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平成の徳政令
2008-08-15
/
Economics
日本のGDPの速報値が年率−2.4%と大きく落ち込んだことに、海外のメディアも注目している。例によって冷たいのは
Economist
誌で、「サブプライムの影響が最小だった日本の成長率がこれだけ落ちたのは、これまで円安のおかげで輸出産業に支えられてきた経済のメッキがはげたのだ」と、日本が長期停滞に入ることを示唆している。
その底流には、大反響を呼んだ
"JAPAIN"
特集で彼らが指摘したように、ただでさえ景気後退期で保守的になっている人々の行動を政府が規制によってさらに保守的にしている「官製不況」がある。たとえば貸金業法の規制強化の影響で、この1年で貸金業者は30%廃業し、消費者金融の融資残高は20%(1.5兆円)も減った。不況のさなかに政府が
クレジット・クランチ
を促進しているのだ。
それよりも本質的な影響は、シティグループが日本の消費者金融から撤退するとき、いみじくも言ったように、
ルールのない国でビジネスはできない
ということだ。債務者も同意した合法的な融資に対して、あとから「だまされた」と訴訟を起こし、「過払い金利の返還」を最高裁が命じたことは、実質的に金利を過去に遡及して減免する
徳政令
である。それは短期的には債務者を救済しても、長期的には(中南米やロシアをみればわかるように)金融市場を致命的に混乱させ、投資を減退させて経済に大打撃を与える。
ハイエクがケインズ的な「景気対策」に反対した最大の理由は、失業者に政府の資金をばらまく裁量的な政策が経済のルールを混乱させ、「赤字になったら政治家に公共事業を頼めばよい」といった非生産的なロビイングを誘発するからだ。90年代の日本の長期不況の最大の原因も、大規模な粉飾決算とバラマキ公共事業などによって、非効率な企業は退場するという資本主義のルールが崩壊したことにある。
「日雇い派遣」が問題になったら禁止し、漁師がデモをしたら燃費を税金で補填する、といったtime-inconsistentな政策は、個別にはいいことをしているようにみえても、全体としては市場のルールを破壊し、日本経済の停滞をさらに深刻化させるだろう。そして「麻生政権」は、こうした徳政令路線に舵を切ろうとしているようにみえる。
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コメント
いつものイナゴです
(
田中健
)
2008-08-15 23:39:38
この国の役人は粉飾とか偽装とか談合とかに対して疑問を持たないように教育されているのでしょうか?
少なくとも私が学生の頃にはそれらは悪とされていましたが…
そういえばこんな記事を見つけました
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20080815-396710.html
あれだけ叩かれたのに未だにこんな人事してるんですね
いろんな意味で日本的ですね
セカイ系
(
田中大介
)
2008-08-16 02:04:04
結局のところ、いわゆる「官製不況」の原因は、『目の前の不幸な人々を救えばよりよい世の中が訪れる』という考え方に対する過信なのかなあ、と思います。
「きみとぼく」の問題が「世界の危機」と直結するという意味で、セカイ系そのものですね。
もちろん、目の前の不幸な人を1人でも多く救うことはとても大切ですが、そういう考え方だけでマクロ政策を行うと、酷い結果になるという。
局長の天下り
(
池田信夫
)
2008-08-16 10:44:42
セクハラで処分を受けた熊本のM局長と万引きでやめた富山のO局長は、私もよく知っています。2人とも個人的にはいい人だけど、酒癖の悪いことで有名でした。
NHKでは、局長以上は天下りで処遇するという不文律があり、「酒の上のことだから・・・」という寛大な処遇なのでしょう。これ自体はそれほど大騒ぎするようなこととも思えないけど、むしろこういうノンワーキング・リッチを食わせるための子会社が大量にあることが問題です。
REセカイ系
(
Unknown
)
2008-08-16 18:23:10
>『目の前の不幸な人々を救えばよりよい世の中が訪れる』という考え方に対する過信なのかなあ、と思います。
『よりよい世の中が訪れれば目の前の不幸な人々を救える』という考え方の過信よりは良心的な気もします。
建設的な提案と同じくらい、自重は難しいですから。
27歳男
Re: REセカイ系
(
田中大介
)
2008-08-16 22:15:25
言葉足らずでどうも誤解を与えてしまっていたようですが、私が言いたかったのは、『本気で社会とか国家とか世界とかをよりよくしようと思うのであれば、中間共同体のあり方だとか、インセンティブをきちんと考慮した社会制度だとか、そういったマクロな視点は必要不可欠だ』ということです。
つまり、ミクロでの最適とマクロでの最適は往々にしてトレードオフになりがちであるということを理解せずに、ミクロな視点でマクロ政策を行うことの危険性の指摘というか。
したがってその意味では、
『目の前の不幸な人々を救う』ことによって、『よりよい世の中をつくる』ことも、
『よりよい世の中をつくる』ことによって、『目の前の不幸な人々を救う』ことも、
どちらも同じくらい過信することは危険だと考えています。
日本は法治国家ではない。
(
スポンタ中村
)
2008-08-17 17:46:22
明治以降、日本は法治国家になろうとしてきた。だが、法治国家にはなっていないような気がする。
中国は人収める国家といわれるが、日本は情治国家といえるかもしれない。
日本は本当に輸出国?
(
coyote1966
)
2008-08-17 19:21:54
日本の対GDPの輸出比率は15%もなかったはずです。Economist誌の指摘には違和感を感じますが、日本の内需はじつは相当ボロボロで、わずか15%の輸出産業にカモフラージュされていたのだということが真意だとすると、おそろしい指摘ですね・・・。
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少なくとも私が学生の頃にはそれらは悪とされていましたが…
そういえばこんな記事を見つけました
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20080815-396710.html
あれだけ叩かれたのに未だにこんな人事してるんですね
いろんな意味で日本的ですね
「きみとぼく」の問題が「世界の危機」と直結するという意味で、セカイ系そのものですね。
もちろん、目の前の不幸な人を1人でも多く救うことはとても大切ですが、そういう考え方だけでマクロ政策を行うと、酷い結果になるという。
NHKでは、局長以上は天下りで処遇するという不文律があり、「酒の上のことだから・・・」という寛大な処遇なのでしょう。これ自体はそれほど大騒ぎするようなこととも思えないけど、むしろこういうノンワーキング・リッチを食わせるための子会社が大量にあることが問題です。
『よりよい世の中が訪れれば目の前の不幸な人々を救える』という考え方の過信よりは良心的な気もします。
建設的な提案と同じくらい、自重は難しいですから。
27歳男
つまり、ミクロでの最適とマクロでの最適は往々にしてトレードオフになりがちであるということを理解せずに、ミクロな視点でマクロ政策を行うことの危険性の指摘というか。
したがってその意味では、
『目の前の不幸な人々を救う』ことによって、『よりよい世の中をつくる』ことも、
『よりよい世の中をつくる』ことによって、『目の前の不幸な人々を救う』ことも、
どちらも同じくらい過信することは危険だと考えています。
中国は人収める国家といわれるが、日本は情治国家といえるかもしれない。
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