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所得格差は拡大しているか
2009-02-01
/
Economics
けさの記事では「分配の公平は効率とは独立の問題だ」と書いたので、所得分配についても簡単に補足しておこう。これは最近、多くの論争が行なわれたテーマだが、おおむね
OECD
の分析の通りだろう。すなわち
日本の所得格差(ジニ係数)は図のようにOECD諸国の平均よりやや高い程度で、最近は低下している。
市場所得の貧困率はOECD諸国の平均より低いが、所得再分配後の貧困率は第4位である。
特に若年層や非正規労働者の貧困率が高まっていることは懸念すべき現象だ。
したがって
中谷巌氏
のような「かつて日本は平等だったが、構造改革で格差が拡大した」といった通俗的な議論はナンセンスである。図のように20年前から日本のジニ係数はOECD諸国の平均より高く、構造改革の行なわれた2000年代に低下している。これは90年代の不況で拡大した所得格差が、2000年代の景気回復で縮小したためと考えられる。
貧困率が高い第1の原因は、政府の社会保障給付(児童手当・失業給付・生活保護など)および税による再分配が少ないこと、第2の原因は正社員と非正規労働者の賃金格差が大きいことである。この二つの原因は、本質的には一つである。大企業の正社員は社会保険や年金で手厚く守られ、年をとって仕事がなくなっても窓際で飼い殺しにする
日本的福祉システム
が整っているが、中小企業や非正規労働者はこうしたセーフティネットの外に置かれている。行政も、社宅や退職金を非課税にするなど、企業の福利厚生を優遇することによって福祉支出を抑制してきた。
しかしこうした企業に依存した福祉システムは、90年代以降の非正規労働者の激増によって維持できなくなっている。特に「就職氷河期」世代が、セーフティネットから排除されたまま中年を迎えようとしている。この世代を救済するには、負の所得税などの税制や年金の改革によって
社会的セーフティネット
を張る必要があろう。
ちなみに日本の「資本家と労働者の所得格差」は、アメリカの1/30ぐらい、欧州の1/3ぐらいで、日本企業のROEも配当性向も欧米よりはるかに低い。「階級闘争」を叫ぶ人々は、イデオロギーではなく客観的データで論じてほしいものだ。
コメント (
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コメント
社会的セーフティネット
(
のぼる
)
2009-02-01 23:30:44
社会的セーフティネットを充実させるという論調を正規雇用の是非よりは前面に出して記事を書かれた方が、多くの人に受け入れられると思いますので、ご一考ください。
所得格差
(
姫
)
2009-02-02 00:31:37
>ちなみに日本の「資本家と労働者の所得格差」は、アメリカの1/30ぐらい、欧州の1/3ぐらいで、日本企業のROEも配当性向も欧米よりはるかに低い
ということは、所得格差は
日本はまだましで
欧米、特にアメリカはもっとひどい
ということなのかな・・・
何でも欧米に追随すればいいものじゃない例だよね
日本で激しいのは資本家と労働者の所得格差ではなく
(
x-accountant
)
2009-02-02 01:47:46
日本で著しいのは、老人と若者の世代間格差でしょう。
やはり固定資産税などの資産課税を増税しないと。
Re: 社会的セーフティネット
(
りす
)
2009-02-02 02:25:57
同感です。ひとくちに労働者といっても、
(1)大企業の正社員
(2)中小企業の正社員
(3)派遣など非正規社員
と大きく3つに分かれると思います。
(1)は、そのブランドだけで転職できるでしょう。年収は減るかもしれませんが。
(2)と(3)は職業訓練を受けるとか、専門学校に通うとしても、自分のお金では限界があるでしょう。
どこで線引きするかはむずかしいですが、前年の年収から支給額を決めるとかで、
困っている人ほど、手厚くセーフティネットが機能するというのがいいと思います。
自分次第を実感出来るか否か?
