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経済危機と教科書
2009-05-24
/
Economics
今回の危機を受けて、経済学の初等教科書は書き換えられるべきだろうか。
Mankiw
によれば、基本的な部分は変わらないが、いくつか修正が必要だという。
金融機関の役割
:普通の入門書では金融システムはほとんど説明しないが、今回の事件でその重要性がわかった。それはガードマンみたいなもので、うまく機能しているときは誰も気にしないが、機能しないと大変なことになる。
レバレッジの効果
:資金を株式で調達するか負債で調達するかは初等教科書ではあまり気にしないが、実務的にはまったく違う。それは平時には資本効率を高めるが、有事には危機を拡大する。
金融政策の限界
:不況になったら金融を緩和すればいいというのが教科書的な答だが、名目金利がゼロになったらどうすればいいのかはわからない。非伝統的な金融政策の効果も、まだ不明だ。
予測の失敗
:経済学者が今回の危機を予測できなかったことは事実だが、それは多くを望みすぎだろう。医学が発達しても、豚インフルエンザを予測することはできなかった。経済学は水晶玉ではなく、経済現象を理解するツールにすぎない。
教科書も読まないで経済学をバカにする政治家には困ったものだが、
経済学で不況が一挙に解決する
かのようなリフレ派の主張も夜郎自大だ。経済問題のうち経済学で理解できるのは半分ぐらいで、そのうち経済政策で解決できるのは半分、つまり経済学は経済問題の1/4ぐらいしか解決できないというのが小宮隆太郎氏の意見だが、私もそんなものだと思う。
コメント (
13
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コメント
予測に失敗したわけではない
(
Disequilibrium
)
2009-05-24 09:34:13
何年も前から警告を続けていたグリーンスパン元FRB議長や、
一連の経済危機を予測して莫大な利益を上げ続けているゴールドマンサックスみたいな企業もあるので、
予測に失敗したわけではないと思います。
ただ何もできなかっただけで。それも「金融政策の限界」なんでしょうけど。
経済学の入門書
(
from_kumagaya
)
2009-05-24 11:53:11
経済学についての教科書・入門書で格好なものを教えていただきたいのですが・・・。
Re: 経済学の入門書
(
Unknown
)
2009-05-24 14:10:27
既に何回か触れておられますが、Mankiw(マンキュー)が、このブログの「おすすめの本」リストに載ってますよ。
Unknown
(
kk8n53m
)
2009-05-24 17:21:15
自然科学は大体どこもそんなもんですよね。
わかることとできること
(
池田信夫
)
2009-05-24 23:59:52
経済問題を経済学で理解できるからといって、それが解決できるとは限りません。Mankiwもいうように、マイナス金利のときは実質金利をマイナスにできればいいことはわかっていますが、それを実現する政策手段はない。GDPギャップが4%あるとき、マクロ政策でそれをすべて埋めることができれば望ましいことはわかっているが、そんなことは不可能です。
昨年来の急速なGDPの落ち込みに対して、財政・金融政策が効果を発揮した形跡はない。それは問題が短期的なGDPギャップではなく、リアルな需要ショックによって潜在水準そのものが低下したからだと考えられます。こういう場合、マクロ政策の有効性は限定的です。政策目標とその実現可能性を混同して「異常事態なんだから日銀は異常な政策をとれ」などと騒ぐのは有害です。
教科書は書き換えられるべきか
(
ふる
)
2009-05-25 00:17:11
経済学が、人間がどのように行動するか「予想」したり、あるいは人間の行動に対する「処方箋」のような役割をするとすれば、時の経過と人間の変化とともに、経済学もどんどん変化しないといけないようにも思うのですが。
しかし、経済学が物理学のような、人類誕生の前から存在する、物質を支配するルールを探ろうとする学問であるとすれば時の経過があっても書き直す必要はないということになりますね。
私はそのどちらなのか実はよく分からないのです。
Unknown
(
Re:教科書は書き換えられるべきか
)
2009-05-25 13:15:04
今回の記事は明らかに「修正が必要だ」という見解の紹介かと。
それはさておき、経済研究の新たな動きとして「行動経済学」が最近注目されているそうです。一般向けの読みやすい入門書も出ています。経済学の素人にも割りとぴんと来やすくて面白いですよ。
