いかりや爆氏の毒独日記

最近の世相、政治経済について「あれっ?と思うこと」を庶民の目線から述べていきたい。

TPP参加の危険性(4):日本経団連会長のあきれた愚かさ

2010-11-18 18:54:21 | 日記

 報道 によれば、
日本経団連の米倉弘昌会長は昨日17日、東京都内で講演し、「TPP参加に反対する農業界も、自己矛盾的な発言をしている」と、TPPに反対する農業団体を批判した。「日本のコメはうまいから中国でも売れると強気を言っていたのに、TPPで農産物の全生産高の半分がなくなるという。どこに真意があるのか」と語り、「農業法人の要件緩和などで生産性を上げるのが大切」と主張した。

  TPPに参加して、「いずれは自分たちの身にも降りかかって泣くことになる」ことを知らずに、生活習慣病的発想から抜け出せない米倉会長のお粗末発言と言わなければならない。

 TPPの基本理念は「保護主義の排除」でしょ?経団連の会長さんがTPPの基本理念も知らないとは言わせないぞ。
 輸出企業が、消費税の還付である輸出戻し税を受けているのは輸出企業への補助金ではないか。元静岡大学教授 湖東 京至氏の試算によると大手輸出企業10社だけで09年分の還付税額は8014億円になるという・・・これこそ事業仕分けの対象にするべきである、税収が増えるのだからなんと、全国で赤字の税務署が13箇所もあるというのである。税を徴収するのが仕事であるはずの税務署が輸出戻し税の還付によって赤字と言うのだから驚く。

蛇足だが、現在進行中の事業仕分けは、殆ど経済効果はありません。仕分けで見つけ出した金は単に別の部門に使われる(金が移動する)だけで、金そのものが増えるわけではない。たとえ無駄な金と言えども、ドブに捨てて消える金でない限り、その金が実体経済に還流するという点ではおなじことである

 湖東氏は、””そのうえ同じ非課税でも、お客さんから消費税分をもらえない病院や医者の社会保険診療報酬には還付金はありません。ですから病院などは、診療材料や薬に含まれている消費税分を自己負担せざるを得ません。つまり病院やお医者さんは消費者と同じなのです。これを「にせ非課税」といいます。還付のある輸出免税と「にせ非課税」との間にも不公平があるのです。””と言う。

 トヨタへの還付金について、湖東氏は、赤字の豊田税務署の場合を例にあげて、次のように言っています。

 ””問題なのは、トヨタは納めすぎた税金を還付してもらっているのではなく、一度も消費税を税務署に納めたことがないということです。では誰が納めたかといえば、トヨタの何万という全国の下請けが各地の税務署に必死で納めた税金です。それを豊田税務署がトヨタ1社にドーンと戻すのです。豊田税務署は還付金が多く赤字の税務署です。
 経済取引は、強い企業が単価を決めます。トヨタが「消費税を払っています」といくら言ってみても、下請け単価を叩きに叩いているわけだから、実際には払っていないのと同じです。形式的に払ったといわれているものを税務署から返してもらっているのです。
 消費者の方々は自分たちが払った5%が、と思うでしょうが、消費税そのものは預り金でも預り金的な税金でもなく、第2事業税みたいなものです。下請け業者が苦労して納めた税金を、なぜトヨタ1社が持っていくのかという問題です。
 仕入税額控除方式による輸出戻し税制度というのは、ヨーロッパをはじめとして、この税制を採用している国はすべてやっています。付加価値税・消費税タイプの税制をやっていない国が1カ国あります。それはアメリカです。アメリカは輸出戻し税を、実質的には輸出補助金だと言っています。GATT(関税貿易一般協定)では、国が輸出企業に補助金を出してはいけないと決まっています。私は、消費税は輸出補助金にほかならず、GATT協定違反の税制だと思います。””

 元経団連の奥田碩会長は、以前ぬけぬけと ”「消費税16%にアップ」でニッポンを活性化させるのだ。”と言い、5%の消費税を2004年度から毎年度1%ずつ引き上げ、2014年度に16%にすると提言していたのである。経団連の御手洗前会長も奥田碩氏同様、「消費税の大増税」を言い続けていた。彼らは消費税の痛みを知らないどころか、人の痛みを利用して、浅はかにも大量の還付額の増額を期待しているのだろう。
 こんなことは言いたくないが、彼らにとって政治献金は痛くもかゆくもない、それどころか消費税還付という巨大な見返りがあるのである(当面のところは)。

