いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
過去の記事は随時掲載していきます。
以前読んで下さっていた方、ありがとうございます。

君を守る

2016-05-29 23:55:20 | 日記
「ドライブしよっか」

カフェで顔を上げると画像で見た男性がいた。初対面の挨拶を済ませてコーヒーを一緒に飲んでいると、なぜか心が落ち着いた。まるで長い知り合いといるようなそんな感じだった。次は家で料理作って、と冗談で言うと、彼は「いいよ」と答えた。

「何食べたい?」

彼とスーパーで食材を選んだ。こんな事を一緒にできる男は世の中に何人いるのだろう。

「お風呂に入りたいな、一緒に」

彼とは毎週末にデートを重ねた。いつも一緒にいたいと言われた。彼は地方から出て来て不慣れな東京で就職した。仕事や色々な事で悩みを抱えながらも一生懸命生きている彼を思うと胸が締め付けられた。上手く言葉が出てこないが、「守ってあげたい」といったらいいだろうか。

「守ってあげるよ」

彼の話を聞くのが好きだった。グラフィック関係の仕事をしていて、よく作品を見せてくれた。2人で1つのスマートフォンを覗き合って過ごした時間は、永遠に心に残るだろう。そして、取るに足らない事で若かりし日の2人は別れた。

「出会えてよかったと思っているよ」

ありがとう。いつかまた。


赤や青

2016-05-28 17:19:12 | 日記
家で料理はしますか、と聞かれると、「あまりしない。でも誰かと暮らす事になったら毎日作ると思う。」と答えている。

家にコーヒーメーカーはありますか、と聞かれると、「持っていない。でも誰かと暮らす事になったら購入すると思う。」と答えている。

おしゃれなグラスとかカップとか持っていそう、とか、インテリアに凝っていそう、とか色々と聞かれるが、どれも持っていないし興味もない。自宅も白や黒ばっかりだし、何かを飾ろうとも思わない。でも、もし誰かと住むことになったら、その時は赤や青の物を置いてもいいと思っている。


あなたの話をきかせて

2016-05-24 23:36:30 | 日記
こんなにも人を好きになれたのは、いつ振りだろうか。
好き。本当に好きだと思った。そして、これは恋愛の好きではなかった。

ジムで目立っていたノンケの男性とお茶をした。モデルをしているのでとても忙しい事は分かっていたが、2人でこうして会うまでに随分と時間を要してしまった。指定の日時に都内のカフェで待ち合わせると彼が店内に現れた。

「遅れてすみません」

「いえいえ。はじめまして。」

好きなものを頼んで下さい、と伝えると彼は笑顔でこちらを見つめた。この笑顔をこんなに間近で見られるのならもっと支払ってもいいと思った。

恋愛の話を聞かせてもらった。好きだったコの事、そのコの為なら何でもできると思った事、そのコの事がずっと好きだったといった話を一点集中して引き出した。こんなに遊んでそうな男がこんなにも純粋な恋愛をしてきたことが嬉しかった。ああ、好きだなと目の前の男の顔を見ながら思った。もちろん恋愛の意味ではない。自分がもし女だったとしたらなどと思う事もない。普通にこの男が好きだと思ったのだ。こんな気持ちが自分に存在していた事にこそ驚く。

「別れちゃいましたけどね」

どこか哀しそうな瞳が印象に残る。

この男がジムで鍛えている時、何人ものゲイが無意識に見ている事を知っている。派手でゴツくてかっこいい。そんな男が普通の恋をして、別れて、どのように立ち直ったのだろう。

「ケンカばかりしていましたけど好きでしたね」

ここまで桁違いのイケメンは、決して手が届かないところに存在するものだと思っていた。会話したところで話が噛み合わないだろうと思っていた。それ程に彼と自分は立ち位置が違う。それなのに、2人で会って、一緒にコーヒーを飲んで、普通の話に共感し合いながら過ごした時間が奇跡のように思える。彼は本当に普通の男性だった。

