献は最近でも97年の物です。著者の農家の批判は20年前ならぴったりだそうです。(疑わしく思う方は農家の方にこの本を読ませてみて下さい。)字数が限られている様なので詰めてしまい申訳ございません。有能な先生なのでどうしてもお伝えしたく思いました。失礼致しました。
Unknown
(
ありがとうございます
)
2009-02-17 18:24:45
池田先生度々失礼致します。
先にあげた文で、「筆者が自由化を進めたい熱意の余り」と書いてしまいましたが、自由化ではなく本のタイトル通り「農協を批判したいあまり」と訂正させて頂きます。ただの自由化は農地をなくしてしまってはいけないという主張で、山下先生も進めておられませんね。
私の田舎の専業の方は(Aさんとさせて頂きます)、政府が10町歩以上つくったら補助金を出すという政策に従って、10町歩作る為に実家の休んでいる田んぼを借りて小麦を作っています(田んぼが荒れないのでありがたいです)。しかしそれを出荷する気は元からなく、10町歩作ったと言う既成事実を作って補助金を貰い、何とその後水害にあったと申告してまた補助金を貰うというのです。Aさんはお人好しなので言ってしまいましたが、言わなければわかりません。農業が良い方向に行くに越した事はないので、どこが敵というのはどうでもいいですし、まだこうしたらいいと思える案がうかびませんが、考えていこうと思います。ありがとうございます。
Unknown
(
ありがとうございます
)
2009-02-18 01:17:31
池田先生大切な事を書き忘れていたのでもう一度書き込みさせて頂きます。今農業に魅せられており、申訳ございません。
先に書き込ませて頂いた件ですが、10町歩を作られている方にはただでお貸ししています。草刈りのめんどうも省けますし、小麦も土になれば栄養になり、損ではないからです。実家は兼業ですが、私の地域では最も多く作っていますが(というと山下先生は農薬を大量に使ってるんだと言うのでしょうか、親戚や友人が草刈りを手伝いにきてくれ、父が仕事に行く前に働いているのですが)、唯一袋詰めまで農協に頼まないでやっています。
Unknown
(
ありがとうございます
)
2009-02-20 02:55:41
池田先生失礼致します。
さすがに連続4回は恥ずかしいのですが、2月19日の“「新自由主義」をめぐる誤解”を拝見して、お伝えさせて頂きたく思いました。私は自由主義は支持していますが、先の書き込みの中で「自由化」という言葉を著者のP167〜169の文に従って使ってしまいました。第一線の経済学者の方に対して、安易に使ってしまい申訳ございません。勉強したく思います。またこの本を書かれた山下先生にも、熱意のあるお人柄が文章から伝わって参りましたので、いい方向にがんばって頂きたく思います。
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いろんなところに残っているものですね。
私も食料自給よりは、外国からの輸入が大事だというスタンスです。正直自国民が餓死しようと、
高く買ってくれるところがあるなら、売ってしまうのが、
地主や国家というものです、それで安い穀物をかい、
食料を多く輸入できます。
(もっともその食料が上手く分配できなかったり、
購買力の低下で餓死が発生するんですが)
ただこの著者の主張のように、最低限の所得保障や、
アメリカでやっている赤字分の政府保証などをして、
国産の市場価格を下げて、農家の生活を保障すれば、
国の自給率はある程度あがると思います。
なかなか食料価格がもとの水準まで下がらないし、
また食料輸入のコストがこれからは、投機マネーなどにより上がる可能性もあるので、
ある程度建て直しの一考としては著者の政策もありなのではないでしょうか。
民主党の政策が駄目なのは同意します。
自民党が大規模化を狙い、支払いへの優遇措置をしたのを、批判している立場上、ああなってしまうのもわかりますけど、あれはやりすぎです。
数十年に渡って日本の経済が衰退し、輸入依存で食糧がまかなえなくなるような事態は世界大戦が無くても有り得る。
その前に資源がコケてしまうでしょうが。
「食料安全保障」なんて言葉を聞くとむしろ、こっちの方を想起してしまいます。
