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地デジの非常識
2008-07-25 / IT
きょうのICPFシンポジウムでは、この業界に長い私にとっても驚くべき話があった。テクニカルな話題なので、関心のない人は無視してください。
ホワイトスペースについてのWerbachのプレゼンテーションは、「問題はデジタルTVではなく、次世代のネットワークのために帯域を開放することだ」という世界の常識だったが、驚いたのはそれを受けたフジテレビの上瀬千春氏(地デジのチャンネルプランのチーフ)の話だ。彼は「アメリカは広い国土に1500しか中継局がないが、日本では13000局もあるので、ホワイトスペースなんてほとんどない」という。ホワイトスペースを中継局間の電波の届かない地域のことと誤解しているらしい。
私が「ホワイトスペースというのは未利用の帯域のことで、中継局の数とは関係ない。たとえばここ(九段)ではテレビは最大10チャンネルしか見えないが、テレビ局は40チャンネル占有する。残りの30チャンネルをホワイトスペースというのだ」と説明しても、彼は「われわれのチャンネルプランでは全国が真っ赤に塗りつぶされている」という。
司会の山田肇氏が「そういう問題ではない。たとえばここに山梨県のテレビ電波が届いても、干渉は問題にならない」と説明しても、上瀬氏は「移動端末は動くので、どこで干渉が起きるかわからない」という。「その問題は、さっきWerbachも説明したように、cognitive radioなどの技術で避けられる」と私がいうと、上瀬氏は「日本は中継局が多いから干渉は避けられない」と言い張る。アメリカのテレビ局と同じく、「干渉」は既得権を守るための呪文なのだ。
林紘一郎氏(ICPF理事長)が、「万に一つも干渉が起きてはいけないという前提に立てば、どんな無線技術も成り立たない。私もかつてNTTで、そういう完全無欠論を振り回して新規参入を妨害した側だが、おかげでNTTのISDNやATMは没落した。地デジも、同じ轍を踏むのではないか。Best effortのインターネットが世界を制覇した事実に学んではどうか」と指摘すると、上瀬氏は黙ってしまった。
さらに私が「10チャンネルの放送に40チャンネルも占有するチャンネルプランは、古い技術に依拠するものだ。地デジのOFDMなら、SFNで10チャンネルの放送には10チャンネルしか必要ないので、残りの30チャンネルはホワイトスペースどころか完全な空きスペースだ」というと、上瀬氏は「SFNは遅延で干渉が起こるからだめだ」という。
SFNの問題は、総務省のVHF帯の懇談会でも論争が続いており、「SFNで6MHzあれば全国がカバーできるので、14.5MHzあれば2方式が可能だ」と主張するクアルコム社に対して、地デジ(ISDB-T)陣営は「SFNは不可能で2チャンネル以上必要だから、VHF帯は全部われわれが取る」と主張している。なるべく非効率に帯域を使うことによって新規参入を締め出すインカンバントの戦略は、世界共通なのだ。
もう一つ驚いたのは、総務省の吉田地上放送課長の「現在93%の世帯をカバーできているが、全国カバーするにはあと9500局建てる必要がある」という計画だった。7%の世帯のために1基1億円の中継局を9500も建てる? 総務省の辞書に費用対効果という言葉はないのだろうか。
それでも「最後は30〜40万世帯が残るので通信衛星(CS)でカバーする」という。それなら最初からCSでやったらどうかというと「ローカル民放がいやがる」。アメリカでは、ローカル局もCSにチャンネルを持っている。それなら年間数千万円で1チャンネル借りられるからだ。しかし、それを言い出したら、そもそも地デジがまったくナンセンスだということが露呈してしまうから、今さら路線転換できないのだ。
こうした非常識な計画に冷水を浴びせたのが、小寺信良氏の報告だった。彼によれば、アナログ放送をやめたフィンランドでは、これをきっかけにテレビを捨てる人が大量に出て、国営放送の受信料収入が大幅に落ち込んでいるという。MIAUのアンケート調査でも、「ダビング10など使いにくい地デジは見ない」という答が多く、「2011年にアナログ放送が止まったらどうするか」という質問に対して、ほとんどの人が「テレビは捨てる」と答えたという。Werbachもいうように、2011年はテレビという20世紀のレガシーに縁を切るいい機会だろう。
ホワイトスペースについてのWerbachのプレゼンテーションは、「問題はデジタルTVではなく、次世代のネットワークのために帯域を開放することだ」という世界の常識だったが、驚いたのはそれを受けたフジテレビの上瀬千春氏(地デジのチャンネルプランのチーフ)の話だ。彼は「アメリカは広い国土に1500しか中継局がないが、日本では13000局もあるので、ホワイトスペースなんてほとんどない」という。ホワイトスペースを中継局間の電波の届かない地域のことと誤解しているらしい。
