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世界経済同時危機―グローバル不況の実態と行方

池尾・池田本は、アマゾンの先行発売だけで重版になった。都心の本屋には並び始めたが、それと並んでいるのが本書だ。テーマもほぼ重なるので読んでみたが、競合するというより補完的な本だと思う。われわれの本では、危機のメカニズムを理論的に分析することに重点を置いたが、本書はマクロ統計を駆使してグローバルな視野から論じている。

その結論は、われわれとほぼ同じだ。危機の背景には、新興国の過剰貯蓄をアメリカが吸収したことによるグローバル・インバランスがあり、高いリターンを実現したようにみえる投資銀行の金融商品の中身は多分に詐欺的なものだった。それが放置されたのは、オフショアの「影の銀行システム」が銀行規制の抜け穴になっていたためだ。したがって今回の危機の主要な原因は、時代遅れの規制による「政府の失敗」であり、これを「新自由主義の行き過ぎという観点で捉えることは、誤った判断となる」。

日本の投資不足が慢性的に続き、それを外需で埋めてきた経済構造が、欧米より大きなダメージを受ける原因となった。したがって日本経済を内需主導に転換する改革が必要で、地方公務員の給与が異常に高く有能な人材が民間に集まらない「社会主義的」な経済構造が成長を制約している――というのが本書の結論だ(これもわれわれとほぼ同じ)。

原田泰氏は「リフレ派」に近いが、このように市場を重視する考え方は「構造改革派」と同じであり、もはやそういう対立には意味がない。「富をつくった人に富が還元されるしくみがなければ社会は豊かにならない」というのは、すべての経済学者のコンセンサスである。
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コメント
 
 
 
投資銀行と、証券会社の違い (雲のパン屋)
2009-02-26 02:12:36
色々ブログを読んでいますが、池尾・池田本の書評はここが一番面白かった。

「なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学」を読了|紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに
http://ameblo.jp/993c4s/entry-10214112833.html
「なぜ世界は不況に陥ったのか」を読了: その2|紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに
http://ameblo.jp/993c4s/entry-10214342218.html

グラス・スティーガル法の見直しで商業銀行が投資銀行業務に進出できるようになった
それ故、投資銀行がより過剰なリスクを取る業務を拡大していった。

BIS規制の失敗

格付け会社への盲信

簿価で評価されていたローンが証券化により時価評価されていったこと。

等々、印象として、
本の方は今回の金融危機を中心に波紋を広げるように理論的に説明していったのに対して、
こちらの(補完的な)解説はブロガー自身の過去の現場経験からから線でつなげて説明している。
なかなか読み応えがあった。

一つ気になったのは
紺ガエル〜のブログに書いてある投資銀行と、証券会社の違い。
自分は今まで同じ物だと覚えていたがどうやら違うとのこと。
これは勉強になった。



 
 
 
銀行国有化 (Taro)
2009-02-26 08:02:36
以下は、銀行国有化に対する典型的な反論の一つ。

If We Nationalize Our Banks They Will Become Political Institutions
By John R. Lott, Jr.

http://foxforum.blogs.foxnews.com/2009/02/23/lott_obama_bank_citibank/
 
 
 
Unknown (中島悟)
2009-02-26 11:44:51
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20090226#p1

田中氏が「紹介が間違っている」と難癖をつけていますが・・・
学問云々以前に、彼の粘着質で子供っぽい性格はどうにかならないのでしょうか。
このブログも大変気になってしょうがないようですが、正面から論争する度胸もないようなので、池田さんの名前を出さずにハテブの連中と内輪話を咲かせている模様。
 
 
 
伊藤元重氏 (taro)
2009-02-26 16:02:54
本屋に行くと伊藤元重氏も金融危機に関する新著を出されたようですね。
ぱらっと立ち読みした感想では少し内容が浅いかな・・・
 
 
 
補足 (池田信夫)
2009-02-26 17:14:37
田中秀臣氏は、日本語が読めないのかな。p.20に「世界[的]貯蓄過剰が生み出すアメリカの低金利」という見出しがあるんだけど。

しいて原田氏とわれわれの違いをいうと、彼は「グローバル・インバランスは必ずしも悪くない」という立場です。これはわれわれも、原則論としては同意します。インバランスが永遠に維持可能であれば、そのぶん世界のGDPが嵩上げされるので、結構なことです。しかし今回の危機は、それが維持可能じゃないことを示したのだから、原田氏の原則論はちょっとおかしいし、後半の「日本は内需主導に」という話とも辻褄が合わない。

もう一つは、世界的な低金利の原因は貯蓄過剰ではなくインフレ率の低下で、実質金利はそれほど下がっていないという話です。これはなるほどと思うけど、原田氏も認めるように中央銀行も含めて名目金利を見て取引しているので、単なる偶然の一致かもしれない。さらにいえば、世界的なインフレ率の低下の原因は新興国の台頭による相対価格の変化なので、「新興国によるグローバル化が低金利の原因だ」という結論は間違っていない。

また「日銀はもっと果敢に金融緩和せよ」という話も随所に出てくるけど、FRBが「果敢」にやった金融緩和がこういう悲惨な結果をもたらしたことを原田氏がきびしく指弾しているのと比較すると、ダブルスタンダードの印象はまぬがれない。
 
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