 だが、そんなに甘くはない、TPPに参加すれば、消費税の還付問題が槍玉にあがるだろう。そのときなって、「そんなはずではなかった」と臍(ほぞ)を噛むだろう。
 
 輸出大手企業は、円高によるしわ寄せを、働く人たちに押し付けてきた。首切りや、大量の非正規雇用の元凶集団である、彼らこそ日本の国力を弱体化させてきた企業責任を感じなければならないはずだが・・・。



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3 コメント

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溜息・・・ (明け烏)
2010-11-18 23:20:34
尖閣諸島事件で、まず検証されねばならないのは、当該海域での中国漁船の操業がそれまでは黙認されていたかどうかである。植草先生のブログによると日本政府と小平との間で尖閣諸島の領有権の棚上げと、両国の漁業の混在が暗黙のうちに了解されていたようである。
別に中国の肩をもつわけではないが、それまで黙認されてきた作業を行っているときに突然、警備艇4隻に囲まれたら、どこの国の人間であれ、大きく動顛することであろう。特に、中国人は自国の官憲に逮捕されたときの苛酷な扱いを知っているから、何とか逃れようと船を体当たりさせるくらいするだろうと思う。私でもそうする。自分の生命が懸かっているのだから当然だ。この辺りの想像力が欠けてはいけないと思う。
今回の拿捕を許可したのが誰なのか、また目的が何なのかは不明である。大方、日本総督府に命じられた、おっちょこちょいが前後も考えずに命令を下したに違いない。

さて今回、私が述べたいのは、この事件の真相がどうだったとか、どちらが正しいのかという話ではない。どうやらこの事件が、まるで玉突きの玉があちこちに当たって思わぬ動きをするように、意外な形に発展していることである。
フィルムの開示を巡って、やれダイジェスト版を一部の国会議員だけが視たとか、海上保安庁の人間が、皆に知らせるべくネットカフェから流しただとか、それは国民の「知る権利」のために行っただとか、尖閣諸島は1mmも譲ってはいけないだとか、義士である海保の職員を罰してはいけないとか、また勇ましい人間が2・26事件の助命嘆願を求める血書よろしく愛国者の署名を集めるとか、ブログランキングの上位10が1つを除いて(植草先生の「知られざる真実」)すべて右翼的な発言をするブログによって占められるなど、などである。おそらくこれからの政局にも少なからぬ影響を与えること必定であろう。
そしてこの展開は歴史の中の一事件も当事者の当初の目論見とは、まるで違う方向に拡散・発展して思わぬ効果を齎すことを、まざまざと見せ付けてくれる。今さながらに歴史を学ぶことの難しさを痛感する次第。すでにして私などは手遅れであるが、歴史を語り、史観を形成するなどとは、余りに恐れ多いことだと思わざるを得ない。少年、老い易く学成り難し。「知命」を過ぎても解らぬことだらけである。
遊び人川柳(想像編) (明け烏)
2010-11-18 23:29:05
レンホーが 看護婦で来たら おれぁ逃げる (恐怖そのものです)

上戸彩 看護婦だったら 考える      (何を?)

辻元が キャバクラで出たら おれぁ帰る (怒りますよ、私だって)
矢田津世子自宅跡 (明け烏)
2010-11-19 20:08:10
矢田津世子といってもご存知ない方が多いかもしれない。若くして亡くなった小説家で美人の誉れ高かった女性である。私にとっては、なにより愛読した坂口安吾の恋人だったので大層身近に感じられる。
角川文庫の「暗い青春」「魔の退屈」の中に坂口安吾が矢田津世子の家に遊びにゆき母娘から料理と酒を振舞われて、すっかり寛いだことが書かれていたが、その家がどこにあったのかは全く分からなかった。
ネットというのは便利なもので、つらつらと眺めていると、その矢田の自宅が歩いて2分ほどのところだったことを一昨日知り、昨日行ってみた。辺りは山の手通りの拡張で当時を偲ばせるものは微塵もなかったが、「ああ、ここで坂口安吾が矢田津世子と幸福な一時を過ごしたのだな」と些かの感慨を覚えた。

余談になるが、矢田津世子は、妻子のある時事通信のW氏と関係があり、それを知った坂口は苦しさゆえ矢田から逃げるように京都に移ってしまった。坂口安吾を読んでいた十代のころ、私も似たような境遇に陥ったことがあり、安吾の煩悶が人事とは思えなかった。

石川淳が坂口安吾をモデルにして書いたと思われる「紫苑物語」に登場する矢田を模した「うつろ姫」はあまり好意的には描かれていない。

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