私が「ホワイトスペースというのは未利用の帯域のことで、中継局の数とは関係ない。たとえばここ(九段)ではテレビは最大10チャンネルしか見えないが、テレビ局は40チャンネル占有する。残りの30チャンネルをホワイトスペースというのだ」と説明しても、彼は「われわれのチャンネルプランでは全国が真っ赤に塗りつぶされている」という。
司会の山田肇氏が「そういう問題ではない。たとえばここに山梨県のテレビ電波が届いても、干渉は問題にならない」と説明しても、上瀬氏は「移動端末は動くので、どこで干渉が起きるかわからない」という。「その問題は、さっきWerbachも説明したように、cognitive radioなどの技術で避けられる」と私がいうと、上瀬氏は「日本は中継局が多いから干渉は避けられない」と言い張る。アメリカのテレビ局と同じく、「干渉」は既得権を守るための呪文なのだ。
林紘一郎氏(ICPF理事長)が、「万に一つも干渉が起きてはいけないという前提に立てば、どんな無線技術も成り立たない。私もかつてNTTで、そういう完全無欠論を振り回して新規参入を妨害した側だが、おかげでNTTのISDNやATMは没落した。地デジも、同じ轍を踏むのではないか。Best effortのインターネットが世界を制覇した事実に学んではどうか」と指摘すると、上瀬氏は黙ってしまった。
さらに私が「10チャンネルの放送に40チャンネルも占有するチャンネルプランは、古い技術に依拠するものだ。地デジのOFDMなら、SFNで10チャンネルの放送には10チャンネルしか必要ないので、残りの30チャンネルはホワイトスペースどころか完全な空きスペースだ」というと、上瀬氏は「SFNは遅延で干渉が起こるからだめだ」という。
SFNの問題は、総務省のVHF帯の懇談会でも論争が続いており、「SFNで6MHzあれば全国がカバーできるので、14.5MHzあれば2方式が可能だ」と主張するクアルコム社に対して、地デジ(ISDB-T)陣営は「SFNは不可能で2チャンネル以上必要だから、VHF帯は全部われわれが取る」と主張している。なるべく非効率に帯域を使うことによって新規参入を締め出すインカンバントの戦略は、世界共通なのだ。
もう一つ驚いたのは、総務省の吉田地上放送課長の「現在93%の世帯をカバーできているが、全国カバーするにはあと9500局建てる必要がある」という計画だった。7%の世帯のために1基1億円の中継局を9500も建てる? 総務省の辞書に費用対効果という言葉はないのだろうか。
それでも「最後は30〜40万世帯が残るので通信衛星(CS)でカバーする」という。それなら最初からCSでやったらどうかというと「ローカル民放がいやがる」。アメリカでは、ローカル局もCSにチャンネルを持っている。それなら年間数千万円で1チャンネル借りられるからだ。しかし、それを言い出したら、そもそも地デジがまったくナンセンスだということが露呈してしまうから、今さら路線転換できないのだ。
こうした非常識な計画に冷水を浴びせたのが、小寺信良氏の報告だった。彼によれば、アナログ放送をやめたフィンランドでは、これをきっかけにテレビを捨てる人が大量に出て、国営放送の受信料収入が大幅に落ち込んでいるという。MIAUのアンケート調査でも、「ダビング10など使いにくい地デジは見ない」という答が多く、「2011年にアナログ放送が止まったらどうするか」という質問に対して、ほとんどの人が「テレビは捨てる」と答えたという。Werbachもいうように、2011年はテレビという20世紀のレガシーに縁を切るいい機会だろう。
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なぜ世界は不況に陥ったのか
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10万年の世界経済史
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CIA秘録:その誕生から今日まで
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生政治の誕生 ミシェル・フーコー講義集成 8
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Against Intellectual Monopoly
最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?