「また会いましょうよ」

駅に着くと彼はそう笑顔で約束してくれた。




フォトグラファー

2016-05-21 22:09:43 | 日記
その男は歌舞伎町を歩いていた。遅いランチを食べに来ただけだったが、なぜかこの街は落ち着く。そういえば歌舞伎町が好きな人間は心が寂しい人間だとどこかで聞いたことがある。そうかもしれないな、と一人笑うと、いつもの通りを歩いた。

美しい女性が風俗店の入居するビルに入っていくのが目に入った。よく目にする光景だが、何とはなしに見つめていると目が合った。

「あ!」

「え!?」

昔、いつも見ていた顔がこちらを振り向いた。

「なにしてんの、こんなトコで?」

「私ね、ちょっとここで働いているんだ。」

好きだった。でも別れた。好きなだけではどうにもならないことがこの世にあることをその時知った。

「そうだ、ちょっとコーヒー飲みに行こう。」

「待って、仕事があるのよ。」

その後彼女に何があったのか。あの時別れなかったら、こんな人生にはなっていなかっただろうか。

「いいから来いよ!」

腕を掴むと、なぜか全く抵抗せずに一緒に歩いてくれた。

「仕事、どうする?」

「いいわよ別に。あなたは今何してるの?」

「写真とか撮ったりしてるよ。」

好きだった。でも別れた。それでも幸せな人生だったと思う。

閃光

2016-05-20 22:14:13 | 日記
台湾にいた頃は女に不自由しなかったが、男が好きな彼にとってはあまり意味はなかった。通っていたWORLD GYMにいい男達は沢山いたが、あまりタイプではなかった。台湾に生まれたのに、台湾の男が好きではなかったのだ。

ネットで見る日本の男達に憧れた。洗練された顔立ちに引き締まった体。どれも台湾の男達には無いものだと思った。俳優のような顔だと女性からちやほやされた大学生活を終え、気付いたら東京に向かっていた。

日本語学校は楽しくて大変だった。クラスメートは台湾人ばかりではない。自己主張が強い同級生達とはいざこざが絶えなかったが、今にして思えば尊い1年間だったと思う。そして、学校入学と同時に憧れのゴールドジム原宿東京に入会した。

「カッコいいよね」

引っ込み思案だった自分は東京では変わろうと決意した。宝石箱のように煌く男達が大勢通うこのジムで友達を作りたいという一心で、全く話せない日本語を駆使して、桁違いにカッコいい会員ばかりに声を掛けた。

「そうそう、原宿はみんなカッコいい!」

日本人はみな優しかった。片言の日本語だったせいもあるだろうが、いい男達は留学生にいつも手を差し伸べてくれた。どこで野垂れ死んでも構わないという覚悟で日本にやってきたが、死ぬなら原宿ゴールドで死にたいと彼は心底思った。

「あなたのことだよ」

マッチョになり、日本語も不自由なく話せる彼は笑いながら、東京に来て良かった、と話してくれた。


ファンタジー

2016-05-15 23:55:02 | 日記
原宿ゴールドで現在最も有名なノンケのビデオモデルと最近よくお茶をしているが、素直だ。そして儚い存在だと思う。というのも、いずれ引退するからだ。

もう彼も寿命だろうという相場における判断もあるが、彼自身がこの仕事をいつまでも続けるとは思わない。本人の口からそう明確に聞いた訳ではないが、作品を見る機会は減るだろう。

自分がやりたい事と彼がやりたい事があって、今はそれをマッチングしている最中だ。自分は過去に1つの後悔がある。東中野のゴールドに通っていた世界的に有名なビデオモデルと話をしなかったことだ。いつでも会えるからと先延ばしにした結果、もう会う事はできなくなってしまった。お互いに思い描くことを話し合う事ができていたら何か形になっていたかもしれない。