(このブログでも既に過去に紹介されていますが。)
Unknown
(
平岡公威
)
2009-05-25 14:42:36
新型インフルエンザの予測は十分にされていたと思いますよ。
変異を起こしたウイルスが、いつパンデミックを起こすかがわからなかっただけで、十二分に警鐘は出ていたと思います。
「近いうちに金利が上がるか下がるかする。それがいつかはわからん」というのと、同じレベルといえばそうかもしれませんが。
歴史が大事では
(
迎 秀昌
)
2009-05-25 15:37:27
経済学の講義を受けたことがないので、マンキューを読み続けてきました。
PRINCIPLES OF ECONOMICS
MACROECONOMICS
の2冊ですが、今回の経済危機で書き換えが必要なのはマクロでしょうから、前者は後者より書き換えの割合は小さいのでは。
マイナス金利に対するマンキューの記事などには、多少失望感がありました(不遜に過ぎ、不快感もたれる人いたら謝ります)。
興味深いのは、THE THEORY OF REAL BUSINESS CYCLESなんかの記述が、今度どうなるのかと思っています。
多分、人文科学例えば政治学、法学、経済学なんかでは、歴史学を度外視できないといえるのではないかと思う。
例えば金本位制での経済のころに比べて、現代の複雑な金融商品の出現する世界ではマクロ経済学も変わらざるを得ないだろうと思うと、結局マンキューがそうであるように教科書も数年毎に改訂版を出さなければ役に立たなくなるのでは。
そして為政者は難局の乗り切りのために歴史を振り返ることが大切だろう。しかし大恐慌のために書かれたとも言われるケインズ経済学が、現在の経済危機に参考にはなっても、そのままでは役には立たない。
理論はマルクスであれ、ケインズであれ、理論は理論で、過去の歴史を振り返りつつ、そのときどきの現実の事実関係を凝視していくしかないのではないか。岩波新書の帯に曰く「時を見つめ、道を行く」。
小生がマンキューを好むのは、分厚くなく基本の概念が分かりやすく書かれていて、それらの概念をもって過去の歴史を読むと、王朝の盛衰やら、底流にあるものがわかるような気がするからです。
数学以外は変わってるはず
(
AW
)
2009-05-25 17:46:35
医師の国家試験で絶対間違えてはなら無い問題、禁忌肢、も時代と共に変わってきていると聞いています。
建築技術の発達により建築関係の教科書はどんどん変わっているのではないか?と思えるのですが実際はどうなんですかね?
経済学のような学問は変わって当然ではないでしょうか?
Re: 経済学の入門書[補足]
(
Unknown
)
2009-05-25 19:12:36
Mankiwの教科書は日本語訳も出ています。
Amazonあたりで「マンキュー」で検索すると出てきます。
(一応念の為の補足でした。)
VOICE
(
池田信夫
)
2009-05-26 01:56:15
学界にも経済誌にも見捨てられたリフレ派をいまだに出している唯一の雑誌が、VOICEです。6月号でも宮崎哲弥・若田部昌澄・飯田泰之の座談会を載せているが、お笑いです。こういうのを「経済学で不況が一挙に解決するかのような夜郎自大」というんだよ。
財政政策も規制改革も効果がなく、リフレ政策だけが絶大な効果があるという「どマクロ万能論」を繰り返し、「ミクロな政策はすべて意味がない」という。彼らにとっては、日銀の国債購入額の増減には重大な意味があっても、潜在成長率がゼロに近いことも労働生産性がG7で最下位になったことも、どうでもいいわけだ。彼らの主張は、永遠に反証される心配がない。日銀は、彼らのいうような愚かな政策を絶対に実行しないからです。
率直にいうと、彼らがクルーグマンの口まねをし始めた2000年代初頭には、「構造改革より金融緩和だ」という主張には、それなりの意味があった。速水総裁時代の日銀の政策がまずかったことも事実です。しかし今や状況がまったく変わり、本家のクルーグマンさえリフレ政策を放棄しているのに、「いや放棄してない」とか強弁し、十年一日の話を意地になって繰り返すのは、見ていて気の毒になってくる。
VOICEの編集者も知ってますが、悪いけど経済学をまったく理解しないで、いまだにリフレ派が最新ファッションだと思っている。公称2万部という水面下状態だから、こんな寝言を載せていると、『諸君!』の後を追うことになりますよ。
バーナンキも白旗の様子
(
mikeexpo
)
2009-05-26 07:24:22
バーナンキもずいぶん参っている様子です↓。
http://wholekernel.blogspot.com/2009/05/blog-post_24.html