オークションの人間行動学
地球と一緒に頭も冷やせ!
禁断の市場―フラクタルでみるリスクとリターン
暴走する資本主義
市場リスク 暴落は必然か
The Illusions of Entrepreneur ship
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さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白
テロと救済の原理主義
秘密の国 オフショア市場
まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
財投改革の経済学
中山信弘:著作権法



http://www.dibeg.org/PressR/Brazil_ISDB-T_seminar/Brazil-ISDB-Tseminar7-Impementation.pdf
それなのに日本では、わざわざ周波数効率の悪いMFNを使っています。その理由は遅延(反射波との干渉)ですが、これは放送波で中継するため、その親局との遅延がでるのが原因です。局間を光ファイバーでつなぎ、親局と子局で同期をとって放送すれば、遅延はガードインタバルの中に納まる。
それなのに放送波中継しているのは、ある技術者によると「回線料がもったいない」。年間集十万円の専用線料金より、タダでもらえる電波(1000億円/ch)を浪費したほうがいいわけです。
上記ディスカッションにおける小寺氏の発言は「地デジ」の未来が暗いものを予期しているもので、当を得ている感があります。総務省・フジテレビの当該担当者が池田先生が記述した(地デジ側の)非常識な対応では、地デジは確実に頓挫するでしょう。基地局設置の発言は…、非常識と言うよりお笑いぐさ。
で、私の「地デジ」の知識は、「2011.7.24アナログ終了」、「画面が鮮明」および「B-CAS(お荷物カード)」と余計な代物が付いたもの。あと思いつくとすれば、アナログ終了時にテレビ局は確実に衰退するだろうということくらい。
以上、三十路の若造の愚痴でございました。
気になる記事がありましたら、つっ…コメントを入れていきたいと思いますので、その際はご容赦ください。
失礼しました。
ラジオ→アナログテレビ→地デジ
の順で徐々に遅くなり、タイムラグがあることを実感しました、
テレビとは縁を切った方が、命が助かりやすいようです。
個人的な話ですが、自分も含め僕の父親は最近テレビが全然面白くないと言っています。
テレビ好きの僕も確かにそう思います。
ホワイトスペースを利用してチャンネル数を増やしてくれないと、ずっと過小供給のままだと思う。
こんなんじゃITに負けるのも時間の問題か?と個人的には思う。
3年もあればネットがもっと発達するだろうし、テレビなしでも十分な環境が整っていくと予想しています。YouTubeがサービス開始してからまだ3年経っていません。
放送局、政治、両者共に「やらねばいかんのだから余計な事を言うな。金の足らずは国が負担」的な事を仰っていたのが印象的でした。
崩壊しつつあるローカル局のビジネスモデルを見直すチャンスも潰してしまいかねませんし、それで何が「優秀」なのだろうか、とも。
デジタルでテレビを見る事よりも、我々のような田舎で事業をやるものにとっては、新しい技術の中で放送や通信を流通させる事が大事です。
ホワイトスペースのお話はもっと聞きたかっただけに、残念でした。
既得権益者の箱庭療法で失政を繕っていくのは大きな損失ですね。
世代間対立の様相を呈するのかも。年金とテレビのバーター?
うちも捨てます。(笑)
>タダでもらえる電波(1000億円/ch)を浪費したほうがいいわけです。
でも高価な中継設備の固定資産税考えたらマイナスでは。それとも、テレビ局は免除?