いずれにしても経済力の維持はマストですね。
いつも楽しく読ませていただいております。
大学が農学部だったので、一般教養として農業史を学びました。
今の農業体制は「戦後の混乱期を乗り切るための緊急措置としての政策」のままで、現在もそのときとさほど変わらないという現状に非常に問題を感じています。
今も引き続き抱える問題として、
■生産しかできない組織が経済活動をできるはずがないこと(農協がそうした)
■法律が複雑で、新規参入できないこと
■土地絡みの利権があるため、農地が錬金術の手段となっていること
があると思います。
農業は世界でも補助金だらけで、そもそも現在の資本主義で農業が成り立つのかという疑問さえあると思うのですが、池田先生はどうすれば農業が資本主義の中で独り立ちできると思われますか。
6月に農業分野で起業を考えており、ヒントをいただけますと幸いです。
いま顧みれば、教育法改正や社保庁解体といった内容であり、言ってみれば戦後レジームというよりは戦時体制だったのではないかと思います。健保は戦前の軍部の要請、日教組はGHQ支配下で組織されたはずです。色々と諸悪の元凶ですよ。官僚が現状維持、現状維持を繰り返した結果、破綻が目に見えてきたんですからね。
「戦後レジーム」を壊すんじゃなくて「戦時体制」を壊すと言っておけば、左巻きのマスコミも歓迎したんじゃないかなあと思いますね。なんとなくですか。
所得保障については、池田先生はフリードマン流の所得税に賛成だと思いますが、農家のみを対象とする点に歪みが生じるということですよね?農家を含めた個人企業の所得をどう把握するのかが、フリードマン流の所得税の制度化の鍵ではないかと思います。
というわけで、このブログを見ている法学部卒の優秀な官僚の方々は、ごくごくあたりまえの制度を制度化すべく、高橋洋一氏のように裏でしこしこと制度化の準備をしていただきたいと思います。法学部は制度を厳密に作ることはできるけれども、望ましい制度を論じることはできない。経済学者は望ましい制度を論じることはできるが、厳密な制度を作ることはできない。法学部の官僚は制度化を遂行することです。現状維持が仕事なんではない。
非常に熱い人です。こういう人が農水省の幹部になってほしかったですが、中からより外でしっかりとした啓蒙活動をされた方が世の中のためになるでしょう。
食料安保は今まで明らかに農業保護を維持するための理由として過度に使われてきた気がしますが、池田先生のおっしゃる「中国が値上げしたロシアから買えばいいし、米が値上がりしたら麦でカロリーは補給できる」ってのは、さすがに短期的には無理だし、日本人のコメへの拘りは相当なもので、まったく現実的議論ではないと思います。
資源をほぼ輸入に頼っているし、輸出先がないと日本の経済は無理、食料安保だけ主張しても、まったく無理なのですが、日本の食料市場は中途半端に大きく、やはり天候や国際情勢に左右される食料の調達をできるだけ安定的にするよう、国も考えるべきではあると思います。しかし、それは、以前コメ不作があったことを想起すれば分かるように、自給率を上げることでは必ずしもなくて、内外問わずヘッジをかけていくことなのだと思います。もちろん、商社等は自社の経済利益のため常に考えていると思いますが、原油と同様に国もある程度あらゆるオプションを考えておくべきでしょう。
この本、読んでみます。
素人の私の発想からすると、農業生産物は、水と同じように生命維持に不可欠で今風に言うとエコとも深く関わるので、補助金や所得補償が必要となってくると思います。
「彼(著者の山下さん)は『国際経済学では生産要素は企業間・産業間を自由に移動できるという前提に立っている』と」して所得補償を是認する根拠としているらしいですが(機会があったら読みたい)、石油・車両・家電と異なって、上記の自分が書いたようなことを根拠にするのはおかしいのでしょうか?
会社組織になれば既存企業も参入しやすくなって競争も促進されますし、大規模化によって生産性も向上すると思います。それだけでなく不況で職を失った人の職場としても魅力がアップすると思います。
このままほおっておくと、日本の農業は年老いた農家とともに消えてしまいそうです。今のうちに若い労働力が農業に参加できる仕組みを作れないのでしょうか?
