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ハイエク
2006-04-08
/
Economics
『国家の品格』
は早くも170万部を突破し、『バカの壁』を抜く最速のペースだという。たしかに、とりとめなくて何がいいたいのかよくわからない『バカの壁』に比べれば、『国家の品格』の主張はよく悪くもはっきりしており、話題になりやすい。担当の編集者は、私の本の担当でもあるので、とりあえずはおめでとう。
しかし、専門家の評価は低い。
阿部重夫編集長ブログ
によると、『国家の品格』の国粋主義と
『ウェブ進化論』
の米国礼賛は、「対極にいるように見えるが、前回書いたように『無知』をブラックボックス化してしまう点で双方ともハイエクの手のひらを一歩も出ていないのだ」という。
これには少し解説が必要だろう。ハイエクは、デカルト的合理主義を否定し、ヒューム的な経験主義から出発した。彼にとっては、市場は完全情報の合理的主体が無限の未来までの価格をもとに計算を行うものではなく、部分的な情報しかもっていない人間が価格を媒介にして外部の情報を取り入れ、無知を修正して進化するメカニズムである。
『ウェブ進化論』の絶賛するグーグルは、断片的なウェブの情報を系統的なデータベースに組織するという意味で、ハイエクの市場モデルに近い。しかし、それは価格という「こちら側」とのリンクをもたないため、SEOなどによって容易に欺かれてしまう。グーグルは「あちら側」だから、理解できないほうが悪いのだ、と思考停止してしまうのは、バブルによくみられる群衆行動だ。
『国家の品格』に至っては、非論理的な「情緒」を絶対化し、市場原理や民主主義を否定する。たしかに何が正しいかを先験的に知っている神のような視点からみれば、エリートが大衆を善導すればよいので、人間の行動を相互作用によって修正する市場メカニズムは不要だろう。しかしそんな特権的な立場は、存在しえないのである。
したがって、人間が無知であるということを前提にして、情報を集計して秩序を維持するルールを設計しようというのが、ハイエクのアプローチである。彼の理論は、新古典派のような数学モデルにはならないので主流にはならなかったが、最近の
「経済物理学」
や
「行動金融理論」
などは、ハイエクの進化的モデルのほうが実際の市場データをうまく説明することを示している。
こうした新しいモデルの特徴は、人間を孤立した合理的個人と考えるのではなく、複雑に相互作用する「ネットワーク」的な存在と考えることである。だから、話題になった本は多くの人が買うことによってさらに話題になる・・・という正のフィードバックが働く。最近、新書で100万部以上のメガ・ベストセラーが相次いでいる原因も、ウェブなどの情報交換によってこのフィードバックが強まっていることにあるのではないか。
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活字文化があぶない
地デジへの国費要求
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コメント
漫画で訓練されたためでは
(
田吾作
)
2006-04-08 21:02:47
マンガ本を活字にしたら売れたということではないでしょうか?
Unknown
(
dora
)
2006-04-08 22:56:32
閉じた国で考えれば国家の品格を保ちえるが、武士道倫理ではインターナショナルの共通価値を保てない。
ブッシュの求める共通価値は自由、民主、資本主義だが西欧米国圏以外では自由すら共通価値ではない。
何回も争い人種や宗教をブレンドする歴史を繰り返す以外に到達できない道なのか。インターネットに代表される情報の進化は何が出来るのだろう。
ポストモダンに代表される哲学はその任を放棄していないか。
ハイエクは誤解されのやすいでしょう
(
平宮康広
)
2006-04-09 18:21:55
チョムスキーのところで一度書き込みしたのですが、おそらく生成文法論さえまともに知らないような人から口撃され、それ以来、わりと定期的にこのブログを読んでいます。
歴史的には、国民国家=ネーションステートは比較的最近になって登場してきたわけで、一方、市場経済は非常に古い。欧米では、はじめに「国家よりも市場のほうが古くから存在する」という認識があって、市場経済主義の是非が論じられているように思います。しかし日本では、いわゆる知識人でさえ、逆転した関係で論じる場合があるようです。したがって、ポストモダニズムと市場経済主義を同列に扱うことは困難であるにもかかわらず、安易に同列視したりもする。
ちなみに私は、レッセフェールに身を委ねたいとは思いません。とはいえ、国家の起源を市場よりも過去に仮設して論じる市場経済主義批判には耐えれない。
ハイエク進化論
(
zoffy
)
2006-04-19 17:52:18
結局進化したハイエクモデルはスケーラブルネットワークってことか。品格進化論は非難したいけど実は受け容れてるのかな。あきらめ入ってる??
Unknown
(
ふむふむ...
)
2006-06-29 12:15:13
自生的秩序論ですか...
なんか、西洋キリスト的合理(単純化)観のような気がするのは僕だけでしょうか?
ハイエクにしろ、マルクス、サン・シモン、コント、ケインズ、シュムペーター、ミュルダール、メンガー、ミーゼス等々、ワルラス的社会観も含めて、全てが内包されてるってのがリアリスティックな事実のような気がするな〜。
でも理論化(単純化)しなければ意味がないという風に西洋的秩序では考えるのでしょうね(笑...)
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ブッシュの求める共通価値は自由、民主、資本主義だが西欧米国圏以外では自由すら共通価値ではない。
何回も争い人種や宗教をブレンドする歴史を繰り返す以外に到達できない道なのか。インターネットに代表される情報の進化は何が出来るのだろう。
ポストモダンに代表される哲学はその任を放棄していないか。
歴史的には、国民国家=ネーションステートは比較的最近になって登場してきたわけで、一方、市場経済は非常に古い。欧米では、はじめに「国家よりも市場のほうが古くから存在する」という認識があって、市場経済主義の是非が論じられているように思います。しかし日本では、いわゆる知識人でさえ、逆転した関係で論じる場合があるようです。したがって、ポストモダニズムと市場経済主義を同列に扱うことは困難であるにもかかわらず、安易に同列視したりもする。
ちなみに私は、レッセフェールに身を委ねたいとは思いません。とはいえ、国家の起源を市場よりも過去に仮設して論じる市場経済主義批判には耐えれない。
なんか、西洋キリスト的合理(単純化)観のような気がするのは僕だけでしょうか?
ハイエクにしろ、マルクス、サン・シモン、コント、ケインズ、シュムペーター、ミュルダール、メンガー、ミーゼス等々、ワルラス的社会観も含めて、全てが内包されてるってのがリアリスティックな事実のような気がするな〜。
でも理論化(単純化)しなければ意味がないという風に西洋的秩序では考えるのでしょうね(笑...)
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