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Google/YouTubeの深いポケット
WSJによれば、ニューズ・コーポレーション、NBCユニバーサル、ヴァイアコムなどが、YouTubeは違法だという結論に達し、これを買収したGoogleを相手どって損害賠償を請求する方向で検討しているという。賠償請求額は、違法なビデオクリップ1本について15万ドルだというから、7000万本以上あるクリップの0.1%(7万本)が請求の対象になるとしても、総額は100億ドルにのぼる。1万本あまりが請求対象になっただけで、YouTubeの買収額16.5億ドルが吹っ飛ぶ。(*)
こうした法的リスクは、前の記事でも紹介したように、Mark Cubanなどが繰り返し警告してきたが、問題のスケールがどの程度かよくわからなかった。また一部の権利者がYouTubeと配信契約を結ぶなど、友好的な態度も見せているので、訴訟に至ることはないだろうという楽観論もあった。しかしこれは、赤字のYouTubeでは訴えても取れる金が知れているので、Googleのような深いポケットがスポンサーになってから「太らせて食おう」という陽動作戦だったのかもしれない。
焦点は、これも前に書いたように、YouTubeがDMCAのセーフハーバーで免責されるかどうかだ。ハーバード大学のJohn Palfreyによれば、YouTubeは広告を掲載するようになったので、DMCA512条に定める「著作権侵害行為から直接に金銭的利益を得ていない」(§512(d)2)という免責条件を満たしていないと判断される可能性があるという。ただ権利者も、訴訟を起こして悪者扱いされるのはいやなので、水面下で交渉するかもしれない。
なお法的リスクについて、GoogleはYouTubeの株主にすぎないので有限責任だという説明があるが、これは誤り。GoogleはYouTubeを完全に買収したので、法的には両者は一体であり、賠償責任はGoogleがすべて負う(**)。今のところ、Googleの時価総額は1300億ドルもあるので、たとえ100億ドルの賠償を命じられたとしても破産することはないと思われるが、その企業価値は大きく損なわれるだろう。
(*)もちろん、これはあくまでも請求額である。訴訟で実際に支払った賠償額は、Napsterが6000万ドル、Groksterが5000万ドルだった。しかしYouTubeのアクセスはこれに比べると桁違いに多く、支払い能力も勘案されるので、Googleのように高い収益を上げていると不利だ。
追記:小飼弾氏の反論がTBされているが、ここで挙げられているのは日本企業のアメリカ法人の話で、本件とは関係ない。WSJの記事でも"deep-pocketed Google could be held responsible for YouTube's legal liabilities"と書いているように、Googleが賠償責任を負うことは自明だ。YouTubeのブランドは残すとしているので、法人格は別にするのかもしれないが、アメリカでは連結財務諸表しか発表しないので、両者は法的にも財務的にも一体である。ちなみにNapster事件では、RIAAは親会社Bertelsmannに賠償を請求した。YouTubeについても、Googleに対して訴訟が起こされるだろう(起こすとすれば)。
追記2:タイム=ワーナーのCEOは、Guardianとのインタビューで「著作権をめぐってYouTubeと交渉している」ことを認め、今後はGoogleが交渉相手になるとしている。ただし訴訟を起こすかどうかは明言していない。Cubanも指摘するように、まず他のマイナーなビデオサイトを訴えて、セーフハーバーが適用されないという判決を引き出してから、Googleと交渉して賠償を引き出すのかもしれない。
(**)これは間違い。原則としては、賠償責任は親会社に及ばない。ただし実際にはグレーな部分もあり、債権者は親会社と一緒に訴えるので、係争になれば、Googleが賠償責任を問われることは避けられないだろう。コメント欄参照。
追記3:Cubanの予想通り、ユニバーサルがGrouperとBolt.comを相手どって訴訟を起こした(10/18)。
こうした法的リスクは、前の記事でも紹介したように、Mark Cubanなどが繰り返し警告してきたが、問題のスケールがどの程度かよくわからなかった。また一部の権利者がYouTubeと配信契約を結ぶなど、友好的な態度も見せているので、訴訟に至ることはないだろうという楽観論もあった。しかしこれは、赤字のYouTubeでは訴えても取れる金が知れているので、Googleのような深いポケットがスポンサーになってから「太らせて食おう」という陽動作戦だったのかもしれない。
焦点は、これも前に書いたように、YouTubeがDMCAのセーフハーバーで免責されるかどうかだ。ハーバード大学のJohn Palfreyによれば、YouTubeは広告を掲載するようになったので、DMCA512条に定める「著作権侵害行為から直接に金銭的利益を得ていない」(§512(d)2)という免責条件を満たしていないと判断される可能性があるという。ただ権利者も、訴訟を起こして悪者扱いされるのはいやなので、水面下で交渉するかもしれない。