工場を国内に残していくことは困難極まりなくなってきましたが、農業なら消費地に近いということが製造業よりは有利に働くと思うのですが・・・。
これは正しい方向なのではないでしょうか。以前海外のドキュメンタリーで取り上げられていましたが、ヨーロッパでは農業補助金が余剰作物を生みだし、それらを発展途上国に輸出してしまうため、輸入国である発展途上国の経済的自立が阻害されてしまっていることが問題となっているようです。フェアトレードの隆盛なども、同じ文脈で考えることができますね。したがって上記の指摘は、当面の措置として非常に当を得たものだと思われます。
そして根本的には池田先生がおっしゃるように、輸入作物を確実に確保する方策を考えたほうが賢明ではないかと考えます。昨年NHKでも特集が組まれていましたが、ウクライナなどの肥沃な土地を商社などが借り受け、そこで作った作物を輸入するビジネスを後押しする施策も必要なのかもしれませんね。
http://diamond.jp/series/agric/10011/
農林中金と新○銀行という“ゾンビ銀行”が金融危機再燃の引き金を引くかもしれません。
農協がターゲットにしているのは、兼業農家と、営農力のない高齢農家です。
専業農家で、企画力も、営農力も、開発力もある農家は、農協を相手にしません。
農協に頼っても、何の益もないことを知っているからです。その上で、例えば減反政策で、意欲有る専業農家、つまり、農協の敵を排除しようとします。
農協は、作付け計画、作物の生育管理、品質管理、出荷販売管理の全てを、産地形成とか、集団出荷とか、共選とかの名目を付けて、管理し、必要な資材、肥料、農薬を売りつけて、差益をかすめ、出荷に際して、市場を支配し、マージンを独占しています。
更に、高額の農機具を売りつけ、営農資金と称して、貸し付け、貸しはがし、ハゲタカのように農家を食い物にしています。その結果、全農という巨大組織が生まれ、農協の営利のための農政を加圧する巨大圧力集団ができあがりました。
更に輪を掛けて、農機具メーカー、肥料メーカー、農薬メーカーが、寄って集って利益をむさぼります。農薬にしても、農機具にしても、巨大カルテルが構築されています。その製品は、コストを積み上げて頒価が決定されるのではなくて、要するに、農家が買える値段によって決定されています。
農協をなくせば、此の国の食糧問題は解決します。
さらに状況が悪化しそう
日本の農協の不幸は、日本の農村がムラ社会だったために、組合員によるガバナンスが上手く働かなかったことではないでしょうか。
兼業農家の勤め先としての農協、農家の次男、三男の勤務先としての役割です。
このことを知らないと、現在まで農協が存続したことが理解できないと思います。
罪の部分は、ビジネスモデルがたくさんの小規模農家の存在を前提としていること、全国単位、県単位、市町村単位の農協が存在し、農政の別働隊だったことですね。
参考にさせていただきました。
ありがとうございます。
何故その道の専門家である官僚や政治家が動かないのかが不思議でなりません。
あの人たちはいったい何を仕事としているのでしょうか
農地は、単なる生産財ではない。私たちの生活の中にちゃんと位置づける必要がある。
また、食糧安保とはカロリーを確保しさえすればいいんだ、という議論は国民を愚弄していると思う。
本著は、農協の大罪というタイトルになっているが、それだけがテーマではなく、実に読み応えがあった。
私もこの本を拝読しました。
著者が自由化を進めたい熱意のあまりか、兼業農家への思い込みが強いです。兼業はもと小作と何度も書かれていますが、私の実家は元地主で兼業です。珍しくありません。農協から農薬をかっている百姓は今ほとんどいません。機械を買う時補助金など頂いた事ありません。兼業が農薬を多用するというのも少なくとも私の田舎ではないです(意識の低いど田舎です)。農業をやっている方は異常に高い機械で悩まれる様です(専業なら機械を貸し借りできるというのは天気との戦いの稲刈りを知らなすぎると存じます)。
著者の引用している文献は最近でも97年の物です。著者の農家の批判は20年前ならぴったりだそうです。(疑わしく思う方は農家の方にこの本を読ませてみて下さい。)字数が限られている様なので詰めてしまい申訳ございません。有能な先生なのでどうしてもお伝えしたく思いました。失礼致しました。
先にあげた文で、「筆者が自由化を進めたい熱意の余り」と書いてしまいましたが、自由化ではなく本のタイトル通り「農協を批判したいあまり」と訂正させて頂きます。ただの自由化は農地をなくしてしまってはいけないという主張で、山下先生も進めておられませんね。
私の田舎の専業の方は(Aさんとさせて頂きます)、政府が10町歩以上つくったら補助金を出すという政策に従って、10町歩作る為に実家の休んでいる田んぼを借りて小麦を作っています(田んぼが荒れないのでありがたいです)。しかしそれを出荷する気は元からなく、10町歩作ったと言う既成事実を作って補助金を貰い、何とその後水害にあったと申告してまた補助金を貰うというのです。Aさんはお人好しなので言ってしまいましたが、言わなければわかりません。農業が良い方向に行くに越した事はないので、どこが敵というのはどうでもいいですし、まだこうしたらいいと思える案がうかびませんが、考えていこうと思います。ありがとうございます。
先に書き込ませて頂いた件ですが、10町歩を作られている方にはただでお貸ししています。草刈りのめんどうも省けますし、小麦も土になれば栄養になり、損ではないからです。実家は兼業ですが、私の地域では最も多く作っていますが(というと山下先生は農薬を大量に使ってるんだと言うのでしょうか、親戚や友人が草刈りを手伝いにきてくれ、父が仕事に行く前に働いているのですが)、唯一袋詰めまで農協に頼まないでやっています。
さすがに連続4回は恥ずかしいのですが、2月19日の“「新自由主義」をめぐる誤解”を拝見して、お伝えさせて頂きたく思いました。私は自由主義は支持していますが、先の書き込みの中で「自由化」という言葉を著者のP167〜169の文に従って使ってしまいました。第一線の経済学者の方に対して、安易に使ってしまい申訳ございません。勉強したく思います。またこの本を書かれた山下先生にも、熱意のあるお人柄が文章から伝わって参りましたので、いい方向にがんばって頂きたく思います。
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