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一連の経済危機を予測して莫大な利益を上げ続けているゴールドマンサックスみたいな企業もあるので、
予測に失敗したわけではないと思います。
ただ何もできなかっただけで。それも「金融政策の限界」なんでしょうけど。
昨年来の急速なGDPの落ち込みに対して、財政・金融政策が効果を発揮した形跡はない。それは問題が短期的なGDPギャップではなく、リアルな需要ショックによって潜在水準そのものが低下したからだと考えられます。こういう場合、マクロ政策の有効性は限定的です。政策目標とその実現可能性を混同して「異常事態なんだから日銀は異常な政策をとれ」などと騒ぐのは有害です。
しかし、経済学が物理学のような、人類誕生の前から存在する、物質を支配するルールを探ろうとする学問であるとすれば時の経過があっても書き直す必要はないということになりますね。
私はそのどちらなのか実はよく分からないのです。
それはさておき、経済研究の新たな動きとして「行動経済学」が最近注目されているそうです。一般向けの読みやすい入門書も出ています。経済学の素人にも割りとぴんと来やすくて面白いですよ。
(このブログでも既に過去に紹介されていますが。)
変異を起こしたウイルスが、いつパンデミックを起こすかがわからなかっただけで、十二分に警鐘は出ていたと思います。
「近いうちに金利が上がるか下がるかする。それがいつかはわからん」というのと、同じレベルといえばそうかもしれませんが。
PRINCIPLES OF ECONOMICS
MACROECONOMICS
の2冊ですが、今回の経済危機で書き換えが必要なのはマクロでしょうから、前者は後者より書き換えの割合は小さいのでは。
マイナス金利に対するマンキューの記事などには、多少失望感がありました(不遜に過ぎ、不快感もたれる人いたら謝ります)。
興味深いのは、THE THEORY OF REAL BUSINESS CYCLESなんかの記述が、今度どうなるのかと思っています。
多分、人文科学例えば政治学、法学、経済学なんかでは、歴史学を度外視できないといえるのではないかと思う。
例えば金本位制での経済のころに比べて、現代の複雑な金融商品の出現する世界ではマクロ経済学も変わらざるを得ないだろうと思うと、結局マンキューがそうであるように教科書も数年毎に改訂版を出さなければ役に立たなくなるのでは。
そして為政者は難局の乗り切りのために歴史を振り返ることが大切だろう。しかし大恐慌のために書かれたとも言われるケインズ経済学が、現在の経済危機に参考にはなっても、そのままでは役には立たない。
理論はマルクスであれ、ケインズであれ、理論は理論で、過去の歴史を振り返りつつ、そのときどきの現実の事実関係を凝視していくしかないのではないか。岩波新書の帯に曰く「時を見つめ、道を行く」。
小生がマンキューを好むのは、分厚くなく基本の概念が分かりやすく書かれていて、それらの概念をもって過去の歴史を読むと、王朝の盛衰やら、底流にあるものがわかるような気がするからです。
建築技術の発達により建築関係の教科書はどんどん変わっているのではないか?と思えるのですが実際はどうなんですかね?
経済学のような学問は変わって当然ではないでしょうか?
Amazonあたりで「マンキュー」で検索すると出てきます。
(一応念の為の補足でした。)
財政政策も規制改革も効果がなく、リフレ政策だけが絶大な効果があるという「どマクロ万能論」を繰り返し、「ミクロな政策はすべて意味がない」という。彼らにとっては、日銀の国債購入額の増減には重大な意味があっても、潜在成長率がゼロに近いことも労働生産性がG7で最下位になったことも、どうでもいいわけだ。彼らの主張は、永遠に反証される心配がない。日銀は、彼らのいうような愚かな政策を絶対に実行しないからです。
率直にいうと、彼らがクルーグマンの口まねをし始めた2000年代初頭には、「構造改革より金融緩和だ」という主張には、それなりの意味があった。速水総裁時代の日銀の政策がまずかったことも事実です。しかし今や状況がまったく変わり、本家のクルーグマンさえリフレ政策を放棄しているのに、「いや放棄してない」とか強弁し、十年一日の話を意地になって繰り返すのは、見ていて気の毒になってくる。
VOICEの編集者も知ってますが、悪いけど経済学をまったく理解しないで、いまだにリフレ派が最新ファッションだと思っている。公称2万部という水面下状態だから、こんな寝言を載せていると、『諸君!』の後を追うことになりますよ。
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