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Google.orgは社会貢献のイノベーションになるか

グーグルは、貧困・感染症・環境などの社会問題の解決を支援する組織、Google.orgを立ち上げた。これはNPOではなく、社会に貢献する企業に投資するベンチャー・キャピタルのような形で支援を行う営利企業で、個人資産ではなくグーグルの株式の1%(時価評価で12億ドル以上)を資本としてつくられる子会社である。

営利企業で行うのは、NPOでは行える事業の範囲が税法によって制限されているからだという。企業であれば、税金さえ払えば何をやってもよい。支援の第1弾として、燃費のきわめてよいハイブリッド車の開発に投資することが決まった。このように社会的な外部性を内部化しにくいプロジェクトを育て、かつ市場原理も生かすという点で、これは政府の補助金よりも効率的な政策手法のイノベーションになりうる。

しかしコーポレート・ガバナンスの観点から考えると、このやり方には問題がある。創業者たちは「Google.orgの目的は利益を上げることではない」と公言しているが、利益の上がらない子会社をつくるのは、株主にとっては、キャッシュフローを浪費するモラル・ハザードである。

ただグーグルは、IPOの際にも、経営者だけに1株10票の議決権を割り当て、「株主の利益は最優先の目的ではない」と公言してきた。株主利益を超えた社会的リターンを目的とする企業理念からすれば、首尾一貫してはいる。その理念に共感して優秀な技術者が集まり、結果としてそれが株主の利益につながっていれば、経営者が株主を無視して行動しても、放置しておいてよい。

問題は今後、グーグルの指数関数的な成長が止まり、経営者と株主の利益が一致しなくなったときだ。こういうときは、株主に権限を移し、リストラを行うのが普通だが、そういうとき最初に削減されるのは、利益に貢献しないことが明らかなGoogle.orgだろう。そういう不安定な基盤で、長期的な社会貢献ができるだろうか。

こう考えると、少なくとも連結子会社で社会貢献を行うことは望ましくない。営利企業でやるという実験はおもしろいが、それは創業者の(あり余る)個人資産でやるべきではないか。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 2 )
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コメント
 
 
 
Unknown (慈善事業もイノベーション)
2006-09-19 13:48:49
社会貢献イコールNPOという偏見がベースにあります。
社会貢献の効率を追求すると、企業化が現代ではベストであることは自明です。
企業が雇用と税金を払う。現代の社会体制の中では、企業が最高の社会貢献システムです。
個人資産でやるべきとのご指摘、これではビル・ゲーツ基金の方が良いと言う話になります。金持ちでないと社会貢献はできないのか。社会貢献を命がけで行う場合、また金が無いのに行う場合。現代では企業化が一番と思います。
また、株で儲けて社会貢献基金に充てる方法もあります。いったい社会貢献とは慈善事業とは何か。そこに企業効率や投機を入れてはいけないのか。googleの取り組みが、社会の意識とシステムの変化を予見させてくれます。
 
 
 
Unknown (ゾフィ)
2006-09-20 13:48:49
ずい分昔のニュースを?と思いましたが「NYT」の記事がごく最近だったんですね。Google.orgの立ち上がり自体は去年の秋だったと思います。
 ↓
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0510/12/news047.html

で、自分はこれを Google Foundation の“ソーシャルアントレプレナーシップ部門”のように理解してたのですが違うのかな??
Google.orgの活動に含まれるかどうかも未チェックで申し訳ないですが、OLPCへの協力や無料Wi-FiみたいのもNGなのかなあ。

それから営利企業の社会貢献活動って、例えばSalesforce.comとか数々ありますが、ことGoogleだから批判されてるわけではないですよね。
 ↓
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/000847.html

(半ば税金対策かも知れないけど)財団作ったり、(少々浮ついたものもりますが)CSRみたいなものも否定されているように読めるのがちょっと疑問でした。

 
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