詳細につきましては、http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060801_4_bt2.pdfをご覧ください。
「地デジ移行対策」2000億円の財源は、電波利用料から出すつもりのようですが、なぜ携帯ユーザーがデジタルTVのコストを負担するのか、何も説明がないまま、業者との取引で事実上決まったようです。しかも、この予算は明らかに足りない。「5000円チューナー」が可能だとしても、5000万台のテレビにつけるには2500億円ですが、これだけでは地デジは受からない。小寺氏の体験では、アンテナまで含めると5万円かかるので、総費用は2.5兆円という天文学的な数字です。
もちろん全部は面倒みられないので、どこで線を引くのか。今の計画のように生活保護の100万世帯だけでは、フィンランドのように視聴者が大幅に減ってNHKの受信料も民放の広告単価も数千億円減るでしょう。したがって移行コストはすべてテレビ局が負担するのが当然ですが、それをやったら業界が壊滅する。だから鬼木氏もいうように「なるべく多くの新規参入者を入れて、移行コストは(移転補償金や電波利用料などの形で)彼らに負担させる」という結論しかないと思います。
地デジ全面切り換えで大量にテレビが廃棄されるのはいいとして、今の法律だと一台あたり5000円の処分料が必要ですね。それも視聴者が負担する事になりますから、恐らく不法投棄が大量に発生するのでは?
最後に、この問題、ここまでの流れを見るにつけ、地デジ切り換えってもしかすると、地上波メディアを排除するための深謀遠慮な計画だったのか、ってな気もしてきますが(まさかね・・・笑)
ただテレビなどは1日中電波を流しているから、まだいいほうで、最悪なのは1日に1回、5時の時報を出すだけの防災無線などの業務用無線。前にわれわれがパブリックコメントを出した800MHz帯のFPUに至っては、1ヶ月に全国で数十時間しか使われておらず、スループットはほぼゼロです。
逆にいうと、cognitive radioやSDRなどの新技術を使えば、まだ90%以上のフロンティアがあるわけです。日本のIT産業を活性化させるには、この「埋蔵金」を開放することが重要です。
・・・といった専門的な議論を予想していたら、「日本にはホワイトスペースなんてない」とは恐れ入りました。彼らの脳内には、レガシー技術しかないのですね。
上瀬氏のようなレベルの人が次世代の日本の情報通信技術の中心にいるとは情け無い限りです。国際会議だったら、物笑いの種になるだけでなく日本の情報通信技術への信頼の失墜の原因にもなってしまうでしょう。淘汰されるべき人が重要な地位に居座り業界を自滅へと導いている。。。ここにも日本の人材流動性の低さの弊害が表れている気がします。
>年金とテレビのバーター?
地上派デジタルテレビへの移行に数兆円かけることで年金を国家財政から切り離されるなら安いもんですが、さすがにそんなうまい話があるものでしょうか・・?
2050年頃まではテレビを捨てると個人時間がホワイトスペースになってしまう人がいっぱいいるはずなのでテレビは有効なメディアとして君臨するでしょう。
電波ホワイトスペースがどんなコンテンツで有効利用されるのかがわかりません。通販放送ばかりで埋められるのであれば、個人的にはそんな開放はなくて良いです。自動翻訳同時放送、宇宙ステーションや極地実況中継、古代的民主主義(多数参加、抽選)等、応用は多々あると思われますが、既存局にとっての脅威は参入障壁が下がることでクリエーター囲い込み競争が発生することでは。現状の放送でも白痴スペースが多いぐらいなので、そのスペースをホワイト雑音にして、民意を高めるのが先決ではないかと思います。
フジテレビの上瀬千春氏(地デジのチャンネルプランのチーフ)の発言には、本当に笑うしかないほど、驚き呆れました。
「干渉」は既得権を守るための呪文
ぴったりな表現です。
「デジタルテレビへの移行100%を目指す」との、上瀬千春氏の発言、
民放の番組のように、白痴(はくち)そのものです。
いいかげん、現在のテレビ・ビジネスモデルが衰退期に入っているのを自覚して、イノベーションを考えて欲しいものですが。
個人的にはIPTVという解決が一番しっくりくるのですが…… フォーラムのホームページを見るとアクトビラにも配慮しているふうなのでARIBが絡んでいるんですよね?
北京オリンピックが終わるまでは仕様が公開されないので現時点では素人には善し悪しが判断できないのですが、電波に固執するよりかはずっとマシに思います。
ダビング10もそうですけど、一般市民がついて来ない仕組みを強行すれば、間違いなく自業自得として跳ね返ってくるでしょう。
延命行為は、最終的に自分が大きな責任を被ることになるという未来さえも見えない状態に陥っている組織は哀れです。
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