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イノベーションと経済成長
2008-06-21
/
Economics
今週の『週刊東洋経済』にも紹介されているように、当ブログの当初の目的は読書の感想や思いつきをメモすることで、それは今でも変わらない。本書も専門的なので、一般のビジネスマンにはおすすめできないが、研究者には参考になるので、簡単にメモしておく。
本書は、Baumolの
"The Free-Market Innovation Machine"
をめぐって開かれた会議の記録だ。おもしろいのは、Solow, Arrow, North, Phelps, Blinder, Shiller, Malkiel...という錚々たる執筆者が、一致して「経済成長にとってもっとも重要なのはイノベーションだ」と認めていることだ。
Arrowも指摘するように、イノベーションは技術的な「発明」のことではない。紙も火薬も活版印刷も中国で発明されたが、新しい産業を生み出すことはなかった。Schumpeterは、イノベーションとは
発明を製品に結びつける過程
であり、発明は自由財だが、イノベーションは稀少だとのべた。イノベーションには資金と起業家精神が必要であり、それを可能にする制度的な基盤が必要だからである。
従来の経済学はイノベーションを機械的にしか扱ってこなかった、とSolowはいう。RBCにおいては、技術進歩は外生的なランダム・ショックにすぎず、内生的成長理論においても知識の「スピルオーバー」でしかない。こうした限界は、これまでのマクロ経済学が
定常状態
を説明することを目的にしてきたのが原因だ。イノベーションはそこに至る過程であり、それを説明するには行動経済学のような心理的な問題をマクロ的に扱う理論が必要だ。
他にもたくさん論文があるが、おおむね一致しているのは、特許の数で示される発明の大部分は大企業によって行なわれるが、既存のシステムを破壊するイノベーションは起業家によって行なわれることが多い、という点だ。それを可能にするのは、独立性の強い個人がリスクの高い冒険を行なうカルチャーと、それをバックアップする資金的・人的な基盤である。それは容易に作れるものではなく、シリコンバレーが依然として世界をリードしているのも、こうしたソーシャル・キャピタルの蓄積があるからだ。
日本に引き戻して考えると、高度成長期には、この意味でのイノベーションはあまり必要ではなかったといえよう。フレームワークはアメリカが示し、日本の企業はその枠内で小さな発明や改良を重ねればよかったからだ。しかし今、特にITの分野で必要とされるのは、従来の常識を破壊し、新しいフレームワークをつくるイノベーションであり、それを担うのは大企業でも政府でもなく、起業家なのである。
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グーグルでバカに...
書物の運命
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コメント
日本でのイノベーション
(
ひでき
)
2008-06-21 12:46:48
「高度成長期の日本には、この意味でのイノベーションはあまり必要ではなかった」とは、火薬や羅針盤が中国で発明されたのに、実用化され、イノベーションを生んだのは西欧であったとする論と矛盾するのではないでしょうか?
いまでこそ利権あらそいのプレーヤーになっている感のある日本の大企業群ですが、それらの多くは戦後に企業し、高度成長時代にかけてかなりのリスクを背負ってイノベーションを重ねて成長してきたのではないでしょうか?大衆向けの自動車にしろ、個人向けのオーディオなどにしろ、海外からもたらされたものが技術革新ではなく、日本でイノベーションされ、全く別の商品、まったく違う消費分野を作ってしまったといえる例は枚挙にいとまがないのではないでしょうか?私はそう信じてきました。
だからといって、現在の法規制が環境の一番の変化要因であるような日本の市場の閉塞感に辟易していることに変わりあありません。
Unknown
(
TGB
)
2008-06-22 17:21:56
高度経済成長期、今求められてるレベルのイノベーションはほとんどなかったし、
あまり必要なかった
そうして日本人はただロバのように働き続け、気がついたらにっちもさっちもいかなくなった
今は、真のイノベーションが求められているらしいですよ
日米イノベーション事情
(
江戸川アダモ
)
2008-06-22 23:53:23
ゼネコンや総合家電だけ見ていてもピンと来ないかもしれませんが、工業製品の要素技術では日本の技術革新は世界をリードしてますよ。こうした中小企業(と言っても自動車部品の一次サプライヤともなるとかなりの規模ですが)は、現在の売り上げを基に先行投資を行うスタイルです。
しかし、ITやサービス業ではさっぱりですね。池田さんの仰る、独立性の高い個人や企業が投資を募って事業を興すというスタイルもさっぱり定着しません。一方アメリカはと言うと、ITや金融では世界をリードしていますが、自動車ビッグ3なんて日本勢にやられっ放しで、得意の企業家精神によるイノベーションなんて全然出来てません。
何故お互いにこうも極端に違うんですかね?国民性?各分野の人材層の厚み?
いずれにせよ、国が関与したり既得権になってしまった分野がダメなのははっきりしてますね。「ニューヨークはアメリカではない」といわれるように「シリコンバレーもアメリカではない」のだと思います。
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いまでこそ利権あらそいのプレーヤーになっている感のある日本の大企業群ですが、それらの多くは戦後に企業し、高度成長時代にかけてかなりのリスクを背負ってイノベーションを重ねて成長してきたのではないでしょうか?大衆向けの自動車にしろ、個人向けのオーディオなどにしろ、海外からもたらされたものが技術革新ではなく、日本でイノベーションされ、全く別の商品、まったく違う消費分野を作ってしまったといえる例は枚挙にいとまがないのではないでしょうか?私はそう信じてきました。
だからといって、現在の法規制が環境の一番の変化要因であるような日本の市場の閉塞感に辟易していることに変わりあありません。
あまり必要なかった
そうして日本人はただロバのように働き続け、気がついたらにっちもさっちもいかなくなった
今は、真のイノベーションが求められているらしいですよ
しかし、ITやサービス業ではさっぱりですね。池田さんの仰る、独立性の高い個人や企業が投資を募って事業を興すというスタイルもさっぱり定着しません。一方アメリカはと言うと、ITや金融では世界をリードしていますが、自動車ビッグ3なんて日本勢にやられっ放しで、得意の企業家精神によるイノベーションなんて全然出来てません。
何故お互いにこうも極端に違うんですかね?国民性?各分野の人材層の厚み?
いずれにせよ、国が関与したり既得権になってしまった分野がダメなのははっきりしてますね。「ニューヨークはアメリカではない」といわれるように「シリコンバレーもアメリカではない」のだと思います。
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