仕事のスキルや学歴よりも大事なもの

2016-05-07 13:36:38 | 日記
好きだ、とかいちいち言うのって嘘くさくないですか?と言っている男がいた。だからオレはあんま言わないです、と。こういう男は見た目が良くても恋愛経験は少ないのかなと思う。彼が個人でそう考えているだけで経験値が低いなどと書くと決めつけ過ぎている感じがしなくもないが、1対1の関係で相手に気持ちを伝えないのは不誠実だと思うのだ。ありがとう、でも、いつも助かるよ、でもいい。大切な相手がそう言われて嫌な訳がない。ましてや嘘くさいと思う訳がないだろう。そう思われるような相手とそう思われるような上っ面だけの関係性しか築けていないのであれば、恋愛経験値は低いと言わざるを得ない。

何も恋愛に限った話ではない。いつも行くカフェで、ジムで、会社で、ありがとうと言えばいい。そういったことの方が仕事のスキルや学歴よりも大事だと思う。

好きな気持ちは変わらない

2016-05-05 23:42:14 | 日記
よく思うが、好きじゃなかったら男は2人では会わない。LINEの返事が遅いとか、色々と相談に乗る事が多いが、やはりそれに尽きる。ちょっとしか会ってくれなかったら不満かもしれないが、どんなにヒマだとしても、その「ちょっと」も好きじゃなかったら会わないだろう。

本筋を考えれば分かる事なのだ。物事は正しい事ばかりで進んではいない。好きだから返事が遅くなってしまう、好きだから声を掛けられなかった、そんなことも世の中あるのかもしれない。事実だけを見ていけばおおよその相手の気持ちは分かるような気がする。イライラした時は翌日に返事をするといい。

男は追わせるといいとよく聞くが、こちらも追っていたいというのがある。だから、お互いに追いかけ合えるような関係がいいのだと思う。共通した趣味と、分担し合える得意分野があったら、上手くいくような気がする。


転職

2016-05-01 12:30:32 | 日記
その男性は実家に戻って就職した。東京での4年間はあっという間だった。学生生活の4年間は。帰りの電車の中で友人達の事を思い出した。またいつでも会えるから。そう言い聞かせて就職を決めたはずなのに。

大学時代に彼はある競技で名を馳せた。社会人になってからも続けてはいたが、あの頃とは環境が違う。次々と現れる若手に押され、自分の名が報道される事ももうなかった。社会人になるという事は、何かを手放す事でもあるように思う。学生気分で遊んでいたい訳ではなかったが、東京にいる友達のFacebookを見ていると心に一点のシミみたいなものが広がっていくのを感じた。楽しそうな皆。自分もあのままいたら、この集合写真の中にいただろうか。

圧倒的に長い時間を過ごしたはずの地元の思い出を、たった4年間の東京での生活が上書きした。土日が休みなので金曜の夜にたまに東京に行くのがイベントのようになっていた。かたや平日に地元の小さなジムでトレーニングをしていると否が応でも原宿のゴールドジムと比べてしまう。よく通ったものだった。いつも混雑しているのがあの頃は不満だったが、混むこともない田舎のジムに通う今を幸せだとは思わない。人と言うのは底なしに欲深いのだなと少し笑ってしまった。

東京の会社に転職をする事にした。地元では全員が反対したが、彼らの為に生きていく訳でもないのだ。誰の承認も得られないまま、いつもの電車に乗った。ただ違う事は、帰りのチケットを用意していないことか。契約しておいたアパートに荷物を置くと、東京で暮らすんだという実感がわいてきた。何もない床に大の字に寝っ転がっていると、そうだゴールドジムに入会しなきゃと思い出し、すぐに家を飛び出した。

「あの、○○さん、ですよね?」

「はい、そうですけど」

ジムで声を掛けられた。学生時代の事をネットで見たという方からだった。あの頃は多少は有名だったのだ。もう遠い昔の事だが、まさか覚えている人がいるとは思わなかった。

「覚えていますよ。あなたの事を見て、トレーニングを当時は頑張っていましたから。」

東京に来てよかった。今ではなく、あの時に。
東京に来てよかった。今、この時に。

「ありがとうございます」

その男は、オレに声を掛けられた後、笑顔でジムを後にした。