(
フレモン
)
2009-02-02 04:44:36
昔からお金持ちは居た筈だけれど、許せるか許せないかの違いの様にも感じます。客観的なデータは無いですが、仕事をして努力次第で積み上がっていく実感があったのは、昭和までの様な気がします。平成に入りその実感を感じる人が少なくなってきたのが、格差だとか言う言葉がはやったり、株式投資や為替では、自分の努力ではないですけれど、一定のルールに於いて、可能性と言うのか、自分次第で積み上がる余地が有る様な気がしていたのではないでしょうか。だから放送局株の売買でルールに関心を寄せ、そこをすり抜けた者が痛快に見えていたのではないでしょうか。
x-accountantさん
(
Taro
)
2009-02-02 09:28:56
私は増税には反対です。政府に富の分配の調整を期待するのは、詐欺師に金を渡してうまく運用してくれるのを期待するのと同じです。結果はさらなる負債だけです。景気回復も同じです。景気後退が起こってしまたら、政府は一端手を引くべきです。
Unknown
(
名無し
)
2009-02-02 10:58:59
7-8年前ですが、ある大企業の新入社員と社長の年収の格差は一桁でした。
平均値はもっと大きいと思いますが、正社員レベルでは20年前よりむしろ格差が小さくなっているのではと思います。
役割を教育し、選択の自由を与える
(
極楽蜻蛉
)
2009-02-02 14:42:05
士農工商で、取引や金を回す仕事が物を作らない為に一番下級とされていた徳川時代。しかし、幕府は、最後の時期は、商人に台所を任せないとやっていけない状態になっていった。当時、どれだけ商人が自分達の社会的地位に苦虫をかみ締めていた事でしょう。でも、誰も国を売る事はしなかった。
発展途上国からすると誰もが羨むこの国を選んで生まれてくる事は不可能。個人の幸福と国家の幸福が完璧に一致する事はあり得ないけど、Over All日本は、結構そのGapは小さい方ですよね。どなたかがアメリカでは憲法に暖かく包まれた実感を覚えると言われてましたが、実は、警察も誰も守らない法律だから、自己防衛にガンを持たねばならないのでは。
日本のこれからの就業体系は、子供の教育から始め、役割の理解と選択の自由と選択時期の自由を教えて整えなければならないと思います。小さい時に勉強が嫌いで中学を出て生産ラインに入っても、ある時自分に夢が出来、エンジニアーになる決意をして学校に戻り、40歳でも50歳でも会社に入れる様な社会環境を作るべきです。基本的人権の社会的リスペクトを高めて、個人と会社の関係を相互の選択の自由で形成すれば、誰にも縛られずに個人の幸福を社会の中で自分の役割を果たしながら、追い続けることが可能では無いでしょうか。
ジニ係数低下の原因
(
susumu
)
2009-02-02 16:05:24
80年代から一貫して増加していた所得のジニ係数が2000年に入り低下した原因は何なのでしょうね。
引用元のOECDの報告には、「高所得層は2000年代前半に所得の減少を経験した。」との記載があります。
2000年頃には、企業の合併やリストラが激しかったと思いますが、それが効いたのでしょうかね。
貧困・格差対策のための消費税
(
いんこ
)
2009-02-03 11:34:11
セーフティネット・社会保障増強には増税が不可避なのですが、未だに日本人はその事実を認識していません。
日本独特の企業依存福祉(&家族依存福祉)はすでに時代遅れであり、解雇された派遣の方々などの惨状がその一端を証明しています。
にもかかわらず、国民(政治家も含めて)の多くは企業依存福祉の発想から抜け出ていません。会社が従業員の生活を守れ、という議論ばかり。セーフティネット・社会保障増強のための増税議論も真剣になされていません。
自民党ははっきりとした方向を示さずに増税をなんとなく唱えているし、民主党は消費税議論を封印し、社民や共産に到っては法人税増や軍事費減による消費税回避、と現実離れしている有り様。
貧困・格差対策、セーフティネット・社会保障増強のためには消費税を上げるしかないのが現実です。誤魔化し続けている限り、深刻な問題はもっと広がるだけでしょう。
もちろん、行政・税政の抜本的改革も不可欠なのですが。
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ということは、所得格差は
日本はまだましで
欧米、特にアメリカはもっとひどい
ということなのかな・・・
何でも欧米に追随すればいいものじゃない例だよね
やはり固定資産税などの資産課税を増税しないと。
(1)大企業の正社員
(2)中小企業の正社員
(3)派遣など非正規社員
と大きく3つに分かれると思います。
(1)は、そのブランドだけで転職できるでしょう。年収は減るかもしれませんが。
(2)と(3)は職業訓練を受けるとか、専門学校に通うとしても、自分のお金では限界があるでしょう。
どこで線引きするかはむずかしいですが、前年の年収から支給額を決めるとかで、
困っている人ほど、手厚くセーフティネットが機能するというのがいいと思います。
平均値はもっと大きいと思いますが、正社員レベルでは20年前よりむしろ格差が小さくなっているのではと思います。
発展途上国からすると誰もが羨むこの国を選んで生まれてくる事は不可能。個人の幸福と国家の幸福が完璧に一致する事はあり得ないけど、Over All日本は、結構そのGapは小さい方ですよね。どなたかがアメリカでは憲法に暖かく包まれた実感を覚えると言われてましたが、実は、警察も誰も守らない法律だから、自己防衛にガンを持たねばならないのでは。
日本のこれからの就業体系は、子供の教育から始め、役割の理解と選択の自由と選択時期の自由を教えて整えなければならないと思います。小さい時に勉強が嫌いで中学を出て生産ラインに入っても、ある時自分に夢が出来、エンジニアーになる決意をして学校に戻り、40歳でも50歳でも会社に入れる様な社会環境を作るべきです。基本的人権の社会的リスペクトを高めて、個人と会社の関係を相互の選択の自由で形成すれば、誰にも縛られずに個人の幸福を社会の中で自分の役割を果たしながら、追い続けることが可能では無いでしょうか。
引用元のOECDの報告には、「高所得層は2000年代前半に所得の減少を経験した。」との記載があります。
2000年頃には、企業の合併やリストラが激しかったと思いますが、それが効いたのでしょうかね。
日本独特の企業依存福祉(&家族依存福祉)はすでに時代遅れであり、解雇された派遣の方々などの惨状がその一端を証明しています。
にもかかわらず、国民(政治家も含めて)の多くは企業依存福祉の発想から抜け出ていません。会社が従業員の生活を守れ、という議論ばかり。セーフティネット・社会保障増強のための増税議論も真剣になされていません。
自民党ははっきりとした方向を示さずに増税をなんとなく唱えているし、民主党は消費税議論を封印し、社民や共産に到っては法人税増や軍事費減による消費税回避、と現実離れしている有り様。
貧困・格差対策、セーフティネット・社会保障増強のためには消費税を上げるしかないのが現実です。誤魔化し続けている限り、深刻な問題はもっと広がるだけでしょう。
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