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視聴者もストライキを

TechCrunchによると、アメリカの脚本家のストライキは泥沼化の様相を見せているようだ。それでも、テレビの脚本の再放送料が1本2万ドルというのはすごい。日本の構成作家は、本放送でもこんなにもらえない。特にひどいのは民放で、下請けや孫請けにピンはねされて、演出料や脚本料は数十万円がいいところだ。前にも紹介した「あるある」のように、スポンサーの払う1億円のうち、孫請けプロダクションには860万円しか渡らないからだ。

最近は、搾取の中心が「下流」のテレビ局から「上流」の芸能事務所に移っている。もしジャニーズ事務所と吉本興業とオフィス北野がストライキをやったら、民放の夜の番組は3割ぐらい消えるだろう。制作能力のなくなった民放が、番組を企画段階から芸能事務所に丸投げしているため、彼らがいないと何もできないのだ。私もかつてオフィス北野に出演交渉をしたことがあるが、「たけしが企画した番組しか出ない」とのことで、断念した。NHKでは、そういう作り方は基本的に許されないからだ。

こうなると内容はすべて芸能事務所が仕切るので、民放は「電波料」をピンはねするだけのゼネコンのような存在になる。特にジャニーズ事務所は「肖像権」の管理にうるさいため、地上波以外の再放送は禁止だ。これはプロデューサーにすべての権利が集中し、彼らが「ウィンドウ管理」を行なって番組を売買する市場が発達しているハリウッド・システムに近づいているともいえる。

しかしアメリカでは、FCCのFin-Syn Rule以来の慣行で、ハリウッドのつくった番組にテレビ局は著作権をもてないのに対し、日本ではウィンドウの一つにすぎないテレビ局が著作権をもっていることが権利処理をややこしくし、番組の市場が成立しない。おまけに彼らが著作権を楯にとって「再送信同意」を行なわないため、IP放送ではいまだに地上波が再送信できない。これは放送局の特権を温存した形で著作権法を中途半端に改正した文化庁の責任だ。

このように流通業者が二重三重にピンはねするゼネコン構造が、クリエイターの報酬を減らすばかりでなく、その創造性を奪い、特定のタレントのキャラクターに極端に依存した番組づくりが横行している。たけしやさんまの番組の台本は、どこにCMが入るかというQシート1枚だけで、構成も演出もない。大阪ローカルの番組に至っては、紙さえない。かつて浜村淳さんと仕事をしたとき、彼はNHKの番組に取材用台本があることに感動して、「大阪のテレビ番組は、芸人が勝手にしゃべるだけのラジオ番組や」といっていた。

民放にいわせれば、こういう安易な番組づくりも「数字が取れるのだから仕方がない」ということになる。そういう番組を見る視聴者が悪い、というわけだが、選択肢がそれしかないように政治家を使って電波利権を独占してきたのは地上波局だ。だから彼らに対抗するには、視聴者が「ストライキ」をやってテレビを拒否し、YouTubeやJoostやGyaoなどを見ればいい(私はテレビはニュース以外は見ない)。万国の視聴者、団結せよ!
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