alternativeway

パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

決意

2016年01月03日 | フランスへの道

 新年明けましておめでとうございます。

 年賀状を書いてみたり 久しぶりの人に会ったりする時に
つい口に出る言葉がある。「私の方は相変わらずで・・・」
相変わらず、2年前と大して変らぬ生活のまま、年に一度は
フランスに行かせてもらい、かろうじて書く生活を続けてる。
相変わらず、お金も時間もないままで、そのどちらかがあれば
まだましなのにと思ってる。


 相変わらず・・・ それでいいのだろうか?
「今年こそ!」そう思い、何年書いてきただろう。
「今年こそフランスに住む。」けれど想いは叶わなかった。
相変わらず、小さな夢や目標はそれなりに叶うのに、
その大きな夢は叶わない。もはや諦めた方がいいのだろうか?


 だから今年のノートからはそのテーマは微妙に姿を消して
1年経った時に実現しやすそうな目標が並んでいる。
けれど相変わらずでいいのだろうか?


 相変わらず、な私の横で、気付けば随分変化を遂げた人がいる。
息子は小学校に入学し、保育園とは環境も相当異なる中で
なんとか勉強をやっている、が、専業主婦たちの手厚い保護の中
育って来た子供達との差は見たくなくても見えてしまう。
幼稚園の後マンツーマンで向き合って色んなことを教わって来て
小学校にあがってきた子。朝から晩まで保育園の集団の中で育った息子。
保育園の最後は23人程に対して二人の先生がついていたけど、
そんな大変な最中ではマンツーマンの手厚い教育はありえない。
(それに保育園は教育機関ではなく、預かってくれているだけだ)
工作が得意と思っていた我が子は実はまっすぐに
線を切ることができなかった(教えてないから仕方ない)
学校で絵具を使うことがあっても絵具をどのように塗るものなのかよく
わかっていないらしい。(これもきちんと教わってないから仕方ない)


 7歳にして、集団教育の中ですでに子供達には差がついている。
その差というのは平等主義の先生が生んだものではなくて、
これまでの家庭教育や学校外でいかに過ごして来たかによるのだろう。
私はいつも忙しかった。構う時間なんて足りていない。
それでもなんとかなるかと思っていたけれど、子育てはそんなに甘くない。
これではまずい、と反省し、息子はテレビの時間を減らし
その分私は仕事の時間を減らし、共に向き合う時間を増やすことにした。
そうすると息子は割と嬉しそうだけど私は明らかに仕事が滞るのがわかる。
そうはいってもあと数年の関わりが死活問題ならば、今ここで
低学年のうちにきちんと向き合っていることは きっと大切なのだろう。


 そんなこんなを考えているうち、ふとしたことがきっかけで
この春息子とフランスに行ってみようかという気持になった。
ダメもとで相談すると意外にも好反応が返って来たりで
これはタイミングがいいのかもしれない・・・と急いで航空券を
検索し、春休みに渡仏することにした。


 「航空券を購入する」そのボタンを押した後、
「相変わらず・・・」の日常に、少し風穴が空いた気がする。
もちろん航空券が普段より安いといっても二人分の料金は
私にとっては清水の舞台から飛び降りるように高い。
それでも?それでも・・・それでもやっぱり行くべきだ。
なぜなら?なぜなら子供が小さいうちに本物に触れることは
その後の人生において非常に重要だと思うから。
なぜならこういうタイミングが2年生の春にも訪れるとは限らないから。
夏休みが例えよくても、夏の航空券なんて高すぎて買えないから。
それにやっぱり 我が子にフランスの魅力をわかってほしいから。


 航空券を購入してから気がついた。出発の日はなんだか因縁深く
私が以前息子を連れて渡仏した日と同じ日だった。あれから・・・
あれから何年?あれは震災後のことだから。あれから5年?嘘でしょう?
たしか息子は2歳だった。そして今、彼は7歳。
今度こそ行こう、今度こそ・・・そう思ってもう5年の歳月が流れていたとは
思いもしなかった。5年も経つなら、彼がフランスを忘れるのも当然だ。
少しはわかったフランス語はもうゼロなのも、もはやモチベーションすらないのも
それだけ行かなければ当然だろう。そして時折彼は私に向かってこう言い放つ。
「やっぱりね、日本は安全だよ。フランスはテロがあるんでしょ?
フランスなんて行かない方がいいんだよ」フランスに惹かれ、
子供に淋しい思いをさせてまで時に旅立つ母が行くかの地に
息子は嫉妬も抱いている。彼のその口調からはそれがよく伝わってくる。


 でもね?昔一緒に居た3ヶ月、私はあなたに伝えていった。
こんなに美しい場所があるんだと。2歳の息子は楽しんでいた。
夜のピクニック、フランス人や外国人だらけで言葉のひとつもわからないのに
彼は満面の笑みで駆け回って楽しんでいた。そりゃあ泣いた日もあった。
けれど楽しい時間も美しい庭園でのピクニックも、私達は楽しんでいた。
生演奏とともに童謡を歌えるカフェゾイドの音楽アトリエ、
あなたはあえて耳を傾けようとしなかったけど、帰り道に
いつも口ずさんでいたではないか。あそこで習った曲は
今でも私達はしっかり覚えてる。
そんな息子と歩いた場所を、今度は私はツアーで伝え、
二人だけで共有していたパリへの想いを参加した人たちとも
共有できた。それが嬉しかったのだけど 2011年からもはや5年。
いろんな想いは風化する。


 だからこそ、もうお金があるとかないではなくて、
お金をかけても行くべきなんだ。私がフランスがすごいと言うのは
別にフランスかぶれだからではないと思う。アートにしても知性にしても
圧倒的かつ客観的に、少なくとも日本より優れていて学ぶべき点は多いと思う。
その圧倒的な差のせいで、私達が努力したって一生追いつけないほどの
格差が存在するのだとしても、彼らの何十分の1でもいいから
本当のフランスの姿に触れたらいいと思う。
パリにはモネもマネもルノワールもピカソの絵も存在する。
彼らの絵は質、量ともに圧倒的で、きっと息子にも語りかけてくるだろう。
航空券代は高いとはいえ、パリには千円前後で楽しめる子供向けの
企画が山のようにある。ポンピドゥもオルセーも子供アトリエを開催している。
お金がなくても質の高い芸術に触れていられる街の底力、
子供とともに体感し、できれば記事にしていきたい。


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