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グーグル・マイクロソフト対テレビ局

グーグルがFCCに対して、ホワイトスペースについての提案を出した。昨年も、FCCが彼らの提案したcognitive radioを実験局でテストしたが、テレビの電波への干渉は完全には防げないと結論した。マイクロソフトは、この実験結果に異議を唱え、ビル・ゲイツが「ホワイトスペースはWi-Fiに利用可能だ」と主張している。

グーグルの提案に対して、NAB(全米放送連盟)は技術の内容も見ないで、「いくらグーグルやマイクロソフトが干渉が起こらないと主張しても、無免許のユーザーが使うWi-Fiで何が起こるかは、誰も保証できない」と反対している。この声明には、わずか1日で70人もの政治家が賛同した。

その通りだ。100%何も起こらないと保証することなんか、誰にもできない。NABの会長が明日、交通事故で死ぬ確率だってゼロではない。彼は「交通事故がゼロになるまで外に出るな」という法律をつくれとでもいうのだろうか。シュナイアーもいうように、問題はリスクをゼロにすることではなく、費用対効果を客観的に評価することなのだ。

かつてNTTが「インターネットなんて通信ではない」と拒否して、「絶対安全」なATM交換機を全国に配備した結果、数兆円の設備投資が無駄になった。「個人情報を100%守れ」と毎日新聞などがキャンペーンを張って作らせた個人情報保護法のおかげで、ある弁護士によれば「日本のすべての企業が、違法状態で業務をやっている。生保のように突然ルールが変わったら、全部やられる」。

「絶対安全」を求めるのは、日本の優秀なテレビ局も、IP放送などの新しい技術を妨害するとき使ってきたレトリックだ(「当該放送区域外」に信号が出ないようにすべてのルータを変えないと、地上波のIP再送信はできない)。そして官僚が「何かあったら自分の責任になる」とびびって既存業者の側につくのも同じだ。最後は力関係だから、FCCがグーグル・マイクロソフトを取るか、斜陽のテレビ局を取るかの問題だろう。

日本でもUHF帯のホワイトスペースは、実測では首都圏でさえ100MHz以上あいている。ここを広帯域無線に使えば、FTTHより高速・低コストの「最後の1マイル」による設備競争を実現することも可能だ。完璧だが高価なATM交換機が、いい加減だが安価なインターネットに負けたように、デジタル放送がIP無線に負けるのも、時間の問題だ。総務省も、かつてIIJの免許を妨害して恥をかいた教訓に学んだほうがいいだろう。

追記:日本のメディアの横暴を英文ブログに書いた。海外の友人に日本の実情を伝えるとき、使ってください。
コメント ( 5 ) | Trackback ( 2 )
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コメント
 
 
 
リスクはなくならない (enagoya)
2008-03-27 09:32:34
「問題はリスクをゼロにすることではなく、費用対効果を客観的に評価することなのだ」とは、仰せの通りと思います。ただ、不幸にして損害を受けた側の被害感情ばかりが増幅されて伝えられるものですから、責任のある立場の人が合理的な決断を下しにくい状況にあるのでしょう。

同じような理由で不合理な判断がされた例としては、医療行為における頻度の低い合併症が喧伝され、有効な予防接種の実施率が下がってしまったとか、陣痛促進剤が忌み嫌われて却って危険な「自然分娩」や時間外出産が増えて産科医療の崩壊を助長したとかいうものもあります。失敗を糧として賢明な判断ができるようになりたいものです。
 
 
 
実現可能性について御教授願いたい (木村祥久)
2008-03-27 10:45:44
>日本でもUHF帯のホワイトスペースは、実測では首都圏でさえ100MHz以上あいている。ここを広帯域無線に使えば、FTTHより高速・低コストの「最後の1マイル」による設備競争を実現することも可能だ。

FTTHが実現している実行速度30MbpsをWiMAXで実現するには10MHz弱の帯域幅が必要になるから100MHzのホワイトスペースが使えたとしても同時接続は十数ターミナルに過ぎず、マイクロセル方式で基地局を設置するコストが低いとは思えないのだが如何なものか?
 
 
 
Unknown (mel)
2008-03-27 13:35:14
enagoyaさんと同意見です。近頃、どうもリスクをゼロにする事が重要視されているようで、(ネット関連においても)各方面で様々な規制案が出てきていますが、客観的に費用対効果を検討していないのではないかと思います。

未成年者に対するネット規制においても、本当に減るかどうかも分からない一部の犯罪ケースに合わせて多くの負担や犠牲を強いる事が正しいのかどうかと思います。
 
 
 
方式屋さんはどう考えるのかな? (へなちょこ技術者)
2008-03-29 18:08:44
当方、RF/PHY(IC)設計でしか無線に関わったことがないので自信は無いんですが、、、
>FTTHが実現している実行速度30MbpsをWiMAXで実現するには10MHz弱の帯域幅が必要になるから100MHzのホワイトスペースが使えたとしても同時接続は十数ターミナルに過ぎず、マイクロセル方式で基地局を設置するコストが低いとは思えないのだが如何なものか?

記事に有るような都市部で且つTVで使われている800MHz以下の帯域だと送信電力をかなり抑えることができるんじゃないでしょうか?干渉(フェージング等)が抑えられるんで基地局の設置効率もかなり良くなるように思えるんですが。。。そもそも、>800MHzという条件にしたら、20MHzで75Mbpsという換算も変わってくるように思えるんですが。。。。方式に詳しい人にお伺いしたいところですね。
 
 
 
ニュース番組について (小林浩一)
2009-08-24 12:30:30
今衆議院選挙直前の国民にとって大切な時期なのに何故酒井紀子のことばかり報道してるんだ?そんな個人的なことはもう報道しなくていいだろう!今一番大切な視聴者に対して報道しなくてはならないこと、それは選挙に関することぢゃねぇのか?バカなニュースばかりしやがってやっぱ民放って最悪だな(;-_-+
 
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