なお法的リスクについて、GoogleはYouTubeの株主にすぎないので有限責任だという説明があるが、これは誤り。GoogleはYouTubeを完全に買収したので、法的には両者は一体であり、賠償責任はGoogleがすべて負う(**)。今のところ、Googleの時価総額は1300億ドルもあるので、たとえ100億ドルの賠償を命じられたとしても破産することはないと思われるが、その企業価値は大きく損なわれるだろう。
(*)もちろん、これはあくまでも請求額である。訴訟で実際に支払った賠償額は、Napsterが6000万ドル、Groksterが5000万ドルだった。しかしYouTubeのアクセスはこれに比べると桁違いに多く、支払い能力も勘案されるので、Googleのように高い収益を上げていると不利だ。
追記:小飼弾氏の反論がTBされているが、ここで挙げられているのは日本企業のアメリカ法人の話で、本件とは関係ない。WSJの記事でも"deep-pocketed Google could be held responsible for YouTube's legal liabilities"と書いているように、Googleが賠償責任を負うことは自明だ。YouTubeのブランドは残すとしているので、法人格は別にするのかもしれないが、アメリカでは連結財務諸表しか発表しないので、両者は法的にも財務的にも一体である。ちなみにNapster事件では、RIAAは親会社Bertelsmannに賠償を請求した。YouTubeについても、Googleに対して訴訟が起こされるだろう(起こすとすれば)。
追記2:タイム=ワーナーのCEOは、Guardianとのインタビューで「著作権をめぐってYouTubeと交渉している」ことを認め、今後はGoogleが交渉相手になるとしている。ただし訴訟を起こすかどうかは明言していない。Cubanも指摘するように、まず他のマイナーなビデオサイトを訴えて、セーフハーバーが適用されないという判決を引き出してから、Googleと交渉して賠償を引き出すのかもしれない。
(**)これは間違い。原則としては、賠償責任は親会社に及ばない。ただし実際にはグレーな部分もあり、債権者は親会社と一緒に訴えるので、係争になれば、Googleが賠償責任を問われることは避けられないだろう。コメント欄参照。
追記3:Cubanの予想通り、ユニバーサルがGrouperとBolt.comを相手どって訴訟を起こした(10/18)。
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会計上、税務上の連結と会社法上の有限責任の遮断には直接の関連はありません。
但し、ごく僅かながら、法人格否認の法理として知られる例外で子法人の債務について親会社が責任を負う場合があります。但し、これは子会社が完全な形骸であるような、例外的な場合に限定されています。
ここからは推測になりますが、YouTube買収で言われるDeep Pocke論は、会社法上の有限責任を前提とした上で、Googleがその営業政策の一環としてYouTubeを利用した場合に、親法人(Google)と子法人(YouTube)が共同して行為したとして不法行為責任を負うリスクを言っているのではないかという気がします。
但し、不法行為責任を問題としているのであれば、買収後にGoogleがYouTubeの経営方針に関与するようになった以後に発生した責任に限定されること(時的限界)と、Google自身に過失等の責任原因が存在しないといけません。
その意味では、GoogleのDeep Pocketを狙った訴訟が起こすことは容易になるでしょうが、原告側弁護士としてPayする形で訴訟に持ち込めるかどうかには、なお一工夫が必要ということではないかと思います。
http://online.wsj.com/public/article/SB116049721244288215-xJfSED_Adl2IRLCysUMYR4jSSsc_20071011.html
この2人が合意しているように、YouTube/Googleが賠償を請求されるリスクは存在するが、あまり大きくない、と私も思います。権利者もYouTube/Googleを利用したいので、訴訟ではなく、今後の配信契約とセットにした「友好的」な形をとるかもしれない。現実的な問題は、賠償額がどの程度になるかということですが、NapsterやGroksterの数倍(数億ドル)程度で「手打ち」できるなら安いもの、とGoogleはみているのではないでしょうか。
むしろ最大のリスクは、その後にあります。和解の条件として、違法コンテンツをサイトに掲載する前にチェックする責任をYouTubeに負わせることが考えられますが、これによって膨大な手間が発生するばかりでなく、合法コンテンツだけを配信する「行儀のよい」サイトになったYouTubeは、その魅力を保てるでしょうか。それが16.5億ドル+損害賠償額に見合うかどうかは、かなり微妙な判断です。
もっとも原告側弁護士サイドからみると、Deep PocketであるGoogleがYouTubeの擁護者となったことによって、そのビジネスモデルに対する法的・政治的な防壁を高めるための投資が飛躍的に高まりますし、キャッシュリッチな企業は持久戦に対する耐性も高く和解に持ち込みにくいという面があるので、原告側弁護士として諸手を挙げて歓迎というわけでもないのかなという気もします。
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